久々に読んだ「熱い」本

このブログを運営している千代田区読書振興センターの活動拠点は、

千代田図書館の事務室内、館長デスクの目の前です!

 

仕事の合間に聞く館長の話は、ジョークを交えながらの愉快な小話から

何かを考えるきっかけとなる深い話までと様々で、飽きることがありません。

 

そこで、このカテゴリでは、そんな館長の「読書日記」を

ブログ読者の皆さんに公開します!

最近読んだ本や、これまでの人生で出会った本などについて、

千代田図書館の新谷館長がざっくばらんに綴ります。

 

人生経験も長い館長の読書日記です、どうぞお楽しみに!

 

 

『君も精神科医にならないか』

著 者: 熊木徹夫(くまき・てつお)

出版社: 筑摩書房(2009)ちくまプリマー新書

大きさ: 174p

ISBN : 978-4-480-68828-6

定価 : 760円+税 

≪対象≫ 中学生~一般向け

≪館長メモ≫ 街の本屋でいつもチェックしている

シリーズ最新作。強烈なメッセージを発していた。


 

 

映画やテレビドラマの中で活躍する医者はカッコいい!!

 
この本の著者も、とてもカッコいい。
 
何が?
 
まずカルテは、
『公式文書だから決しておろそかには書けないが、
あえて(患者の)将来予想を書きこむ』ことにより、
懸命に考える医者としての自分を鍛えていく。
 
また患者と医者の認識の幅を確認しあう為に言葉があるという。
しかしその言葉は、
『双方を傷つけることがある取扱注意』の『精神科医のメスである』
と認識して、細心の注意を払う努力をするという。
 
そして、精神科医だけに限らず、一般的にも専門家になるとは、
『退路を断つということ。
「私にはできません」「私にはわかりません」ということを言わず、
何とか決着をつける、
そこまでいかなくともある程度形を成すところまで持ち込んでいける』
という事である。
 
『体験の集積が必ず成長を支える』
これは嬉しい言葉ではありませんか。
 
貴方が医者でなくても、まして精神科医になりたくなくても、
この本の著者が発するメッセージの、多くの事が胸に落ちる事請け合い。
  
久々に「熱い」本を読んだ。

ちなみにこの著者の恩師の一人は、精神科医で作家の中井久夫氏である。

 

 

・・◆◆ 新谷館長のプロフィール ◆◆・・

 

 新谷 迪子 (しんたに・みちこ)

 41年生まれ。

 大学卒業後、66年より大学図書館に勤務。

 その後、いくつかの公共図書館を経て、

 2000年、横浜市中央図書館を定年退職。

 09年4月より、千代田区立千代田図書館長。

 

Posted at:12:20