「春の訪れを感じる本」をご紹介

まだまだ寒い日が続きますが、少しずつ春の気配が近づいてくるのを感じられますね。

今回は、「春の訪れ」を感じられるおすすめの本をご紹介します!

本を開いて、これからやってくる新しい季節に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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『春ものがたり』

野上 暁/編

偕成社

国語の教科書で読んだことのある人も多いであろう谷川俊太郎の詩「春に」(詩集『どきん』(理論社)に収録)をはじめとし、卒業や出会い、春風、花などを題材に、活き活きと春を描いた短編や詩が15編収録されています。


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『生き物が教えてくれる季節のおとずれ 春』

亀田龍吉/写真・文

汐文社

春といえば、どんな生き物を想像しますか?

日本の暦の言葉と共に、サクラ・ウグイス・モンシロチョウなど、春の訪れを告げてくれる可憐な生き物たちの生態を、色鮮やかな写真で紹介しています。

身のまわりの春をさがしに、外へ出かけたくなること間違いなしの一冊です。


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『たのしいまきばのイースター』

ロイス・レンスキー/作・絵、佐藤 淑子/訳

徳間書店

明日は春のお祭り、イースター。牧場の動物たちは、自分たちのお世話をしてくれる女の子・アン=イライザに贈り物をしようと、みんなで集まって相談をはじめます。そこへ、いばりんぼうのイースターうさぎがやってきて...。

アメリカで半世紀以上読み継がれてきた、わくわく楽しい気持ちになれるお話です。



『エチュード春一番 第1曲 小犬のプレリュード』

荻原規子/著

KADOKAWA

大学に合格し一人で暮らし始めた美綾(みあや)の元に、「自分は八百万の神だ」と名乗る謎の子犬・モノクロが現れる。

奇妙な共同生活を送る一方、大学では再会した幼馴染たちと共に、幽霊絡みの事件に巻き込まれ...波乱万丈の大学生活が始まる!


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『こんなふうに生きればいいにゃん 心療内科医がネコから教わった生き方のコツ』

海原純子/著

海竜社

春は出会いや別れ、新生活の時期。進学や就職による環境の変化に、不安や心配を抱えている方も多いのではないでしょうか?

疲れてしまったときはこの本を開いて、ネコたちからリラックスして生きる方法を教わってみましょう。


以上、春を感じられる本を5冊ご紹介しました!

ポカポカ陽気が気持ちいい日には、図書館に足を運んでみてはいかがでしょうか?

春を感じられるお気に入りの一冊を、ぜひ見つけてみてくださいね。

Posted at:18:00

コンシェルジュ通信vol.70:季節の和菓子を堪能!

最近はぽかぽかと暖かい日が増えてきました。

甘いお菓子でほっと一息、癒されたい気分になります。

九段下駅から千代田図書館までの道すがら、いつも気になる和菓子屋さんがあります。

先日コンシェルジュの仲間たちと伺いました。

御菓子司 寿々木(おかしつかさ すずき)さんです!

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まず目に入るのは、和菓子が並んでいる表のショーケースです。

伺ったときは2月の和菓子が並んでいました。

写真の「寒椿(かんつばき) 」の練り切り、美味しそうですね!

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花びらの中にはこしあんが包まれており、しっとり優しい甘さ

ちょこんと添えられた椿の葉は少し透明感があり、瑞々しさが伝わってきます。

ぱっと華やかな気分になれる、素敵な練り切りです。



和菓子と聞いて、練り切りをイメージされる方は多いのではないでしょうか。

この機会に、千代田図書館所蔵の本で、練り切りと2月の和菓子のモチーフについて調べてみました!

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『事典 和菓子の世界』

中山 圭子/著

岩波書店

練り切りとは

こしあんに求肥、寒梅粉(かんばいこ)などのつなぎを加えて、練り上げて作るもの。

柔らかく細工がしやすいため、季節に合わせて様々な形作りがされています。

モチーフ

日本の和菓子は、その時の季節にあった植物動物自然など身の回りのものがモチーフにされています。

今回紹介した椿の花は、1月~2月頃の季節によく用いられています。

「寒椿」のほか、「玉椿」「姫椿」「白玉椿」「花椿」などの銘が付けられるそうです。

練り切りの柔らかい生地と、日本の四季を愛でる文化、そして和菓子職人の技が重なって、繊細で美しい練り切りが出来るのですね!

千代田図書館には、ほかにも和菓子に関連する本があります。

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『史料でみる和菓子とくらし』

今村 規子/著

淡交社

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『和菓子を愛した人たち』

虎屋文庫/編著

山川出版社

これからお花見お祝い事などで、和菓子を買おうかな~と考えている方!

御菓子司 寿々木さんの和菓子とともに、図書館の本で理解を深めてみてはいかがでしょうか。



そろそろお花が見頃の季節がやってきますね。

コンシェルジュブースで現在「春の兆しを探しに千代田区内お散歩へ♪~皇居東御苑の梅~」をテーマに装飾しています。

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今後もさまざまな展示を行っていきますので、どうぞお楽しみに!

御菓子司 寿々木

【場  所】千代田区九段南1-4-3

【営業時間】午前11時~午後7時(甘味喫茶12時~)

【定 休 日】土曜日・日曜日・祝日

Posted at:17:00

千代田図書館 企画プロデューサーの読書日記
「年のはじめに読みたい本」


2024年を迎えて千代田区立図書館の職員が選んだ「年のはじめに読みたい本」を紹介する3回目。今回で最終回です。

千代田図書館の企画部門 角井プロデューサーが「年のはじめに読みたい本」を紹介します。


いずれの本も千代田区立図書館に所蔵しています。資料の詳しい情報は書名をクリックしてご覧いただけます(貸出中の場合はご了承ください)。


重さで床が傾いてしまったクローゼットの奥を引っ掻き回し、11冊の本を取り出しました。メモやパソコンが散乱する万年コタツの横に、ドサッと置かれたのは、いまさらながらの「ハリー・ポッター」シリーズ。

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『ハリー・ポッターと賢者の石』

J.K.ローリング/作、松岡佑子/訳

ダン・シュレシンジャー/絵

静山社

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『ハリー・ポッターと秘密の部屋』

J.K.ローリング/作、松岡佑子/訳

ダン・シュレシンジャー/絵

静山社

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『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』

J.K.ローリング/作、松岡佑子/訳

ダン・シュレシンジャー/絵

静山社

作者はJ・K・ローリング。訳者は松岡佑子。月並みな言い方をすれば、こどもから老人まで楽しめる魔法使いモノ。流行りで言うなら異世界モノ?でありながら、仇討ち物語の一面もあり、後半になるとなにやら重い空気が漂い始めます。両親を殺害されたハリー・ポッターと、闇の魔法使いとの因縁の戦いが主軸の長編シリーズです。

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『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』上巻

『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』下巻

J.K.ローリング/作、松岡佑子/訳

ダン・シュレシンジャー/絵

静山社

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『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』上巻

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』下巻

J.K.ローリング/作、松岡佑子/訳

ダン・シュレシンジャー/絵

静山社

映画は8本、舞台やゲームにもなり、「ポッタリアン」という愛好家の総称も発生。

書籍の方は7巻11冊のボリュームで、3度目の読み返しですが、毎回ちがう発見があり、微妙に違うシーンを頭の中で創造してしまうのは、作者の才能なのか、訳者の手腕なのか。とにかく、お初の方も、いまさらの方にも、お薦めのシリーズです。

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『ハリー・ポッターと謎のプリンス』上巻

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』下巻

J.K.ローリング/作、松岡佑子/訳

ダン・シュレシンジャー/絵

静山社

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『ハリー・ポッターと死の秘宝』上巻

『ハリー・ポッターと死の秘宝』下巻

J.K.ローリング/作、松岡佑子/訳

ダン・シュレシンジャー/絵

静山社



角井プロデューサーの読書日記をお届けしました。年のはじめこそ、何巻にもわたる長編作品に取り掛かる良いタイミングではないでしょうか。

気になっていた本、読み返したい本と出会いに、ぜひ今年も千代田区立図書館にご来館ください。





千代田図書館 企画部門の展示「コレが欲しい!!物欲マシマシの"美本"たち─54th/55th造本装幀コンクール─」は、千代田図書館9階展示ウォールで2月24日(土曜日)まで開催中です!

こちらも、素敵な本との出会いがきっと見つかる展示です。ご来館をお待ちしています♪

Posted at:15:10

四番町図書館 館長の読書日記
「年のはじめに読みたい本」


年始の「ちよぴたブログ」は、千代田区立図書館の職員が選んだ「年のはじめに読みたい本」を紹介しています。

2回目は、四番町図書館の栗田館長が「年のはじめに読みたい本」を選びました。

四番町図書館は、子どもの本を多く揃え、定期的におはなし会やイベントを行っています。今回は子どもだけではなく、大人の心にも響く絵本2冊とノンフィクション1冊をセレクトしていただきました。

いずれの本も千代田区立図書館に所蔵しています。資料の詳しい情報は書名をクリックしてご覧いただけます(貸出中の場合はご了承ください)。



大変な幕開けとなりましたが、こんなときにこそ、本の力を借りたい。

そんな気持ちで、少ない言葉で心に届く絵本とユニークな旅行記を選んでみました。

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『はじまりの日』

ボブ・ディラン/作、ポール・ロジャース/絵

アーサー・ビナード/訳

岩崎書店

1冊目は、生まれ変わった気持ちで一年のスタートを切る。そんな気分にふさわしい、はじまりの日』という絵本です。

毎日がきみの はじまりの日

きょうもあしたも あたらしいきみの はじまりの日

ボブ・ディランが愛する息子のために作った名曲『Forever Young』の歌詞を、詩人アーサー・ビナードが心に響く日本語に訳し、ポール・ロジャースの大らかな絵が加わりました。子どもたちが勇気と希望をもって生きていけますように...そんな当たり前の思いと願いがちりばめられています。

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『最初の質問』

長田 弘/詩、いせ ひでこ/絵

講談社

2冊目は、詩人・長田弘さんの問いかけに、いせひでこさんの美しい絵が静かに応えます。一つ一つの質問は短く、簡単です。言葉と絵を追いかけるうちに気持ちがワクワクしたり、ちょっと困ったり...。

これは一日一日を大切に生きるためのプロローグ。

何歳の時の自分が好きですか。

上手に年を取ることができると思いますか。

人生の材料はなんだと思いますか。

その日その時の自分と、哲学問答を楽しんでみてください。

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『ロバのスーコと旅をする』

高田 晃太郎/著

河出書房新社

最後は、目標や目的が求められる新年に、あえて大それた目的も持たず、なぜかロバと一緒にイラン、トルコ、モロッコと旅を続ける人の旅行記です。

スケジュールはロバ次第。しかも、ロバは従順でもなく、ときに逃げ出したり、トラブルの原因となったり...。

それでも筆者はロバを相棒に淡々と旅を続けます。そんな彼らにエールを送りたくなるのは、心の奥に潜む自由を求める気持ちが騒ぎ出したからかもしれません。



四番町図書館 栗田館長の読書日記をお届けしました。

次回の「年のはじめに読みたい本」紹介もお楽しみに!

Posted at:16:00

千代田図書館 図書サービスプロデューサーの読書日記
「年のはじめに読みたい本」


辰年最初の「ちよぴたブログ」では、「年のはじめに読みたい本」を、千代田区立図書館の職員が紹介します。

全3回でお届けする初回は、千代田図書館 図書サービス部門の坪内プロデューサーが「年のはじめに読みたい本」をご紹介します。昨年出版されたばかりの話題の本3冊のセレクトは、多彩な趣味を反映したものになりました。

紹介している本は、いずれも千代田区立図書館に所蔵しています。資料の詳しい情報は書名をクリックしてご覧いただけます(貸出中の場合はご了承ください)。



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『まるごと1冊 スペイン音楽の本』

下山静香/著
アルテスパブリッシング


ついに出た、決定版! 650ページの中に代表的な作曲家・演奏家・作品の紹介はもちろん、歴史、文学、映画、景観など、スペインの魅力のすべてが詰まっています。

独特のエキゾチシズムを醸し出すスペイン音楽の魅力は、歌と踊り、光と陰のコントラストの妙。それを「ミの旋法」と、「アンダルシア終止形」と呼ばれる下降する和声進行とが彩ります。

演奏と研究・執筆などの両面で活躍する著者による、入門書でもあり音楽通も満足できる一冊。ソフトカバーながら王宮の風格を感じさせる装丁も、素敵です!

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『神保町 本の雑誌』(別冊本の雑誌㉒)

本の雑誌編集部/編
本の雑誌社


神保町の紹介本はあまたあれど、これを読まなきゃ始まらない!と言えるほど、神保町への愛と敬意と憧憬に満ちた、珠玉の一冊。

神保町の裏の裏まで知り尽くした著者たちが、これでもかと繰り出す、街語り・本語り・食べ物語り。対談に始まり、ルポ、インタビュー、エッセイ、店舗案内など、バラエティに富んだ内容は、どこから読み始めても飽きずに楽しめます。一部の記事を除き、すべて書下ろし・語り下ろしなのも嬉しい。

写真や図版も豊富で、初めて神保町を訪れる人にも、神保町フリークを自認する人にも、役に立つ本です。

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『師匠』

立川志らく/著
集英社


年のはじめはやっぱり寄席で、落語を聴いて大笑いしたいもの、ということで、いま話題の1冊をご紹介・・・というつもりで選んだのが甘かった! ゴジラ-1.0の破壊力にも匹敵する「笑撃」と、屈折した著者の思いが胸に迫る、「談志本」のニューウェーブ。『小説すばる』連載時から読んでおけばよかった、と後悔させるほどの面白いエッセイが本になりました。

著者同様、これを書いている私も、実は立川談志は大嫌い。でも掛け値なしの大天才で、その魅力には抗えません。

伝説の「芝浜」は、聴く者の五感に訴える珠玉の名演でした。そうか、談志を深く知ることこそが「業の肯定」なのだと、ひとつ腑に落ちた読書体験でした。



坪内プロデューサーの読書日記をお届けしました。

次回の「年のはじめに読みたい本」紹介もお楽しみに!

2024年も「ちよぴたブログ」を、どうぞよろしくお願いいたします。

Posted at:13:30

【MOFCAの庭からごきげんよう】10歳から知っておきたいお金の心得

千代田区障害者よろず相談MOFCAと連携し、おすすめの本をご紹介いただいている連載【MOFCAの庭からごきげんよう】。第11回目をお届けします。

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皆様、こんにちは。12月担当のMです。

今年も残り少なくなりました。猛暑に続き、この季節は寒暖の差が激しく、体調管理が大変ですがいかがお過ごしでしょうか?

さて、今月の本は『10歳から知っておきたいお金の心得 大切なのは稼ぎ方・使い方・考え方』です。

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『10歳から知っておきたいお金の心得 大切なのは稼ぎ方・使い方・考え方』

八木 陽子/監修

えほんの杜

監修の八木陽子さんは、(株)イーカンパニー代表で2001年にファイナンシャルプランナー・キャリアカウンセラーの資格を取得。海外でファイナンシャルリテラシー教育を視察した経験を活かし、「お金は生活に必要なものなのに、なぜ、話す機会が少ないのだろう」と疑問を持っておられ、子ども向けのマネー教育の普及に努めています。

この本は「お金がたくさんあれば幸せ?」の疑問から始まって、物価・景気・キャッシュレス・銀行・投資・社会保障などなどについて書かれており、とてもわかりやすいイラストでお金について教えてくれる4人の先生たちが登場します。

本の中には、「ボクたちのおこづかい大作戦・お金を計画的につかう方法」という特別ページがあります。おこづかいの管理方法としておこづかい帳がありますが、面倒で続かない場合が多いですよね。

オススメは4つの貯金箱を準備し分類することだそうです。具体的には①貯めるお金(すぐには使わず、貯めておく)、②使うお金(すぐ欲しい物を買う)、③人のために使うお金(大切な人のプレゼント等に使う)、④増やすお金(おうちの人と一緒に金融機関に行って預ける勉強など)の貯金箱です。これらを身に着ける事により、おとなになってからも役に立つことになります。


この本で最も伝えたい事として書かれている「お金は社会の血液だ」の言葉は、すばらしい表現だと思いました。

確かに、血液は酸素と二酸化炭素を体に運び、体に十分な栄養素をいきわたらせ老廃物を運んできます。社会も、お金が隅々まで秩序よく回っていればよくなっていくのだと、この本は教えてくれています。私も子どものときにこの本に出会いたかったです。ファイナンシャルリテラシーがあれば老後資金問題など考えなくても済んだかもしれません。


キッズ・マネー・ステーションは、キャッシュレス決済、スマートフォンやゲームの所有など、今の社会の子どもたちの環境が目まぐるしく変化する中、物やお金の大切さを知らせたいという思いで設立された団体です。全国に約200名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行っています。2019年までに1300件以上の講座実績を持っています。

「千代田区障害者よろず相談MOFCA」を相談窓口としてどうぞご利用ください。

どんなささいな事でも結構です。

みはらしの良い、居場所スペースもありますので、ただ休んで、ご自分のリラックスの場としてのご利用も大歓迎です。お待ちしております。


MOFCAがあるパレスサイドビルの中は、クリスマスのイルミネーションがとても素敵です。

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通路からMOFCAの入口を撮影してみました。

それでは皆さま、お体に気をつけて年末年始をお過ごしください。

次回は2024年2月になります。どうぞお楽しみに!



MOFCAの連載【MOFCAの庭からごきげんよう】は、隔月の第2週目に更新しています。

Posted at:12:20

子どもたちが選ぶ"大切な本・忘れられない本"
~「千代田区子ども読書調査」より、中学生編~


千代田区立小学校・中学校に通う子どもの読書の状況や変化を把握し、読書活動推進に関する施策に活用することを目的として千代田図書館 読書振興センターが行っている「千代田区子ども読書調査」

昨年度行った「第8回千代田区子ども読書調査」の質問項目のひとつ「大切な本や忘れられない本がありますか?」への回答で多く挙げられたタイトルや千代田区立図書館が所蔵する本をブログで紹介!前回の小学生編に続き、中学生編をお届けします。

「大切な本や忘れられない本がありますか?」の問いに、「ある」と回答した中学生は70.2%

今の中学生は、どんな本が好きなのでしょうか。本の詳しい情報は、書名をクリックしてご覧ください。

中学生の「大切な本・忘れられない本」

中学生の調査でも毎年と言っていいほど上位に挙げられる人気のタイトルは、「ハリー・ポッター」シリーズ(J.K.ローリング/作、松岡 佑子/訳、静山社)や、2019年に実施した第5回子ども読書調査の結果報告でも取り上げた『かがみの孤城』(辻村 深月/著、ポプラ社)で、やはり今年度も多くの生徒達から人気を集めています。

これらに続いて挙げられているのは、例えば「パーシー・ジャクソン」シリーズの本。

"半神半人"の少年パーシーの活躍を描くこのシリーズは、2005年からアメリカで発行され、世界中の子ども達に読まれ続けているファンタジー小説です。

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『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々1 盗まれた雷撃1』

リック・リオーダン/作、金原瑞人/訳

ほるぷ出版

また近年出版された本で、複数の生徒からそのタイトルが挙げられたのはこちらの本。

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『海を見た日』

M・G・ヘネシー/作、杉田七重/訳

鈴木出版

中学生となると、小説や伝記などの読みものだけでなく、エッセイ、ノンフィクションやスポーツの本、ライトノベルなどなど、生徒の数だけ"好きな本"の種類も広がりを見せます。

調査結果を詳しく見てみると、ベストセラーや話題の作品だけでなく、大人でも「読んでみたいな」と思うタイトルも多く並んでいました。

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『20歳(はたち)のソウル』

中井 由梨子/作

小学館

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『植物はなぜ動かないのか』

稲垣 栄洋/著

筑摩書房

また、小学生と同様に「大切な本・忘れられない本」として絵本のタイトルを挙げる生徒もいます。今年度の調査では、「ぐりとぐら」シリーズ(なかがわ りえこ/作、おおむら ゆりこ/絵、福音館書店)や、『ふたりはともだち』を始めとする「がまくんとかえるくん」シリーズ(アーノルド・ローベル/作、三木 卓/訳、文化出版局)、その他にも多くのタイトルの回答がありました。

小学生・中学生ともに質問項目「小学校に入学する前、本を読んでもらうことはありましたか?」へ「よくあった」と回答した子どもほど、同じく質問項目の「本を読むのは好きですか?」に対して「好き」と答える割合が多いという結果が得られています。

普段、親子でゆっくりと本を楽しむ時間の確保がなかなか難しいという保護者の皆さんもいらっしゃることと思いますが、ぜひ気軽に図書館のおはなし会や子どもの本のおすすめリストなどをご活用ください♪

「第8回千代田区子ども読書調査」結果の詳細はこちらからご覧ください

11月からは今年度の「第9回千代田区子ども読書調査」が始まります。区内の学校に通う皆さん、どうぞご協力をお願いいたします。

千代田図書館 休館のお知らせ

千代田図書館は、蔵書点検実施のため下記の期間は休館いたします。

【期 間】 10月21日(土曜日)~23日(月曜日)

休館中の資料返却は、ブックポストをご利用ください。(視聴覚資料など一部資料を除く)

ご不便をおかけいたしますが、ご協力をお願いいたします。

各館の休館日についてはこちらのページをご覧ください

Posted at:17:20

子どもたちが選ぶ"大切な本・忘れられない本"
~「千代田区子ども読書調査」より、小学生編~


千代田図書館 読書振興センターでは、子どもと子どもをとりまく大人の読書活動を推進するさまざまな取り組みを行っており、そのひとつに「千代田区子ども読書調査」があります。千代田区立小学校・中学校に通う子どもの読書の状況や変化を把握し、読書活動推進に関する施策に活用することを目的として、平成27年から毎年11月頃に実施しています。

今回のちよぴたブログでは、昨年度行った「第8回千代田区子ども読書調査」の質問項目のひとつ、「大切な本や忘れられない本がありますか?」に対する回答の中から、多く挙げられたタイトルや千代田区立図書館に所蔵がある本をご紹介します。

「大切な本や忘れられない本がありますか?」の問いに、「ある」と回答した小学生は75.9%

今の子どもたちはどんな本が好きなのでしょうか。本の詳しい情報は、書名をクリックしてご覧ください。

小学1~3年生の「大切な本・忘れられない本」


調査開始以来、ほぼ毎年上位の「かいけつゾロリ」シリーズ(ポプラ社)に続き、この数年人気を集めているのは「おばけずかん」シリーズ(講談社)。

海で、山で、学校で、おばけにあったらどうする?短いお話とイラストが「こわいけど、おもしろい」と人気の児童書です。

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『うみのおばけずかん』

斉藤 洋/作、宮本 えつよし/絵

講談社


低学年の回答では、絵本のタイトルも多く挙がりました。小さなころから家族や保育園・幼稚園などの先生に繰り返し読み聞かせをしてもらったことを、よく覚えている子どもが多いことが伺えます。

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『めっきらもっきらどおんどん』

長谷川 摂子/作、ふりや なな/画

福音館書店

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『おしいれのぼうけん』

ふるた たるひ/さく、たばた せいいち/画

童心社

小学4~6年生の「大切な本・忘れられない本」

高学年で不動の人気なのは「ハリー・ポッター」シリーズ(静山社)や、『ぼくらの七日間戦争』(宗田 理/作)をはじめとする「ぼくら」シリーズ(ポプラ社、KADOKAWA)ですが、21年前に日本版が発売されて以来人気の「マジック・ツリーハウス」シリーズ(KADOKAWA)も、複数の子ども達からタイトルが挙げられました。

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『マジック・ツリーハウス50 ヒマラヤ白銀のゴースト』

メアリー・ポープ・オズボーン/著、食野 雅子/訳

KADOKAWA

アニメ化、映画化された本は子ども・大人を問わず人気を集めます。

『かがみの孤城』(辻村深月/著、ポプラ社)は刊行以来毎年上位に挙げられていますが、昨年度はこの本のタイトルを挙げる子どももいました。

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『君たちはどう生きるか』

吉野 源三郎/著

ポプラ社

親世代または祖父母世代が読んでいた名作も、今の子どもたちの心に残っていることが多いようです。

同じく質問項目の「本を選ぶとき、どうしていますか」には、「映画、マンガ、ドラマ、ゲームなどで知った本から選ぶ」よりも「家族がすすめてくれた本から選ぶ」「家にある本から選ぶ」の選択肢が、より多く回答されています。このことから、子どもの本選びには、保護者の皆さんのおすすめも大きく影響を与えているということがわかります。

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『十五少年漂流記』

J.ベルヌ/作、高楼 方子/文、佐竹 美保/絵

ポプラ社

「第8回千代田区子ども読書調査」結果の詳細はこちらからご覧ください

次回は「中学生」編をお送りします♪

Posted at:17:50

【MOFCAの庭からごきげんよう】置かれた場所で咲きなさい

千代田区障害者よろず相談MOFCAと連携し、おすすめの本をご紹介いただいている連載【MOFCAの庭からごきげんよう】。第10回目をお届けします。

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みなさま こんにちは。今月担当のYです。

今月ご紹介する本は『置かれた場所で咲きなさい』です。

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『置かれた場所で咲きなさい』

渡辺 和子/著

幻冬舎

修道女であり、ノートルダム清心女子大学の理事長・学長を長く務めた故・渡辺和子氏が2012年に記したこの本は、累積売上部数が300万部を超える国民的ベストセラーです。


この本のタイトルである「Bloom where God has planted you(神が植えたところで咲きなさい)」は、アメリカの神学者ラインホルド・ニーバー(Reinhold Niebuhr)の詩の冒頭の一節だそうです。

著者は29歳で修道女となり36歳の若さで大学の学長に抜擢されましたが、年若く地元に縁も所縁もなかった彼女に周囲の目は冷たかったといいます。周囲から孤立し、鬱病を患い、自殺を考えるほどだったという著者を救い続けたのが、ある神父から贈られたこの言葉でした。


「置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです。時間の使い方は、そのままいのちの使い方です。自らが咲く努力を忘れてはなりません」と著者は語りかけます。

刈り取るために種を撒かねばならないというのは自然の摂理で、咲くために努力は必要なこと。では、咲くための努力とはどんなことなのでしょうか?それは"我慢すること"だという人もいるでしょう。

「耐えることは美徳」という考え方は未だ根強くあります。しかし、耐えることだけが、咲くための努力なのでしょうか?

決してそうではなく、「どんな環境に置かれても、そこで環境の主となって花を咲かせることが大事」と著者は言います。

自身を取り巻く「環境」を単に憂うのではなく、その場所でどうすれば自分らしく「咲く」ことができるのかを考えることの大切さが、この本には書かれています。


努力をしても咲くことが出来ないこともある。その時はどうするのか。

著者は、「そんな時には無理に咲かなくてもいい。その代わりに、根を下へ下へと降ろして、根を張るのです。次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために」と言います。苦しい時には物事の見方を変え、そして、自ら行動を起こすことが大切だと、渡辺さんは身を持って示したのでした。


すべての物に時があり、その時を迎えるための努力が必要だということ。それは耐えることばかりではなく、現実が変わらないなら、悩みに対する心の持ちようを変えてみる。

いい出会いにするためには、自分が苦労をして出会いを育てなければならないというのが、著者が生涯にわたり伝え続けたことでした。

「心にポッカリ開いた穴からこれまで見えなかったものが見えてくる。希望には叶わないものもあるが、大切なのは希望を持ち続けること。『丁寧に生きる』とは、自分に与えられた試練を感謝すること」

このことが、置かれた場所で咲くための秘訣なのかもしれません。


相談窓口として、千代田区障害者よろず相談MOFCAをどうぞご利用ください。どんなささいな事でも結構です。

みはらしの良い居場所スペースもありますので、ただ休んでご自分のリラックスの場としてのご利用も大歓迎です。スタッフ一同お待ちしています。



MOFCAの連載【MOFCAの庭からごきげんよう】は、隔月の第2週目に更新します。

次回は12月です。どうぞお楽しみに!

Posted at:10:30

もうすぐ十五夜 読書で、街歩きで、お月見を楽しもう

厳しい残暑も一段落し、爽やかな秋の風を感じる季節が、ようやくやってきました。

一年の間でも特に月が美しく見える「中秋の名月」、旧暦で8月15日の月をさす今年の「十五夜」は、9月29日(金曜日)です。

今年はこの日がちょうど満月のタイミングと重なり、お天気がよければきれいな月を楽しめそうです♪

千代田図書館からすぐ近くの九段坂は、江戸時代から「月見の名所」と呼ばれていたことをご存じですか?

九段下交差点から靖国通りを市ヶ谷方面に上がる九段坂は、起伏に富んだ江戸の町でも特に急な坂として知られ、町中を一望できる場所として知られていたそうです。

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こちらが現在の九段坂。坂の上の歩道橋から撮影しました。

現在のゆるやかな坂の形は、関東大震災後の帝都復興計画で行われた大規模な工事によるもの。

今では大きなビルが立ち並んでいますが、東京の空を広く眺められるスポットです。十五夜の夕べは、この場所で満月を眺めてみるのはいかがでしょうか。

かつての九段坂の趣を、読んで知る

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『江戸東京の地名散歩 歴史と風情を愉しむ』

中江 克己/著

ベストセラーズ

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『東京100年散歩 明治と今の定点写真』

鷹野 晃/著

海竜社

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同じく歩道橋の上から。この日は歩道橋から見て田安門の方向に月が高くのぼっていました。(9月25日撮影)

また、千代田図書館10階カウンター前でも「つきのほん」の展示を行っています(10月1日(日曜日)まで)。

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月にまつわるお話の絵本や児童書、季節について知ることのできる本を集めていますので、こちらもぜひご覧ください♪

季節の行事を楽しもう お月見におすすめの本

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『季節を知る・遊ぶ・感じる 9月のえほん』

長谷川 康男/監修

PHP研究所

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『「和」の行事えほん 2 秋と冬の巻』

高野 紀子/作

あすなろ書房

Posted at:11:40

大学生が選んだ「読みたい文庫」の展示を開催中です!

現在、千代田図書館9階 文庫の書架上で、展示「本と出会う 本を語る」が開催中です!

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この展示は、書評の専門紙「週刊読書人」で行われた「本屋さんに行って好きな文庫本を買い、その本を選んだ理由を語る」という企画を紹介するものです。

本を選んだのは、二松学舎大学、成城大学、大東文化大学の学生3人。「週刊読書人」では大学生が書評を執筆する「書評キャンパス」を掲載しており、今回はスピンオフ企画として大学生3人が神田神保町の東京堂書店で文庫本を各6冊選び、それぞれの選書についてコメントを寄せました。展示では、選んだ文庫本18冊をコメントともにご覧いただけます。

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千代田図書館の文庫本はオレンジ色の棚が目印。「26」「27」の書架の上に展示しています。

選書した本のうち、3冊がこちらです。

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『田舎教師』

田山 花袋/著

新潮社


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『広告の会社、作りました』

中村 航/著

ポプラ社


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『馬の世界史』

本村 凌二/著

中央公論新社


なぜこの本を選んだのか。「友達にすすめられたから」「ビブリオバトルで紹介されているのを見たから」「作家の名前だけ知っていて、何か一冊読んでみたかったから」「なんとなくタイトルや装幀に惹かれて」...などなど、本の数だけその理由があります。

展示パネルには、大学生3人のコメントのほか、選書後の対談も掲載しています。(掲載している本の所蔵館や所蔵場所については、展示パネルをご覧ください)

大学生のコメントを参考に、いつもと違った視点で本を選んでみてはいかがでしょうか。

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展示「本と出会う 本を語る」

【展示期間】 開催中~当面の間

【展示場所】 千代田図書館9階 文庫書架上

【企画協力】 週刊読書人

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千代田図書館9階で開催中の、週刊読書人「書評キャンパス」からのセレクション展示「書評キャンパス ~二松学舎大学編~」も、合わせてご覧ください♪


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また千代田図書館では、この他にもバラエティ豊かな展示を開催中!

