レポート:読み聞かせスキルアップ講座④

読み聞かせスキルアップ講座もついに最終回。

参加者で発表会を行いました。

 

 

櫻井先生の講義では、テクニックやルールといった類の

具体的、技術的なお話はほとんどありませんでした。

でも、初回とこの最終回とでは、参加者の読み聞かせには

大きな変化がありました。

先生が言い続けてこられた読み聞かせや語りの本質

― その絵本を通して、何を伝えたいのか?

― 愛情表現。本を介して、心と心を通わせること。

などが参加者の皆さんの心に残り、

とても良い発表会になったのだと思います。

オーバーアクションや演劇風な読み方でなくても、

物語の良さや楽しさ、伝えたいことが自然と聞き手の心に

入ってきました。

以下、発表会で披露された本を紹介します。 

 
『よだかの星』
 

宮澤賢治・著

この物語は「おまえの●●が気にくわない」と、否定される

“よだか”が主人公です。

人の気持ちを想像し、そこに自分の心を重ねることができなくなっている

現代の子どもや大人たちに、人がどんな気持ちでいるのかを考えること

を教えてくれます。

 

4名の参加者が分担して読み聞かせを行ったのですが、

声や読み方が落ち着いていて、心を込めて読んでいるというのが

伝わり、また物語のもつ良さが際立っていました。

 

ときにはこのような本を読んで、子どもに問題を投げかけることも必要です。

子どもは本を通して自分の気持ちを消化し、生きる力や勇気をもらうのです。

 

グリム童話より 『赤ずきん』

グリム・作 バーナディット・ワッツ・絵 生野幸吉・訳

出版社 岩波書店(1976年)

価格 700円

ISBN 4-00-115127-8

 


これも、4名の参加者が分担して読み聞かせを行いました。

こちらのメンバーはジェスチャーや声色の変化があり、

オオカミが赤ずきんに語りかける場面などでは、いかにも悪そうな声で

聞き手の笑いを誘っていました。

 

「赤ずきん」はたくさん出版されていますが、

生野幸吉の訳本は、原文に忠実に訳されていて、

心理描写までが聞き手に伝わってきます。

昔話を丁寧に伝えている本です。

 

『三枚のお札』

「古事記」にも入っているという、古くから伝わる昔話。

最初に小僧さんが歌いながら栗拾いをする場面があるのですが、

読み手の歌声が美しく、笑いも誘いました。 

 

『アンナの赤いオーバー』

ハリエット・ジィーフェルト文 アニタ・ローベル絵 松川真弓訳

出版社 評論社(1990年)

価格 1300円+税

ISBN 4-566-00288-8

児童図書館・絵本の部屋

 


アンナのための赤いオーバーができるまでに、何が必要で、

どんな人(職人)たちの手がかかるのか、というストーリー。

着るものや食べるものなど、何でも人の手がかかっている

ということを知るのにいい本です。

絵本は、与えるだけではなく、実生活の中で見せることが大事です。

(たとえば、ハンバーグの作り方が出てくる絵本だったら、

 実際にそのハンバーグを作ってみるとか・・・)

そうすることで、「暮らし」とはどういうものなのか、子どもは学びます。

 

『世界の民話 28 オーストリア』より「牛飼い聖者」

小澤俊夫・訳 ぎょうせい・出版

とっても愉快な笑い話で、絵本ではないので語りを披露されました。

 

『トンちゃんってそういうネコ』

MAYA MAXX さく・え

出版社 角川書店(1999年)

価格 1995円

ISBN 4048531115

参加者に大好評だった1冊。

とても元気なオス猫・トンちゃんは実は片足がないというストーリー。

絵も大胆で、元気と勇気づけられる物語でした。

 

その他、櫻井先生による語りが披露されました。

張りのある、聞き手を魅了する声でした。

 

 

今回の連続講座は、

一言も聞き漏らしたくないくらい、学びと気づきの連続で、

スタッフとして参加した私にとっても、本当に貴重な機会となりました。

参加者の皆さんの、今後ますますのご活躍を期待しています。

皆さんおつかれさまでした&ありがとうございました! 

 

Posted at:18:30