千代田小学校:読書週間スペシャル給食

先日、千代田小学校の図書委員の皆さんに「絵本に出てくる料理が、

給食に出ている」と聞き、今回は給食時間にお邪魔をしてきました。 

この日の献立は、胚芽ごはん、すまし汁、筑前煮、

とらねこふりかけ、くだもの、牛乳。

とらねこふりかけ…!?

 

 

児童に配布される「給食だより」の“栄養士からのひとこと”

によると「絵本『100万回生きたねこ』より、

ねこが好きなツナとたまごを使ったふりかけ風。」

栄養満点の手作りふりかけ!ネコにはちょっと贅沢?

このふりかけだけで、ごはんをおかわりしたくなるほどです。

 

▲「給食だより」裏面には、日ごとに絵本とその紹介文が。

 

これは、千代田小の給食を担当している栄養士の鈴木先生が

千代田小の図書館担当で、千代田図書館・学校支援の司書の

杉田先生に呼びかけて実現した、

給食×絵本のコラボレーション企画読書週間スペシャル

10月末から11月にかけての読書週間にちなみ、千代田小学校での

11月の給食にはなんと毎日絵本にちなんだ料理が登場しました。

 

▲左が栄養士の鈴木先生、右が司書の杉田先生

 

いつも「今日は何の日」という記念日や学校の行事に合わせた献立を

たてている鈴木先生が、今年は「国民読書年」でもあることから、

秋の読書週間には本にまつわる献立を、と考えられたのがきっかけ。

 

杉田先生が料理の出てくる絵本を探し、鈴木先生が絵本を見ながら

献立をたてる、という共同作業の中で、苦戦したのは魚や豆などの「和食」。

洋食やデザートが登場する絵本や物語はたくさんあるのに、日本の食事や

食べるシーンが登場する絵本が少ないことに、改めて気がついたそうです。

 

和食の献立に活躍した絵本をいくつかご紹介します。

 

『よみがえれ、えりもの森』 

本木洋子・文 高田三郎・絵 新日本出版社

⇒「キャベツの昆布味」「なめこととろろ昆布の味噌汁」

 

『はじめてのおるすばん』

しみずみちを・作 山本まつ子・絵 岩崎書店

⇒「ときのこの炊き込みごはん」

 

『一つの花』

今西祐行・作 鈴木義治・絵 ポプラ社

⇒「すいとん

 

『一つの花』は4年生が国語の授業でまさに取り組んでいた本。

担任の先生曰く、すいとんは物語には出てこないが、食糧不足の

時代の食を知る、とても良い機会になったとのこと。

 

▲4年1組にて。給食の時間はみんな本当に楽しそう♪

 

児童は、給食をきっかけに本を借りたり、自分の好きな絵本の給食を

楽しみにしたり、また家庭では、親子の会話のきっかけになったり、と

児童にも保護者にも、そして先生方にも大変好評だったようです。

 

浅川校長先生に感想をお伺いしたところ、

学校教育では、読書は国語、食育は給食や家庭科、

などと区別して考えてしまうところがありますが

「食」も「読書」も、生活全般に関わること。

皆で同じものを食べるという、小学校ならではの学校給食を通じて

楽しく身近なこととして取り組めたのが、大変良かった。

とおっしゃっていました。

 

「食育」や「読書推進」というとなんだか堅苦しく感じますが、

こんなにも楽しく「本」や「食」に親しむこともできるんですね。

 

▲浅川校長先生は、『シンデレラ』⇒かぼちゃの入った

 「シンデレラ根菜カレーライス」が特に印象に残ったそうです。

 

栄養士の鈴木先生は「給食は考え、工夫をする時間」とおっしゃいます。

牛乳瓶の紙の蓋を、どうすればうまく開けることができるか、

納豆のネバネバが手につかないようにするにはどうすればいいか、

そんなことから、児童は考え、工夫することを学んでいくのだそうです。

 

▲鈴木先生は、学校でのお母さん。

 

そして何より、鈴木先生の「工夫」もすごい!の一言です。

 -豆をたくさん摂れるように、コロッケの中に豆を入れる。

 -切干大根やかんぴょうといった乾物を様々な献立にこっそり使う。

といった栄養面における工夫もさることながら、

職員朝会で、風邪による欠席児童が多いと聞けば

 -消化しやすい食材に変更をする。

 -柔らかめに仕上げるよう調理師に指示を出す。

と、可能な限りの対応をはかり、

時間割を見て、午前中に体育のあるクラスには、

多めに作っている分を「おまけ」として少し追加するなどの徹底した心配り!

毎日、給食時間中は各クラスを回って児童に声をかけ、体調や心の状態を

確認している鈴木先生は、まさにみんなのお母さんですね。

 

今回の取材では、絵本と給食のコラボレーション企画という

取り組み内容のおもしろさはもちろんですが、なにより

鈴木先生と杉田先生というお二人の教育にかける熱意と

プロ意識に圧倒されました。先生方、ありがとうございました! 

Posted at:09:00