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国立劇場 歌舞伎・文楽公演 ポスター展―ありがとう、そして、これからも―

【展示期間】 開催中~11月25日(土曜日)

       ※期間中に展示内容の入れ替えがあります

【展示場所】 千代田図書館9階 展示ウォール

【共  催】 千代田区、独立行政法人日本芸術文化振興会

古い本は、こうしてよみがえる 千代田図書館所蔵「内務省委託本」修復

【展示期間】 開催中~10月20日(金曜日)

【展示場所】 千代田図書館9階 地域連携コーナー

【協  力】 藤井敬子氏

狩野派戦略特集

【展示期間】 開催中~10月20日(金曜日)

【展示場所】 千代田図書館9階 プラスアート

絵はがきとして写し出された関東大震災

【展示期間】 開催中~10月20日(金曜日)

【展示場所】 千代田図書館9階 新書コーナー書架上

図書館が妖怪だらけ!

【展示期間】 開催中~9月23日(土曜日)

【展示場所】 千代田図書館10階 児童書コーナー

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新しい本や地域の情報との素敵な出会いを見つけに、ぜひ千代田図書館へお越しください♪

Posted at:15:30

コンシェルジュ通信Vol.67:和紙の魅力をお届け

千代田図書館のコンシェルジュブースでは、和紙を使った折り紙作品の展示「紙のまち神保町~夏編~」を行っています。

神保町は世界一の本の街ですが、その本づくりに欠かせないのは紙。神保町は「紙のまち」とも言えるのでは?という発想から、和紙の魅力を伝える展示を企画しました。

実際に私たちが和紙で作品を作っています。

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和紙で作るのは、夏を感じさせるアサガオクワガタカブトムシ、そしてデメキン

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まず和紙を選びに、神保町のさくら通りにある山形屋紙店を訪れました。

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創業明治12年の和紙専門の老舗「山形屋紙店」。

店内は、様々な種類の紙製品や和紙が並びます。

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和紙には、洋紙とは違った風合いが感じられます。

どれにしようかと和紙に手を伸ばすと、ふんわり柔らかいものから、触ると少しザラザラしたものまで、一枚一枚違った独特の手ざわり。

そして思ったより厚みがありました。

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折り紙に使いやすい紙はどれかをお店の方にも相談しつつ、展示作品にはこちらの和紙をセレクト。

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揉んでしわを入れる「もみ紙」とよばれる和紙です。

折り紙は、千代田図書館の所蔵からこちらの2冊を参考にして、和紙で作りました。

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『写真でわかる決定版おりがみ大百科』

山口 真/著

西東社


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『おりがみ大百科』

小林 一夫/監修

実業之日本社


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和紙で実際に折ってみて気づいたのは、「折りやすい!」ということ。

最初は「和紙は厚みがあるから、折るのは難しいかな...」と不安がありました。しかし、折り直しても跡が残りにくく、調整しやすかったです。

また、和紙は厚みがあるので、立体的に表現しやすいと感じました。

このほか、山形屋紙店では折り紙専用の和紙の扱いもあります。

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身近にある和紙というと、障子や、書道紙、茶道で使う懐紙など多くの和紙を思い浮かべるなかで、実は"お札(紙幣)も和紙でできている"と教えてくださったのは、山形屋紙店の方でした。「実はみんな、和紙をほぼ毎日見ているし、触っているのよ。」というお話に、改めて、私たちの身近にある和紙について、もっと知っていきたいと思いました。

ぜひ、夏休みのこの時期に、和紙の魅力に触れながら折り紙を折ってみてはいかがでしょうか。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

山形屋紙店

【場  所】千代田区神田神保町2-17 

【営業時間】午前11時〜午後5時(営業時間短縮中)

【定 休 日】土曜日・日曜日・祝日

詳しくはコチラ

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

Posted at:14:00

【MOFCAの庭からごきげんよう】窓ぎわのトットちゃん

千代田区障害者よろず相談MOFCAと連携し、おすすめの本をご紹介いただいている連載【MOFCAの庭からごきげんよう】。第9回目をお届けします。

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みなさま、こんにちは。暑中お見舞い申し上げます。今月投稿のMです。

今月の本は『窓ぎわのトットちゃん』

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『窓ぎわのトットちゃん』

黒柳 徹子/著

講談社

「君は、ほんとうは、いい子なんだよ」
テレビの歴史の1ページ目から出演し、今もなお活躍する国民的な著名人 黒柳徹子さんの著書『窓ぎわのトットちゃん』。皆さんも子どもの頃に読んだことあるのではないでしょうか。この冒頭のフレーズは、校長先生が小学生のトットちゃんに繰り返し言うひとことです。

小学校に入学したものの、集団行動がよく理解出来ずに自由に活発に動くトットちゃん(黒柳徹子さんの幼名)は、楽しく通っていたはずの小学校を退学になります。困ったトットちゃんのお母さんがそんなトットちゃんに合う学校をと探してきた「トモエ学園」に転校。トットちゃんは校長先生に出会います。初日の面接で校長先生にノンストップで4時間も自分のことを話し尽くし、優しく"これで君もここの生徒だよ"と伝えられます。

そして学校生活では校長先生が折りに触れかけてくれる、この冒頭の言葉に安心するのです。そしてこのフレーズはその後の黒柳徹子さんの人生に寄り添う言葉になったと言います。

私はこのフレーズと、その時の先生とトットちゃんの雰囲気を、時折ふと頭に浮かべます。本当にそうだ。この世の中に悪く生まれてくる人などいないですよね。私もよく頭の中で「みんな本当に、本当はいい子だ」と考えるのです。そしてこの考えは自分も安心し、自分に余裕が出来ます。この本は子どもの頃に読んだのですが、大人になってから読み返し、この言葉が含む色々な意味に心をぐわっと掴まれる気がしたのです。

障害者支援というカテゴリーの中で仕事をしていると、障害はなんだか特別なことであり、仕分けられるのが普通のことのように思いがち。ですが、そもそもこの種類分けは本人達ではなく、仕事をする上の必要から、社会に作られたもの。

人はみんな同じはず。障害や問題を見るのではなく、その人(子)自身を見ることの大切さを、時に明確にしたいのです。

世の中はいろんな人がいて、共生している。そんな当たり前のことを、忘れがちですよね。

本の中のトットちゃんは、自由で素直です。嬉しいことをストレートに感じて、わからないことをすぐに聞く。その自由さは羨ましい一方、確かに今なら発達障害のカテゴリーで支援を受けることになるんだろうなと思います。果たしてカテゴリーや支援が必要なのか、私には不明です。

分けるから偏見が起こります。どんな人がいてもいいのにと思うところが大きいのです。身体障害があったり、色々な癖のある面白い子ども達が混じり合って毎日を過ごすともえ学園が、全て包み込んでいる世界。憧れます。世界中でミリオンセラーになった理由の一つは、こんな学校があったらいいな、という気持ちでしょう。でも40年、なかなか日本に誕生しないみたい。

長くなったので簡単に紹介しますが、お弁当の「海のもの、山のもの」を入れるところと、いただきますの前に歌う「よーくー噛めよ」のところ私が一番好きな話です。え?なんのこと?と気になる人は、ぜひこの本を読んでみてください。(校長夫人の芋の煮っ転がし、食べてみたいのです。)

最後に。この文章を書いていて、ふと知人にこのブログの話と本のタイトルを伝えたら、なんと発売から40年以上、「あの校長先生の雰囲気は表せないから」という理由で映像化されていなかったこの本が、今年の12月にアニメで映画化されると聞きました。びっくり!

校長先生は、初めてトットちゃんに会った日も、空襲でトモエ学園が焼けてしまった日も、黒の三つ揃えを着ていました。それは紛れもなく正装であり、子どもたちに敬意を持って接するという校長先生の気持ちの表れだと思います。

アメリカの爆撃機B29からいくつも焼夷弾が落とされた夜、トモエ学園は焼けました。その様子をじっと見つめていた校長先生は、隣に立つ息子に「おい、今度は、どんな学校、作ろうか?」と声をかけます。彼の子どもに対する愛情と教育への情熱は、学校を包む炎よりもずっと大きかったのです。



相談窓口としても、千代田区障害者よろず相談MOFCAをどうぞご利用ください。どんなささいな事でも結構です。

みはらしの良い居場所スペースもありますので、ただ休んでご自分のリラックスの場としてのご利用も大歓迎です。お待ちしております。

皆様、猛暑にてご自愛くださいませ。



MOFCAの連載【MOFCAの庭からごきげんよう】は、隔月の第2週目に更新します。

次回は10月です。どうぞお楽しみに!

千代田図書館9階 コンシェルジュブースで開催中の展示コーナー「MOFCAの庭からごきげんよう」も、この夏リニューアルしました!

これまでにブログで紹介した本を1冊ずつ展示していきます。ぜひお立ち寄りください。

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Posted at:10:30

ブックハウスカフェ『そらをとびたい』写真展開催中!

今回は、千代田図書館からも近い子どもの本の専門店 ブックハウスカフェでの展示をご紹介します!

ブックハウスカフェ店内右奥「ギャラリーこまどり」では、7月11日(火曜日)まで『そらをとびたい』写真展が開催中です。

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『そらをとびたい』(小学館)は、フォトグラファー 山本直洋(やまもとなおひろ)さんが写真を、ライターのちかぞうさんが文を手がける空撮写真絵本です。

モーターパラグライダーを使用し、上空2000~3000メートルの世界から撮影された空撮写真の数々は大迫力!

爽やかで開放的な景色から空を飛ぶ夢を感じることができ、子どもにも大人にも大好評です。

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ギャラリーに足を踏み入れると、壁一面に絵本で使用されている写真が展示されています。

四方を美しく雄大な空の景色に囲まれて、まるで自分も空を飛んでいるかのような気分に。

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ブックハウスカフェの茅野さんは、「フォトグラファーの山本直洋さんの雄大な写真の数々を、この小ぶりな空間で展示することで、ギャラリーの真ん中に立つと作品に囲まれるような没入感を味わうことのできる写真展になりました」と語ってくれました。

また、写真展会期中には著者お二人による特別なイベントが開催されます!

第二部では、撮影に使用されたモーターパラグライダーの実物が間近で見られるチャンス!?

また、中学生以上の方は実際に空を飛ぶ疑似体験ができるVRにもご参加いただけます。

応募は先着順となっていますので、この貴重な機会をお見逃しなく!

『そらをとびたい』写真展 関連イベント

[第一部] 写真家 山本直洋さんのトーク&著者による絵本読み聞かせ

【日 時】 7月 9日(日曜日)午後1時~ 約60分(開場は12時45分)
【出 演】 山本直洋さん、ちかぞうさん

【参加費】 1,000円(小学生以下のお子さま一人に、大人一人無料で付き添い参加可能です。3歳以下無料)(第2部との通し券2,000円)
【対 象】 4歳~大人
【定 員】 20名(先着順)
【場 所】 ブックハウスカフェ 1階 ガリバー

[第二部] 写真家 山本直洋さんトーク&VR体験(中学生以上)

【日 時】 7月 9日(日曜日)午後3時~ 約90分(開場は午後2時45分)
【出 演】 山本直洋さん
【参加費】 1,500円(第1部との通し券2,000円)
【対 象】 中学生~大人(小学生以下の方は、VR体験はできませんが、会には無料でご参加いただけます)
【定 員】 30名(先着順)
【場所】 ブックハウスカフェ2階 ひふみ

イベントについて詳しくはこちら


蒸し暑い日々が続くこの季節ですが、涼しい気分を味わえる展示にぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?

また、『そらをとびたい』は千代田図書館にも所蔵しています!この夏はぜひ、絵本とともに爽やかなひとときを過ごしてみてくださいね。

(貸出中の場合はご了承ください)

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『そらをとびたい』

山本直洋/写真

ちかぞう/文

小学館

ブックハウスカフェ

【所 在 地】 千代田区神田神保町2-5 北沢ビル1階

【営業時間】 平日  午前11時~午後11時
       土日祝 午前11時~午後7時

【定 休 日】 不定休

詳しくはこちら

Posted at:15:30

【MOFCAの庭からごきげんよう】幸せについて

千代田区障害者よろず相談MOFCAと連携し、おすすめの本をご紹介いただいている連載【MOFCAの庭からごきげんよう】。第8回目をお届けします。

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みなさまこんにちは。6月担当のMです。

木々の緑が色濃くなる季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか?

今回は縦18cm、横12cm、重さ220gの手に取っても軽く持ち運びも便利な本『幸せについて』の紹介です。

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『幸せについて』

谷川俊太郎/著

ナナロク社


この本は、谷川俊太郎さんが「幸せ」について、個人的にプライベートのものであることを念頭に言葉で探ったものです。谷川俊太郎さんの幸せをじっくり味あわせていただいた中で、特に印象深いページが次の文章です。

「人間としてこの地球という星の上に生まれて、これまで生きてきましたが、もともとぼくはただのイノチにすぎません。時にはゴキブリに友情とまではいきませんが、なんか情を感じることがあって、そうなるとホイホイが使えないんです。」


昆虫好きの私は、小さい庭に植えた山椒の木に来た蝶々の幼虫が、時期が来ると葉っぱ一枚残らず食べていくのに幸せを感じているので、とてもこの気持ちがわかります。

人間と同じイノチを生きているゴキブリから化学物質でイノチを奪うのは、情を感じてしまった谷川さんにとって、幸せとはちょっとちがうと思ったのかもしれません。

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※山椒の木に幼虫が乗っている写真(自宅)

私には、谷川さんが地球上の生き物を「イノチ」と表現したのは、地球上の生き物のひとつとして人間がいるのだから、人間の命だけを優先しても幸せになれないよとも読むことができました。

谷川さんへのイノチへの謙虚さが表現されているようで、私の心はやさしい気持ちでいっぱいになりました。

「千代田区障害者よろず相談MOFCA」では、今月末より熱中症予防の「ひと涼みスポット」の一つとして場所を提供いたします。のぼりを立て、うちわやちらし、飲み物や飴(数に限りがあります)等があります。


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また、相談窓口としてもMOFCAをご利用ください。どんなささいな事でも結構です。

みはらしの良い居場所スペースもありますので、ただ休んでご自分のリラックスの場としてのご利用も大歓迎です。お待ちしております。



MOFCAの連載【MOFCAの庭からごきげんよう】は、隔月の第2週目に更新します。

次回は8月です。どうぞお楽しみに!

Posted at:15:30

【MOFCAの庭からごきげんよう】世界じゅうの女の子のための日 国際ガールズ・デーの本


千代田区障害者よろず相談MOFCAと連携し、おすすめの本をご紹介いただいている連載【MOFCAの庭からごきげんよう】。第7回目をお届けします。

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みなさまこんにちは。MOFCAスタッフのMです。

今年の卒業シーズンには桜がすっかり咲いていて、春の訪れを早々に感じられましたね。

さて、3月8日は「国際女性デー」でした。

「国際女性デー」とは、1904年3月8日、女性の権利と社会参加を向上していくため、アメリカで女性労働者が「婦人参政権」を求めてデモを起こしたことをきっかけに、1975年に制定されたと言われています。

MOFCAでは、「国際女性デー」に合わせ、3月いっぱい千代田区男女共同参画センターMIWさんとのコラボレーション企画を行っていました。

MIWさんのマスコットキャラクター「みゅうじろう」さん、国際女性デーの象徴の花であるミモザとともに、千代田区立図書館の書籍をいくつか展示しました。

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今回は、その中の一冊、『世界じゅうの女の子のための日 国際ガールズ・デーの本』を紹介させていただきます。

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『世界じゅうの女の子のための日 国際ガールズ・デーの本』

ジェシカ・ハンフリーズ、ロナ・アンブローズ/文

シモーネ・シン/絵

国際NGOプラン・インターナショナル/訳・解説

大月書店

こちらは、「国際ガールズ・デー」に関する絵本です。

「国際ガールズ・デー」は、女の子の「権利」や「エンパワーメント」の促進を、広く国際社会に呼びかける日です。国際プラン・インターナショナルの働きかけを受けて、10月11日を「国際ガールズ・デー」とすることが国連によって定められました。

性別を理由に、十分な教育を受ける機会や、社会参加の機会が失われている女の子たちが世界にはたくさんいます。この本では、とてもかわいらしいイラストと、様々な国や環境にいる女の子たち一人一人の具体的なエピソードを通して、ジェンダー平等や女の子の権利の大切さを知ることができます。

「学校の立派な教室で学べる男の子たちに対して、テント張りの粗末な教室で地面に座って勉強している女の子たち」「同じ家族の中でも、男の人たちが食事を終えた後、残りのごはんを女の人たちが食べるという伝統的な習慣のせいで、栄養不足になってしまった女の子」というエピソードを聞くと、日本とは縁遠い世界の話のように感じられるかもしれません。

しかし、この本によると、性別による権利や地位の格差を示す「ジェンダーギャップ指数」で日本は156か国中120位(2021年)と、まだまだ男女の格差や不平等が見られる国のようです。

ジェンダー平等は、女性のためだけでなく、 男性が「強くあるべき」 とか 「泣いてはいけない」といった考えから自由になることでもあります。 性別にとらわれることなく、誰もが自分らしく生き、差別や暴力のない社会を一緒につくることができる力を持っている、と教えてくれる一冊です。

今回ご紹介したようなジェンダーに関する本を読むことや、「国際女性デー」、「国際ガールズ・デー」に世界各地で行われるイベントやアクションへの参加を通じて、ジェンダーや女性の権利について考えたり、お互いを応援する機会をつくってみてはいかがでしょうか。

千代田区障害者よろず相談MOFCAでは、今回のような企画、障害福祉に関するイベント等を随時行っております。

また、様々な悩みごとの相談窓口としてご利用いただけますので、どうぞお気軽にお越しください。


MOFCAの連載【MOFCAの庭からごきげんよう】は、今年度も隔月の第2週目に更新します。

次回は6月です。どうぞお楽しみに!

Posted at:16:50

本をひらいて"春"を感じよう♪おすすめの本-中高生・大人向け編

千代田図書館周辺でも桜が満開となり、多くの人がお花見に訪れています。
今回は、先日の記事に引き続き、本をひらくだけで春の息吹を感じられるおすすめの本をご紹介します!

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千代田図書館を出てすぐ、清水門に向かう橋の上から(3月29日撮影)

【中高生・大人向け編】本をひらいて"春"を感じよう♪

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『春のウサギ』

ケヴィン・ヘンクス/作、原田 勝・大澤 聡子/訳

小学館

「かわいそうなアミーリア。かわいそうに、とみんなが言う。」アミーリアの春休みは、少し憂うつな気持ちから始まりました。学校が9月始まりのアメリカでは春休みはまだ学年の途中と、日本とは違っていますが、春を迎える時の少しザワザワした気持ちは世界共通かもしれません。友達との出会いをきっかけに少しずつ前に進んでいく、少女の成長の物語。


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(3月8日撮影)


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『一本桜百めぐり 森田敏隆写真集』

森田 敏隆/著

講談社

日本列島に点在する一本桜を撮り集めた写真集。公園や街道にずらりと並ぶ桜も美しいですが、自然の中や社寺仏閣などに悠然と立つ一本の桜には、荘厳な美しさが感じられます。樹齢数百年から長いものは千年以上、何世代にもわたり地元の人々に愛され守られてきた一本桜に、会いに出かけたくなる一冊です。


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『桜の科学』

勝木 俊雄/著

SBクリエイティブ

桜の花には誰もが親しみを持っているのに、実はあまり知られていない「生き物としてのサクラ」の不思議を50個のトピックスで紹介しています。"科学"と題されてはいるものの、歴史や文学など、多彩なアプローチで桜の不思議を解き明かしており、楽しく読みやすい内容です。日頃から地域の話題の情報収集に励む、千代田図書館コンシェルジュもイチオシの一冊。


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(3月29日撮影)

花の見ごろは短いものですが、ぽかぽかと暖かな陽気の中で、本のページをめくるのが楽しい季節はまだまだ続きます。「子ども向け」編に引き続き本をひらくだけで"春"を感じられるおすすめの本をご紹介しました!



Posted at:17:10

本をひらいて"春"を感じよう♪おすすめの本-子ども向け編

3月に入ってぽかぽか陽気の日が続き、東京では平年より10日ほど早く、桜の開花が発表されました。

今回の「ちよぴたブログ」では、千代田図書館周辺で見つけた"春"の風景とともに、本をひらくだけで春の息吹を感じられるおすすめの本をご紹介します!

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(写真はすべて3月8日撮影)

【子ども向け編】本をひらいて"春"を感じよう♪

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『桜守のはなし』

佐野 藤右衛門/作

講談社

日本全国を巡り、傷ついた桜の木の手当てや新種を見つけるなどして、桜の命を守りつなぐ「桜守」という仕事をご存じですか?「桜守」の1年間の仕事を、やさしい語り口で伝える写真絵本。


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『さくららら』

升井 純子/文、小寺 卓矢/写真

アリス館

「わたしがさく日は、わたしがきめる」。日本で一番遅く咲くと言われる、北海道北部の豪雪地・幌加内町朱鞠内(ほろかないちょう しゅまりない)にある1本のチシマザクラを美しい写真でとらえた1冊。


『桜守のはなし』『さくららら』は、現在千代田図書館 10階児童書コーナー「わくわく どきどき はるがきた」として展示中です!(3月31日(金曜日)まで/資料はすべて貸出可、貸出中の場合はご了承ください)


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この2冊の他にも、春が来たよろこびを目いっぱい感じられる絵本を展示中ですので、ぜひご覧ください♪

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展示コーナー以外にも、図書館には季節を感じられる絵本や児童書がたくさん!

ぜひ、千代田図書館を訪れて、本と巡り合ってください。

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『はるかぜ とぷう』

小野 かおる/さく・え

福音館書店

春風の子ども・とぷうが友達をさそって朝の町に飛んでいくと、「やあ、はるかぜだ」「あたたかくなるぞ」と、みんなにこにこ。幼稚園の子ども達についていったら、そこは動物園で...。とぷうの、一日の小さな冒険のおはなしです。


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『イースターのたまごの木』

キャサリン・ミルハウス/作・絵、福本 友美子/訳

徳間書店

春の訪れを祝うキリスト教のお祭り「イースター」ってどんな行事?伝統的なくらしをほのぼのと描いた、アメリカで半世紀以上読み継がれている絵本です。


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春の日差しに誘われて、図書館の利用と合わせてお散歩はいかがですか?

次回のちよぴたブログでは、「中高生~大人向け編」のおすすめ本をご紹介します。

Posted at:17:10

【MOFCAの庭からごきげんよう】死にたかった発達障がい児の僕が自己変革できた理由


千代田区障害者よろず相談MOFCAと連携し、おすすめの本をご紹介いただいている連載【MOFCAの庭からごきげんよう】。第6回目をお届けします。

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みなさまこんにちは、MOFCAスタッフのKです。

新年が明けて、あっという間に1か月が過ぎましたね。まだしばらくは寒い日が続きますが、健康に留意して元気に過ごしましょう。

さて、今回ご紹介する本は、西川 幹之佑(にしかわ みきのすけ)さん『死にたかった発達障がい児の僕が自己変革できた理由 麹町中学校で工藤勇一先生から学んだこと』です。

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『死にたかった発達障がい児の僕が自己変革できた理由 麹町中学校で工藤勇一先生から学んだこと』

西川 幹之佑/著

時事通信社

4代続けて東大卒という超名門家系に生まれたADHD(注意欠陥多動性障害)、ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)傾向、LD(学習障害)の "うれしくないハイブリッドでできあがっている不良品の僕" である著者の西川さん。そんな彼が幼少期から抱えていた苦悩や、千代田区立麹町中学校で工藤勇一先生に出会い変わっていく過程、そして大学生となった現在までが当事者ならではのリアルな視点で書かれています。

タイトルは一見衝撃的ではありますが、そこにひるまず読んでいただきたいと思います。自身の「死にたい」という気持ちの意味を考え、「死にたいくらいつらい」に表現を変えていくことで行動や気持ちをコントロールできるようになる過程も詳細に記されています。
自身の経験や工夫からの様々なライフハックも紹介されていますが、決して押し付けがましいものではありません。自分の凸(得意分野)と凹(苦手分野)を理解したうえで、自分に合ったやり方を見つけることが大切だと結ばれています。

また、障害特性を十分に理解しているからこそ、紙の色やフォントなど細部にまで発達障害の方に配慮されて作られていることもこちらの本の特徴です。私自身、実際に配慮が必要な部分を直に感じることができて大変勉強になりました。

千代田区についての話題も随所に出てくるため、より身近に感じることができる内容となっております。発達障害の方やそのご家族はもちろんですが、障害の有無に関係なく様々な方に読んでいただきたい一冊です。発達障害に関する理解が深まるとともに、一人ひとりがもっと楽な気持ちで生きていくためのヒントを何かしらは得ることができるのではないかと思っています。

「千代田区障害者よろず相談MOFCA」では、発達障害に関することをはじめ、様々な悩み事の相談窓口としてご利用いただくことができます。障害の有無に関わらずご利用いただける、カフェのようなフリースペースもございます。どうぞ、どなた様もお気軽にお立ち寄りくださいませ。



MOFCAの連載【MOFCAの庭からごきげんよう】は、隔月の第2週目に更新します。

次回は4月です。どうぞお楽しみに!

Posted at:17:30

千代田図書館長の読書日記「今年最初に読みたい本」

新年ふたつ目の記事は、千代田図書館 小出元一館長による読書日記「今年最初に読みたい本」をお送りします。



昨年2022年の7月8日に、アイルランド大使館の副代表が来館されました。アイルランド出身の小説家・詩人 ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』刊行100年を記念して、アイルランド大使館より千代田区立図書館へ『ユリシーズ』を寄贈していただきました。

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『ユリシーズ 1』

ジェイムズ・ジョイス/著、丸谷 才一 永川 玲二 高松 雄一/訳

集英社


書名を知ってはいても読破された方は多くはないでしょう。長編かつ難解な内容ということで、Amazonの電子書籍リーダーkindleで「最も放棄される本」という栄誉に輝いたとか。

自慢ではありませんが、私は放棄していません。最初から読んでいないので。

読んでもいないのに他人にお薦めする訳にもいきませんが、新年にあたって「読破」を目指すのもありかもしれません。

さて、来館した大使館副代表と少しお話しさせていただいたのですが、その中で印象的だったのは、「アイルランドでは、どうして沢山の有名な文学作品が生まれるのでしょうか」という私の質問に対して「それはやはり歴史文化と風土でしょう」と即答された瞬間です。

何ていうこともない返答ですが、そう言い切れる自国への愛情と自信のようなものと同時に、どこか日本に通ずるかもしれないと感じさせてくれました。

ちなみに、アイルランドの有名な文学作品をいくつか挙げてみます。

ジョナサン・スウィフトの『ガリバー旅行記』、ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』、オスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』、バーナード・ショーの『ビグマリオン』(映画「マイ・フェア・レディ」の原作)、サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』『モロイ』等々、まだまだあります。

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『ドリアン・グレイの肖像』

オスカー・ワイルド/著、富士川 義之/訳

岩波書店


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『ピグマリオン』
(光文社古典新訳文庫)

バーナード・ショー/著、小田島恒志/訳

光文社


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『ゴドーを待ちながら』

サミュエル・ベケット/著、安堂 信也 高橋 康也/訳

白水社

この中から興味があれば1冊いかがですか。

あ、そう言えば忘れていました、ラフカディオ・ハーンもアイルランド出身です。小泉八雲ですね。


2023年元旦



小出館長より、"アイルランド"をキーワードに「今年最初に読みたい本」をお届けしました。

大作の文学作品を読み始めたり、作家同士のつながりを調べながら読書の幅を広げたりといった新たな挑戦に取り掛かれるのも年始ならでは。皆さんの「今年最初に読みたい本」はお決まりですか?

ぜひ、今年も千代田図書館に足をお運びください。

Posted at:10:00

千代田区立図書館ゼネラルマネージャーの読書日記
「今年最初に読みたい本」

新年最初のブログは、昨年就任した千代田区立図書館 後藤慎治ゼネラルマネージャーによる読書日記「今年最初に読みたい本」です。





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『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」』

安宅 和人/著

英治出版


問題だと思っていることのほとんどは、いま解決すべき問題ではない。本当に解決すべき問題は2~3%しかなく、その2~3%の問題をきちんと選択することが重要だと、著者は説いています。
そして、「犬の道」に走るのではなく、今、本当にやるべきこと=「イシュー」を見極めることが大切であり、「犬の道」に入り込むと、価値のある仕事は永遠に生み出されず、変化もおこせず、疲れるだけだと述べています。

東京大学大学院で修士号取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニー入社、イェール大学脳神経科学プログラムを経てヤフー株式会社へ転職という異色のキャリアの著者が贈る同書は、12年前に発売されて以来ベストセラーのビジネス書です。

さて私は、世界がコロナ禍に見舞われて3年が過ぎ、未知のウイルスへの危機感は薄れてきたものの、私たちの精神構造にもたらした影響は大きいと考えています。911米同時多発テロ事件の以前と以後で私たちは変わってしまったように、コロナ禍が完全に去ったとしても、もう以前の世界とは違うという気がします。少なくとも私は、家族、仕事、趣味、幸せなどへ価値観との対峙が更新されました。

自分にとって豊かな幸せな人生とは何であるのか、そこへたどり着くためには何が足りておらず必要で、本当に大切な問題は何なのか。そのような思いを巡らせている方もいるでしょう。いくら頑張って働いて出世しても、リア充を追い求めてSNSを更新しても、なかなか幸せに近づけない感覚を、日本経済の停滞と社会の先行きに対する閉塞感も相まって、これまで以上に多くの人が抱えている気がします。

私自身もそのひとりであり、同書は発売当初に拝読しましたが、ビジネス書ではなく人生の指南書として、いま一度読み返したいと思います。





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『時間は存在しない』

カルロ・ロヴェッリ/著、冨永 星/訳

NHK出版


年の初めは、クリストファー・ノーラン監督作品を一気見しようと思っています。映画「メメント」「インセプション」「インターステラー」「ダンケルク」「TENET テネット」などなど、同監督は時間がテーマの作品が特徴的で広く知られています。

私たちは、産まれてから死ぬまで時間に支配され、時間を意識して日々を過ごしますが、人生から切り離すことのできないこの時間というものの存在について、ちゃんと説明できる人は少ないと思います。

「時間は誰にでも平等」というフレーズを耳にしますが、それは本当でしょうか。1日24時間を有効活用できる人とそうでない人とでは時間の濃度が違う、という意味合いではなくて、私の1分間が過ぎるスピードは、本当に他の人と同じなのでしょうか。
同じ歳でも若い人と老けている人とでは、そう見える、という視覚的な感覚の曖昧な印象で片付けてしまいがちですが、それは肉体が老化するスピードが違うわけです。ひとそれぞれ個々の老化速度が違うのに、60秒が過ぎるスピードは、あなたと私とで同じなのでしょうか。

まったくの文系だった私には、さっぱり分かりません。だからといって、人生の折り返し点をとうに過ぎた今から相対性理論や熱力学第二法則を学べるほどの情熱も忍耐もなく、とりあえず同書を読んでふむふむと分かったつもりになって、好きな映画を一層楽しみたいと思います。

ちなみに、ノーラン監督はインターネット嫌いを公言しており、パソコンやスマートフォンなどのインターネットを想起させるアイテムが劇中に登場することは稀です。
「ネットのせいでみんな本を読まなくなった。書物は知識の歴史的な体系だ。ネットのつまみ食いの知識ではコンテクストが失われてしまう」と語っており、スマホはおろかメールアドレスも持っていないそうです。
図書館に勤める私としては、ちょっと嬉しいコメントです。





後藤ゼネラルマネージャーの読書日記をお届けしました。
年初こそ、読み返したい本をもう一度開いたり、ずっと気になっていたことを検索してみたりするのに良い機会ではないでしょうか。そんな知への入り口に、図書館がお手伝いをできれば幸いです。
今年も「ちよぴたブログ」をどうぞよろしくお願いいたします!

Posted at:11:00

【四番町図書館主催イベント】黒川みつひろさんと恐竜の絵を描こう!

2023年1月21日(土曜日)千代田区役所1階区民ホールにて、恐竜絵本作家 黒川みつひろさんをお招きした親子向けイベントを開催します!

