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2021.10.28
コンシェルジュ通信Vol.56: 神保町が今熱い! 70周年!、100周年!、140周年! |
先日開催したイベント「千代田図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー"神保町で世界旅行気分"編」では、秋晴れのもと、参加者の皆さんと一緒に神田神保町の古書店街を巡りました。
毎回、イベント当日を迎えるまでに街歩きの練習や情報収集など様々な準備を行うのですが、街のことについて調べていると新たな発見があります。
今回のコンシェルジュ通信では、そんなツアー準備のなかで見つけた神田神保町の書店の歴史にまつわるお話をご紹介します。
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明治から大正時代に多くの中国人が留学していたという神保町。中国の政治家・周恩来もその一人で、当時の神田区神保町に下宿していたそうです。
生活の拠点になっていた神保町のことを知りたくて、『周恩来『十九歳の東京日記』』を読んでみました。
周恩来/著
小学館
当時の日記の日本語訳であるこの本には、こんな記述がありました。
四月二十三日(戌午三月十三日庚子)(火曜日)
~~
今夜、「東京堂」に行って本を買い、時間を割いて新刊の雑誌を見た。刊行されたばかりの『露西亜研究』をぱらぱらめくっていると、ロシアの現今の党派をきわめて詳細に論じた論文が掲載されていた。その場でざっと目を通して暗記したおおよそを以下に記す。
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この後、当書には数ページにわたり暗記しまとめた内容がつづられています。当時のロシアの政治情勢について、東京堂書店で読んだだけで記憶してしまったとは! 記憶力の良さに驚かされます。
そしてこの他にも「東京堂」を度々訪れていることが日記に残されています。
この「東京堂」とは当時の神田東京堂のことで、現在の「東京堂書店」です。神田すずらん通りにあり、昨年3月には創業130年を迎えた老舗新刊書店です。
周恩来の聡明さとともに、東京堂書店の歴史の深さを感じるエピソードです。
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また、今回のツアー内でご紹介した三省堂書店神保町本店は、今年4月に創業140周年を迎えています。
三省堂書店前での神保町ツアーの様子
現在は大型の新刊書店として知られる三省堂書店ですが、明治14年(1881年)の創業当時は古書店として開業したのだそうです。(『三省堂書店百年史』より)
そんな歴史ある三省堂書店神保町本店ですが、建て直しのため来年の3月に閉店し、令和7年~8年(2025~2026年)頃に建物ごと新しく生まれ変わることが発表されました。
現店舗で営業する来年3月までは、「困難な時代も、新しい時代も、いつだって『本』がある」と銘打ち、色んなフェアが開催されています。
また、街歩きの練習中に見つけたのは新刊書店「書泉グランデ」で開催中の「書泉70周年祭」。昨年創業70年を迎えたそうです。
千代田図書館所蔵の『古書肆100年』によると、老舗古書店「一誠堂書店」初代店主のご子息が開業したのが「書泉」なのだとか。
新刊書店と古書店、出版社は歴史をたどると様々なつながりがあり、あらためて調べてみると面白いなと感じました。
千代田図書館の「出版にまつわる本棚」コーナーには、出版や書店の歴史などについても資料を集めています。ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
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さらに、都内の古書店でつくられる「東京都古書籍商業協同組合」は、昨年創立100周年を迎えたことを記念して、今年の夏にこちらの本を刊行しました。
東京都古書籍商業協同組合/編、出版
神保町の多くの古書店が加入する神田支部はもちろんのこと、都内の古書店街やこれまでの活動の様子がまとめられていて読み応えたっぷり。
古書店のことをもっと知りたい!という方におすすめです。
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昨年に引き続き、今年の「東京名物神田古本まつり」の開催は見送られましたが、読書の秋の神保町は今熱い!
昨年から今年にかけて、70年・100年・140年と周年記念に沸く神保町で、本に親しんでみてはいかがでしょうか。
Posted at:15:30