コンシェルジュ通信Vol.17:防災専門図書館で写真展&企画展
「平成28年・明治22年熊本地震」

2016年4月に発生した熊本地震から今日で5ヶ月。

千代田区平河町の日本都市センター会館8階にある防災専門図書館では、

南阿蘇村在住の写真家が阿蘇周辺の被災をとらえた写真展と、

明治22年と平成28年の熊本地震の資料を紹介する企画展を同時開催中です。

 

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写真展「ゼロの阿蘇」は、南阿蘇村在住の写真家

長野良市(ながの・りょういち)さんによって、熊本地震発生前後から

撮り続けられたもので、阿蘇の実情を知ることができます。

 

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この写真展はこれまで、熊本市など九州地方のみで開催されてきましたが、

東京では初めての開催です。

ニュースや新聞で目にする報道写真とは異なり、地元の写真家ならではの

人々の生活圏に近づいた写真が多数展示されています。

家屋の柱が大幅にずれている中で暮らす方や、流れ込んだ土砂で埋もれた室内の様子、

また崩落した阿蘇大橋の、地震発生前の佇まいとの対比は、胸に迫ります。

 

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同時開催の企画展「平成28年・明治22年熊本地震」は、

防災専門図書館の所蔵資料による展示です。

今回の熊本地震127年前の明治22年に発生したもう一つの熊本地震

さらにその他の明治時代の災害資料を展示しています。

 

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こちらは「明治災害年表」。地震だけでなく、

当時の火山の噴火や水害について、年代を追って紹介されています。

年表中の画像は、防災専門図書館の所蔵資料です。

 

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明治熊本地震の資料紹介ポスターにある

『熊本明治震災日記』(水島貫之・著、1889年)には、

今回と同じように熊本城の石垣が崩れた様子が描かれています。

 

また、今回の熊本地震関連資料も、手にとって見られるよう展示されています。

 

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防災専門図書館では大きな災害が発生すると、最初にインターネット情報を収集し

関連する所蔵資料を選んで、すぐに展示するそうです。

その後、現地の新聞、週刊誌を購入して新しい情報を得ながら、1ヶ月ほど経つと

専門機関誌や月刊誌の特集があり、単行本が刊行されるので

それらも順次入手しているそうです。

現地の新聞は重要な情報源で、一面には、全国紙とは異なり

今も災害情報が掲載されています。

 

こうして震災の被害について知ると、いざ災害に直面した時

どうしたらよいか不安になりました。

 

司書の堀田弥生さんに伺うと、

「自宅や職場、学校だけでなく、通勤、通学の途中や旅行先など、自分が

 いつ、どんな災害に遭ってしまうかは誰にもわかりません。大切なのは

 助かったら、生き延びることです。その時、知識が役に立ちます

とのアドバイスをいただきました。

 

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常設の防災関連コーナーでは、日常生活における災害対策に関する本はもちろん、

ふだん備蓄する災害食や、100円ショップで揃えられる防災グッズの紹介もあり、

様々な知識を得ることができます。

勤務先やマンションで防災担当者になった方へおすすめの本のコーナーもあります。

 

防災専門図書館は、書店で販売していないような寄贈資料が多く、

一点物の貴重な蔵書のため、ほとんどの資料は書庫にしまわれている

閉架式図書館ですが、閲覧室ではこのように充実した防災・災害対応資料や、

企画展に関連した資料が多数展示され、すぐに手に取ることができます。

もっと知りたい時や迷った時は、司書さんに相談することができるので

気軽に利用できます。ぜひお出かけください。

 

平成28年・明治22年熊本地震

~「ゼロの阿蘇」写真展&防災専門図書館企画展~

【会 場】 防災専門図書館

      (千代田区平河町2-4-1 日本都市センター会館8階)

【会 期】 開催中~10月31日(月曜日)

【時 間】 午前9時~午後5時

【休館日】 土曜日、日曜日、祝日 

【入館料】 無料

【主 催】 防災専門図書館

【共 催】 (一社)九州学び舎

 

Posted at:15:00