ちびっこ恐竜博士がわくわくするようなお話やティラノサウルスのお絵描きに、質問コーナー、手品なども交えた盛りだくさんの内容でお送りします。

~四番町図書館長より~

図書館でも揃えている大人気の「トリケラトプスシリーズ」(小峰書店)が30周年を迎えた恐竜絵本作家の黒川みつひろさんが今年もやってきます。

今回は「恐竜の絵を描こう!」というワークショップ。ちびっこ恐竜博士たちの腕の見せどころです。少しずつ恐竜の体のパーツを描いていくと、いつの間にか立派なティラノサウルスの絵が出来上がっちゃいます。イベント終了後にはサイン会&記念撮影もあり。おうちにある黒川みつひろ先生の絵本を持ってきてね。

イベントは抽選制で、1月6日(金曜日)午前9時から申し込み開始です。ぜひこの機会に、親子でご参加ください♪

恐竜の絵本を読もう!千代田区立図書館所蔵のおすすめ本

千代田区立図書館が所蔵する、黒川みつひろさんの人気絵本を紹介します。(本の詳しい情報は、書名をクリックしてご覧ください)

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『恐竜トリケラトプスとウミトカゲ デイノケイルスをたすけるまき』

黒川 みつひろ/作・絵

小峰書店



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『恐竜あいうえお』

黒川 みつひろ/作・絵

小峰書店

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「恐竜の絵を描こう!」

【日 時】 1月21日(土曜日)午後2時~3時30分
      (午後1時30分開場)

【場 所】 千代田区役所1階 区民ホール

【講 師】 黒川みつひろさん(絵本作家)

【対 象】 3歳~小学生 ※保護者同伴

【定 員】 15組(抽選制)

【参加費】 無料

お申し込みについて

1月6日(金曜日)午前9時~8日(日曜日)午後4時の間に

電話(四番町図書館 03-3239-6357)でお申し込みください。

※抽選発表は1月10日(火曜日)

詳細はこちらをご覧ください

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Posted at:16:30

【MOFCAの庭からごきげんよう】0歳からはじまるオランダの性教育

千代田区障害者よろず相談MOFCAと連携し、おすすめの本をご紹介いただいている連載【MOFCAの庭からごきげんよう】。第5回目をお届けします。

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みなさま、こんにちは。MOFCAスタッフのHです。

12月3日から9日まで「障害者週間」が始まります。

一人ひとりが障害や、障害のある方々について、身近に考える期間にしていきたいと思っています。

今年10月、MOFCAでは、障害児や障害者支援に携わる支援者を対象に「支援者のための性教育」講座を開催しました。

障害をもつ当事者の方やご家族から、性に関する相談を受ける機会が増えてきたことを機に企画された講座でしたが、振り返れば支援者自身も十分な性教育を受けた経験がなく、性の基礎知識から改めて学び直す場となりました。

性教育自体がタブーとされてきた時代背景があったため、積極的な教育を受けられず、LGBTQなどの性の多様性についても、公に議論されることがないまま大人になったという方も多いのではないでしょうか。

今回は、講義の中で紹介された書籍についてご案内したいと思います。

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『0歳からはじまるオランダの性教育』

リヒテルズ直子/著

日本評論社


本書では、オランダで実践されている性教育を知り、私たちが日本の性意識の現状の中でオランダから何が学べるか、これからのグローバル時代を生きていく日本の子どもたちが、危険から身を守り、お互いを尊重した恋愛関係を通して性生活を送れるようになるために何ができるか、というテーマで書かれています。

「他国の教育方法を日本で実践するのは難しいのではないか?」と構えてしまいがちですが、オランダも1960年代までは、避妊も同性愛者の権利もオープンに口にすることのできない保守的な社会であったのです。オランダ国内でも宗教や文化の違いはあり、全国民が同じ意識なのではなく、一人ひとりが問題意識を持つことが大切なのだと考えさせられます。

まずタイトルを見て、「0歳から性教育?」という驚きから始まりましたが、性の問題が、人との関係の持ち方や信頼感、愛情に関わるものであるからこそ、生まれたときから始まる親子のスキンシップが重要視されているのだと実感しました。

親子で性に関する話題を率直に話し合える関係づくりなど、家庭でも取り組める対応について考える機会になります。

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第5章では、「性教育は障害児にこそ必要なものだ」とうたわれており、「障害があっても、自尊感情を持って自分らしく生きていけるために周囲の者に何ができるか」という視点に立つこと、自立を助けるためには障害の種類別にニーズを理解することが必要なのだと痛感する内容でした。

「性教育」とは大きな意味で、「人権の尊重」に繋がっていることを実感する一冊です。

性教育に携わる方だけでなく、今後の性教育の在り方について学びたい方は、是非ご覧ください。

そして、困ったときに相談できる窓口を知っておくことも、とても重要です。

「千代田区障害者よろず相談MOFCA」では、お悩みに合わせた専門機関をご案内できます。

身近な人に話せない悩みがある、どこに相談したらいいかわからない...。そんなときは、是非お気軽にご相談ください。



MOFCAの連載【MOFCAの庭からごきげんよう】は、隔月の第2週目に更新します。

次回は2月です。どうぞお楽しみに!

Posted at:12:30

【四番町図書館主催講座】「大人のための絵本入門講座」を開講します!

9月に入り、東京では暑さが和らぎ少しずつ秋の気配が感じられるようになりました。

夏の暑さや長引くコロナ禍による生活への影響などの疲れが出てしまい、この時期は癒しを求める方もいらっしゃるのではないでしょうか。

"癒し"でおすすめしたいのが、絵本です。絵本は子どものためのものだと思われるかもしれませんが、絵本につづられた短いことば美しい絵は大人にもいろいろな気づきを与えてくれるものです。最近では、絵本によるなごみ癒しの効果も注目されています。

そんな、絵本の魅力を知ることができる「大人のための絵本入門講座」が四番町図書館主催で10月に開講されます。

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大きな画像を見る(PDF:530KB)



~四番町図書館長より~

絵本は「子どもにもわかるように」が大前提なので、絵も文章も構成もシンプルです。それだけに年齢に関係なくダイレクトに心に響きます。絵本が伝えることは楽しいことばかりではありません。ときには、さびしさ、かなしさ、つらさも...。そのときの心情に合った絵本との出会いは、ときに慰められたり、励まされたり。今回の3回の講座を通じて、絵本の癒し効果を感じたり、新たな魅力を見つけていただければと思っています。

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『ちいさなハチドリのちいさないってき』

ウノサワケイスケ/絵

イマジネイション・プラス

※第1回の講師 橋爪千代子さんが企画として携わった絵本です。





「大人のための絵本入門講座」

【日 程】※全3回

     ①10月1日(土曜日)

     ②10月15日(土曜日)

     ③11月12日(土曜日)

【時 間】午後3時~午後4時30分

【場 所】① ③ 四番町図書館5階 特設会場

     ②ブックハウスカフェ ガリバー(神田神保町2-5)

【講 師】①橋爪千代子さん(まちライブラリー@ブックハウスカフェ主宰)、ゲスト:乙部雅志さん(イマジネイション・プラス代表取締役)/②ゲスト:今本義子さん(ブックハウスカフェ店主・絵本セラピスト)/③安井広子さん(蔵の図書館運営・JPIC 読書アドバイザー)

【定 員】10名(事前申込制、申込多数の場合は抽選)

【対 象】18歳以上 ※3回すべて参加できる方

【参加費】3回で500円(2回目の際にお支払い)

お申し込みについて

9月9日(金曜日)午前10時~9月15日(木曜日)午後5時の間に、こちらのページの「お申し込みフォーム」または、電話(四番町図書館 03-3239-6357)でお申し込みください。

※9月16日(土曜日)午後以降、参加確定の方のみにメールまたは電話でご連絡いたします。迷惑メール対策などの設定をされている場合は、事前にlibrary-chiyoda.jpのドメイン指定受信の設定をお願いします。

各回のテーマ、その他詳細はこちらをご覧ください




皆さまのご参加をお待ちしています!

Posted at:16:30

【MOFCAの庭からごきげんよう】家族のためのユマニチュード


千代田区障害者よろず相談MOFCAと連携し、おすすめの本をご紹介いただいている連載【MOFCAの庭からごきげんよう】。第3回目をお届けします。
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みなさま、こんにちは。残暑お見舞い申し上げます。MOFCAの入口には素敵な観葉植物「ウンベラータ」がおかれていますよ。

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さて、8月の担当者Mです。

私事で大変恐縮ですが、私には92才の母がおり、地方の老人介護施設にお世話になっています。コロナ前は介護施設には自由に出入りでき、外出もできていたのに現在は直接会う事ができなくなりました。

そんな中、母から「お部屋に泥棒が入ってお洋服を持っていかれるのよ」からはじまり、毎回の電話が物取られの話になるのです。母は警察や市役所にまで連絡をしたようで、施設の方はその対応に大変苦慮されておりました。あとで知ったのですが、母は認知症の初期の段階だったのです。

そのようなエピソードもあり、手に取った本が『家族のためのユマニチュード "そのひとらしさ"を取り戻す、優しい認知症ケア』でした。

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『家族のためのユマニチュード "そのひとらしさ"を取り戻す、優しい認知症ケア』

イヴ・ジネスト、ロゼット・マレスコッティ、本田 美和子/著

誠文堂新光社

ユマニチュードとは、フランスの体育学の専門家イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが考案した技法で「あなたの事を大切に思っている」事を伝えるための技法です。

ユマニチュードの4つの柱「見る」「話す」「触れる」「立つ」を赤ちゃんに例えて、普段私たちが無意識に行っていることをきれいで親しみやすいイラストと共に説明があります。

次に記憶の機能と認知症の人の特徴と対応が書かれていますので、ここで認知症の基礎知識が得られます。

その後、コロナ渦でも病院への付き添いで母と数時間会う機会がありました。ユマニチュードの本に書かれているような方法で、訪問する時の声の掛け方、「会えてとても嬉しいという事」を赤ちゃんや大好きな人に会うように接したところ(それはとても私にとって気恥ずかしい事でしたが)、こわばっていた母の顔が柔らかくなってくるのを感じました。

認知症はよくならないと言われていますが、ユマニチュードの考え方を持ち、技法に基づいて接すると、奇跡的な変化が起こる事があるそうです。よくある困った状況とその対応も書かれてあるのでとても参考になります。私はこの本を読んで心が救われた一人です。

巻末にはユマニチュードの映像教材の無料化の貸し出しの情報もついています。また、国立病院機構・東京医療センターの高齢者ケア研究室が作成したご家族向けの映像教材もインターネットで公開しています。(検索サイトやYouTubeで「高齢者ケア研究室」と検索すると、最初に出てきます)

ご興味のある方は、ぜひご覧になってください。

また「千代田区障害者よろず相談MOFCA」も相談窓口としてご利用ください。どんなささいな事でも結構です。みはらしの良い、居場所スペースもありますので、ただ休んでご自分のリラックスの場としてのご利用も大歓迎です。お待ちしております。



MOFCAの連載【MOFCAの庭からごきげんよう】は、隔月の第2週目に更新します。

次回は10月です。どうぞお楽しみに!

Posted at:16:30

【MOFCAの庭からごきげんよう】
学校では教えてくれない 自分を休ませる方法


千代田図書館では、4月から千代田区障害者よろず相談MOFCAと連携し、ちよぴたブログでMOFCAの連載【MOFCAの庭からごきげんよう】をスタート!連載第2回をお届けします。

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こんにちは。MOFCAスタッフのSです。

最近は雨が増えて外に出るのがおっくうになるかもしれませんが、部屋の中で読書をしたり、少し体を動かしたりするには良い時期かもしれませんね。

そんなときに、ぴったりな本をご紹介します。

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「学校では教えてくれない 自分を休ませる方法」

井上祐紀/著、KADOKAWA


精神科医(こどものこころ専門医)の著者が、「心が疲れたときに上手に休む方法」について解説しています。

表紙はライトで、タイトルに"学校では"とあるように、小学校高学年くらいの方から大人まで読めるわかりやすい内容です。また「学生向け」というだけではなく、社会人の方にとって役立つことも多くあります。そして番外編では「大人たちへ伝えたいこと」として学生の保護者の方々へのメッセージも記されています。

「自分を休ませること=学校を休むこと」ではないこと、ではどうやって「休む」のか、回復していくプロセスや心をリラックスさせる方法、ストレス解消をする方法、さらに「嫌なことが起こったときに問題を整理して対処する方法」について等、内容は多岐に渡ります。

確かに、真面目で責任感の強い人ほど、辛い時でも「休んじゃいけない!」と思ってしまいがちですよね。私もそうでした。特に、一人で悩んでしまうと不安な気持ちにとらわれ、狭い視野だけでものごとを考えてしまい、「その状況から逃げることはできない」と思い込んでしまうこともあるでしょう。

そんなとき自分では"大丈夫"と思っていても、心や体は悲鳴をあげています。この本の中では「体が休みを求めているサイン」についてもチェックシートがあります。これだけでなく、自分なりのサインに気がついたら早めに休む選択も重要だと感じました。

問題の整理や対処方法については日常生活の中でも参考になることが多いな、と感じました。「嫌なことが起こった」、「その結果自分はこう感じた」、「そして、考えや行動が変わってしまった」という事実を自分の中で整理し、その出来事を一歩引いたところで観察することにより気持ちが楽になったり、別視点でのより良い考えが浮かんだりするものです。さらに、場面別の具体例についても豊富に書かれているのもお勧めのポイントです。

問題を一人で解決できないときは、一人で悩まず誰かに相談してみてください。ただし、相談する人を間違えないことも重要です。この本を読むと「安全な相談者」と「距離を置くべき人(相談してはいけない人)」の見分け方についてもわかると思います。

巻末には「悩んだ時にサポートが受けられる相談窓口」も掲載されていますので、まわりに誰も相談できる人がいない、家族や知人ではなく公的な機関に相談したいという場合にはぜひご活用ください。

そして、「千代田区障害者よろず相談MOFCA」も相談窓口として使えます。ささいなことでも構いません。「どう相談したら良いかわからない」というのでも構いません。「悩み」を見つけるお手伝いもできます。悩んでいること、不安なことがあればぜひMOFCAにもご相談ください。お悩みの解決に向けて一緒に考えます。


MOFCAの連載【MOFCAの庭からごきげんよう】は、隔月の第2週目に更新します。

次回は8月です。どうぞお楽しみに!

Posted at:17:00

「本と出会う読書サロン」第22期メンバー募集中!


千代田図書館では、本を通じた交流の場「本と出会う 読書サロン」(運営:読書の会 協力:千代田図書館 読書振興センター)を定期的に開催しています。これは、1冊の同じ本を読んで語り合う読書会とは異なり、参加者がテーマに沿った本を持ち寄り紹介し合うというスタイルをとっていて、毎回さまざまな本が集まります。

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現在、2022年6月からスタートする第22期メンバーを募集中!

毎回参加できなくても大丈夫。興味のある回のみの参加や、見学のみも可能です。詳しくはこちらをご覧ください。


ではここで、昨年度開催の第21期読書サロンで紹介された本の一部を各回のテーマとともにご紹介します。

◇■

2021年12月:テーマ

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『大粒ブドウの時代をつくった巨峰』

小泉光久/著、柴 壽/監修

汐文社

種なしや大粒、皮ごと食べられるものなどさまざまな品種が流通されているブドウ。ブドウ栽培や品種の開発に尽力した人びとの姿を追ったドキュメンタリーです。


2022年1月:テーマ

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『この先をどう生きるか 暴走老人から幸福老人へ』

藤原智美/著

文藝春秋

少子高齢化社会が進む日本。シルバー世代が生きがいのある日々を過ごせるために「本当に必要なもの」は何かを問う1冊です。


2022年2月:テーマ「

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『ウナギが故郷に帰るとき』

パトリック・スヴェンソン/著、大沢章子/訳

新潮社

日本人にはなじみの深い食材であるウナギ。しかしその生態は長い間謎に包まれたまま...。34カ国で翻訳の世界的ベストセラーです。


2022年3月:テーマ「

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『百年文庫68 白』

梶井基次郎、中谷孝雄、北条民雄/著

ポプラ社

百年文庫 は、"三人の作家が響きあう、漢字「一文字」のアンソロジー"というキャッチコピーの全100巻にも及ぶ短編集シリーズ。「白」で編まれた3人の文豪の名短編をぜひ!

◇■

第21期は、いろいろな色がテーマでした。イメージに合う本はありましたか?

第22期のテーマは、6月「花」、7月「鳥」、8月「風」、9月「月」、10月「海」、11月「川」、12月「山」、1月「陸」、2月「島」、3月 「砂漠」です。テーマを見て、だれかにお勧めしたい本があたまに浮かんだら、読書サロンへどうぞ。ご参加お待ちしています。

さらに、「本と出会う読書サロン」よりお知らせです。

5月17日(火曜日)に第22期オープニングイベントを開催します!

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大きな画像を見る(PDF:650KB)

元ウィキペディア日本語版管理者の海獺(らっこ)さんによる講演会「ウィキペディア 情報収集から編集、活用まで」を行います。

ウィキペディアについて、図書館との親和性に触れつつ様々な切り口で解説します。予約不要ですので、ぜひお気軽にお越しください。


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本と出会う読書サロン 第22期オープニングイベント

講演会「ウィキペディア 情報収集から編集、活用まで」

【日 時】5月17日(火曜日)午後7時~8時(開場 午後6時30分)

【会 場】千代田図書館9階 特設イベントスペース

【定 員】20名(当日先着順)

【ゲスト】海獺(らっこ)さん(元ウィキペディア日本語版管理者)

詳しくはこちら

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※オープニングイベントや読書サロンの開催内容は、新型コロナウイルス感染拡大状況により変更する場合があります。あらかじめご了承ください。

Posted at:11:20

コンシェルジュ通信Vol.59  ようこそ! 古書の街神保町へ!

千代田図書館から徒歩約10分の神保町古書店街。街路樹の葉の色が濃くなり、陽が照ると、まるで緑の街灯のようです。

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神保町にある「本と街の案内所」では、平日に千代田図書館コンシェルジュがお手伝いをしている時間帯があります。そこでは、書店をはじめ、街や本のご案内をしています。


最近では、コロナ禍以前に多かった「神保町に初めて来たすが、どんな古書店がありますか?」といったお問い合わせをいただくことも増えており、街に賑わいが戻ってきているのを実感しています。

今回の千代田図書館コンシェルジュ通信では、2021年に出版された本のなかから古書店や神保町を知るきっかけにおすすめの本を3冊ご紹介します。

※書名をクリックすると、本の詳しい情報がご覧いただけます。




1冊目は古本マニア採集帖

"自分にとって「古本のある生活」とはどんなものなのか"を、本好き36人へ聞き集めたインタビュー集です。

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『古本マニア採集帖』

南陀楼綾繁/著 

皓星社

著者はライターで編集者の南陀楼 綾繁(なんだろう あやしげ)さん。

「出版、古本、ミニコミ、図書館など、本のことならなんでも追いかける」という著者が"本を好きになったきっかけ""記憶に残る最初の本"などを取材。「古本で遊ぶ」「古本とコレクション」「古本で調べる」「古本と仕事」の4章にまとめています。

Twitterやブログを活用する方、本を集めてはリストと一緒に譲る方など、本との付き合い方は千差万別。そのなかで「自分の知らない本と出会うのが楽しい」という言葉には、多くの方が共感するのではないでしょうか。






2冊目は、古書店で働く人に密着した『東京の古本屋』

都内10軒の古書店に3日間ずつ密着したルポルタージュです。

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『東京の古本屋』

橋本 倫史/著

本の雑誌社

東京オリンピック・パラリンピックを控えた2019年12月から取材は始まり、予想外の感染症に見舞われている2021年まで、古書店を営む方々の生活が綴られています。

古書店の仕事を知りたくて読み始めたのですが、古書店の方々が空を見上げ、ブルーインパルスを探す口絵の写真に、思わず見入りました。

古書店のみならず、東京で自粛生活をしながら日々過ごしていた皆のドキュメンタリーとしても読み応えある1冊です。





最後にご紹介するのは『なないろのクリームソーダ』

神保町の老舗喫茶店「さぼうる」が舞台の絵本です。表紙のクリームソーダが美味しそう♪

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『なないろのクリームソーダ』

なんば りな/作、オヤスマー/絵

ケンエレブックス

主人公は美味しいものが好きな女の子。「さぼうる」店内の賑やかな音が聞こえてくるような、楽しいイラストとともにストーリーは進みます。子どもにとってはワクワクするような、そして訪れたことのある大人の方にとっては、きっと懐かしさもこみ上げてくるようなお話です。

ところで先日、クリームソーダが飲みたくなり「さぼうる」を訪れました。昨年まで6色だったクリームソーダは新たに白色がメニューに加わり、絵本と同じ7色のクリームソーダに!

神保町の実在する喫茶店が絵本になった1冊、ぜひご覧ください。




今年度も、コンシェルジュ通信では本や図書館、千代田区の魅力をお届けしてまいります。どうぞお楽しみに♪

Posted at:16:15

本で楽しむウインタースポーツ!


千代田図書館から歩いて15分ほど、神田神保町の駿河台交差点から神田小川町までの靖国通り沿いは、各種スポーツやスキー・スノーボード、登山用品店が立ち並ぶスポーツ店街としても知られています。

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△スポーツ店街らしいガードレールのデザイン

熱戦が繰り広げられた北京での冬季オリンピックを観戦して、自分もやってみたい!と思った方も多いのでは?

スポーツ店街に出かける前に、 "読んで楽しむ"ウインタースポーツはいかがでしょうか。

千代田区立図書館の蔵書の中から、おすすめの本をご紹介します。

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書名をクリックすると、本の詳しい情報がご覧いただけます。

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『冬のスポーツを楽しむ本 1』

日本オリンピック・アカデミー/監修

国土社


冬季競技を詳しく解説。基本ルールや得点のつけ方がよくわかります。オリンピックの復習、パラリンピックの予習に。


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『レジェンド!』

城島 充/著

講談社


スキージャンプの葛西選手が、冬季オリンピック7大会連続出場を果たし"レジェンド"と呼ばれるようになるまでを辿る1冊。小学校高学年くらいから読める内容になっています。


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『ピートのスケートレース』

ルイーズ・ボーデン/作

福音館書店


スピードスケートの強豪国として知られるオランダ。そのオランダがナチス・ドイツ占領下にあった第二次世界大戦中の物語。スケートが大好きな少年ピートは、ある日とても重大な命がけの仕事を任されます。


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『レルヒ 知られざる生涯』

新井 博/著

道和書院


さらに時代をさかのぼって。100年以上前、明治時代の日本にスキーをもたらしたオーストリア将校の生涯。新潟のゆるキャラ「レルヒさん」のモデルとなった人物です。

※増補新版が3月下旬に刊行予定。詳細はこちら


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●○千代田図書館 休館のお知らせ○●

千代田図書館は、蔵書点検実施のため下記の期間は休館いたします。

【期 間】 2月26日(土曜日)~28日(月曜日)

休館中の資料返却は、ブックポストをご利用ください。(視聴覚資料など一部資料を除く)

ご不便をおかけいたしますが、ご協力をお願いいたします。

Posted at:11:10

千代田図書館スタッフが選ぶ、今年最初に読みたい本 2022

1月も2週間あまりが過ぎました。今年に入ってから、もう読書はしましたか?

普段から本に囲まれた場所で働いている図書館員は、年の初めにどんな本を選ぶのか、「今年最初に読みたい本」を聞いてみました。



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『ミライを生きる君たちへの特別授業』

ジュニスタ編集部/編

岩波書店


新型コロナは私たちの生活を一変させました。それでなくとも複雑な現代社会の中で生きづらさを抱えている人は多いはず。これからの時代、私たちはどう生きるか。新しい年の初めだからこそ、改めて考えてみたいものです。難しい理屈でなく、リアルな生き方のヒントを与えてくれるような、そんな本はないでしょうか・・・?

これは、東京都内のある公立中学校で実際に行われた授業を本にしたものです。先生になったのは、元アイドルの作家、新聞記者、声優、タレントなど。いじめや進路問題、人間関係の悩みなど、さまざまな不安を抱える中学生たちに向けて、自分の経験や考え方を、生の言葉で真剣に語った記録です。

たとえば、図書館のこと。かつて「学校に行くのがつらかったら図書館へおいで」というツイートが大きな話題になったことがあります。しかし、この言葉がいかに無責任で、偽善的なものかを指摘する人は、当時は極めて少なかったと思います。そう、図書館は人生に役立つ何かを得られる場所ではあっても、悩める人間を救えるほどの力は持っていないのです。この本は、そうした真実もきちんと伝え、うわべの美辞麗句に惑わされないための心構えを教えてくれています。

今年最初に、中学生はもちろん、すべての大人にも、ぜひ読んでいただきたい本です。(サービス・坪内)




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『こすずめのぼうけん』

ルース・エインズワース/作 石井桃子/訳 堀内誠一/画

福音館書店


私の今年最初に読みたい本は、『こすずめのぼうけん』1976年に発行された絵本です。

羽の生えそろったこすずめが、ある日おかあさんに飛び方を教わります。言われたとおりにやってみると、楽々と飛べたこすずめは、これならどこまでも飛んで行けると、どんどん進んで行きます。ところが羽が痛くなり、頭も痛くなり、休む場所を探すのですが、よい場所は見つかりません。途中で出会う、からすやふくろうには、「なかまじゃないから」と助けてもらえず、途方に暮れるこすずめを、心配したおかあさんが迎えに来ます。

子どもたちは「ぼうけん」という言葉が大好きです。学校図書館や幼稚園、保育園の本棚からも「ぼうけん」という書名の本はよく貸し出しされます。不安な毎日が2年以上続いていますが、大人も子どもも、今年は「ぼうけん」して、新しい事や、やりたくても出来なかった事をスタート出来たらいいなと思います。

途中には困難もあるでしょう。でも少しずつ前に進んで行きたいですね。

何より、こすずめのように戻る場所がある安心感は、何物にも代え難いですから、子どもたちにはぜひ用意して、「ぼうけん」に送り出したいものです。(学校支援・黒田)



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今回ご紹介した本は、千代田区立図書館で借りることができます。本の詳しい情報は書名をクリックしてご覧ください。


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Posted at:10:50

千代田図書館長の読書日記


今回は、千代田図書館の小出館長が2022年の仕事初めで目に留まった一冊について綴った「千代田図書館長の読書日記」をお送りします。

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明けましておめでとうございます。

新型コロナ感染症はオミクロン株が不穏な動きを見せて心配な日々が続いています。皆さまはどんな年末年始を過ごされたのでしょうか。

私は奈良から京都へと足を延ばしたのですが、京都では栂尾高山寺の石水院を訪れ、有名な「鳥獣人物戯画」を目にする機会を得ました。

深閑とした山中の庵にあって、擬人化された動物を描いて白眉とされる甲巻を見ていると、昔は動物も本当にこんな風に遊んでいたのではないかと、不思議な感覚に襲われたのが印象的でした。

2022年仕事初め、事務室に入って企画担当者の机に、昨年秋に府中市美術館開館20周年記念に開催された展覧会公式図録『動物の絵』という一冊が置かれているのが目に入りました。
副題には「日本とヨーロッパ ふしぎ・かわいい・へそまがり」とあります。実際そのまま日本とヨーロッパの動物の絵183点が収録されています。

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『動物の絵 日本とヨーロッパ ふしぎ・かわいい・へそまがり』

府中市美術館/編著

講談社

展覧会の図録ですから当然絵が紹介されているのですが、秀逸なのは解説文です。

仏教に根ざし、動物への仲間意識が感じられる日本の動物観と、動物を人間より下に位置づけるキリスト教的な観念の違い。そしてヨーロッパにおけるダーウィンの進化論による動物観の転換。ヨーロッパ絵画における約束事であった象徴性や脇役としての動物の解放。こういう解説はわかりやすく、腑に落ちることが多い。

若冲、応挙、光琳、宗達、ゴーギャン、ピカソ、シャガール、そして鳥獣戯画も登場します。古今東西の動物への眼差しは、長い歴史的文化背景の流れの中で、人それぞれの特異な価値観に支えられて、多種多様に可視化されてきたのだと感嘆させられます。

2022年の干支は虎。永瀬雲山の竜虎図、尾形光琳の竹虎図、松井慶仲の虎図あたりを見て、笑顔で始める一年にしてみませんか。

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Posted at:13:40

今年は寅年!新しい何かに"トライ"するための虎の巻

明けましておめでとうございます。

本年も「ちよぴたブログ」をよろしくお願いいたします。

年の始めこそ、新しいことに"トライ"するのにぴったりの時期。

新年1回目のブログでは、何かを始めたい時、知りたい時に頼りになりそうな秘伝の書=虎の巻としておすすめな8冊をご紹介します!



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『古本屋ツアー・イン・神保町』

小山 力也/著

本の雑誌社

昨年ブログでご紹介した『東京古書組合百年史』(東京都古書籍商業協同組合/編、出版)を古書店がまとめた"虎の巻"とするならば、この本は古書店ユーザー目線の"虎の巻"。本の街・神田神保町にひしめく140店余りを一軒一軒見て回り、その特色を記録した古書店ガイドです。

今年こそ神保町古書店街に詳しくなりたい!という方、まずはこの本で気になるお店を探してみては?



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『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの小説を面白く読む方法』

三宅 香帆/著

笠間書院

有名な小説はやはり読んでおきたいところ。そう思って手を伸ばしてみたものの、「ぶっちゃけ、よく分からん」と思いそっと本を閉じてしまった経験のある方のための一冊です。日本や海外の古典も令和のベストセラーもお任せください。無理やり主人公に共感しようとせず「あー......ハイ......」と一歩引いてみたり「難しい話はとばし読みでよい」と提案したり、小説を面白く読むためのコツを伝授!本書のタイトルどおりの内容です。



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『覚醒するシスターフッド』

サラ・カリー、柚木 麻子 ほか/著

河出書房新社

発売されてすぐに文芸誌としては異例の増刷、大きな話題を呼んだ「文藝」2020年秋季号(河出書房新社)の特集掲載の小説に書き下ろしを加えた短編集。"私たち""彼女たち"をとりまくジェンダー問題の現在地について知る道しるべに。現在国内外で活躍中の作家たちを知る読書案内としてもおすすめです。



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『一汁一菜でよいという提案』

土井 善晴/著

グラフィック社

この2年で外食の機会が減り、自炊の習慣ができたけれど、毎日の献立作りって大変...と思っている方も少なくないのではないでしょうか?

シンプルな献立の"一汁一菜"は、日本人が昔から知恵と自然に対する感性を紡いでできた「システム」であり「生き方」であると著者はいいます。この本はいわゆる"レシピ本"とはちょっと違いますが、短いけれど味わい深い文章で、日々台所に立つ心を軽やかにしてくれます。



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『その道のプロに聞く ふつうじゃない生きものの飼いかた』

松橋 利光/著

大和書房

おうち時間が増え、家にペットを迎えたいと思うひとが増えているそうですね。ということでオススメするのがこちら。メダカや金魚、ハムスターなどおなじみの生きものから、ウミウシ、フクロウなどいろいろな生きものの飼い方を詳しく掘り下げます。生きものを飼う際は、ちゃんと責任持ってお世話しましょうね。



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『地球温暖化を解決したい エネルギーをどう選ぶ?』

小西 雅子/著

岩波書店

今や、世界中の人々にとって"他人事でない"地球温暖化とエネルギーの問題についてやさしくひもとく一冊。

いきなり専門書を読んでも、難しくてわからないかも...と不安になるテーマこそ、子ども向けに書かれた本から始めてみましょう。この「岩波ジュニアスタートブックス」は、中学生が"自分で考える"ことを応援するシリーズとして2021年3月に創刊されました。



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『お金ってなんだろう? あなたと考えたいこれからの経済』(中学生の質問箱)

長岡 慎介/著

平凡社

今年こそは節約にチャレンジ!バリバリ働いてガンガン稼ぐぞ!など、お金に関する目標を立てる方もいらっしゃるのではないでしょうか。お金は私たちの生活と切り離せないものですが、そもそも「お金」って何なのか説明できますか?中学生目線の素朴な疑問に答える形式で綴られている本書は、やさしいことばで貨幣価値・資本主義・新しい経済などへの疑問をひもといてくれます。



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『風姿花伝』

世阿弥/著

岩波書店

室町時代、世阿弥によって書かれた能楽の書。芸能の道を志す者にとってはまさに"虎の巻"です。能楽の指南書ではありますが、日常やビジネスシーンなどで壁にぶち当たったときに道を示してくれることばもたくさん。いきなり古典の原文を読むのはハードルが高い!という方は『すらすら読める風姿花伝』(林 望/著、講談社)などの現代語訳もオススメです。







今回ご紹介した本はすべて千代田区立図書館で借りることができます。本の詳しい情報は、書名をクリックしてご覧ください。

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Posted at:17:00

コンシェルジュ通信Vol.56:
神保町が今熱い! 70周年!、100周年!、140周年! 


先日開催したイベント「千代田図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー"神保町で世界旅行気分"編」では、秋晴れのもと、参加者の皆さんと一緒に神田神保町の古書店街を巡りました。

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(イベントの様子はこちらからご覧になれます)


毎回、イベント当日を迎えるまでに街歩きの練習や情報収集など様々な準備を行うのですが、街のことについて調べていると新たな発見があります。

今回のコンシェルジュ通信では、そんなツアー準備のなかで見つけた神田神保町の書店の歴史にまつわるお話をご紹介します。



明治から大正時代に多くの中国人が留学していたという神保町。中国の政治家・周恩来もその一人で、当時の神田区神保町に下宿していたそうです。
生活の拠点になっていた神保町のことを知りたくて、周恩来『十九歳の東京日記』』を読んでみました。

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『周恩来『十九歳の東京日記』』

周恩来/著 

小学館

当時の日記の日本語訳であるこの本には、こんな記述がありました。

四月二十三日(戌午三月十三日庚子)(火曜日)

~~

今夜、「東京堂」に行って本を買い、時間を割いて新刊の雑誌を見た。刊行されたばかりの『露西亜研究』をぱらぱらめくっていると、ロシアの現今の党派をきわめて詳細に論じた論文が掲載されていた。その場でざっと目を通して暗記したおおよそを以下に記す。

~~

この後、当書には数ページにわたり暗記しまとめた内容がつづられています。当時のロシアの政治情勢について、東京堂書店で読んだだけで記憶してしまったとは! 記憶力の良さに驚かされます。
そしてこの他にも「東京堂」を度々訪れていることが日記に残されています。

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この「東京堂」とは当時の神田東京堂のことで、現在の「東京堂書店」です。神田すずらん通りにあり、昨年3月には創業130年を迎えた老舗新刊書店です。
周恩来の聡明さとともに、東京堂書店の歴史の深さを感じるエピソードです。


また、今回のツアー内でご紹介した三省堂書店神保町本店は、今年4月に創業140周年を迎えています。

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三省堂書店前での神保町ツアーの様子

現在は大型の新刊書店として知られる三省堂書店ですが、明治14年(1881年)の創業当時は古書店として開業したのだそうです。(『三省堂書店百年史』より)


そんな歴史ある三省堂書店神保町本店ですが、建て直しのため来年の3月に閉店し、令和7年~8年(2025~2026年)頃に建物ごと新しく生まれ変わることが発表されました。
現店舗で営業する来年3月までは、「困難な時代も、新しい時代も、いつだって『本』がある」と銘打ち、色んなフェアが開催されています。

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また、街歩きの練習中に見つけたのは新刊書店「書泉グランデ」で開催中の「書泉70周年祭」。昨年創業70年を迎えたそうです。
千代田図書館所蔵の『古書肆100年』によると、老舗古書店「一誠堂書店」初代店主のご子息が開業したのが「書泉」なのだとか。

新刊書店と古書店、出版社は歴史をたどると様々なつながりがあり、あらためて調べてみると面白いなと感じました。
千代田図書館の
「出版にまつわる本棚」コーナーには、出版や書店の歴史などについても資料を集めています。ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。




さらに、都内の古書店でつくられる「東京都古書籍商業協同組合」は、昨年創立100周年を迎えたことを記念して、今年の夏にこちらの本を刊行しました。

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『東京古書組合百年史』

東京都古書籍商業協同組合/編、出版  


神保町の多くの古書店が加入する神田支部はもちろんのこと、都内の古書店街やこれまでの活動の様子がまとめられていて読み応えたっぷり。
古書店のことをもっと知りたい!という方におすすめです。



昨年に引き続き、今年の「東京名物神田古本まつり」の開催は見送られましたが、読書の秋の神保町は今熱い!
昨年から今年にかけて、70年・100年・140年と周年記念に沸く神保町で、本に親しんでみてはいかがでしょうか。

Posted at:15:30

シリーズ:○○の秋!
【第1回】かたちはいろいろ♪千代田図書館で楽しむ「読書の秋」


うだるような暑さも和らぎ、秋の気配を感じるようになりました。

そこで、ちよぴたブログでは3回にわたって「シリーズ:○○の秋!」と題し、千代田図書館やその周辺で楽しめるさまざまなをお伝えします。


今回お伝えするのは読書の秋。千代田図書館で利用できるいろいろなかたちの資料をご紹介します。

まずは10階 子ども室から。

靴を脱いであがる室内は、ぐるりと絵本に囲まれています。「子ども室」という名前ですが、子育てに関する本など大人向けの本もあり、誰でも利用できます。

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ここには、ものがたり絵本や知識絵本、赤ちゃん向け絵本のほかに、外国語で書かれた絵本も置かれています。

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海外で描かれた作品に加えて、日本の昔話やぐりとぐら』『だるまちゃん』など人気絵本の英語版もあるんですよ。英語を学ぼうという方にもおすすめのコーナーです。

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『ぐりとぐらのえんそく』

なかがわりえこ/著 やまわきゆりこ/絵

福音館書店


英語版のタイトルは

Guri and Gura's picnic adventure(チャールズ・イー・タトル出版)


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『だるまちゃんととらのこちゃん』

加古里子/作・絵

福音館書店

英語版のタイトルは

Little Daruma and little tiger(チャールズ・イー・タトル出版)


◆◇

続いて9階をご案内します。

文庫や雑誌の棚の先にあるのが、点字資料大活字本。大活字本は、弱視の方や小さな文字が読みづらい方でも見やすいように通常よりも大きな字で印刷された本です。

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大活字本は、時代小説や歴史書、ガイドブックや生活に役立つ実用書などさまざまなジャンルが揃っています。本は読みたいけれど目の疲れが気になって...という方にお試しいただきたいです。

また、コンシェルジュブースの奥には、文字や画像などを画面に大きく映し出す拡大読書器が設置されています。

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拡大読書器を使用したい方や、千代田図書館が行っている視覚障害者サービスについて知りたい方は、図書館職員へお声がけください。

◆◇


さいごに、耳で楽しむ本の世界をご紹介します。

千代田Web図書館は、オーディオブックなどの音声コンテンツや朗読機能付き絵本も扱っています。


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音声コンテンツには、シェイクスピアなど海外の作品や児童文学近代文学作品などがあります。日本の代表的な古典文学源氏物語も入っています(1帖 桐壺~15帖 蓬生)。題名は知っているけど難しそう...と敬遠しがちな作品でも、音声コンテンツで気軽に楽しんでみてはいかがでしょうか。

また、千代田図書館9階のCDコーナーにも、小説や詩の朗読が収録された朗読ライブラリーがあります。こちらもぜひご利用ください。


いかがでしたか?

ぜひ千代田図書館で、お気に入りの読書の秋を見つけてくださいね♪

次回の"○○の秋"は、なんでしょう?

どうぞお楽しみに!

Posted at:11:00

コンシェルジュ通信 Vol.55:Let'sお口の体操!

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マスク生活が始まり、約1年半が経とうとしています。マスクは新型コロナウイルスの予防には効果的ですが、毎日つけているとちょっと困ったこともあるのだそうです。

みなさん、表情筋は動かしていますか?顔の下半分が見えないため、前よりも意識して口を動かすことが減ってしまったのではないでしょうか?

同じように話をしているつもりでも、マスクをつけていると普段より表情筋の活動量が半分から1/4にまで落ちると言われています。表情筋が衰えると、老け顔の原因になってしまうそうです。積極的に口を動かして筋肉を鍛えていきましょう!


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そこで、私も『コンシェルジュの見聞調録 Vol.26 早口言葉でリフレッシュ!』 を参考に、実際にお口の体操をやってみることにしました。

まずは見聞調録で紹介されているこの絵本、『お江戸はやくちことば』より、有名な早口言葉に挑戦!

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『お江戸はやくちことば』

杉山亮/文 藤枝リュウジ/絵

カワイ出版


「お綾や親にお謝り、おややや...」

難しくて、すぐに噛んでしまいます。思うように口が回りません。ゆっくり言ってみたり、何度も繰り返し練習してみたり...しばらく苦戦していました。

それにしても早口言葉ってたくさんの種類がありますよね。せっかくなので、他のコンシェルジュにも好きな早口言葉を聞いてみました!
すると、「赤巻紙・青巻紙・黄巻紙」「赤パジャマ・青パジャマ・黄パジャマ」などの赤青黄シリーズや、「竹藪に竹掛けたのは竹立て掛けたかったから竹掛けた」が挙がりました。

中には、難易度が高く滑舌練習として有名な歌舞伎の長台詞"外郎売"を、昔は丸暗記していたという強者も!

早口言葉は子供の頃に誰もが通ってきた遊びだけあって、人によって思い入れのあるものが違って面白いですね。ちなみに私は「すももも桃も桃のうち」が好きです!


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滑舌をよくするためには、どうやら口の周りの筋肉をほぐす必要があるようです。

続いて、『発表・スピーチに自信がつく!魔法の話し方トレーニング1』に掲載されているトレーニングに挑戦!

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『発表・スピーチに自信がつく!魔法の話し方トレーニング1』

白石謙二/著 常永美弥/絵

汐文社

この本は、かわいいイラストで本格的な内容がわかりやすく解説されています。声を出す前に体をリラックスさせる準備運動から、くちびるをプルプル震わせるリップロールや、正しい腹式呼吸の仕方まで載っていて、トレーニングが充実しています。

さて、準備運動からスタートしていきますよ!

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身体を回します。

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万歳~!

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反対側にも伸びます。

ほんの少しのことですが、身体がすっきり!ストレッチって大事ですね。この他にも気軽に取り組める体操がいくつか載っています。

個人的には"ほっぺた体操"がお気に入りです。これは、両手で頬を持ち上げて口角を上げた状態を30秒キープする体操です。

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だんだんと頬が疲れてきますが、手を放した後もしばらく口角が上がっている感じが残っていました。そのまま早口言葉をしゃべってみると、さっきより少し声の響きがクリアになったような気がします!

思っていた以上に頬が強張っていたことにも気づき、表情筋の衰えを自覚しました。これからはマスクの下でも飛び切りの笑顔を心掛けます。


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また、日常的にマスクをすることによって、呼吸が浅くなってしまっていることも問題視されています。脳に酸素が回らなくなり、さまざまな不調を引き起こすのだそうです。人のいないところや家でマスクを外す際には、ぜひ意識して深呼吸をするようにしてみてくださいね。

まだまだ暑い日が続きます。夏のマスクは特に厳しいですが、熱中症予防に水分・塩分補給をしっかりして、元気に乗り切っていきましょう!

Posted at:11:00

雨の日も楽しく過ごそう♪読み聞かせやわらべうた


関東地方も雨の日が多くなり、まもなく梅雨という時期になりました。

外で遊べない日は、おうちでの読み聞かせやわらべうたはいかがでしょうか?

今回は、千代田区内の教育施設で読書支援活動を行う学校支援担当司書が、雨の日も楽しくなる絵本や、歌いながら楽しい手あそびができるわらべうたを教えます!




雨の時期におすすめな絵本の1冊目は『あめふり』。ママやパパもきっと大好きだった「ばばばあちゃんの絵本」シリーズです。

毎日毎日やまない雨に怒ったばばばあちゃんは、雲の上のかみなり達をこらしめることに...。たくさんのかみなりが空から落ちてくるページは大迫力!ページのすみずみまでゆかいな絵が楽しめます。

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『あめふり』

さとう わきこ/作・絵

福音館書店

2冊目は、『ちいさなきいろいかさ』

大好きな黄色いかさがうれしくて散歩に出かけた女の子。みんなをかさの中に入れてあげます。うさぎさんも、りすさんも、...きりんさんも!やさしい気持ちになれる一冊です。


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『ちいさなきいろいかさ』

にしまき かやこ/イラスト、もり ひさし/シナリオ

金の星社




本を読むのもいいけれど、ちょっと体を動かしたいな...という時におすすめなのがわらべうた。赤ちゃんと楽しめる「ぎっこん ばっこん よいしょぶね」をご紹介します♪

ぎっこん ばっこん よいしょぶね

おーきは なーみが たーかいぞ


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足をのばして座りながら赤ちゃんを膝の上にのせ、歌に合わせて、上半身を前後に動かします。船が波に揺られるイメージで、時々横に動かしたり、赤ちゃんを足の間に落とすようにしてあげると、さらに楽しいですよ!

お子さんがもう少し大きくなると、一緒に歌いながらできる手あそびもおすすめ。

この季節にぴったりな「ぽっつん ぽつぽつ」をやってみましょう。

ぽっつん ぽつぽつ あめがふる

ぽっつん ぽつぽつ あめがふる


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2人で向き合って歌いながら、お互いの片方の手のひらを、もう片方の人差し指でつつきます。

何度かくりかえしたら

ぽっつん ぽつぽつ あめがふる ざーーーーー


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「ざーーーーー」の声に合わせて、手のひらを指先でこちょこちょ、くすぐります。

古くから子ども達、お母さん達の間で歌い継がれてきたわらべうたは、それぞれの季節に合ったもの、お子さんの成長とともに楽しめるものがたくさんあります。

司書が保護者の皆さんとお話しする中では、わらべうたに対して「どうやって歌ったらいいの?」「メロディが間違っているかも」という声をいただくこともあるそう。

でも、心配いりません!わらべうたでの手あそびで大切なのは、ふれあいとコミュニケーション。お子さんと体をふれあって遊びながら、楽しい時間を過ごすことが一番です。

「伝承されたうたのなかには、今ではあまり使われていない言葉もあります。けれどもまずは言葉に出して、うたを楽しんでみてください。お子さんと共に楽しいふれあいができれば、それでいいんですよ」と司書。

わらべうたを紹介している本で、まずはお気に入りのものを見つけてみませんか?

『あかちゃんとお母さんのあそびうたえほん』には、今回ご紹介した「ぎっこん ばっこん よいしょぶね」も収録されています。


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『あかちゃんとお母さんのあそびうたえほん』

小林 衛己子/編、大島 妙子/絵

のら書店


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『子どもとお母さんのあそびうたえほん』

小林 衛己子/編、大島 妙子/絵

のら書店

雨が降り続く梅雨のシーズンも、おうちで楽しく過ごしましょう!

ぜひ、絵本を読んだり、わらべうたを歌ってみてくださいね♪



現在、千代田区立図書館は臨時休館中ですが、一部のサービスを行っています。
サービス内容・詳細など図書館の最新情報については区立図書館ホームページをご確認ください


資料の予約方法についてはこちら

Posted at:16:20

千代田図書館スタッフが紹介!「読むだけで旅気分」の本


5月16日は、松尾芭蕉が元禄2年(1689年)に「奥の細道」へと旅立ったことにちなみ「旅の日」です。

今回の「ちよぴたブログ」では、気軽にお出かけできない今だから読みたい「旅気分」が味わえる本を、千代田図書館 読書振興センターのスタッフ2人がご紹介します!

本の詳しい情報は、書名をクリックしてご覧ください。




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『旅ゆけば物語』ちくま文学の森13

安野 光雅、森 毅、井上 ひさし、池内 紀/編

筑摩書房

高校の国語の授業で読んだ福永武彦の作品が収められていると知り、この本を手に取りました。作品のタイトルは『一時間の航海』。"旅"というキーワードから、ふと思い出したのです。

沼津から戸田へ向かう定期船に乗った大学生の恋の物語。ただし、その恋は青年の空想の中だけのお話。船で隣りに座った若い娘との恋を空想し、船の揺れで現実に引き戻され...を何度も繰り返し、その空想は回を増すごとに壮大な展開を見せます。彼の創造性の高さに感心せずにはいられません。定期船の1時間程度の航行を"航海"と呼ぶところからして、日常をドラマチックなものへ変換する能力に長けていると言えます。彼の逞しい空想に若干戸惑いを感じつつも感心する一方で、船を降りた後の彼はちゃんと現実の日常を送れているのか心配にもなりました。

本書には上記作品のほか、アンデルセン、山下清、大杉栄など国内外問わずさまざまな人物が記した旅や風土にまつわる短編が集められています。ふらりと旅に出るように、気になる作品のページから読んでみるのもおすすめです。(竹原)


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『百鬼夜行絵巻 妖怪たちが騒ぎだす』

湯本 豪一/著

小学館


旅はもちろん、友だちとちょっとお出かけするのも我慢。大勢で夜の街を出歩くなんてもってのほか!このように行動を制限された人間たちを尻目に、楽しそうに列をなして夜の街を練り歩く姿があります。妖怪たちの夜の行進、百鬼夜行です。

『百鬼夜行絵巻 妖怪たちが騒ぎだす』は、現存する最古のものとされる大徳寺真珠庵所蔵の「百鬼夜行絵巻」を中心に、妖怪絵巻を紹介しています。赤鬼、青鬼、赤い顔から手が2本生えただけの妖怪、獣の手足を持つお歯黒をした女妖怪、琴の妖怪を曳く琵琶の妖怪、鍋蓋の妖怪、などなど、伝説の中で語られていそうなものから身近な日用品まで、さまざまな妖怪が登場します。妖怪たちの表情は生き生きとしていて、けたたましい笑い声が聞こえてきそうです。みんな口角が上がっていて、とても楽しそう。いいなぁ...。夜の街はしばらく皆さんにお譲りしますから、その代わりに街を通り抜ける際には疫病を一緒に持っていってくださいませんか?と思わず本の中の妖怪たちにお願いをしてしまいました。

※ちなみに、ここにはアマビエは出てきません。(竹原)


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『絲山秋子の街道を行ぐ』

絲山秋子/著

上毛新聞社事業局出版部


『絲山秋子の街道を行ぐ』は、東京都出身・群馬県在住の作家 絲山秋子さんが群馬県内各所を訪ね、その土地の魅力をつづった紀行文の新聞連載をまとめた一冊です。司馬遼太郎を思わせる書名は、上州弁で「けぇどをいぐ」と読みます。

土地と人との描写に定評のある絲山さんの小説のファンはもちろん、ドライブ好き、旅行好きの方にもおすすめ。遠くの海外リゾートだけでなく、近郊にちょっとドライブに行くのにも我慢しなくてはいけないこの頃ですが、行けるようになったらこの温泉に入ろう、この直売で野菜を買おう、この道を走ってみたい...とページをめくるのも楽しいものです。

また、読んでいると、土地に愛着を持つことについても考えさせられます。その土地の人と話し、美味しいものを見つけ、歴史を知るためには、自分の心のありようも関わってくるのかもしれません。自分の住む街を、知らないうちから勝手に「何にもない街」と決めつけていないか、ちょっと振り返ってみたくなりました。(高橋)


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『季語の科学』

尾池和夫/著

淡交社


「旅の日」が松尾芭蕉に由来するということなので、最後は俳句関連の本をご紹介。『季語の科学』は、地球科学者の著者が、俳句に欠かせない季語の意味を、科学的見解から解説する一冊。例えばこれからの季節"夏"の季語をいくつか取り上げてみると、「雷」はその発生メカニズムから世界の雷にまつわる文化まで、「雨蛙」はその分布地からアマガエルがどんな毒を持っているか、まで...。解説の後に添えられた、それぞれの季語を用いた俳句も、より理解を深める助けになってくれます。

これまで何となく「風流でいいな」ととらえていた季語の数々も、科学の目で見ると、気候や天文と強く結びつき、人々の生活に密着して生まれてきたものだということがわかります。

特別なことがなくたって、毎日の生活は季節の移り変わりという旅の途中にあります。まずは一つの季語から、俳句に触れてみるのはいかがですか?(高橋)





サービス内容詳細など図書館の最新情報については、区立図書館ホームページをご確認ください。

資料の予約方法についてはこちら

Posted at:11:00

子どもたちが選ぶ"大切な本・忘れられない本"
~「千代田区子ども読書調査」より;中学生編~


前回のブログ
に引き続き、千代田図書館 読書振興センターが行う「千代田区子ども読書調査」から、千代田区内の子どもたちが選んだ"大切な本・忘れられない本"をご紹介していきます!


昨年11月に行った「第6回千代田区子ども読書調査」の質問項目「大切な本や忘れられない本がありますか?」に対する回答の中から、区立中学校・中等教育学校の1~3年生で多く挙がった作品や千代田区立図書館に所蔵がある本をピックアップしました。

※書名をクリックすると、本の詳しい情報がご覧いただけます。

中学1~3年生の「大切な本・忘れられない本」

小学生、中学生ともに毎回多く挙げられる「ハリー・ポッター」シリーズに続き、『ぼくらの七日間戦争』が人気を集めました。昨年度の小学4~6年生の調査で上位に挙がった本が、今年中学生になった生徒たちから変わらぬ支持を得ているようです。

また、小学校・中学校の国語の教科書に載っている『西の魔女が死んだ』『星の王子さま』を挙げる生徒も複数いました。

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『ぼくらの七日間戦争』

宗田 理/作

ポプラ社

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『西の魔女が死んだ』

梨木 香歩/著

新潮社


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『星の王子さま』

サンテグジュペリ/著、池澤 夏樹 /訳

集英社

※『星の王子さま』は、この池澤夏樹 訳以外の新訳や絵本など、さまざまな形で出版されています。また、それらに加えて、古くから親しまれている内藤濯 訳も区立図書館で所蔵しています。


ヤングアダルト世代に人気の小説からは、数学をテーマにした作品を2タイトルご紹介。どちらも数学の天才少年・少女が登場する物語で、未知の学問に誘ってくれる大人にとっても魅力的な本です。

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『お任せ!数学屋さん 1』

向井 湘吾/著

ポプラ社

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『青の数学 1』

王城 夕紀/著

新潮社


『舟を編む』は、国語辞書の編纂に奮闘する人々を描くお仕事小説。作品をきっかけに、舞台である「本の街」神田神保町にも興味を持ってもらえるといいな...なんて考えてしまいます。

その他にも、海外長編小説の『レ・ミゼラブル』や、シリアから内戦の状況をTwitterで発信し続けた少女の手記『バナの戦争』など、多様な作品が挙げられました。

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『舟を編む』

三浦 しをん/著

光文社

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『レ・ミゼラブル 上』

ユーゴー/作

岩波書店

※ここで紹介しているのは少年少女版(豊島与志雄/編訳)です。このほか、千代田図書館には新潮文庫(佐藤朔/訳)や、ちくま文庫(西永良成/訳)などの『レ・ミゼラブル』日本語完訳の所蔵があります。


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『バナの戦争』

バナ・アベド/著

飛鳥新社

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


今回の調査でも、千代田区の学校に通う子どもたちが、日々さまざまな本に触れていると感じることができました!

千代田区立図書館は現在、緊急事態宣言発出にともない臨時休館中ですが、ホームページまたは電話で事前予約をした資料の受け取り・貸出サービスは継続して行っています。ぜひご利用ください。

サービス内容詳細など図書館の最新情報については、
区立図書館ホームページをご確認ください。

資料の予約方法についてはこちら

Posted at:12:00

子どもたちが選ぶ"大切な本・忘れられない本"
~「千代田区子ども読書調査」より;小学生編~


千代田図書館 読書振興センターでは、子どもと子どもをとりまく大人の読書活動を推進するさまざまな取り組みを行っています。そのひとつに「千代田区子ども読書調査」があります。千代田区立小学校・中学校に通う子どもの読書の状況や変化を把握し、読書活動推進に関する施策に活用することを目的として、平成27年11月から毎年実施しています。


今回のちよぴたブログでは、昨年11月に行った「第6回千代田区子ども読書調査」の質問項目のひとつ、「大切な本や忘れられない本がありますか?」に対する回答の中から、多く挙げられたタイトルや千代田区立図書館に所蔵がある本をご紹介します。

小学1~3年生の「大切な本・忘れられない本」


小学校低学年で最も人気が高かったのは「かいけつゾロリ」シリーズ。前回の調査でも上位に挙げられていました。第1作が発表されてから30年以上経った今も、変わらず子どもたちから愛され続けている作品です。

また、『ずーっとずっとだいすきだよ』『ハニーのためにできること』など、身近な動物との別れを描いた本も挙げられていました。コロナ禍でペットを飼う人が増えているといいますが、動物を家族に迎え入れることについて、本を通して子どもと一緒に考えてみるのもよいかもしれません。

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『かいけつゾロリのチョコレートじょう』

原 ゆたか/作・絵

ポプラ社

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『ずーっとずっとだいすきだよ』

ハンス・ウィルヘルム/作 久山 太市/訳

評論社

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『ハニーのためにできること』

楠 章子/作

童心社


小学4~6年生の「大切な本・忘れられない本」


小学校高学年では、3年連続で「ハリー・ポッター」シリーズが一番人気です。そのほかに『かがみの孤城』『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』『君の膵臓をたべたい』など、児童書に限らず大人にも話題のベストセラー作品も多く挙げられました。親子で同じ本を読んで感想を語り合うのも楽しいですね。

そして、「鬼滅の刃」シリーズのタイトルが多く挙げられていたのは納得の結果でしょうか。原作はマンガですが、ノベライズ本や関連本なども多く出版され、子どもが活字に触れるきっかけにも繋がっているようです。

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『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』

J.K.ローリング/作、松岡 佑子/訳

静山社

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『かがみの孤城』

辻村 深月/著

ポプラ社

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『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

ブレイディ みかこ/著

新潮社

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『君の膵臓をたべたい』

住野 よる/著

双葉社

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


書名をクリックすると、本の詳しい情報がご覧いただけます。また、資料の予約方法についてはこちらをご確認ください。

次回は「中学生」編をお送りします!お楽しみに♪

Posted at:14:00

【日比谷カレッジ】まちづくりの専門家が「看板建築」を語る

「看板建築」をご存じですか?

東京の歴史や街歩きがお好きな方なら、一度は聞いたことがあるかもしれません。

看板建築とは、関東大震災復興期の大正末期から昭和初期の、東京で多く造られた商店の建築様式です。商店兼住居の木造建築のファサード(正面部分)に立てた壁面をモルタルや金属板などで覆い、その表面に西洋建築風やアールデコ調など、当時流行した装飾を自由に施したものです。



千代田図書館周辺神田神保町古書店街を歩いていても、看板建築の建物がよく目にとまります。


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靖国通りに面したこの一角は、もっとも"神保町らしい"と言える風景のひとつ。

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千代田図書館の周辺に現存する看板建築には、店舗や住居として現在も使われているものが多くあります。商店街や路地を歩いていて、ふと目をあげると、懐かしいのにどこか新しい、看板建築のデザインの面白さに気づかされます。

街並みが新陳代謝を繰り返す中でも、さりげなく佇み続ける姿が多くの人の心をとらえるのかもしれません。

そんな看板建築の魅力を、まちづくりの専門家の視点で語る講演会が行われます!

4月24日(土曜日)の日比谷カレッジ「まちづくりの専門家が語る―看板建築 まちの暮らしとともにあるアキナイ建築」では、地域のブランディングや公共空間づくりを手がける萩野正和さんを講師にお迎えし、まちづくり景観づくりの観点から「看板建築」をひも解きます。

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『看板建築 昭和の商店と暮らし』

萩野正和/監修

トゥーヴァージンズ

こちらの著書でも、現存する看板建築の数々を、建築物としての側面だけではなく、そこで暮らしながら商売を営む人々にもスポットを当てて取り上げていた萩野さん。

当日はどんなお話がきけるのでしょうか?ぜひ、この機会にご参加ください♪



まちづくりの専門家が語る

―看板建築 まちの暮らしとともにあるアキナイ建築


【開催日時】 4月24日(土曜日)午後2時~午後3時30分

【開場時間】 午後1時30分

【会  場】 日比谷図書文化館 地下1階 

日比谷コンベンションホール(大ホール)

【講  師】 萩野 正和さん(株式会社connel 代表取締役)

【定  員】 60名(事前申込順、定員に達し次第締切)

【参 加 費】 1,000円

【申込方法】 日比谷図書文化館へお電話(03-3502-3340)、

またはこのページのお申し込みフォームから

Posted at:10:50

"桜"と聞いて思い浮かぶ作品は?

が見頃を迎えています。

千代田図書館からほど近い千鳥ヶ淵の桜も満開になりました。

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さて。""と聞いて、みなさんはどんな作品を思い浮かべますか?

「桜の樹の下には屍体が埋まっている」

という一節が頭に浮かんだものの、これが書かれている小説のタイトルは何だったか...読書家の方にとっては愚問になってしまうかと思いますが、今回はその答えを探しつつ千代田区立図書館の蔵書をご紹介します。


○●○●○


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『桜の森の満開の下』
(『桜の森の満開の下・白痴 他十二篇』収録)

坂口安吾/著

岩波書店


さきほどのフレーズとともに浮かんできたのが、このタイトル。

しかし読んでみると、書かれているのはこの作品ではありませんでした。私のように混同して覚えていた、という方もじつは少なくないようです。

山賊の男と美しく残酷な女の物語。妖しい魅力に怖ろしさを感じながらも惹きつけられます。読後に夜桜を眺めると、そこにはなんだか不思議な力がうごめいているような気がしました。


○●○●○


続いて、坂口安吾の『桜の森の満開の下』をベースにして書かれた作品を2つご紹介します。



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『桜の森の満開の下』(『新釈 走れメロス 他四篇』収録)

森見登美彦/著

祥伝社

表題作『走れメロス』をはじめとした日本近代文学の名作を現代に置き換えて創作された短編集。その中で、京都の男子学生を主人公にして生まれ変わらせた『桜の森の満開の下』。千代田の桜もよいですが、「哲学の道」など京都の桜も見に行ってみたくなります。どちらか一方だけでももちろん楽しめますが、安吾版と森見版を2作読み比べるといろいろな発見があり、また違った楽しみを味わえます。



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『贋作・桜の森の満開の下』

野田秀樹/著

新潮社

何度も上演されている、野田秀樹の人気舞台作品の戯曲。『桜の森の満開の下』だけでなく『夜長姫と耳男』などの坂口安吾の小説やエッセイも要素として取り入れられています。

野田秀樹ならではの言葉遊びも楽しめる、壮大な魑魅魍魎の世界が展開するエンターテインメント作品です。


○●○●○


さて。気になるのは冒頭のあのフレーズ。出てくるのはこちらの小説でした。



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『桜の樹の下には』(『檸檬』収録)

梶井基次郎/著

新潮社


なぜ桜の花はあんなに見事に咲くのか。その美しさの理由を「俺」が「お前」に語りかける形式で書かれた短編です。爛漫と咲き乱れる桜の花に対して描かれる屍体の醜さに、思わず顔をしかめてしまいます。生命力と死について考えさせられる内容、と書くと堅苦しく難しそうですが、とても短い作品なのですぐに読むことができます。桜の樹の下で読んで、そのあとにじっくり考察してみるのもいいですね。


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気になる本がありましたら、ぜひ図書館へ。

今回ご紹介した本はすべて貸出可能です。

本のなかの世界でも桜をお楽しみください!

Posted at:17:15

千代田図書館スタッフが選ぶ、今年最初に読みたい本

ステイホームでのスタートとなった2021年。おうち時間はもうしばらく続きそうですね。

おうち時間といえば、読書!

ということで、千代田図書館スタッフに「今年最初に読みたい本」を聞いてみました。

今回ご紹介する本は、千代田区立図書館で借りることができます。本の詳しい情報は書名をクリックしてご覧ください。

・・・○・・・○・・・○・・・○・・・○・・・○・・・

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『携帯 東京古地図散歩 浅草編』

原島広至/著

青幻舎

大正ブーム到来でしょうか? 先日、インターネット上に大正時代の映像情報が流れてきました。おおもとの映像は、アムステルダムにあるアイ・フィルム・ミュージアムに所蔵されており、それがYouTubeにアップされたようです。

映像には、建物の様子から、雷門や仲見世通りと判別できるもののほか、上野動物園や不忍池(あるいはひょうたん池?)、浅草六区と思われるものも出てきます。

さらに映像には、「十二階」と書かれた建物が出てきます。そう、この建物こそ、当時日本一高い塔であり、日本初の電動式エレベーターが導入された、凌雲閣です。凌雲閣は十二階建ての高層建築物であったことから「浅草十二階」、あるいは「十二階」とも呼ばれていました。

かつて、浅草に凌雲閣という高層建築物があり、関東大震災で崩落したという話は聞いたことがありましたが、まさか当時の様子を映像で見られるとは思いませんでした。

残念ながら、この映像では、凌雲閣の外観全てや、内部の様子までは見ることはできませんでしたが、コロナ禍が落ち着きましたら、Web観光はこのぐらいにして、本書を持って浅草へ、物見遊山に出かけたいところです。(総務・杉田)


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『最初の質問』

長田弘/詩 いせひでこ/絵 

講談社


「今年最初に読みたい本」というテーマから、真っ先に思い浮かんだのがこの絵本でした。「最初」という言葉が入っているからという安易な発想でしたが、あらためてこの本を読み返して、やはり1年の始まりにふさわしい本だと思いました。

この絵本は、長田弘さんの名詩に、いせひでこさんが描く美しい絵をつけたものです。「最初の質問」というタイトルの通り、始めから終わりまでずっと問いかけが続きます。

"「ありがとう」という言葉を、今日、あなたは口にしましたか。"

"あなたにとって「わたしたち」というのは、誰ですか。"

その問いかけのどれもが素晴らしく、深く心に残るものばかりで、思わず目を閉じてじっくりと考えたくなります。

昨年は、当たり前だと思っていたことが当たり前ではなくなり、生活や仕事など様々な面で変化が多い1年でした。先が見えない不安な日々が続きますが、そんな時こそこの本を読み、ゆっくり自分自身と向き合う時間を作っていきたいです。(学校支援・山口)

・・・○・・・○・・・○・・・○・・・○・・・○・・・

◆◇◆千代田区立図書館よりお知らせ◆◇◆

緊急事態宣言の発出に伴い、千代田区立図書館は現在、サービス内容を変更して開館しています。

詳細はこちらをご覧ください。


今後、新型コロナウイルス感染症を取り巻く状況に変化が生じた場合は、再度利用の制限や休止をすることがありますので予めご了承ください。
利用条件に変更があった場合は、
千代田区立図書館ホームページにてお知らせいたします。

Posted at:10:30

千代田図書館長の読書日記


皆さん、明けましておめでとうございます。本年も「ちよぴたブログ」をよろしくお願いいたします。

新年はじめの記事は「千代田図書館長の読書日記」をお送りします。


2020年はコロナ禍に襲われて思いもよらない年になりました。今年はどんな年になるのでしょうか。できれば明るい出口が見えてくることを祈るばかりです。

ただ、家にいる時間が増える現実は、「本を読む」にはむしろ好都合な状況と言えるでしょう。そして、新たに出版される本はもちろん魅力的なのですが、どこか家の隅に眠っている本を引っ張り出してみるのにも良い機会かもしれません。

そう思って、私自身が本棚から引っ張り出したのは、安部公房『砂の女』(新潮社)。中学生のころ本棚に並んでいたのを見つけて読んだ記憶はあるものの、ただ暗いイメージだけが残っているばかりで、どんな内容だったかまるで覚えていませんでした。しかし、読み始めると何と一気読み。

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『砂の女』

安部公房/著

新潮社


そこである作品を思い出しました。著者の作品は難解で読みたくないという人が少なくないのですが、おそらくこの作品なら大丈夫。「赤い繭」

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「赤い繭」(『安部公房全集 12』に収録)

安部公房/著

新潮社

5分もあれば読破できます。抽象的な内容の物語ですが、文章も粗筋も平易。どんな解釈でも構わないでしょう。解釈の仕方そのものが、その解釈をした読者の世界観を表すような気がします。こんな作品はなかなかお目にかかれません。

もっとも、あまりに短い作品なので千代田図書館の中では全集から見つけていただくことになります。それに、この作品だけでは時間的に物足りないと言われそうなので、少し長い作品をもう一つご紹介します。

森博嗣『女王の百年密室』『迷宮百年の睡魔』(ともに新潮社)『赤目姫の潮解』(講談社)。百年シリーズと言われるものです。

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『女王の百年密室』

森博嗣/著

新潮社

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『迷宮百年の睡魔』

森博嗣/著

新潮社

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『赤目姫の潮解』

森博嗣/著

講談社


著者には『すべてがFになる』(講談社)など人気作品が多く、ファンクラブまで存在していますが、自身はこのシリーズが最後の小説と宣言しています。

身体と意識が別になったらどうなるのかという工学博士らしい独特な発想は、AIが珍しくなくなった世界の行く末を感じさせてくれる気がします。一般には推理小説としてジャンル分けされるのでしょうが、最後の『赤目姫の潮解』まで読み進むと、ファンタジー的色彩が強くなり、ともすれば哲学的思考に誘われる不思議な感覚を味わえる作品です。

未だコロナ禍の最中にありますが、今年が皆さんにとって良い年となりますよう。本はいつでも皆さんの傍らにあります。

Posted at:10:00

12月4日~10日は人権週間 読んで考えよう人権のこと


12月4日(金曜日)から世界人権デーである12月10日(木曜日)までの1週間は、法務省の人権擁護機関が定めた第72回 人権週間です。

今回は千代田区立図書館の本の中から、この機会に読んで考えたいさまざまな「人権」についての本をご紹介します!

人権とは、性別や国籍、年齢、障害の有無を問わずその人らしく幸福に生きることができる、誰もが持つ権利のことです。

12月10日の世界人権デーは、1948年のこの日にパリで開催された第3回国際連合総会で「世界人権宣言」が採択されたことを記念して制定されました。

この「世界人権宣言」、学校の授業などでは聞いたことがあってもその中身まで知っている方は、実は少ないのではないでしょうか?

『ビジュアル版 世界人権宣言』は、30の条文を世界中のアーティストが手がけたイラストとともに紹介。絵と文章の両面からその内容を知ることができます。

また条文一つ一つのテーマを掘り下げ、各国の作家、哲学者、政治家などが世界人権宣言に至るまでの社会で記してきた文章もあわせて掲載しています。

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『ビジュアル版 世界人権宣言』

シェーヌ出版社/編、遠藤 ゆかり/訳

創元社

次に紹介するのは、子どもと一緒に読みたい一冊。絵本作家のヨシタケシンスケさんが、美学者で東京工業大学准教授の伊藤亜紗さんの著書『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社)をベースにして作った絵本です。

「世界の見え方ってみんな同じじゃないの?」「ふつうとちがうってどんなこと?」を子どもにもわかりやすく、楽しく描いています。

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『みえるとか みえないとか』

ヨシタケ シンスケ/さく、伊藤 亜紗/そうだん

アリス館

続いては、これからの時代のジェンダーのありかたを"男性"側から論じた一冊。

性差に限らず、世の中の様々な不平等が引き起こす問題に関してのニュースを目にしたとき「自分には縁がない問題だな」「不平等なんて本当にあるの?」と一度でも感じたことのある方におすすめしたい本です。

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『男らしさの終焉』

グレイソン・ペリー/著、小磯 洋光/訳

フィルムアート社

最後にご紹介するのは、現代の日本でいま起こっている不平等や生きづらさを見つめさせてくれる本です。

新型コロナウイルスの流行がもたらした患者や医療従事者たちへの偏見、インターネットを通じた誹謗中傷など、誰もがその当事者になりうる新しい人権問題が今なお生まれつつあります。社会の問題を"見えないこと"にしない、"他人事"と思わないことが、誰もが幸福に生きられる世界へのスタートラインではないでしょうか。

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『生き方の不平等 ―お互いさまの社会に向けて』

白波瀬 佐和子/著

岩波書店

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『想像力欠如社会』

水島 宏明/編著、水島ゼミ取材班/著

弘文堂



千代田図書館では、調べものに役立つ資料やツールを紹介した「情報探索の道しるべ」パスファインダーを発行しています。

今回のおすすめ本に加え、こちらもぜひ参考になさってください。

高齢者の介護について調べる

乳幼児の子育てについて調べる

環境問題について調べる


その他のパスファインダーはこちらからご覧ください


また、千代田図書館10階と同じフロアには男女共同参画センターMIWがあり、情報ライブラリには男女共同参画社会づくりに関する様々な資料が揃っています。
千代田図書館にご来館の際には、あわせてお立ち寄りください。

Posted at:11:10

学校支援担当司書が選ぶ!さまざまな読み聞かせにおすすめの絵本


今回のちよぴたブログでは、小学校や中学校、保育園・幼稚園・こども園に児童館など、区内のさまざまな教育施設で読書支援活動を行う学校支援担当司書がおすすめする本をご紹介!

幅広い年代の子どもたちに日々接し、本を読んであげたりお話しを聞かせたりした時の反応をじかに見ている司書ならではのセレクトです。

赤ちゃんから小学生までの年代別に1冊ずつご紹介しますので、読み聞かせをしてあげる子どもに合わせての本選びに、ぜひお役立てください♪

本の詳しい情報は書名をクリックしてご覧ください。

赤ちゃんへの読み聞かせに

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『ぴょーん』

まつおか たつひで/作・絵

ポプラ社

保育園や児童館の赤ちゃんクラブで人気の本です。
いろいろな生き物がぴょーんとジャンプすると、赤ちゃんも思わず一緒にぴょーん!

生き物たちの手足を広げてとびあがる様子に思わず笑ってしまいます。そして、バッタの絵の精密さにおどろきます。


幼稚園児・保育園児への読み聞かせに

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『かばくん』

岸田 衿子/作、中谷 千代子/絵

福音館書店

遠目がきくので、大勢の読み聞かせにもおすすめ。50年以上前の絵本ですが、今でも子どもたちに大人気。読んであげると、じっと聞き入ってくれます。

大きな口を開けたかばくんは迫力満点。かばくんののんびりした様子にもほのぼのします。

本選びに迷ったら、読み継がれた本を選ぶのがおすすめ。『かばくん』は1962年発行、すでに90刷以上されている絵本です。長く読み継がれている本には、"本の力"があります。

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「遠目がきく」本とは、挿絵がはっきりしていて遠くから見てもよくわかるもの。特に複数人の聞き手へ読み聞かせをするときには、「遠目がきく」かどうかが大事なポイントになります。


小学生へのストーリーテリングに


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愛蔵版おはなしのろうそく 1

『エパミナンダス』

東京子ども図書館/編

東京子ども図書館


子どもたちとより近い関係になれる気がするから、小学校の最初の図書館オリエンテーションで、よくストーリーテリング(語り手が物語を覚えて、聞き手に語ること)をします。

そんなとき大活躍するのが、東京子ども図書館の「おはなしのろうそく」シリーズ。私たちにとって、ストーリーテリングの教科書です。

特に「エパミナンダス」のおはなしは、どの学年でも大人気です。紹介してあげると、子どもたちもこの本を借りていきます。



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だんだん寒くなり、もうすぐ冬も本番。これからの季節は、あたたかい部屋の中で子どもも大人も本を楽しみましょう♪

図書館での本選びに迷ったら、ぜひ司書にご相談ください。

Posted at:11:10

秋の夜長に月をたのしむ本


秋はが美しい季節。10月1日は中秋の名月、その翌日は満月でした。夜空を見上げ月を眺めた方も多かったのではないでしょうか。

満月を見逃した!という方でも、まだまだ月を楽しむ機会がありますよ。10月31日にはブルームーンが現れます。ブルームーンとは、1か月に2回満月があるときの、2回目の満月の呼び方。海外では「ブルームーンを見ると幸せになれる」という言い伝えがあるとか。

さて。次の満月を待つ間に、読書はいかがでしょうか?

千代田区立図書館所蔵の資料から、秋の夜長に読みたい月の美しさを感じられる本をご紹介します。

本の詳しい情報は書名をクリックしてご覧ください。


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『ゆめみるどうぶつたち』

イザベル・シムレール /文・絵 石津 ちひろ /訳

岩波書店

コアラは木の上で、キリンは草の中で...動物たちは、月のきれいな夜にどんな夢を見ているのでしょう?美しく迫力のあるイラストレーションで、大人にもおすすめの絵本。



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「月の少年」

沢木 耕太郎 /作 浅野 隆広 /絵

講談社

彫刻家のおじいさんが暮らす湖のほとりの家に引っ越してきた少年・冬馬。ある満月の夜から次の満月の夜までに少年に起こった、ふしぎな体験を描きます。


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『月光』

林 完次/写真・文

KADOKAWA

街並みや自然、様々な風景に映し出される月の写真とともに、古来から俳句や詩歌に詠まれてきた"月をあらわす言葉"をおさめた一冊。ゆったりとページをめくりながら、言葉の美しさを味わうことができます。


○●○●○●○●○●○●○●○●○●


さいごに、千代田図書館の近くにある月を眺めるのにおすすめのスポットをご紹介!

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九段下交差点から市ヶ谷方面に上がっていく九段坂

今はなだらかな坂ですが、昔は急坂でした。坂上からの眺めはすばらしく、江戸時代には月見の名所として親しまれていたそうです。

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高灯籠と並んで夜空を照らす月を愛でるのも、趣がありますね。


月の美しい秋の夜長を楽しんでくださいね♪

Posted at:10:00

みんな大好き!カレーが食べたくなる本&神田カレー街食べ歩きスタンプラリー


9月も半ば、この夏の猛暑も峠を越えれば気になってくるのが"食欲の秋"。

神田・神保町界隈のグルメといえば、何といってもカレーですよね!

具のゴロゴロ入った昔ながらのカレーライスに、欧風、インド、エスニック...最近は香辛料を調合して作るスパイスカレーも人気です。


そこで今回は、千代田区立図書館が所蔵する本の中から「カレーが食べたくなる本」4冊をご紹介!

記事の最後には毎年恒例「神田カレー街食べ歩きスタンプラリー」のお知らせもあります♪




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『ランチのアッコちゃん』

柚木 麻子/著

双葉社

まずは小説を一冊。主人公の派遣社員・澤田三智子は、上司のアッコ女史こと黒川部長と"一週間のランチ取り替えっこ"をすることに。初日の月曜日、手作り弁当と引き換えに部長に指定され、三智子が恐る恐るたどり着いたのは、なんともおいしそうなカレーの香りが漂うビルの一室で...。


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『カレーの教科書』

石倉ヒロユキ/編集、シャンカール・ノグチ/監修

岩崎書店

カレーはいつ日本にやってきたの?カレーのおいしさの秘密って?子どもにも読みやすく、一冊でカレーのことが丸わかりの"教科書"です。

「もし、江戸時代にカレーがあったら」のページでは、当時の日本で手に入った食材を使い"昔カレー"作りを試みています。これが、今のカレーと一風変わってなかなかおいしそう!



『FOOD DICTIONARY カレー』

枻出版社

話題のスパイスカレーを食べてみたい、作ってみたいという方におすすめ。

レシピには見慣れぬ本格スパイスも登場しますが、調理工程ごとの写真が豊富でわかりやすく書かれています。今度の休日は、おうちでスパイスカレー作りにチャレンジしてみませんか?


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『東京の名店カレー 黄金色のスパイス51粒』

小野 員裕/著

実業之日本社

カレー通の著者がおすすめする名店として挙げられるのは、専門店や洋食店、喫茶店はもちろん、和食・居酒屋(!)、中華料理屋(!!)まで。日本で独自に進化を遂げたカレーの豊かさに、改めて驚かされます。

神田、神保町、御茶ノ水など千代田区内のお店も多く掲載。



神田のカレーを食べ尽くしたい!という方におすすめなのが、現在開催中の神田カレー街食べ歩きスタンプラリー2020

カレーの食べ歩きでスタンプを集めて、神田カレーマイスターを目指そう!千代田図書館昌平まちかど図書館神田まちかど図書館に来るついでにも立ち寄れる神田エリアのお店が多く参加しています。

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スタンプラリーには、スタンプシートとスマホ版で参加することができます。

千代田図書館のコンシェルジュが出張している「小学館ギャラリーBH 本と街の案内所」(千代田区神田神保町1-15)でも、スタンプシートが入った神田カレー街公式ガイドブック2020を配布中!※なくなり次第配布終了

詳しくはこちらのページをご覧ください。

神田カレー街食べ歩きスタンプラリー2020

Posted at:11:20

ただいま準備中!スポーツゆかりの地を巡る神保町ツアー

9月12日(土曜日)に「千代田図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー『本の街 スポーツの街』編」を開催します!

今回は第1部のトークショーと第2部の街歩きツアーの2部構成で、日本のスポーツ発展の歴史や、千代田図書館周辺のスポーツゆかりの地について知ることができる内容です。

※9月4日現在、第1部と第2部通してのお申込み受付は定員に達したため終了しています。第1部のみのご参加はお申込みいただけます。

第1部のゲストにお迎えするのは、ノンフィクション作家の野地秩嘉さん。1964年のオリンピック東京大会を裏側から支えた人々に焦点を当てた著書『TOKYOオリンピック物語』は、2020年大会の延期が決まった今年に改めて読みたい一冊です。

当日はどんなお話しが聞けるのでしょうか?お楽しみに!


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『TOKYOオリンピック物語』

野地 秩嘉 /著

小学館


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野地秩嘉(のじ つねよし)さんプロフィール

1957年、東京都生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学商学部卒業。『キャンティ物語』(幻冬舎)、『サービスの達人たち』(新潮社)、『TOKYOオリンピック物語』(小学館)、『トヨタ物語』(日経BP)、『スバル―ヒコーキ野郎が作った車』(プレジデント社)、『ニューヨーク美術案内』(光文社)など著書多数。現在、Webメディア「みんなの試作広場」にて「Tokyoオリンピック2020と技術レガシー」を連載中




そして第2部では、千代田図書館コンシェルジュが、千代田図書館周辺や神保町古書店街のスポーツに関連するスポットや古書店などをご紹介します。

こちらも、担当のコンシェルジュが日々準備をしています♪

まだまだ暑いこの時期、参加者のみなさんの安全を最優先に考えてのコースづくりを行っています。

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また、当日は新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、コンシェルジュや参加者同士でも距離を保ちながらも街歩きを楽しんでいただけるよう、現地に足を運び練習を重ねています。

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千代田区役所庁舎のはす向かいにある、高齢者総合サポートセンターかがやきプラザ(写真左)や神保町古書店街の真ん中に位置する神保町交差点(写真右)...。これらの場所が、日本のスポーツの歴史にどのようなゆかりがあるかご存じですか?

答えは当日のツアーの中でお伝えします。こちらも、どうぞお楽しみに♪

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

千代田図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー

「本の街 スポーツの街」編


【日  時】 9月12日(土曜日)

午後1時~午後3時20分(12時30分受付開始)

       ※荒天の場合は9月19日(土曜日)に順延

【集合場所】 千代田図書館9階 特設イベントスペース

【定  員】 ①第1部・第2部通し 10名

       (定員に達したため受付を終了しました)

       ②第1部のみ 10名

※いずれも事前申込制・先着順

※中学生以下の方は保護者の同伴必須

【参 加 費】 ①200円(イベント保険代として)

       ②無料

【申込方法】 千代田図書館へお電話もしくは10階カウンターへ

ご来館の上お申し込みください

※受付時間 平日のみ午前10時~午後6時

※申込について、詳しくはこちらのページをご確認ください。

参加にあたっての注意事項(PDF:100KB)をお読みいただき、

ご同意の上でお申し込みください。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

Posted at:09:50

子どもも大人も、読んで考えよう、備えよう「防災」の本


明日9月1日(火曜日)は「防災の日」、また8月30日(日曜日)~9月5日(土曜日)は防災週間です。

「防災の日」は大正12年(1923年)9月1日に発生した関東大震災を忘れず、教訓とするために制定されました。また8月末から9月にかけては、多くの台風が日本に近づく時期でもあります。

今回の「ちよぴたブログ」では、千代田図書館に所蔵する本の中から、地震や津波、豪雨などの災害について知り、考え、備えられる本4冊をご紹介します!

本の詳しい情報は書名をクリックしてご覧ください。

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『じしんのえほん こんなときどうするの?』

国崎 信江/作、福田 岩緒/絵、目黒 公郎/監修

ポプラ社

「きみがひとりでいるときに じしんがきたらどうしよう?」

教室で、通学路で、家で留守番中に、海のそばを散歩中に...様々な場面で地震にあったとき、どのように行動したらいいかを学べる絵本です。

何に気をつける?どうやって身を守る?読みながら、親子で話し合ってみましょう。


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『地図で見る日本の地震』

山川 徹/文、寒川 旭/監修

偕成社

次の地震に備えるためには、過去に起きた地震を知ることから。

古くは『日本書紀』に記された、記録上の"日本最古の地震"(679年の筑紫地震)から現在まで、日本各地に起きた地震の歴史を豊富なデータで振り返る、大人にもおすすめの一冊です。


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『災害時に役立つ かんたん時短、「即食」レシピ もしもごはん』

今泉 マユ子/著

清流出版

災害から身を守ることができたら、次に気になるのは「ごはんはどうする?」ということ。

電気・ガス・水道が止まっても作れる"即食レシピ"や最低限の火・水を使って作る"省エネレシピ"などに加えて、家庭の備蓄や在宅避難のポイントも紹介。防災訓練としてレシピを試してみるのも良さそうですね!


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『ドキュメント 豪雨災害―西日本豪雨の被災地を訪ねて』

谷山 宏典/著

山と溪谷社

地震に加え、近年多く発生しているのが大雨・強風・雷などの気象災害。

なかでも平成30年(2018年)7月に起きた西日本豪雨の甚大な被害は、私たちの記憶にもはっきりと残っています。岡山県・広島県の被災地を取材し、あの時なにが起きていたのか、私たちがここから学ぶべきことは何かを丹念に追ったノンフィクション。

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千代田図書館10階の児童書コーナーでは、展示「しっておこう そなえておこう 地震、自然災害」を9月6日(日曜日)まで開催中!

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防災に関する絵本や読みものを揃えています。ご来館の際には、ぜひお立ち寄りください♪

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防災についてさらに調べたい、知識を深めたい方には、千代田区内にある防災専門図書館がおすすめです。

防災専門図書館は国内唯一の防災・災害に関する専門図書館です。

千代田図書館では、2017年に「夏のわくわく課外授業」で親子向けの出張授業を行っていただきました。→イベントレポートはこちらの記事をご覧ください

防災専門図書館

【場  所】 千代田区平河町2-4-1 日本都市センター会館8階

【開館時間】 午前9時~午後5時

【休 館 日】 土曜日、日曜日、国民の祝日、年末年始、館内整理日

※現在、防災専門図書館では新型コロナウイルス感染拡大防止対策をとりながら開館し、一部サービスを休止しています。ご利用の際には、防災専門図書館ホームページで最新の情報をご確認のうえお出かけください。

Posted at:10:20

これで猛暑を乗り切れる?涼しさを感じられる本をご紹介


梅雨明けが待ち遠しい今日このごろ。どうやら今年の夏も暑くなりそうです。

今回は、涼しさを感じられる本を集めてみました。少しの間、本を開いて暑さを忘れてみませんか?

●◎〇◎●◎〇◎●◎〇◎●◎〇◎●◎〇◎●◎〇◎●

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『水の絵本』

長田弘/作、荒井良二/絵

講談社

やわらかな言葉で紡がれた詩とダイナミックで鮮やかな絵による、かけがえのない水の美しさが描かれた絵本。
涼を求めて水辺を訪れたときのような、清々しい気持ちになれます。


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『こおり』

前野紀一/文、斉藤俊行/絵

福音館書店

冷凍庫で氷を作ると、白いところやちいさな泡ができるのはなぜ?かき氷のシロップみたいに色のついた氷は作れる?南極や北極の海にできた厚い氷はしょっぱいの?・・・といった、氷の性質や疑問についてやさしく教えてくれる化学絵本です。
この本を見ながら、ひんやり冷たい実験にチャレンジするのも楽しそう♪


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『オレはどうくつ探検家』

吉田勝次/著

ポプラ社


ジャングルの草木をかき分けてたどり着いたのは洞窟の入口。せまい通路やどろの道、ときには水の中を潜って進んだその先には、外の光も太陽のあたたかさも届かない美しい空間が広がっています。
読み終えた頃には、すっかり探検家気分


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『水木しげるのTOKYO妖怪めぐり』

有田シュン/文、水木プロダクション/監修

源賀津己/写真

日本文芸社

見慣れた街の景色。じつはその中に妖怪が潜んでいたとしたら...?
東京の風景写真に水木しげるさんの妖怪イラストを組み合わせた本書を片手に、街歩きするのも楽しそうです。有楽町や永田町の風景など、千代田区内のスポットも登場します。


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『いるのいないの』

京極夏彦/作、町田尚子/絵、東雅夫/編

岩崎書店

人気作家が描く怪談えほんシリーズ。とても古い家で、おばあさんとふたりで暮らすことになった男の子。とても高い天井を見上げてみると...!
怖がりのひとは、明るい昼間に読むことをおすすめします。

●◎〇◎●◎〇◎●◎〇◎●◎〇◎●◎〇◎●◎〇◎●

紹介した本は、すべて千代田区立図書館で借りることができます。(貸出中の場合はご了承ください)。

本の詳しい情報は書名をクリックしてご覧ください。

Posted at:15:50

コンシェルジュ通信 Vol.48:『見聞調録』をご存知ですか?

見聞調録は、私たち千代田図書館コンシェルジュが街案内をする中で、見たり、聞いたり、調べたりしたことを、本や地域情報と一緒に紹介している刊行物です。

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今回はこれまでに発行したものの中から、Vol.17『お気に入りの文具に出合う』(2020年2月発行)Vol.18『はじめての茶の湯』(2020年3月発行)をピックアップして紹介します。



Vol.17「お気に入りの文房具に出合う」では、画期的な文房具やその活用術をまとめた本のほか、区内にある老舗から専門店まで様々な文具店を紹介しています。

中でもおすすめの本は、時代を超えて愛される文房具を用途別に紹介している『ときめく文房具図と仕事のパフォーマンスをアップさせる文具を集めた『仕事文具』です。日常的に使うものだからこそ、ちょっとした気分転換やアイテム選びの参考にしてはいかがですか?


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『ときめく文房具図鑑』

山崎真由子/著

山と溪谷



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『仕事文具』

土橋正/著

東洋経済新報社

同紙面では「文房堂ギャラリーカフェ」や「トラットリアレモン」など、画材店が営むカフェや文房具にまつわる飲食店も紹介しているので、梅雨の晴れ間のお散歩に足を運んでみてくださいね。



Vol.18
『はじめての茶の湯』では、敷居が高いイメージの茶道を気軽にはじめられる情報と、「なぜお茶をいただくことを"一服"と言うの?」などの豆知識の他、私たちが作成した『コンシェルジュのおすすめ手土産』ファイルの中から、お茶に合う和菓子が買える神保町の老舗店も紹介しています。


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コンシェルジュのおすすめファイル
は、千代田図書館コンシェルジュブースで見ることが出来ますよ。


紹介している本は、分かりやすい日本語で書かれた英訳付きの『英語DE茶の湯』や、インスタグラムの写真で構成されている『茶のある暮らし』など、初心者の方にも楽しめるものを選んでいます。

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『英語DE茶の湯』

保科眞智子/著

淡交社



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『茶のある暮らし』

千宗屋/著

講談社



また、見聞調録の中ではスペースの関係で紹介できませんでしたが、映画化されて話題になった森下典子さんのエッセイ『日日是好日』(飛鳥出版)と続編の『好日日記』(パルコエンタテイメント事業部)もおすすめです。どちらも季節と共に茶道を楽しむことができる1冊です。


このように『千代田図書館コンシェルジュの見聞調録』では、コンシェルジュならではの目線で様々な情報を発信しています。

ぜひ、心惹かれるテーマを見つけたら、紹介している書籍や資料、スポットなどをさがしてみてくださいね。



まだまだあります‼

『千代田図書館コンシェルジュの見聞調録』配布・閲覧案内

◆千代田図書館9階コンシェルジュブース

2009年8月発行分からのバックナンバー配布中

◆日比谷図書文化館1階受付・コンシェルジュカウンター

2017年6月発行分からのバックナンバー配布中

千代田図書館HPコンシェルジュサービス

全てのバックナンバーはこちらのページに掲載されています。

Posted at:13:10

千代田区の子どもたちが選ぶ「大切な本・忘れられない本」~中学生編~

前回のちよぴたブログでは、昨年11月に千代田図書館 読書振興センターが行った「第5回千代田区子ども読書調査」より、千代田区の小学生が選んだ「大切な本・忘れられない本」のうち、回答が多かった本や千代田区立図書館に所蔵がある本をご紹介しました。

小学生が選んだ「大切な本・忘れられない本」はこちらから



今回は同じく「第5回千代田区子ども読書調査」で、中学生が選んだ「大切な本・忘れられない本」をご紹介します!

本の詳しい情報は、書名をクリックしてご覧ください。



中学生の「大切な本・忘れられない本」

「大切な本や忘れられない本がありますか?」の問いに、「ある」と回答した中学生は65.3%

多い本には十数票が寄せられた小学生の調査結果とは異なり、じつに多種多様な本の回答がありました。



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『ねないこ だれだ』

せなけいこ/さく・え

福音館書店


小学生と同じく、家や幼稚園、保育園などで身近な大人に読んでもらった体験が印象に残っている生徒も多いようで、この他にも『100万回生きたねこ』(佐野 洋子/作・絵、講談社)、「おさるのジョージ」シリーズ(M.&H.A.レイ/著、福本友美子/訳、岩波書店)の名前もあがりました。



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『はてしない物語 上』

ミヒャエル・エンデ/作、上田真而子・佐藤真理子/訳

岩波書店




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『すえっこОちゃん』

エディス・ウンネルスタッド/作、下村隆一・石井桃子/訳

ルイス・スロボドキン/画

フェリシモ



子どもから大人までワクワクさせてくれる世界の児童文学もやはり人気です。

また、一度読み始めたら止まらないYA(ヤングアダルト)のシリーズものについても、多くのタイトルがあがりました。



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『都会(まち)のトム&ソーヤ 1』

はやみねかおる/著

講談社



この他『十二国記』シリーズ(小野不由美/著、新潮社)や『アルスラーン戦記』シリーズ(田中芳樹/著、KADOKAWA)、『テメレア戦記』シリーズ(ナオミ・ノヴィク/著、ヴィレッジブックス)なども人気がありました。大人の皆さんも、これをきっかけに手に取ってみてはいかがでしょうか?

ほかにあげられたヤングアダルト作品はこちら。



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『怪物はささやく』

シヴォーン・ダウド/原案、パトリック・ネス/著

池田真紀子/訳、ジム・ケイ/イラストレーション

あすなろ書房



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『中学生までに読んでおきたい哲学 2 悪のしくみ』

松田哲夫/編

あすなろ書房



中学生や高校生の時に教科書で読み、今でも大切な一冊になっているという大人も多い日本文学の作品も多く寄せられました。

梶井基次郎の『檸檬』、『人間失格』(太宰治/作、岩波書店)や『父の詫び状』(向田邦子/著、文藝春秋)など。



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『檸檬』

梶井基次郎/著、富田彩子/写真

PHP研究所




最後にご紹介するのは話題のベストセラー。2018年の本屋大賞を受賞した『かがみの孤城』をはじめ、映像化されたライトノベルや漫画まで入れるときりがないほど、たくさんの本が集まりました。



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『かがみの孤城』

辻村 深月/著

ポプラ社



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『ふたご』

藤崎彩織/著

文藝春秋



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『仮面病棟』

知念実希人/著

実業之日本社






今回ご紹介したのはほんの一部。千代田区の中学生の皆さんが、日頃から多くの本に触れていることを実感できました!

「第5回千代田区子ども読書調査」結果の詳細はこちらからご覧ください。

Posted at:13:00

千代田区の子どもたちが選ぶ「大切な本・忘れられない本」~小学生編~


千代田図書館 読書振興センター
では、千代田区立小学校・中学校に通う子どもの読書の状況や変化を把握し、今後の読書活動推進に関する施策に活用するため「千代田区子ども読書調査」を行っています。

今回のちよぴたブログでは、昨年11月に行った「第5回千代田区子ども読書調査」より、千代田区の小学生・中学生が選んだ「大切な本・忘れられない本」のうち、回答が多かった本や千代田区立図書館に所蔵がある本をご紹介します。

「大切な本や忘れられない本がありますか?」の問いに、「ある」と回答した小学生は75.4%

今の子どもたちはどんな本が好きなのでしょうか?大人の皆さんも子ども時代にきっと好きだった名作や、最新刊が次々と出版される人気のシリーズなど数多くのタイトルが寄せられました。

本の詳しい情報は、書名をクリックしてご覧ください。

小学1~3年生の「大切な本・忘れられない本」

小学校低学年では、入学前に家族などに読んでもらったと思われる絵本や読みもの、小学3年生の国語の教科書に載っている『ちいちゃんのかげおくり』を挙げる子どもが多く見られました。

また、本を読みながら冒険や謎解きが楽しめる「かいけつゾロリ」シリーズや「おしりたんてい」シリーズも大人気でした。

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『ちいちゃんのかげおくり』

あまんきみこ/作、上野紀子/絵

あかね書房

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『かいけつゾロリのドラゴンたいじ』

原ゆたか/さく・え

ポプラ社

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『おしりたんてい』

トロル/さく・え

ポプラ社

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『いやいやえん』

中川李枝子/さく、大村百合子/え、子どもの本研究会/編集

福音館書店

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『若草物語 上』

ルイザ・メイ・オルコット/作、海都洋子 /訳

岩波書店



小学4~6年生の「大切な本・忘れられない本」

小学校高学年になると、大人が読んでも楽しめる国内外の読みものが多く挙げられるようになります。『ぼくらの七日間戦争』の初版は1985年、『エルマーのぼうけん』日本版の初版は1963年!記憶に新しい『ハリー・ポッターと賢者の石』も、日本での初版は1999年です。
長く読まれている本が子どもたちにも根強い人気を誇る背景には、やはり保護者の皆さんや学校図書館司書など、子どもたちの周りの大人の影響も大きいのではないでしょうか?

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『ぼくらの七日間戦争』

宗田理/作

ポプラ社

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『エルマーのぼうけん』

ルース・スタイルス・ガネット/作

福音館書店

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『ハリー・ポッターと賢者の石』

J.K.ローリング/作、松岡佑子/訳

静山社

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『ハチ公物語-待ち続けた犬-』

岩貞るみこ/作、真斗/絵、田丸瑞穂/写真

講談社

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『ワンダー』

R・J・パラシオ/作、中井はるの/訳

ほるぷ出版



「第5回千代田区子ども読書調査」結果の詳細はこちらからご覧ください。

次回は「中学生」編をお送りします!お楽しみに♪

Posted at:17:30

千代田図書館スタッフが「子どものころに読んだ本」をご紹介!


今回の「ちよぴたブログ」では、ふだんブログ記事を書いている千代田図書館 読書振興センターのスタッフ2人が、子どものころに読んで今も思い出に残る本をそれぞれご紹介します♪

本の詳しい情報は、書名をクリックしてご覧ください。




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『かくしたの だあれ』

五味太郎/作

文化出版局

これは、私の記憶するかぎり、最初に好きになった絵本です。てぶくろや歯ブラシなどが動物のどこかに隠されているのですが、その隠し方がユニークで思わず笑ってしまいます。当時(おそらく3歳くらいです)私は、母や祖母、伯母など近くにいる大人を片っ端からつかまえてはこの本を渡し「かくしたのだあれ」「あった!」というのを毎日何度も何度も繰り返していたと思います。何度も繰り返すので、出てくる動物や隠されている物、隠し場所などすっかり覚えてしまい、しかしそれですぐに飽きるということはなく、ページをランダムにめくってみたり、本を逆さからのぞきこんでみたりして、"みつける"という作業が新鮮なものになるようにしていました。なかなか創意工夫でがんばっていましたね。こどものあたまのやわらかさで、いろいろな楽しみ方ができる一冊です。(竹原)


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『魔法使いのチョコレートケーキ』

マーガレット・マーヒー/作 シャーリー・ヒューズ/画

石井桃子/訳

福音館書店

8つのお話と2つの詩からなる短編集です。占いやおまじないなど、ちょっと不思議なことに興味津々の小学生女子だった私は、「魔法だ!ケーキだ!」とタイトルだけ見て手にとってみたのでした。はい。不思議なことと同じくらい、お菓子も大好きでした。表題作『魔法使いのチョコレートケーキ』に出てくるケーキは、想像していたとおりにとてもおいしそうに描かれていましたが、魔法使いのすがたは思い描いていたものとは違っていました。あっと驚くような魔法が次々と披露されると思っていたのに、この魔法使いは魔法がうまく使えないし、それになんだかさびしそう・・・。おとなになり、そしてなかなか人と会うことができない今あらためて読み返してみると、このお話が迎える幸せな結末が心に響きます。こどもの私がそこまで味わえていたかは覚えていませんが、このあと『おやつにまほうをかけないで』(さとうまきこ/作、いせひでこ/絵 小峰書店)、『チョコレート戦争』(大石真/作、北田卓史/絵 理論社)と連想ゲームのように読書をひろげていきました。(竹原)


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『かおかけちゃうよ エンバリーおじさんの絵かきえほん』

エド・エンバリー/作、横山直子/かき文字

偕成社

幼稚園児~小学校2年生くらいまで、近所の子どもたち4~5人で一緒にピアノ教室に通っていました。教室のグランドピアノの足元に小さな本棚があり、自分のレッスンの順番になるまでこの本を見て待ったものです。たくさんの子どもが通う教室なので本を借りることはできず、短い時間で一生懸命絵を覚えては家で描いて「なんかちょっと違うな・・・」の繰り返しでしたが、見ているだけで楽しくなる大好きな本でした。練習して来なかったり、教室で騒いだり、怒られたことのほうが多い習い事だったものの(先生ほんとうにごめんなさい!)この本があったので楽しい思い出になっています。

エンバリーおじさんが教えてくれるお絵かきは、丸・三角・四角といった簡単な図形だけで描けるものばかり。単純な組み合わせなのに、驚くほど多くのバリエーションのイラストが描けて、どれもかわいい!子どもはもちろん、イラストが苦手・・・と思っている大人にもぜひ手にとってほしい一冊です。他に『どうぶつかけちゃうよ』『しもんスタンプでかいてみよう』などもあるロングセラーのシリーズです。(高橋)


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『エジプトのミイラ』

アリキ/作・絵、神鳥統夫/訳

あすなろ書房

子どもはなぜか不思議なもの、こわーいものが大好き。わたしももちろんそうでしたが、比較的・・・いいえ、とても怖がりの子どもでした。この本を読んだのは小学校低学年のとき、友達の家だったと記憶しています。誰が何のために作ったのか?謎だらけのミイラやピラミッドについて、詳細なイラストで描かれています。本をめくるうち、とある1ページに子どものわたしは震え上がりました。人の体をミイラにする際、腐敗を防ぐために内臓などを取り除くのですが、脳をまさか、あんなところから取り出すなんて・・・!これ以上は、ぜひ実際の本の中でお確かめください。

ずっと記憶の中にあった本なのですが、各界の著名人が子どもの頃読んで印象に残った本について綴ったエッセイ集『十歳までに読んだ本』(ポプラ社)の中で、作家の西加奈子さんがこの本の「あのページ」について書いているのを読み、わたしは西さんと熱い握手を交わしたくなりました。(高橋)

Posted at:10:00

コンシェルジュ通信 vol.47:
ナクソス・ミュージック・ライブラリーを楽しもう♪



"ナクソス・ミュージック・ライブラリー"
をご存じですか?

ナクソス・ジャパン株式会社が運営する音楽データベースのことで、"音楽史を網羅する"をモットーに全世界の900以上のレーベルから提供された楽曲が収録されています。最大の特徴は"クラシック音楽の充実"にあり、その曲数はなんと200万曲以上!音楽史のほぼすべてが揃っていると言っても過言ではありません。


千代田図書館の貸出券を持っている方であれば、どなたでもご利用いただけるサービスです。

そこで、今回はコンシェルジュおすすめの"ナクソス・ミュージック・ライブラリーの楽しみ方"をご紹介します。

※ログイン方法はこちらをご覧ください。



「月刊クラシック通信」やプレイリストを参考にして選曲する。

曲数が多いので何から聴こうか迷ってしまう...という方は、ナクソス社から毎月刊行されている月刊クラシック通信を、ぜひ参考にしてみてください!

また、ナクソス・ミュージック・ライブラリーのトップページには、様々なテーマから選曲されたプレイリストも公開されています。誰もが知っている曲から珍しい曲まで、思わず聴いてみたくなってしまうラインナップです。新たな出逢いがあるかもしれませんよ!

お気に入りの1曲を複数のアーティストで聴き比べる。

ナクソス・ミュージック・ライブラリーでは、作曲家別・演奏者別・作品別・楽器編成別でも検索することが可能です。通常なら聴き比べをするためにはCDを一枚ずつ探さなければなりませんが、このサービスを利用すると、簡単に同じ曲を異なるアーティストで聴くことができます。

試しに、今年生誕250周年を迎えるベートーヴェンの代表作で、"歓喜の歌"としても知られる"交響曲第九番(合唱付き)"を検索してみましょう。

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こんなにヒットしました!

1曲をさまざまなアーティストの演奏で聴けるのは、クラシックならではの醍醐味とも言えます。テンポや強弱・解釈が人それぞれなので、同じ曲であってもまったく違う曲に聴こえることも...!

思う存分聴き比べして、これを機にお気に入りのアーティストを探してみてくださいね。

ナクソス・ミュージック・ライブラリーで音楽を聴きながら本を読む。

実は音楽が題材となっている小説はたくさんあります。そのシーンに流れる音楽を聴きながら読書してみるのはいかがでしょうか。より情景が鮮明になり、想像力を掻き立てられますよ♪

例えば、直木賞と本屋大賞をW受賞し話題になった恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』なら、ナクソス・ミュージック・ライブラリーのホームページ上にプレイリストがあり、小説に登場する演奏順に聴くことができます。
『蜜蜂と遠雷』プレイリストこちらをご覧ください。

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『蜜蜂と遠雷』

恩田陸/著

幻冬舎

ミステリーがお好きなら、中山七里さんの『さよならドビュッシー』シリーズや、海堂尊さんの『アリアドネの弾丸』もおすすめです。

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『さよならドビュッシー』

中山七里/著

宝島社

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『アリアドネの弾丸』

海堂尊/著

宝島社



ご自宅で過ごす時間が増えた方も多いと思いますので、ぜひ楽しんでみてくださいね♪

Posted at:11:00

ふたたびお会いできる日を待ちながら
~写真でふりかえる「ことばと音のフェスティバル♪」~

春。新しい季節は、いつもだったら活発に動きまわる日々を過ごしていたのに、今年はいつも通りとはいかない状況になってしまいました。

千代田区立図書館は現在、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言をうけ、5月31日まで休館し、イベント等も中止しています。(状況により期間変更になる場合あり)

毎年、こどもの読書週間(4月23日~5月12日)に行うイベント「ヨムキクちよだ」も、今年の開催は中止いたします。楽しみにしてくださっていた方々には、たいへん申し訳ありません。


そこで今回は「ヨムキクちよだ」復習編!イベントのひとつ「ことばと音のフェスティバル♪」のこれまでを特集します。


「ことばと音のフェスティバル♪」
はその名の通り、赤ちゃんから大人まで、皆さんにことば音楽に親しんでもらうイベントです。これまで様々なゲストがことばと音楽のコラボレーションを届けてくれました♪

2019年から2016年までをさかのぼって各回の様子をふりかえりつつ、イベントに関連した図書もあわせてご紹介します。

イベントの詳しいレポートは、各回のタイトルをクリックしてご覧ください。


2019年5月3日開催 「アルケミストのうたをつむぐコンサート」


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ボーカルとピアノの2人組 アルケミストと、ボイスパーカッションの渡辺悠さんをお迎えしてお送りしたコンサート。客席から募集した3つの言葉をもとに即興で歌・ピアノ・ボイスパーカッションを合わせ、その場で一曲を作り上げるコーナーは大盛り上がり!

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パウロ・コエーリョの小説『アルケミスト- 夢を旅した少年』からユニット名をつけたアルケミストには、文学作品から生まれた曲もたくさん演奏していただきました。


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『アルケミスト- 夢を旅した少年』

パウロ・コエーリョ/著

山川紘矢、山川亜希子/訳

地湧社




2018年4月28日開催 「よみしばい『モモ』」


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シアターオルト
の皆さんによる「よみしばい『モモ』」を上演。"よみきかせ"の気軽さと"おしばい"の迫力を組み合わせたスタイルの演劇で、世界中で愛されているミヒャエル・エンデの名作が区民ホールに登場しました。


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公演前のワークショップでみんなが作った風船のお花が、物語の最後に登場!参加型のお芝居に、子どもも大人も引きこまれました。


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『モモ』

ミヒャエル・エンデ/作

大島かおり/訳

岩波書店



2017年5月3日開催 「チリンとドロンの 世界のわらべうたと絵本のコンサート」


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うたとコントラバスのデュオ、チリンとドロンが登場!操り人形や様々な楽器を織り交ぜながら、世界中のわらべうたをたくさん演奏していただきました。

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ふしぎな言葉のリズムが楽しい絵本『ぱぽーぺぽぴぱっぷ』の読み聞かせも。


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『ぱぽーぺぽぴぱっぷ』

谷川俊太郎/文

おかざきけんじろう/絵

クレヨンハウス




2016年5月1日開催 「親子で楽しむ!はじめてのジャズ」


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千代田区内にある正則学園高等学校 ビッグバンド部の皆さんと、千代田図書館の司書とのコラボ公演!息がぴったりの演奏、それぞれのソロが決まった後は温かい拍手が起こりました。


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小さな子どもも聞きなじみのある「きらきら星」やジャズのスタンダードナンバーの演奏と組み合わせて、司書が絵本『つきよのおんがくかい』などを読み聞かせしました。


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『つきよのおんがくかい』

山下洋輔/作

柚木沙弥郎/絵

福音館書店



今回の中止はとても残念ですが、次回の開催までにしっかりと準備をしておこうと思います!どうかそのときまで楽しみに待っていてくださいね♪

Posted at:17:00

子どもも大人も絵本で元気に!4月2日は「国際子どもの本の日」


4月2日は「国際子どもの本の日」です。この日はデンマークの童話作家アンデルセンの誕生日で、本のおもしろさ・本を読むよろこびを世界中の子どもから大人まで広く伝えるため、1967年にIBBY(国際児童図書評議会)によって定められました。

IBBYは、1953年に世界で初めての子どもの本の国際的な賞「国際アンデルセン賞」も設立しています。

国際アンデルセン賞は2年に一度、長らく子どもの本に貢献してきた作家の功績に対して贈られます。今年は、日本から田島征三さんが、画家賞の最終候補者6人のうちの1人に選ばれたことが先日発表されました!

そこで今回の「ちよぴたブログ」では、千代田区立図書館が所蔵する田島征三さんの絵本からおすすめの4冊をご紹介します。

外に出て元気に遊ぶことがなかなか難しい日々が続いていますが、躍動感と生命力にあふれる田島さんの絵本を読んで、心に元気を与えませんか?


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『とべバッタ』

田島征三/作

偕成社

表紙いっぱいの力強いバッタの絵。見覚えがあるママやパパも多いのではないでしょうか?敵に食べられることを恐れながら、しげみに隠れて暮らしていたバッタは、ある日ここから飛び出すことを決意します。

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『ふきまんぶく』

田島征三/作

偕成社

"まんぶく"とはまんじゅうのこと。ふっくらと丸い形から、春に芽吹くふきのとうのことを「ふきまんぶく」と呼ぶそうです。女の子・ふきちゃんが暮らす野山の夏から秋冬、そして春がやってくるまでの風景を、あたたかく力強いタッチで描きます。


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『こやぎがめえめえ』

田島征三/作

福音館書店

生まれたてのこやぎがめえめえ、とんだりはねたり、元気いっぱいです。0歳の赤ちゃんから読み聞かせしてあげられる絵本。


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『わたしの森に』

アーサー・ビナード/文

田島征三/絵

くもん出版

この絵本の主人公は、森に住むマムシ。人間からは嫌われているけれど、強くたくましく生きるマムシのお母さんです。アメリカ出身の詩人・俳人のアーサー・ビナードさんの書くオノマトペ(擬声語)と田島さんの絵が、生きものの息吹あふれる森を鮮やかに表現しています。


国際アンデルセン賞の受賞者は5月4日(月曜日・祝日)にIBBYがインターネット上で会見を行い、発表する予定です。楽しみですね!


◆◇◆千代田区立図書館よりお知らせ◆◇◆

千代田区立図書館は現在、サービスを一部休止して開館しています。

また4月1日(水曜日)より当面の間(4月30日を目処)、閉館時間を下記の通り変更いたします

千代田区立図書館・日比谷図書文化館・四番町図書館

月曜日~土曜日:午後7時、日曜日・祝日:午後5時

昌平まちかど図書館・神田まちかど図書館

全日:午後7時

資料を借りたい場合は、電話やホームページなどで予約し、各館のカウンターで受け取ってください。

予約方法については、こちらをご覧ください。

Posted at:17:00

おうちで本を楽しもう! ~おすすめ本紹介:YA向け編~

子ども向けおとな向けに続いて今回ご紹介するのは、YA(ヤングアダルト)におすすめの本。千代田区立神田一橋中学校三谷巧先生に、教室の蔵書の中から厳選したおすすめ本を教えてもらいました。それぞれの本についてのコメントも三谷先生が書いてくれましたよ。

本の詳しい情報は書名をクリックしてご覧ください。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




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『新釈 走れメロス 他四篇』

森見登美彦/著

祥伝社


太宰治「走れメロス」を読んだ人なら読むべき一冊。気軽に読めてクスッと笑える一冊。他にも山月記や藪の中などの有名タイトルのアレンジがいっぱい!

同じ作家でこちらもおすすめ・・・『有頂天家族』(幻冬舎)






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『武道館』

朝井リョウ/著

文藝春秋


今やテレビで見ない日はないアイドル。武道館でスポットを浴びたいと夢見る少女たちの苦悩を描いた作品。悩みや葛藤なく大人になる人なんていないの。

同じ作家でこちらもおすすめ・・・『桐島、部活やめるってよ』(集英社)






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『潮騒』

三島由紀夫/著

新潮文庫


恋焦がれて、切なくて、儚くて。昭和の人たちってこうやって恋をしていたんだ......海辺の風がそっと吹き抜ける爽やかさ。

同じ作家でこちらもおすすめ・・・『金閣寺』(新潮文庫)





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『地獄変・偸盗』

芥川龍之介/著

新潮文庫


天才絵師吉秀。彼は見たものでないと絵を描けない。地獄の絵を描いてくれと頼まれたとき、その地獄はどんな地獄なのか。自分が地獄の底に連れていかれても、あなたは絵を描き続けられるだろうか。

同じ作家でこちらもおすすめ・・・『蜘蛛の糸・杜子春』(新潮文庫)




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『学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方』

サンキュータツオ/著

KADOKAWA


国語辞典なんて意味が調べられればそれでいいと思っていませんか?じゃあ、「愛」はどんな意味?自分で説明してごらん。種類がたくさんあるのはそういうこと。


◇◆◇


さいごに、突然の長い春休みを過ごすことになった中高生に向けて、三谷先生からメッセージをいただきました。


◇◆◇
三谷先生からのメッセージ◇◆◇


中高生の方々へ

 こんにちは。新型コロナウィルスが猛威をふるい、日本のみならず世界中で家にいることを強いられています。最初はお休みがうれしい私たちもだんだんやることがなくなってきてダラーッとしてしまう。こんな時こそ、本を読んでほしい!と私は思っています。現実の世界は広いけれど、本の世界はもっっっと広い!この機会を本をたくさん読んで、物語の世界に入り込む時間に、自分をじっくり考える時間にしませんか?


千代田区立神田一橋中学校 三谷 巧


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




千代田区立図書館は現在、サービスを一部休止して開館しています。

資料を借りたい場合は、電話やホームページなどで予約し、各館のカウンターで受け取ってください。

予約方法については、こちらをご覧ください。

Posted at:16:25

おうちで本を楽しもう! ~おすすめ本紹介:おとな向け編~


ちよぴたブログが子どもおとなYA(ヤングアダルト)におすすめの本を3回にわたってご紹介!(前回はこちらの記事をご覧ください)

今回は、千代田図書館で開催されている「本と出会う読書サロン」より、おとな向けのおすすめ本4冊をご紹介します。

「本と出会う読書サロン」は、毎回異なるテーマに基づいて本を1冊ずつ持ち寄って紹介し合う、本を通じた交流の場です。

2019年12月から開催された第19期では"小説"をテーマに、12月は「歴史」、1月は「SF」、2月は「ミステリー」、3月は「恋愛」の本を紹介し合いました。(3月17日の開催は、新型コロナウイルス感染拡大防止対策のため中止となりました)

各月のテーマから1冊ずつ、読書サロンのメンバーの皆さんにご紹介いただきました。

千代田区立図書館に所蔵のある資料については、書名に詳細情報をリンクしていますのでクリックしてご覧ください。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

12月のテーマ「歴史」

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「加茂の水」『司馬遼太郎短篇全集 10』に収録)

司馬遼太郎/著

文藝春秋


幕末、岩倉具視の謀臣として大政奉還、倒幕の密勅、王政復古などの画策や錦旗の図案作成に活躍した人物・玉松操を描いた短篇。豊かな学識を持ち明治維新に尽力しながら、歴史に大きく名を残すことなく世を去ったひとりの人物にスポットを当てることで、歴史の新たな一面を知ることができます。


1月のテーマ「SF」

『コンタクト』

カール・セーガン/著

新潮社


天文物理学者のカール・セーガンが書いたSF小説で、1987年に映画化された話題作です。女性科学者が巨大な恒星ヴェガから送られてきたメッセージを解読し、地球外生命とコンタクトをとるのですが、周りにはそのことがわからず、彼女の妄想ということで片付けられてしまいます。神、信仰、科学、哲学とは何かという思想のぶつかりあいが面白いです。


2月のテーマ「ミステリー」

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『にぎやかな眠り』

シャーロット・マクラウド/著 髙田惠子/訳

創元推理文庫 東京創元社

くつろいで読むのにぴったりのミステリーでオススメなのが、田舎町を舞台に農業大学で応用土壌学を教えるシャンディ教授が活躍する人気シリーズ。第1作の『にぎやかな眠り』は、クリスマス・イルミネーションにまつわる話で、2作目以降もへんてこでわくわくする事件がてんこ盛り。作品ごとに強烈なキャラクターを持つ人物が次々と新たに登場し、読者を飽きさせることがありません。


3月のテーマ「恋愛」

(3月の開催が中止となったため、紹介予定だった本からのおすすめです)

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『ラヴレターズ』

文藝春秋/編

文藝春秋

作家や女優、画家、音楽家、タレント、映画監督など26名が書いた「ラヴレター」。誰に宛てた手紙なのか、シチュエーションもさまざま。例えば川上未映子さんによる、実話とも虚構とも思われるようなちょっとぞっとする話。かつての恋人へ、猫へ、父へ、飛行機へ...。寝る前などちょっとした時間に1編ずつ読むのはどうでしょう。作者でも宛名でも、興味が湧いた作品から頁を開いてみては。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

千代田区立図書館は現在、サービスを一部休止して開館しています。

資料を借りたい場合は、電話やホームページなどで予約し、各館のカウンターで受け取ってください。

予約方法については、こちらをご覧ください。

また、「本と出会う読書サロン」は、5月に第20期のオープニングイベントを行い、6~9月の第3火曜日(午後7時~8時)に月1回開催予定です。

詳細は4月以降にお知らせしますので、図書館内のポスターやチラシ、千代田区立図書館ホームページをご覧ください!

次回はYA(ヤングアダルト、中学生~高校生を中心とした10代の皆さん)におすすめの本をご紹介します。お楽しみに

Posted at:10:45

おうちで本を楽しもう! ~おすすめ本紹介:子ども向け編~

新型コロナウイルスの感染防止対策で、多くの学校が休校になったり、娯楽施設などが休業したりして、家にいる時間が増えた方も多いのではないでしょうか。

「さて、家でどうやって過ごそう...」という方へ、ちよぴたブログが子どもおとなYA(ヤングアダルト)におすすめの本を3回にわたってご紹介します!


今回は、学校支援担当司書が選ぶ子ども向けのおすすめ本です。

本の詳しい情報は書名をクリックしてご覧ください。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




まずは、子どもの読書におすすめの3冊。




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『こすずめのぼうけん』

ルース・エインズワース/作 石井桃子/訳

堀内誠一/画

福音館書店

ある日、子すずめはおかあさんすずめに飛び方を教えてもらいました。うまく飛べた子すずめは、おもしろくなってもっともっと遠くを目指して飛んでいましたが...




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『サンタクロースのはるやすみ』

ロジャー・デュボアザン/文・絵 小山 由/訳

大日本図書

春の花が見たくなったサンタクロースは、正体を隠してあたたかい町へ出かけます。ところが、子ども達から「この おじいさん、サンタさんから おひげと 赤い鼻もとっちゃった」と疑われて、人だかりができる大騒ぎになってしまいました!




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『たのしい川べ ヒキガエルの冒険』

ケネス・グレーアム/作 石井桃子/訳

岩波書店

のどかな自然の中で暮らすモグラ、ネズミ、アナグマ、ヒキガエルなどの生活を描いたお話。作者のグレーアムが息子に聞かせたり手紙に書いたりしたお話が元になって生まれた作品です。


◇◆◇


つづいては、暮らしの中のちょっとした時間に使ってみたい本のご紹介です。子どもが日中ひとりで過ごすときにも役立ちそうです。





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『にぎっておいしい きほんのおにぎり』

寺西恵里子/作

汐文社

基本の三角おにぎりに、かわいいデザインおにぎりやおにぎらず、味も形もいろいろなおにぎりのレシピがたくさん。火や包丁を使わずに作れるものも多いので、初めて料理にチャレンジする子どもにもおすすめです。



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『世界の伝承あやとり 南北アメリカのあやとり』

野口とも/著

誠文堂新光社

紐があれば手軽にできるあやとり。昔ながらの遊びとして親しまれていますが、日本だけでなく世界でも広く親しまれている遊びなのです。この本では、南北アメリカの先住民から伝わるあやとりが紹介されています。同シリーズには『オセアニアのあやとり』『極北圏のあやとりなどがあり、世界中のあやとりを知ることができますよ。



◇◆◇


また、学校支援担当司書が年2回発行している「おはなしトレイン」では乳幼児・小学生の学年別におすすめの本を紹介しています。もっとたくさん本を読みたい!という方はこちらもどうぞ。





千代田区立図書館は現在、サービスを一部休止して開館しています。

資料を借りたい場合は、電話やホームページなどで予約し、各館のカウンターで受け取ってください。

予約方法については、こちらをご覧ください。




次回はおとなにおすすめの本をご紹介します。

お楽しみに

Posted at:10:55

大人も子どもも楽しめる!今年の干支「ねずみ」の本


2020
「ねずみ年」。今回のちよぴたブログでは、親子で楽しく読める「ねずみ」の絵本・児童書をご紹介します♪(本の詳しい情報は書名をクリックしてご覧ください)


「ね、うし、とら・・・」なぜ、ねずみが十二支の一番初めになったか知っていますか?

お正月に動物たちが神様の御殿へ新年のあいさつにいく競争を、個性豊かなキャラクターで楽しく描いた1冊です。十二支の由来となったおはなしを知らなかった!という大人にもおすすめ。

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『十二支のおはなし』

内田 麟太郎/文

山本 孝/絵

岩崎書店


つぎの1冊は、赤ちゃんから楽しめるわらべうた絵本

ねずみやうさぎはどこへ行くのかな?心地よいリズムにのせて、何度でも読み聞かせしてあげたくなる絵本です。

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『ねーずみ ねーずみ どーこ いきゃ?』

こが ようこ/構成・文

降矢 なな/絵

童心社


十二支のなかでも、特にねずみは昔から人間の身近にいる動物として、たくさんの物語の中に描かれてきました。次の2冊は、人間と、そのすぐ近くで暮らすねずみとのやり取りが描かれた本です。

ドドさん夫妻の家に住むねずみの家族。人間に見つからずに暮らすには、気づかれないようにしずかに生きなければいけません。でも、末っ子の子ねずみヤカちゃんの声はとっても大きくて...。

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『番ねずみのヤカちゃん』

リチャード・ウィルバー/作

松岡 享子/訳

大社 玲子/絵

福音館書店

宮沢賢治の作品には、ねずみが登場するものがいくつかありますが、セロ弾きのゴーシュのもとにやってくるのは野ねずみの親子です。優しい心を持っていながら、不器用でぶっきらぼうに振る舞うゴーシュと彼のチェロ。その大きさと、小さな野ねずみのお母さん、さらに小さな小さな野ねずみの子どもとのコントラストが心に響きます。

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『セロ弾きのゴーシュ』

宮沢 賢治/原作

植田 真/絵

あすなろ書房

また、千代田図書館10階児童書フロアでは、1月19日(日曜日)まで「ねずみの本」の展示を行っています。

今回ご紹介した他にもたくさんの絵本を展示していますので、来館の際にはぜひご覧ください!

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Posted at:17:00

コンシェルジュ通信Vol.45:
コニカミノルタプラネタリア TOKYOに行ってきました♪

空気が澄んでいる冬は四季のなかでも一番星が綺麗に見える季節

冬の南の空には、全天で一番明るい星、おおいぬ座のシリウスが輝いて見えます♪

本物の夜空はもちろん素敵ですが、プラネタリウムで見る星空もロマンチックでいいですよね。

東京に初めてプラネタリウムができたのは、1938年。有楽町に開設された「東日天文館(とうにちてんもんかん)」でした。1945年の東京大空襲で焼失するまでの6年半の間、星空の魅力を人々に伝えました。

それから80年後の2018年12月、同じ有楽町にコニカミノルタプラネタリア TOKYOがオープンしました。

今回のコンシェルジュ通信は、星空の世界をCG映像とともに臨場感たっぷりに楽しむことができる、こちらの施設を紹介したいと思います。


コニカミノルタプラネタリア TOKYOは、有楽町マリオンの9階にあります。

入口を入ると、クリスマスツリーやプレゼントが飾られていてクリスマスムードがいっぱいでした♪

中には2つのドームDOME 1DOME 2があります。

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今回は、高解像度ドーム映像が楽しめる多目的ドームシアターのDOME 1で「銀河鉄道の夜」を鑑賞してきました。

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映像クリエイターのKAGAYA氏が、皆さんもよく知っている宮沢賢治原作「銀河鉄道の夜」の幻想世界を徹底考察し鮮明に再現した作品です。

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冒頭にまず季節の星座解説があります。取材に訪れた時には秋の星座の解説があり、ギリシャ神話とともに秋の星々が織りなす世界を楽しみました。12月12日からは、冬の星座の解説が始まっています。


そしていよいよ本編の「銀河鉄道の夜」のはじまりです。


銀河ステーションから天の川にそって夜空の旅がはじまります。夏の星座を紹介しながら物語は進み、南半球の星座まで案内をします。

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作品の中のジョバンニとカムパネルラの絆や物悲しさといった、「銀河鉄道の夜」の世界が、ドームいっぱい360度に広がる大迫力の美しい映像を通して描かれています。

45分の上映時間があっという間に感じるほど、時間を忘れて日常を離れた幻想的なひとときを堪能するとともに、子どもの頃に読んだ「銀河鉄道の夜」をもう一度読んでみたいと思いました。


鑑賞後は、作品の余韻に浸りながら施設のなかを見学しました。

ショップでは星に関連するいろいろなグッズが揃っていました。お皿やグラスやお菓子などたくさんのグッズがありましたが、私は星の形のアクセサリーがとても気になりました♪


またカフェでは天体や星をテーマにしたカクテルや惑星をかたどったようなスイーツメニューがありました。

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 「銀河鉄道の夜」以外にも星空と一緒に音楽や美しい景色を楽しめるたくさんの魅力的なプログラムがあります。皆さんも機会があれば、足を運んでみてはいかがでしょうか。

コニカミノルタプラネタリア TOKYO

【所 在 地】 千代田区有楽町2-5-1有楽町マリオン9階

【営業時間】 午前10時30分~午後10時

(最終受付は午後9時)

詳しくはホームページをご覧ください


「銀河鉄道の夜」の世界を楽しむのにおすすめの1冊

著者である長野まゆみさんが考察した、カンパネルラの視点から考えた『銀河鉄道の夜』や宮沢賢治の世界観を楽しめます♪

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『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』

長野まゆみ/著

河出書房新社



取材協力:コニカミノルタプラネタリウム株式会社

Posted at:10:35

寒い日には、あったかい部屋で読書を♪
千代田図書館で子ども向けおすすめ本を紹介・展示

12月に入り寒さが一層厳しくなってきましたね。

寒い日には、お部屋でのんびりと読書を楽しみませんか?

千代田図書館9階の第2展示ウォールでは、冬休みに楽しんでもらいたい子ども向けおすすめ本リスト「おはなしトレイン(乳幼児向け・小学生向け)」「BOOK TRAIN(中学生向け)」で紹介している本を展示中です。

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△9階第2展示ウォール



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△乳幼児向けの本は、10階児童書コーナーにあります。



「おはなしトレイン」「BOOK TRAIN」は年に2回、夏休みと冬休みにあわせて読書振興センターの学校支援担当司書が作成。たのしいお話や科学よみもの、哲学的なものなど学齢に応じておすすめしたい本22点を紹介しています。

司書によるおすすめコメントを参考に、本を選んでみてはいかがでしょうか。


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本のリストはこちらからもご覧いただけます。

「おはなしトレイン 2019年冬号」乳幼児版(PDF:631KB)

「おはなしトレイン 2019年9冬号」小学生版(PDF:793KB)

「BOOK TRAIN 2019年冬号」中学生版(PDF:543KB)



図書展示「0歳児から中学生向けの冬のおすすめ本2019」

おはなしトレイン BOOK TRAIN

【展示期間】 開催中~2020年1月7日(火曜日)

休館日:12月22日(日曜日)、

1月1日(水曜日・祝日)~3日(金曜日)

【展示場所】 千代田図書館9階=第2展示ウォール

       10階=児童書コーナー小展示スペース




また、千代田図書館10階では、北欧を代表する児童文学作家アストリッド・リンドグレーンの若かりし日々を描いた映画『リンドグレーン』の上映を記念したパネル展を開催しています。


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アストリッド・リンドグレーンの名前は知らなくても、『長くつ下のピッピ』や『ロッタちゃん』『やかまし村の子どもたち』というタイトルを耳にしたことのある方は多いのではないでしょうか。彼女の作品に出てくる子どもたちは、"こうあるべき"という固定概念にとらわれず、活き活きと生命力にあふれています。


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『長くつ下のピッピ』

リンドグレーン/作 大塚 勇三/訳 桜井 誠/絵

岩波書店


児童カウンタ―前では、それら代表作などリンドグレーン作品の展示、貸し出しを行っています。世界中で愛され読み継がれている作品の数々は、子どもには楽しく元気な気持ちにさせ、大人には大切なことを気づかせてくれます。子どもの頃に読んだことのある方も、あらためて読み返してみませんか?


映画『リンドグレーン』パネル展

【展示期間】 開催中~2020年2月7日(金曜日)

休館日:12月22日(日曜日)、

1月1日(水曜日・祝日)~3日(金曜日)

1月26日(日曜日)

※最終日(2月7日)は午後5時終了

【展示場所】 千代田図書館9階=第2展示ウォール

       10階=児童書コーナー小展示スペース



「おはなしトレイン・BOOK TRAIN」「映画『リンドグレーン』パネル展」ともに、展示している図書は貸し出し可能です(貸出中の場合はご了承ください)。ぜひ千代田図書館へお越しください!

Posted at:10:55

【レポート】本と出会う 読書サロン 第19期オープニングイベント「講演会『子どもの本の翻訳って?』」


千代田図書館では、本を通じた交流の場として「本と出会う 読書サロン」を年2期(6月~9月、12月~翌年3月)、「読書の会」主催で行っています。1冊の本について語りあう読書会とは違い、テーマに沿った本を各メンバーが選んで持ち寄り紹介しあうのがこの会の特徴です。

今回は、12月から始まる第19期のメンバー募集を兼ねたオープニングイベントとして開催した講演会「子どもの本の翻訳って?」の様子をご紹介します。


ゲストは、翻訳家のさくまゆみこさん

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これまで200冊以上の絵本・児童書などの翻訳を手がけてきたさくまさんに、まずは子どもの本を翻訳するということについてお話しいただきました。

一般に翻訳というと外国語を日本語に訳すパターンと、日本語を外国語に訳すパターンがありますが、さくまさんの主なお仕事は外国語(おもに英語)から日本語への翻訳。

外国語のスキルが必須なのはもちろんですが、原文で書かれていることをちゃんとした文章で子どもたちにおもしろく伝えるためには、日本語がとても重要になります。


翻訳に至るまでの流れから実際の作業についてお話いただく中で感じたのは、さくまさんは本との出会いをとても大切にしているということ。

「翻訳すべき本は、子どもにとって窓になる本であるように」

本を開くことが、日常と違うすばらしい景色を見られるものであってほしい。もしも嫌なことがあれば、本がそこから逃れられる場所であってほしい。窓を開けるのは子どもだが、その窓を用意してあげるのが大人の役目であるとおっしゃいました。


また、翻訳の作業に要する長い時間の中で、その本に書かれた作者の思いを追体験することになるといいます。『路上のストライカー』(マイケル・ウィリアムズ/作、さくま ゆみこ/訳、岩波書店)や『ローザ』(ニッキ・ジョヴァンニ/作、ブライアン・コリアー/絵、さくま ゆみこ/訳、光村教育図書 )は、国や文化の違いはあっても日本の子どもたちの心にきっと届くものがあるはずだと感じ、翻訳に取り組んだというお話をしてくださいました。

後半には、「アフリカ子どもの本プロジェクト」についてのお話もありました。

さくまさんの著書『エンザロ村のかまど』をきっかけに発足したこのプロジェクトでは、ケニアにドリームライブラリー(子ども図書館)を作り、その運営を支えたり、日本の子どもたちにアフリカの文化や子どもたちのことなどを紹介する活動を行っています。

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『エンザロ村のかまど』

さくまゆみこ/文 沢田としき/絵

福音館書店


図書館の建物や、そこで本を読むこどもたちの様子などをスライドでご紹介いただきました。

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青空の下、ライブラリアンによる読み聞かせにたくさんひとが集まっています。読んでいるのはスワヒリ語に翻訳された日本の絵本。


最後に、この活動をきっかけに日本での翻訳・出版に至った本をご紹介いただきました。

タンザニアのポップアート「ティンガティンガ」の手法で描かれた動物たちの絵が鮮やかな絵本『なかよしの水 タンザニアのおはなし』。前作『ごちそうの木』とともに、スイスやドイツなど数多くの国で翻訳されている絵本です。

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『なかよしの水 タンザニアのおはなし』

ジョン・キラカ/作 さくま ゆみこ/訳

西村書店


1時間と、とても短い時間ではありましたが、翻訳の難しさや大変さ、そしてなによりもその仕事の喜びや楽しさがたっぷりと聞けた講演会でした。

さくまさん、ありがとうございました!


第19期「本と出会う読書サロン」
は、12月~2020年3月の毎月第3火曜日、午後7時から開催します。第19期各月のテーマは小説(12月「歴史」、1月「SF」、2月「ミステリー」、3月「恋愛」)。これらのテーマで、読書サロンのメンバーがどんな本を紹介するのか、気になる方は見学だけでもしてみませんか?

まずはメンバー登録をどうぞ。→詳細はコチラから

Posted at:16:00

コンシェルジュ通信Vol.44:
千代田図書館周辺のオリンピックにまつわるスポット

来年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて、さまざまな準備が進んでいますね。

今回は、千代田図書館周辺の東京オリンピックにまつわるスポットを巡ってみました。


千代田図書館のすぐそば、北の丸公園内にある日本武道館は、2020年東京大会ではオリンピック空手柔道パラリンピックでは柔道の競技会場として使用されます。

今年9月から休館し、現在は増築改修工事の真っ最中。

練習施設の増築、本館の大屋根改修、天井の耐震化バリアフリー化などの改修工事は、2020年6月の終了を目途に進められているそうです。

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千代田図書館のある庁舎を出てすぐの内堀通りからは、日本武道館の大屋根の一部が見えます。

"大きな玉ねぎ"のような形で親しまれている「擬宝珠(ぎぼうじゅ)」も、改修作業のため足場で囲われていました。

大屋根や擬宝珠は、現在の形を残したまま修理が進められるようです。

改修後の新たな姿が楽しみですね。



続いて、前回の1964年東京オリンピックの際に聖火ランナーが駆け抜けた場所を訪ねてみました。

靖国通りと白山通りが交わる、神保町交差点です。

当時の様子はこちら。

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大勢の観客の中を、煙をたなびかせた聖火ランナーが走っています。

この写真は、千代田区ホームページのちよだ写真館で見られます。

当時の写真を撮ったと思われる場所に立ってみました。

現在の神保町交差点の様子はこちら。

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看板や高いビルなど街並みの変化から、時代の移り変わりを感じます。

1964年の聖火リレーは4つのコースに分かれて全都道府県を巡りました。そのうち神保町交差点を通ったのは第3コースでした。

それぞれのコースの聖火ランナーが目指したのは、当時の東京都庁。

現在、東京国際フォーラムがある場所です。

文京区から白山通りを走ってきた第3コースのランナーは、神保町交差点をまっすぐ進み、都庁のある有楽町を目指しました。

2020年の際は福島県を出発地として、全国を回ることになっており、千代田区を走るのは7月21日の予定です。区内のどこを聖火ランナーが走るのか楽しみですね。



最後に、柔道の創始者であり、東京オリンピック招致に尽力した嘉納治五郎ゆかりの地についてご紹介します。

明治15年に、嘉納治五郎は2つ創設したものがありました。

一つは英語学校の「弘文館」で、かつて神保町交差点より水道橋方面側にあった南神保町に創設しました。

もう一つは、自身が興した柔道の「講道館」

当初は台東区の永昌寺に道場がありましたが、翌年に移転し、弘文館の敷地にあった土蔵「講道館」の道場として使っていたそうです。

その後、講道館は麹町などへの移転を経て、現在は文京区春日にあります。

いまや世界的な競技となった柔道に、こんな歴史があったのですね。



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『嘉納治五郎師範に学ぶ』
村田直樹/著 日本武道館



10月発行予定の「千代田図書館コンシェルジュの見聞調録vol.14」はスポーツをテーマにした特集です。

千代田図書館コンシェルジュブースと、日比谷図書文化館の1階受付カウンターで配布します。

ぜひ、ご覧ください。

Posted at:11:00

ゲストは岡崎武志さん!
10/12開催「千代田図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー」

千代田図書館を起点に地域の魅力をご紹介する恒例のイベント「千代田図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー」を、10月12日(土曜日)に開催します!

今回のテーマは「古書店街にみる時代の移り変わり」

第1部のゲストに、"古本通"として知られるフリーライターの岡崎武志さんをお迎えし、岡崎さんがこれまでに見てきた「世界一の本の街」神保町古書店街の移り変わりとその楽しみ方についてお話しいただきます。

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岡崎武志さんプロフィール

1957年大阪府枚方市生まれ。1990年単身上京。雑誌編集者を経てフリーに。

古本ネタ、書評などを中心に執筆。さかんに神保町かいわいに出没。「神保町ライター」と名乗ったこともある。

著作に『女子の古本屋』(ちくま文庫)、『古本道入門』(中公文庫)、『蔵書の苦しみ』(光文社知恵の森文庫)、『ここが私の東京』(扶桑社)など多数。近著に『これからはソファーに寝転んで』(春陽堂書店)がある。

古書店巡り入門におすすめ!岡崎さんの著書をご紹介

本の詳しい情報は、書名をクリックしてご覧ください。

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『古本道入門』

岡崎武志/著

中央公論新社

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『これからはソファーに寝ころんで』

岡崎武志/著

春陽堂書店

第2部では、千代田図書館コンシェルジュが神保町古書店街をご案内。戦前から現代に至るまで、時代ごとの香りを残す街並みや古書店などを巡ります。

新しい元号となった今年、神保町古書店街を舞台に時代の変遷を感じてみませんか?

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前回の神保町ツアーのようす

千代田図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー

「古書店街にみる時代の移り変わり」編

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大きな画像を見る(PDF:467KB)

【日  時】 10月12日(土曜日)午後1時~午後3時30分

台風19号の接近に伴い、中止とさせていただきます。

       ※開始30分前より受付開始

       ※荒天の場合は、内容変更や中止になることがあります

【集合場所】 千代田図書館10階特設イベントスペース

【定  員】 20名(事前申込制・先着順)

       ※中学生以下の方は保護者の同伴必須

【参 加 費】 無料

お申し込みについて

①千代田区民先行申込

 9月24日(火曜日)・25日(水曜日)午前10時~午後6時

②一般申込

 9月26日(木曜日)午前10時から

※お申し込み方法については、こちらのページをご確認ください。

※①で定員に達した場合は、②での募集は行いません。

参加にあたっての注意事項(PDF:100KB)をお読みいただき、

 ご同意の上でお申し込みください。

10月25日(金曜日)から11月4日(月曜日・祝日)までは、第60回 東京名物 神田古本まつりが開催され、神保町古書店街は年に一番の盛り上がりを見せます。

ゲストや千代田図書館コンシェルジュのナビゲートで古書店街の楽しみ方が実感できる神保町ツアーは、神田古本まつりの予習にもおすすめ!

興味はあるけど古書店はちょっと敷居が高いと感じている方や、これから古書を知りたいと思っている方も、ぜひご参加ください♪

Posted at:16:00

【レポート】レファレンジャー出動ファイル~令和元年・夏~

お盆が過ぎ、8月も後半になりました。楽しい夏休みを過ごして気分をリフレッシュした方も多いのではないでしょうか?

しかし、子どもたちはそろそろ夏休みの宿題が気になる時期になってきましたよね・・・

そこで!夏休みの頼れる味方 調べもの戦隊 レファレンジャーの出番です!!

 

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レファレンジャーとは、毎年夏休みになると現れる本探しのプロ集団自由研究調べ学習読書感想文など夏休みの宿題に役立つ本探しのお手伝いをするのが使命。今回は、そんなレファレンジャーの千代田図書館での活動の一部をお伝えしたいと思います。

 

相談その1:玉川上水について調べたい

相談者は千代田区内の小学5年生。夏休みの宿題で玉川上水について調べているとのこと。レファレンジャーがより詳しくインタビューをすると、玉川上水の模型を作りたいことが分かりました。

まずは10階児童書コーナーにある百科事典などで玉川上水の概要を調べます。また、地域資料にもあたります。

玉川上水の流れる区域や長さなどは知ることができましたが、模型を作るには高低差も知る必要があります。9階にうつりレファレンス担当にも資料を紹介してもらいます。集めた資料を書き写すなどし、途中で分からない言葉が出てきたら再び百科事典などを開いて確認しながら、玉川上水についての全容を調べることができました。

 

▼紹介した資料のひとつ

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『たまがわ 日本の川』

村松 昭/さく 偕成社

 

〇 ● 

相談その2:タコやイカについての本はある?

小学校低学年の相談者からの依頼。タコやイカについて書いてある本を探しているそうです。『イカとタコの大研究』という本を渡し、さらにお話を聞いてみると、こんど海に行くのでタコを釣りたいのだということが分かりました。そこで、釣り方がわかる資料を探すことにします。

まずは釣りの本を見てみましたが、タコの釣り方に関する記載はありません。「タコって、釣るのではなくてタコツボを仕掛けて獲るのかも?」そんな予想をたてつつもレファレンジャーがさらに調べを進めていき、タコの釣り方が記載されている資料を探し出すことができました。

 

▼最初に紹介した資料

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『イカとタコの大研究 ふしぎがいっぱいの人気者!』

土屋 光太郎/監修 PHP研究所

 

〇 ● 

相談その3:読書感想文におすすめの本を探しています

小学校2年生とその保護者からの相談です。レファレンジャーは、親子でのご相談も大歓迎!

まずは、好きな本やおもしろいと思った本などを訊いてどんなものが好み関心があるのかを探ります。どうやらワクワクするようなお話が好きそうだと思い、2冊おすすめしました。

本を選んだところで、あらすじだけになりがちな読書感想文をどのように書いたらよいかと保護者から相談をうけました。

「自分の体験や、自分だったらどうするかに結びつけられるとよいと思います。もし文章に行き詰まるようであれば、周りの大人がインタビューのように聞き取りしてあげて答えを箇条書きにしておき、その中からどの部分について想像を膨らませたり理解を深めていくかを一緒に考えて取り組んでみる、など思考の整理を手伝うというのもよいかもしれません。」

 

 

以上、ご紹介したのはほんの一部。そのほかにも、連日さまざまな相談を受けています。そんなレファレンジャーに調べ学習のコツを聞きました。

まずは、調べたい事柄の概要をつかむこと。そのために最初は『ポプラディア』など百科事典を開くことをおすすめします。

 

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自分の知識に相違がないかを確かめ、ことばの理解があいまいであればそれもチェックします。百科事典は物事が端的に書かれているので、それらの作業にとてもよく役立つのです。

自分が調べたいことは何なのかを絞り込み、より詳しく知ることができる資料を探す作業に入ります。

そうやって、求めている資料に近づいていきます。

 

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ここでもまたひとり、読書感想文用の本を選んで絞り込み、借りていきました。

 

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レファレンジャーは9月1日(日曜日)まで千代田図書館10階に毎日出動しています。

また、来週8月26日(月曜日)から30日(金曜日)は四番町図書館にも出動します!

夏休みの宿題だけでなく、読み聞かせ方法絵本の選び方など、保護者の読書相談も承ります。

詳しくはこちらをご覧ください

 

皆さん、お気軽にお声がけください♪

Posted at:15:15

ノエビア銀座ギャラリーで「安西水丸展『1本の水平線』」

 

今回は、中央区のノエビア銀座ギャラリーで開催中の「安西水丸展『1本の水平線』」をご紹介します♪

 

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本の表紙や挿絵、絵本、漫画、そしてポスターなどの広告と、多方面で活躍したイラストレーターの安西水丸

名前からすぐにその作品が思い浮かばなくても、村上春樹の本の装画や、絵本『がたんごとんがたんごとん』(福音館書店)、『ピッキーとポッキー』(嵐山光三郎/文、福音館書店)シリーズを手がけたと聞けば、ピンと来る方も多いはず。

この展示では、安西水丸のイラストレーションに特徴的な画面を横切る1本の線「ホリゾン(水平線)」に着目して作品を集め、紹介しています。

 

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安西水丸は「ホリゾンを引くことでコーヒーカップはちゃんとテーブルの上に載っているイメージを出せるし、花瓶なら出窓の張り出しに飾られているイメージを出せる」と語っていたといいます。

ホリゾンの入った画面の中に並ぶのは、果物やガラス瓶、時計にマッチ…。シンプルで静かな構図に、少しとぼけた味わいを持った品々が温かみのある線で描かれています。

 

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貴重な原画も展示されています!1985年制作の作品「口笛のきこえる」(写真右)や、帝国ホテル大阪の壁画のデザイン原画(写真中央)も。

 

ギンザ・グラフィック・ギャラリーで1987年に開催した「二色」展からは、黒にもう1色をプラスしたシルクスクリーン作品の数々。鮮やかなコントラストは時代を超えて、見る者の心をひきつけます。

 

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どの作品も心をさわやかにしてくれる展示です。

図書館に立ち寄る前後に、夏のちょっとしたお出かけに、ぜひご覧ください!

 

安西水丸展「1本の水平線」

【期 間】 開催中~8月23日(金曜日)

【時 間】 午前10時~午後6時(土・日・祝日は午後5時まで)

【会 場】 ノエビア銀座ギャラリー

【所在地】 中央区銀座7-6-15 ノエビア銀座ビル1階

【入場料】 無料

【主 催】 株式会社ノエビア

詳しくは→コチラ

 

安西水丸の世界をさらに楽しむ

挿絵が展示されている村上春樹との共著や、安西水丸の生涯の仕事を振り返る本をご紹介します。(本の詳しい情報は書名をクリックしてご覧ください)

 

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『ランゲルハンス島の午後』

村上春樹・安西水丸/著

光文社

 

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『象工場のハッピーエンド』

村上春樹・安西水丸/著

新潮社

 

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『イラストレーター安西水丸』

安西水丸/著、安西水丸事務所/監修

クレヴィス

Posted at:15:30

四番町図書館で「『えほん 東京』小林豊パネル展」開催中!

 

四番町図書館では、現在『えほん 東京』(ポプラ社)のパネル展を行っています!

 

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『えほん 東京』小林豊パネル展

【会 期】 開催中~8月31日(土曜日)

【場 所】 四番町図書館

【休館日】 7月7日(日曜日)、8月4日(日曜日)

【協 力】 ポプラ社

 

東京は、「いま」と「むかし」が重なり合う不思議な街

『えほん 東京』は“ぼく”と“おじいちゃん”が旅する四季折々の東京の風景を、日本画家の小林豊さんがあたたかみのある色と、目の前に景色が広がるような臨場感で描いています。

今の街並みと地続きで現れる東京の原風景に、子どもはワクワク、大人は懐かしい気持ちに。幅広い世代の読者が楽しめる絵本です。

 

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『えほん 東京』

小林豊/作・絵

ポプラ社

(本の詳しい情報は書名をクリックしてご覧ください)

 

四番町図書館ラウンジ横には、春の品川夏の日比谷―と、季節ごとに描かれた見開きのページから各2点ずつを展示。

 

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“ぼく”と“おじいちゃん”が絵本の中でどこを旅したか、ルートの解説を手に取って読むこともできます。

 

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7月2日(火曜日)には、作者の小林豊さんが四番町図書館へお越しくださいました!

 

こども図書館には、小林さんの絵本を集めたコーナーも設置しています。

小林さんがこれまでに、日本国内はもちろん中東・アジア諸国を旅して描いた様々な作品が揃っています。ぜひお手に取ってご覧ください!(展示資料は一部を除いて貸出可/貸出中の場合はご了承ください)

 

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展示や絵本で東京の街並みを楽しんだ後は、実際に街を歩いてみたくなりませんか?

四番町図書館のこども図書館では、7月15日(月曜日・祝日)から江戸時代と今の地図を見くらべる展示や、江戸・東京の歴史をたどる「番町&麹町おさんぽマップ」の配布を行います! (8月31日(土曜日)まで)

 

展示するのは安政3年(1856年)の地図。150年以上前なんてすごく昔に思えますが、地図を見ると四番町図書館周辺の地形がほとんど変わっていないことに驚かされます!

 

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東京・深川に生まれ育ち、これまで『えほん東京』の他にも、『まち ぼくたちのいちにち』 『ちいさなやま』(ともにポプラ社)で東京の街を描いてきた小林さん。

展示する地図を見ながら、「千代田区を歩くと、江戸の町がよく考えて作られていることがわかります。四番町図書館のあるこの辺りも、東京の地形を感じながら歩くと楽しいよ」と話してくださいました!

 

この機会に、ぜひ四番町図書館へお越しください♪

Posted at:11:15

話題の映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』写真パネル展

 

世界で最も有名な図書館のひとつ、ニューヨーク公共図書館を舞台にしたドキュメンタリー映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』が、岩波ホールで現在公開中。

千代田図書館の10階光壁前の特設展示コーナーでは、映画の公開に合わせて、パネル展示を7月5日まで開催しています。

 

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映画では、図書館の建物や資料、働く人やそこに集う人々などがリアルに映し出されています。

図書館は静かに本を読むところ、というイメージとは離れた姿がそこにはありました。

 “世界屈指の知の殿堂”ニューヨーク公共図書館の舞台裏を知ることができる貴重な映像を、ぜひご覧ください。

 

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『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』

(原題 Ex Libris - The New York Public Library)

 

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監督 フレデリック・ワイズマン

2017年/アメリカ合衆国/205分

配給 ミモザフィルムズ、ムヴィオラ

公式サイトはこちら

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映画を上映中の岩波ホールからほど近い、神保町にある児童書専門店ブックハウスカフェでは、図書館がたくさんでてくる本を集めたフェア「図書館がだいすき!」を開催中です。

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日本の作家や外国の作家、ファンタジーや絵本などさまざまなおはなしの本が並ぶこちらのフェアは6月下旬までやっています。本屋さんで楽しめる図書館のコーナーを、ぜひのぞいてみてください♪

 

最後に、千代田区立図書館で借りられるニューヨーク公共図書館にまつわる本をご紹介します。

 

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『図書館に児童室ができた日

アン・キャロル・ムーアのものがたり』

ジャン・ピンボロー/文 デビー・アトウェル/絵

張替惠子/訳

徳間書店

 

児童図書館サービスの先駆者のひとり、アン・キャロル・ムーアの生涯を綴った絵本です。

いまでは誰もが自由に利用できる図書館ですが、彼女がまだ幼い少女だった1880年頃は図書館に子ども向けの本はありませんでした。アン・キャロル・ムーアをはじめたくさんの熱心な図書館員の働きのおかげで、いまのように子どもも大人も図書館で本を楽しむことができるようになったことを、この本で知ることができます。

千代田図書館では、10階子ども室に置いてあります。(貸出中の場合はご了承ください。)

展示とあわせてお立ち寄りください。

 

 

Posted at:10:15

5月18日は「○○○の日」

5月も半ば。みなさん、大型連休はどのように過ごされましたか?

祝日の多い5月ですが、休日に制定されていない記念日もたくさんあります。

そのひとつが、5月18日の「ことばの日」。

)・18(とお と はち=とば)という語呂合わせから、言葉を正しく使えるように心掛ける日となったそうです。

そこで今回は、ことばについて考えて、ちょっと楽しめる本をご紹介します。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

まずはこちら。

ことばがたくさん集められた本、といえば辞書ですが、そこには載らないことばだってたくさんあるんです。

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『辞書には載らなかった不採用語辞典』

飯間浩明/著

PHPエディターズ・グループ

 

『三省堂国語辞典』の編纂者が、辞書を作るために活字・放送・インターネット・街の中などあらゆるところからかき集めたけれども、辞書の項目として採用されなかったことばをこの本の中にまとめました。

辞書のように気になることばのページをめくって、その意味や使われるシチュエーションなどを想像しながら楽しんでみてください。

 

 

次にご紹介するのは、ことばを文字とともに視覚でも楽しむ1冊。

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『目でみる ことばのずかん』

おかべたかし/文 やまでたかし/写真

東京書籍

 

「ちょっかい」の語源は?「林」と「森」の違いは?などなど、言葉の由来や漢字の成り立ち、似ているふたつのものなどを写真とともに紹介しています。

やさしいことばと印象的な写真で構成されているので、親子でも楽しめますよ。

 

 

言葉の由来といえば、新元号に引用されたことをきっかけに万葉集に注目が集まりましたね。

万葉集と並んで、和歌といって思い浮かぶのが百人一首ではないでしょうか?

 

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『百人一首 いにしえの和歌の味わい』

『現代用語の基礎知識』編集部/編

自由国民社

 

百人一首で詠まれている百首すべての鑑賞のポイントを、作者や語句の解説などとあわせて紹介しています。

詠まれているテーマは四季、旅、恋、別れなど現代の私たちにも身近なもの。

物事を感じとる心は、今も昔も変わらないものなのですね。

 

 

さいごに、和歌の本をもうひとつ。

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『ドラえもん短歌』

枡野浩一/選

小学館

 

ドラえもんへのお願いや、日常の風景から連想されたドラえもんなどが詠まれている歌集です。

皆さんも、好きなキャラクターへの気持ちを五七五七七のリズムに乗せて、ひとつ詠んでみてはいかがでしょうか?

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

今回ご紹介した本はすべて千代田区立図書館で借りることができます。

たくさんのことばを探しに、ぜひ図書館にいらしてください!

Posted at:12:15

コンシェルジュ通信Vol.41:
風薫る都心の新緑を訪ねて北の丸公園へ!

新緑が美しい季節になりましたね。コンシェルジュブースの後ろの窓から眺める事ができる北の丸公園は都心でありながら緑豊かで、これからの季節はお散歩にもぴったり♪

そこで今回は、北の丸公園の見どころをご紹介します。

 

北の丸公園は皇居に隣接する公園で、江戸城北の丸があった場所であることからその名が付けられたそうです。園内には、田安門清水門など、旧江戸城の遺構も多くみられ、歴史を感じつつ四季折々の自然を満喫できます。

 

千代田図書館から一番近く、重要文化財でもある清水門から入ってみました。

 

 

清水門の水門

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門の少し手前に水門があります。

この水門は江戸時代のままの姿で現存する珍しい石垣式の水門です。

小さなものですが趣を感じますね。

 

 

清水門

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     清水門高麗門             清水門櫓門

 

清水門高麗門(こうらいもん)、続いて清水門櫓門(やぐらもん)を通りました。

重要文化財とあって、多くの来園者が写真を撮影したり、門をじっくりと眺めたりしていました。

 

 

雁木坂(がんぎざか)

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道なりに少し歩くと雁木坂があります。

この坂は江戸城跡内で唯一、江戸時代のままの姿で残されています。

 

雁(がん)が行列を作って飛ぶ姿に似ているのでこの名前がついたそうです。(写真左)

この階段をすすむと、敵に侵入されても簡単に階段を上がれないように、わざと一段一段高く、不揃いに作ったとされる階段もあります。(写真右)

 

雁木坂は、足を大きく踏み込まなくては上れません。階段を上りにくいように工夫をしているという歴史的な背景を体で実感することができました。

できれば運動靴など歩きやすい靴、動きやすい服装でお散歩するのがおススメです。

 

 

吉田茂像

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雁木坂を上りきると公園へとつながります。公園に入って道なりに歩いていると右手に芝生が見え、戦後の日本を復興へ導いたといわれる吉田茂の像が建っています。周辺には遅咲きの里桜がとても美しく咲いていました。

 

 

巣箱

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その奥には花木園があります。歩いていると、野鳥の鳴き声が心地よく聞こえてきました。

園内の木にかけられている鳥の巣箱は、科学技術館が東京九段ライオンズクラブと協力して設置しているもので、園内には50個もあります。都心でありながら自然豊かな環境が保たれ野鳥や昆虫もたくさん生息しているそうですよ。

 

花木園には季節ごとにいろいろな花が咲いています。

春に咲く花を2つご紹介します。

 

ハナカイドウ

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ハナカイドウはマメ科の落葉低木で、中国から江戸時代に渡来したといわれています。

葉に先立って、紅紫色の小さな蝶形花を多数つけます。淡いピンク色がとても可憐に咲いていました。

 

ハナズオウ

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ハナズオウはバラ科の落葉低木です。中国から江戸時代の初めに日本に渡来したといわれています。

幹や枝にびっしりとあざやかな紅紫色の花が群がって咲いていました。

 

 

これ何の木?

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歩いていると「これ何の木?」とかかれたクイズパネルを見つけました。

銀色のパネルをめくると答えが書いてあります。見かけたら挑戦してみてくださいね。

 

 

露場

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公園をさらに進むと、東京都心の地上気象観測施設である気象観測露場があります。

露場とは、気温湿度気圧降水量感雨積雪の深さを観測する場所のことです。

 

北の丸公園の露場は、気象観測用の測定器が4つ設置されていて、見学しやすいように通路も整備されています。

 

露場が設置されている高台の坂で、土から顔を出していたのはつくし

都心の千代田区でつくしを見つけて、ついうれしくなりました。

 

歴史や自然にも触れることができる北の丸公園の見どころを、ほんの一部ですがご紹介しました。

天気が良い日に散歩すると、新緑の爽やかな空気がとても心地よく感じられるかと思います。

風薫るこの季節、都会のオアシスでリフレッシュしてはいかがでしょうか♪

 

 

北の丸公園散歩におススメの本

 

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『徹底皇居花めぐり』

中野 正皓/写真・文

講談社

 (本の詳しい情報は書名をクリックしてご覧ください)

 

 

 

Posted at:15:15

東京古書会館で写真展「東京儚夢(ぼうむ)-銅板建築を訪ねて」

神田小川町にある東京古書会館で、3月22日(金曜日)から30日(土曜日)まで、写真展「東京儚夢(ぼうむ)-銅板建築を訪ねて」が開催されます!

 

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東京古書会館2階にある情報コーナーは、イベント開催時であればどなたでも見学することができます(日曜・祝日は休館)。

 

家屋に銅板が貼られた「銅板建築」は、1923年(大正12年)の関東大震災からの復興の過程で東京に多く建てられました。その後の戦災をまぬがれた銅板建築が、いまなお東京の下町のところどころに遺されています。

 

『東京儚夢-銅板建築を訪ねて』(高野慎三/著、論創社)は、急激な変化を続ける東京の街並みの中で、かろうじて残る千代田区、台東区、中央区、品川区の銅板建築を訪ねてその姿を収めた写真集。展示では、この写真集より約100点の写真が展示されます。

 

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『東京儚夢-銅板建築を訪ねて』

高野慎三/著

論創社

(本の詳しい情報は書名をクリックしてご覧ください)

 

写真集に収録された著者の「私的回想」によると、神田神保町古書店街にもかつては多くの銅板建築の古書店が軒を連ねていたそうです。それらは現在の靖国通りやすずらん通り、さくら通りには残されていませんが、写真集のページをめくると、千代田図書館周辺に今も残る銅板建築の数々を見ることができます。

掲載されている銅板建築は、昔ながらの商店街に残る小さな商店や個人の住居など、どれも高名な歴史的建造物ではありません。しかし、日々街の表情が変わりゆく東京の街並みの中で、何気ない風景こそ心にとどめておきたいものです。

 

写真展の最終日には著者を招いてのトークイベントも行われます!(詳細は下記のお知らせをご覧ください)

この機会に、ぜひ足をお運びください。

 

写真展「東京儚夢-銅板建築を訪ねて」

【会 期】 3月22日(金曜日)~30日(土曜日)

【時 間】 午前10時~午後5時

【会 場】 東京古書会館 2階情報コーナー

      (千代田区神田小川町3-22)

【休館日】 日曜日・祝日

【入場料】 無料

写真展の詳細はこちら

 

トークイベント

【日 時】 3月30日(土曜日)

午後2時~(開場1時30分~)

【会 場】 東京古書会館 7階

【入場料】 500円

トークイベント予約ページはこちら

Posted at:16:00

今年で生誕100年。サリンジャーを読む

 

2019年がスタートして、はやくも3週間が経とうとしています。皆さんが今年最初に読んだ本は何ですか?

 

なにか本を読もうかなと思いつつ、どんな本を読もうか迷っているという方へご提案!

“メモリアルイヤー”をキーワードに本を選んでみてはいかがでしょう?

“2019年 生誕100年”で検索してみたところ、たどり着いたのがサリンジャー

今年はアメリカの作家J.D.サリンジャーの生誕100年にあたります。今月には若き日のサリンジャーを描いた映画の公開も控えており、ふたたび注目を集めています。

そんなサリンジャーの作品の中から、今回は千代田区立図書館で読める本をご紹介します。

 

まずおすすめするのが、彼の代表作のひとつ『ライ麦畑でつかまえて』

読んだことはなくてもタイトルを耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか?

千代田区立図書館では訳者のちがう2タイトルの所蔵があります。

読み比べてみるのもおもしろいですよ。

 

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『ライ麦畑でつかまえて』 白水Uブックス51

J.D.サリンジャー/著 野崎孝/訳

白水社 

 

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『キャッチャー・イン・ザ・ライ』

J.D.サリンジャー/著 村上春樹/訳

白水社 

 

そしてもう1冊。

サリンジャーが発表した最後の作品も収録されている短編集『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる ハプワース16、1924年』

こちらに収録されている短編のうち6編は、さきほどご紹介した『ライ麦畑でつかまえて』の主人公ホールデン・コールフィールドが関係しています。そして表題作『ハプワース16、1924年』は、サリンジャー作品の中にたびたび登場する“グラース家”の物語。この1冊の中で、サリンジャーの作品世界のつながりを楽しむことができますよ。

 

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『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる ハプワース16、1924年』

J.D.サリンジャー/著 金原瑞人/訳

新潮社

 

今回はサリンジャーをご紹介しましたが、アンパンマンでおなじみのやなせたかしが生誕100年、『濹東綺譚』『ふらんす物語』などで知られる永井荷風が生誕140年など、今年メモリアルイヤーを迎える作家は他にもいます。

気になるキーワードが出てきたら、図書館で探してみてくださいね♪

Posted at:10:15

大学生の読書を語る 帝京大学MELIC×読書人のイベントに行ってきました!

12月16日(日曜日)に神保町で、『書評キャンパスat 読書人2017』刊行記念イベント【帝京大学MELIC×読書人presents】「帝京大生はなぜこんなに本を読むのか 共読ライブラリー成功のヒント」が開催されました。

 

書評専門紙「週刊読書人」に連載されている「【書評キャンパス】大学生がススメる本」は、大学生が自ら選んだ本の書評を書く人気コーナーです。

 

「週刊読書人ウェブ」からもご覧いただけます↓

「【書評キャンパス】大学生がススメる本」

 

昨今報じられる「若者の読書離れ」に対し、書評紙としてできることは何か?と始められたこのコーナー。本の選定は学生に任せて本代は読書人が負担すること、文章の書き方にアドバイスはするが価値観の押しつけはしないこと、執筆原稿に対して原稿料を支払うことなどのルールを決め、大学図書館を窓口に希望者を募ったところ、予想以上の反響があったそうです。

「書評してみたい!」という、全国の大学生から寄せられた原稿は1年間50回途切れることなく続き、「週刊読書人」の人気コーナーに。

このたび、2017年度の連載が一冊の本にまとめられました。

 

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『書評キャンパスat 読書人2017』

大学生と「週刊読書人」編集部/著

読書人

(本の詳しい情報は書名をクリック)

 

大学生の力がこもった書評50点に加え、書評を受けた著者・編集者からのコメント編集部による原稿の添削例なども掲載されており、学生だけでなく大人にもおすすめしたい一冊です。

 

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「まだまだ“読書離れ”していない、熱心に本を読んでいる学生が多くいることを実感しました」と語る読書人社長の黒木さん

 

この日は、帝京大学メディアライブラリーセンター(MELIC)の堀野さんと、同大学の学生団体「共読サポーターズ」の石山さん、富樫さん、小林さんの3人が登壇し「大学生の読書のこれから」について語りました。

4年生の石山さんは、「書評キャンパス」第2回の書評も執筆しています。

 

帝京大学が2012年に編集工学研究所 所長の松岡正剛さんをスーパーバイザーに迎えて始めたプロジェクト「共読ライブラリー」は、「読み合い、薦め合い、評し合う」のコンセプトのもと、大学全体で学生の読書を推進する様々な試みを行っています。まずは堀野さんから、共読ライブラリーのこれまでの取り組みについてのお話しがありました。

 

側面が黒板になった本棚を使い、学生同士だけでなく著名人、教員・職員との本を介したコミュニケーションを生み出す「黒板書架」は、共読ライブラリーを代表する取り組みのひとつ。

この他にも、共読サポーターズが運営する図書展示ビブリオバトル学修支援プログラム「読書術コース」など、学生と本をつなぐ仕掛けがたくさん。

大学図書館を「いつも何かが起こっている場所」として学生に認識してもらうことを読書推進の第一歩と位置付け、第2期の2016年からはさらに新しい試みを行っています。

 

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そんな「共読ライブラリーのセカンドステージ」の活動の一つとして紹介されたのが「どこでも図書館」。書架付きの三輪自転車や岡持ち型の書架で、図書館をデリバリーするというものだそう。おもしろい試みですね!

 

イベントの後半は読書人編集部による、共読サポーターズの3人へのインタビュー。

共読サポーターズの活動で書いた本のレビューを、さらに多くの人に読んでもらいたいという思いで書評にチャレンジしたという「書評キャンパス」執筆者の石山さんは、「編集部からの書評添削が、相手に伝えるための言葉選びを考えるきっかけになりました。社会人になる前にまた読書人で書評したいし、後輩にも参加を薦めたいです」と話してくれました。

 

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リラックスした雰囲気で、MELICや共読サポーターズの活動への思い入れを自由に語るなか、学生3人から

「黒板書架で他学部の先生が薦めていた本を読んでみたら、普段読むジャンルとは違っていたけどおもしろかった」

「共読サポーターズに入り、先輩と話せる場があってよかった」

「この人が読んでいるから読んでみたい、という本がある」

と、“読書を通じて誰かとつながる喜び”が繰り返し語られたことが印象的でした。

 

図書館を通じて、読書で“人とつながる”“世界とつながる”ことをもっと感じてもらうことができたら、「若者の読書離れ」という言葉が聞かれなくなる日もそう遠くないかもしれません。

学生たちの率直な声を聴くことで、これからの読書の可能性を感じたトークイベントでした。

 

お話しを聞かせてくれた帝京大学の皆さん、読書人編集部の皆さん、ありがとうございました!

Posted at:16:10

コンシェルジュ通信Vol.39:絵本や児童文学の魅力にふれる3冊をご紹介

明日は、大人も楽しめる絵本や児童文学をテーマに「千代田図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー『本の街でひらく 絵本のとびら』」を開催します。

ツアーの準備のためさまざまな本を読みながら、誰もが子供の頃に読んでいたような長く愛されている絵本や児童書は、年代を超えて共有できるものの一つだと改めて感じました。

今回のコンシェルジュ通信では、そんな世代を超えて親しまれている絵本児童文学魅力にふれる本を3冊ご紹介します。

※書名をクリックすると、それぞれの本の詳しい情報をご覧いただけます。

 

 

まず1冊目は、こちら。

 

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本へのとびら ―岩波少年文庫を語る

 宮崎駿/岩波書店

 

著者は、アニメーション映画監督の宮崎駿さんです。

内容は2部構成になっており、第1部では自身が長年親しんできた「岩波少年文庫」の中からおすすめする50冊を紹介。第2部では、自らの読書体験や児童文学の挿絵の魅力について、インタビューをもとにまとめています。アニメーターならではの視点で、本の表紙絵や挿絵の大切さを語っています。

 

この本のユニークな点は、第2部は一般的な白いページであるのに対し第1部の紙がわざと日に焼けたような色に加工されていること。

 

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薄茶色のページに、推薦コメントと「岩波少年文庫」の表紙絵が1冊ずつ掲載されています。

長い年月を経たようなページをめくっていると、学校の図書室で本を読んでいた頃にタイムスリップしたような、懐かしい気持ちで読み進めることができました。

 

「岩波少年文庫」シリーズは、千代田図書館では児童書のある10階フロアの「児童文庫コーナー」に並んでいます。

 

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「児童文庫コーナー」の青い表示が目印

 

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2冊目は、小学3、4年生の「こくご」の教科書に取り上げられた作品を大人へ向けて紹介している本です。

著者は「童話の世界に起こる奇想天外な出来事は、笑いながらもなぜかホロリとさせられる」感動があると語り、そんな「感動」を心に効くビタミン剤のように補給してほしい、という思いがつまった1冊。

 

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おとなを休もう』 

石川文子編/フロネーシス桜蔭社

 

この本では、昭和40年から平成16年度までの40年間にわたり出版された、小学3、4年生の「こくご」の教科書の中で、採用頻度の高かった作品を掲載しています。

 

そのうち、最も多く採用されているのは、新美南吉による『ごんぎつね』だそう。

著者が300冊もの教科書を読み進めるうち、すぐにベスト1位が何になるのか予想が付くぐらい『ごんぎつね』の存在は“圧倒的”だったそうです。

 

あとがきの中で著者は「世代を超えて、読み継がれる名作は、きっと親とこどもの会話の橋渡しになってくれるにちがいありません」と語っています。

子どものころに好きだった本を、親子でゆっくり本を読むのも良いですね。

 

小学1、2年生や5、6年生の「こくご」の教科書に取り上げられた作品は、同じ著者がくじらぐもからチックタックまでにまとめています。 

また、千代田区で採用している教科書は、千代田図書館の千代田区行政コーナーの棚にあります。

(館内での閲覧のみ)

 

 

3冊目は、クリスマスを控えたこの時期に読みたい1冊。

 

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ほんもののプレゼント

オー=ヘンリー/岸田今日子訳

東 逸子 絵

偕成社

 

これは、アメリカの小説家オー・ヘンリーの短編『賢者の贈り物』の新訳版絵本です。

女優であり童話作家でもある岸田今日子さんの優しく語りかけるような翻訳と、画家の東逸子さんの表紙絵や挿絵が印象的な1冊です。小学生のときに気に入って何度も借りて読んだ記憶があります。

『賢者の贈り物』は多くの方によって翻訳されているので、さまざまな翻訳や挿絵の中から自分の好きな1冊を探してみるのもいいですね。

この本は30年前に出版されたもので、すでに新刊書店には並んでいない本ですが、千代田区立図書館では四番町図書館で所蔵しています。

 

 

年末年始は、普段なかなか会えない遠くの親せきと顔を合わせる機会も増えると思います。

好きな絵本や児童文学について、世代を超えて語りあってみてはいかがでしょうか。

 

 

Posted at:12:55

千代田のまちを彩る紅葉&おすすめ絵本

2018年も残すところあと1か月あまり。今年の東京地方は木枯らし1号も吹かず比較的暖かな日が続いたため、紅葉の見頃時期も例年よりやや遅めになりました。

今回は、きれいに色づいた千代田区の紅葉風景をお伝えします。

 

こちらは、千代田図書館からほど近い北の丸公園の紅葉です。

澄んだ青空の下、鮮やかに色づいた葉がきれいに映えています。

 

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こちらは公園内の紅葉の名所、モミジ谷。日当たりのよいところから色づき、緑から赤のグラデーションが目を引きます。平日の午後、通りがかる人々は足を止めて見入ったり、カメラを構えたり、思い思いに紅葉を楽しんでいました。

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続いて日比谷公園です。

 

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中央に鶴の噴水がある雲形池のまわりは紅葉スポットのひとつ。この日は日曜日ということもあって、カメラを手にした人でにぎわっていました。

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公園内を進むと、ひときわ大きなイチョウの木があり、その下には落葉が黄色いじゅうたんのようになっていました。

日比谷公園の開園を控えた明治34年、設計者の本多静六博士が現在の日比谷交差点にあったイチョウの大木を伐採せず、自分の首を賭けても移植してみせるとして見事に園内に活着させたことから、このイチョウは首かけイチョウとよばれています。

 

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日比谷松本楼の前に立っています。園内でぜひ見つけてみてくださいね。

 

もうすぐ紅葉の季節は終わり、本格的な冬がやってきますね。

今年は紅葉を見るチャンスがなかったという方も、あたたかいお部屋の中で本を開いて紅葉を楽しんでみてはいかがでしょうか?

さいごに、葉の色や形をじっくりと観察しながら楽しめる絵本2冊をご紹介します。

絵本を開いてお子さんと一緒に、おうちの周りや公園で見つけた落ち葉を調べてみるのも楽しいですね♪

書名をクリックすると、それぞれの本の詳しい情報をご覧いただけます。

 

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落ち葉

平山 和子  /文と絵、平山 英三 /構成と写真

福音館書店

 

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落ち葉のふしぎ博物館 ゲッチョ先生の落ち葉コレクション

盛口満/文・絵、少年写真新聞社 

Posted at:10:30

区内中学校へ巡回展示中!「本でタイムトラベル!150年前の世界」

皆さん、こんにちは。

読書週間を含む10月26日から11月11日まで、千代田図書館9階第2展示ウォールで展示していた「本でタイムトラベル!150年前の世界」はご覧いただけましたか?およそ150年前に出版され今も読み継がれている世界の名作文学や、国内外の歴史的な出来事にまつわる小説やノンフィクションなど、30冊の資料を展示しました。
 

この展示は日比谷図書文化館で開催中の特別展「江戸から東京へ~江戸城無血開城から東京の新たな幕開け~」の連動企画「図書館でふれる 江戸・明治の世界」のひとつで、ご覧いただいた方からは「いちどにこれだけの名作がずらりと並ぶのは圧巻だね」との感想をいただきました。そして、多く寄せられたのは「展示されている本のタイトルは知っているけど、実は読んだことがない!」という声。『レ・ミゼラブル』『罪と罰』『海底二万海里』など、名作として耳にしたことはあっても読んだことがないという方は多いようでした。

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『海底二万海里』
J・ベルヌ/作 福音館書店

 

展示では、わくわくするような空想冒険小説、人間の本質とは何か?と問いかけてくるような長編大作、みずみずしい少年少女の成長物語、などなど多彩な作品がならびました。

そこで「せっかくならば、多感な時期の中高生たちにも読んでほしい!」と、学校支援担当司書と協力し、中学校でも巡回展示を行うことになりました。
 

今回、展示が決まったのは千代田区立麹町中学校の図書室。

明るくてとてもきれいな図書室、お昼休みには多くの生徒が本を借りに訪れていました。

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学校支援担当司書や先生と協力して、展示の設営にとりかかりました。

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「地図の近くにはどの本のタイトルを掲示する?」

「ここに空きスペースを作ったら、生徒たちが何か手を加えることもできそう」

いろいろとアイデアを出し合いながら、麹町中学校版の展示が出来上がりました!


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この展示をきっかけに、新しい本との出会いがありますように!

麹町中学校の皆さん、図書室に遊びに来た際にはぜひ本を手に取ってみてくださいね。

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展示本のリストはこちらからご覧いただけます。

「本でタイムトラベル!150年前の世界」ブックリスト(PDF:633KB)

(千代田図書館展示版 ※今回麹町中学校で展示したものとは一部異なります)

Posted at:10:30

本を通じた交流の場「本と出会う 読書サロン」

 

皆さん、最近読書していますか?愛読書は何ですか?

「本が好き!」という方はもちろんのこと、久しく本を手にとっていないという方にもご紹介したいのが「本と出会う 読書サロン」です。

「本と出会う 読書サロン」は、読書の会が主催する本を通じた交流の場で、2009年から千代田図書館で定期的に開催されています。

読書サロンでは、参加者が毎回テーマに沿った本を持ち寄り、紹介し合います。自分の好きな本を知ってほしい!という方や、いろいろな本を知りたい!という方、参加の理由はメンバーそれぞれです。

 

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▲過去の読書サロンの様子

 

今回は、今年の6月から9月まで開催された第16期読書サロンのテーマと、紹介された本の一部を振り返ってご紹介します。(書名にリンクの張ってある資料は千代田区立図書館に所蔵しているものです。書名をクリックすると詳細をご覧いただけます)

 

○●第1回(6月19日)テーマ「AI」

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『人間の未来 AIの未来』 

山中伸弥  羽生善治/著 講談社

『人工知能とは』

人工知能学会/監修 近代科学社

『人工知能に負けない脳』

茂木健一郎/著 日本実業出版社

『スマホ廃人』

石川結貴/著 文春新書

など、計11冊

 

○●第2回(7月17日)テーマ「ゲーム」

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『スポーツ雑学大全』

枻出版社

『○×まんがでスッキリわかる もう怒らない本』

安藤俊介/著 橋本くらら/まんが ディスカヴァー・トゥエンティワン

『家族ゲーム』

本間洋平/著 集英社

『なぞなぞの本』

福音館編集部編 石川勇/画 福音館書店

など、計10冊

 

○●第3回(8月21日)テーマ「カラー」

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『無限の玄/風下の朱』

古谷田奈月/著 筑摩書房

『漱石の白くない白百合』

塚谷裕一/著 文藝春秋社

『いろのかけらのしま』

イ・ミョンエ/作と絵 生田美保/訳 ポプラ社

『米屋』

小泉光久/著 大月書店

など、計19冊

 

○●第4回(9月18日)テーマ「ムービー」

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『映像の原則』キネマ旬報ムック

富野由悠季/著 キネマ旬報社

『私の記録映画人生』

羽田澄子/著 岩波書店

『日日是好日』

森下典子/著 新潮社

『キネマの神様』

原田マハ/著 文藝春秋

など、計12冊

 

全4回の読書サロンで50冊近い作品が紹介されました。小説、絵本、まんが、実用書や参考書など、じつにバラエティ豊かです。

参加者は毎回10名前後で、中には複数の本を紹介する方もいらっしゃるのですが、なぜか紹介する本が重なることはないそうです。まさに、本と出会う場になっているわけですね。

 

現在、「本と出会う 読書サロン」では、12月~3月(第17期)のメンバーを募集中です。

また、11月20日(火曜日)には第17期のオープニングを記念し、読書サロン参加者によるイベント「人と社会が見えてくる読書会~本で語り合う方法~」を開催します。参加者が本を紹介する場面もあり、読書サロンに参加した気分を体感できますよ!

どなたでもお気軽にご参加いただけるイベントですので、ぜひお立ち寄りください♪

 

「本と出会う 読書サロン」第17期オープニングイベント

「人と社会が見えてくる読書会~本で語り合う方法~」

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大きな画像を見る(PDF:353KB)

 

【日 時】 11月20日(火曜日)午後7時~8時(午後6時30分開場)

【会 場】 千代田図書館9階=特設イベントスペース

【席 数】 30席(事前申込不要・当日先着順/立ち見可)

【登壇者】 読書サロンメンバー 小泉光久さん、池田さん

【主 催】 読書の会

【共 催】 千代田区読書振興センター

Posted at:10:15

北の丸公園、皇居東御苑で発見!秋の花だより&おすすめ本紹介

 

吹く風も涼しく、秋の訪れを感じる気候になりました。

お散歩が気持ちいいこの季節、図書館にお立ち寄りのついでに“小さな秋”を見つけてみませんか?

今回は、千代田図書館から歩いてすぐの北の丸公園皇居東御苑で見つけた初秋の草花と、身近な自然を楽しみながらのお散歩におすすめの本3冊をご紹介します!

 

千代田図書館がある千代田区役所を出てすぐの清水門をくぐると、斜面のところどころにヒガンバナが咲いています。燃えるような赤が、秋の訪れを感じさせてくれますね。

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北の丸公園では、夏の名残りのピンクや白のムクゲの花もまだ見られます。

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公園西側の一角にあるモミジ山と呼ばれるエリアは、その名の通り千代田図書館から最も近い紅葉の名所で、例年11月下旬に見ごろを迎えます。

紅葉の季節が今から楽しみですね♪

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竹橋方面から皇居東御苑へ入ります。二の丸池から千代田区役所庁舎を眺めたところ。

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本丸休憩所の近くに白い花を咲かせているシュウメイギクは、今が見ごろです。

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都会の中心にありながら、野山の自然を楽しめるのが皇居東御苑の魅力。

こちらは、武蔵野の自然を残すために造成された雑木林でみつけたヤマホトトギス。よく見なければ見落としてしまうような、白と紫の小さな花です。

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かわいらしい実をつける植物も、秋らしさを感じさせてくれますね♪

書陵部横で見つけたのは、コムラサキ(写真左)と、名前の通り珊瑚のような赤い実のサンゴジュ(写真右)。

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二の丸雑木林ウメモドキ(写真左)に、白鳥濠近くのガマズミ(写真右)。

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北の丸公園と皇居東御苑を散策していると、身近にある草花の種類の豊かさと、そのどれもが季節の移り変わりを告げていることに気づかされます。

また、日比谷図書文化館1階の常設展示室では、皇居東御苑などで見られる四季折々の植物をアクリル樹脂標本で展示していますので、こちらもあわせてご覧ください。

 

秋の草花の見ごろはまだまだこれから。ぜひ、千代田図書館の近くでの“小さな秋”探しをお楽しみください!

 

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最後に、秋の自然散策におすすめの本3冊をご紹介します。

それぞれの本の詳しい情報は、書名をクリックしてご覧ください(千代田区立図書館のホームページに移動します)

 

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『皇居東御苑の草木図鑑』

近田 文弘/解説・写真

菊葉文化協会/編

大日本図書

皇居東御苑で見られる草花や樹木を、写真入りで詳しく解説。皇居を訪れる多くの外国人観光客にもわかりやすいよう、英語・中国語・韓国語でも植物名を記しています。

 

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『万葉歌とめぐる 野歩き植物ガイド 秋~冬』

山田 隆彦・山津京子/著

太郎次郎社エディタス

日本最古の歌集『万葉集』で最も多く歌われている植物は桜でも梅でもなく、秋の花「萩」だということをご存じですか?古くから愛されてきた草花に思いを馳せながら、秋の散策を楽しんではいかがでしょうか。

 

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『スキマの植物図鑑』

塚谷 裕一/著

中央公論新社

千代田図書館のすぐ近くでも見られるような、都会の“スキマ”に生きる代表的な植物110種を紹介。オールカラーで持ち運びしやすい新書サイズです。

Posted at:15:00

オリンピックと道のおはなし

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会まであと2年。

2020年8月に行われるオリンピック競技大会のマラソンコースを辿ると、東京の名所を巡ることができるのも話題になっています。新国立競技場をスタートし、外苑西通り~靖国通り~外堀通り~水道橋から白山通りを通り、神保町交差点から靖国通りに入ります。神保町古書店街も通るんですね♪

 

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ここが神保町交差点。南北に走る白山通りと東西に走る靖国通りが交わるところです。

 

下の写真は交差点の反対側から撮影したもの。昨年の秋の様子です。

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この岩波ホール前の広場は古本まつりなどのイベント会場としても使われ、古書店街の中心といえばこの交差点を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?

 

ちなみにこのあたりは、1964年に開催した東京オリンピックの聖火リレーのコースにもなっていました。

当時の写真が、千代田区のホームページ「ちよだ写真館」からも見られます。

 

さて、マラソンコースは永代通り~新大橋通り~清洲橋通りを通って雷門前で折り返し、日本橋まで戻ったら中央通りを南下。東京タワーまできたらまた折り返して再び中央通りから靖国通りへ。神保町交差点が35キロ地点にあたります。交差点を左折して白山通りから内堀通りに入り、皇居二重橋で折り返して白山通り~靖国通り~新国立競技場へと戻ってゴール!

 

このように、今回のマラソンコースは都内のいろいろな通りを巡りますが、これらの通りはいつからこの名前で呼ばれるようになったのかご存じですか?

実は、名前が決まったのはみんな同じタイミングだったのです。あることがきっかけとなり通りの名前がつけられたのですが、そのことを示す資料が千代田図書館の書庫にありました。

 

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『オリンピック準備局事業概要 1963』

東京都オリンピック準備局/編集発行

 

そのきっかけとは1964年に開催した東京オリンピック

案内がわかりにくかった都内の主要道路に対し、観光客や都民にとってわかりやすい通称名をつけることが、前回の東京オリンピック開催時における観光対策のひとつとして決まったのでした。

 

前回の東京大会時に生まれた名前をもつ道が今度の大会ではマラソンコースとなり、たくさんの世界の人びとが通ることを想像すると、わくわくします。2年後の大会では、どんな未来につながる物語が生まれるのでしょうか。

 

 

オリンピックが生みだす物語が気になった方におすすめしたいのがこちら。

 

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千代田図書館9階展示ウォール前ではオリンピック・パラリンピック関連本コーナーを設けています。

競技にまつわるトリビアやアスリートの物語など、知るとオリンピックがさらに楽しみになるかもしれません。どうぞお立ち寄りください。

Posted at:09:40

大切な人へ季節のごあいさつ 暑中見舞いを書こう♪

今年は7月を待たず、早くも関東地方に梅雨明けのニュースが届きましたね。

暑い夏を元気にのりきることを願って、友人や親戚、お世話になっている人に暑中見舞いを書いてみませんか?

もうすぐ夏休みが始まる子どもたちにも一緒に楽しんでいただけるよう、この季節のしきたりや暑中見舞いのマナー、手紙の書き方などを親子で楽しく学べる児童書をご紹介します♪

 

暑中見舞いを出し始める時期には諸説ありますが、暑さが本番になる梅雨明け後の7月中旬、一年を24等分して季節を表す二十四節季では「小暑」(平成30年の暦では7月7日)ごろからといわれています。

ここから、「立秋」の前日(平成30年の暦では8月6日)までに出すのが暑中見舞い、立秋から「処暑」(平成30年の暦では8月23日)までに出すのが残暑見舞いとなります。

 

 

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『伝統行事がわかる図鑑 2 夏のしきたり』

新谷尚紀/監修、ポプラ社

 

夏の伝統行事には、蒸し暑い日本の夏を楽しく快適に過ごすための工夫が込められています。

衣がえ、七夕、暑中見舞い、お盆に夏祭り…生活に深くかかわる夏のしきたりを学んで、元気に過ごすヒントを見つけてみてはいかがですか?

 

 

「暑中お見舞い申し上げます」

季節のあいさつにはじまり、自分の近況報告や日ごろの感謝の気持ちを伝えましょう。

送る相手はどんな夏を過ごしているかな…?相手の顔を思い浮かべながら、思いやりの言葉も添えたいですね。

続いて、手紙を書く時のヒントになる本をご紹介します♪

 

 

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『手紙を書こう! 1 はじめての手紙』

山﨑順子/監修、青少年ペンフレンドクラブ/協力、鈴木出版

 

手紙でどうやって思いを伝えよう?手紙を届けるにはどんなふうにあて名を書けばいいの?

たくさんの写真とイラストで、子どもの疑問にやさしく答えてくれる一冊です。

 

 

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『季節の絵手紙』

寺西恵里子/作、汐文社

 

まっ白なはがきに、季節の絵とシンプルな言葉を添えて絵手紙を書いてみましょう!

子どもと一緒に、かんたんに始められる絵手紙入門です。

 

 

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『てがみはすてきなおくりもの』

スギヤマカナヨ/著、講談社

 

送る時の決まりを守れば、葉っぱや貝がらも手紙になるって知っていましたか?

見ているだけで楽しい、さまざまな手紙のアイデア。封筒や切手にもひと工夫したくなります。

 

 

また、千代田図書館の周辺には手紙を書くのに欠かせない封筒や便せん、はがきなどを見つけるのにぴったりなお店の数々があります。

例えば、和紙のアイテムが豊富に並ぶ明治12年創業の山形屋紙店、美術館のミュージアムショップに置かれる美しい絵ハガキが一堂に揃う美術はがきギャラリー京都便利堂、絵手紙の画材や文房具が揃う文房堂…などなど。

「本の街」神田神保町は「紙の街」でもあるんですね♪

 

行ってみたいお店や探しているものがありましたら、千代田図書館9階コンシェルジュブースまたは神田神保町すずらん通りの「小学館ギャラリーBH神保町 本と街の案内所」で、コンシェルジュにぜひおたずねください!

Posted at:17:00

「本と出会う 読書サロン 第16期オープニングイベント」を開催しました

本と出会う 読書サロン」をご存じですか?

年2期(6月~9月、12月~3月)千代田図書館で開催されている、読書の会が主催する本を通じた交流の場です。

1冊の本について語りあう読書会とは違い、テーマに沿った本を各メンバーが選んで持ち寄り紹介しあうのがこの会の特徴です。

 

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こちらは、読書サロンで紹介された本の一部です。

読書サロンでは小説、ビジネス書、絵本、写真集などさまざまなジャンルから選ばれた本との出会いが待っています。

 

今回は、そのメンバー募集をかねたオープニングイベントとして開催された講演会の様子をお伝えします。

 

ゲストは、子どもの本を数多く手掛ける出版社偕成社社長・今村正樹さん

 

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子どもを育てる、子どもの本を育てる」と題し、子どもの本のこれからや子どもをとりまく社会との関係についてなどをお話しいただいました。

 

「やっぱり、今このテーマで触れる話題というと…」

そう言って語り始めたのは、5月2日に亡くなられた絵本作家かこさとしさんについてです。

 

かこさとしさんの代表作のひとつ『からすのパンやさん』。

愛らしいからすの夫婦やたくさんの種類のパンなどが登場し、世代を超えて愛され続けています。

 

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『からすのパンやさん』

かこさとし/作 偕成社

 

絵本といえばこのようにかわいいキャラクターが登場したり楽しいストーリーが展開する作品だというイメージを持つ方が多いのではないでしょうか?

しかし絵本にもいろいろ種類があり、おはなしの世界を楽しむ絵本もあればノンフィクションの絵本もあります。

かこさんは、愛らしい作品を手掛けると同時にノンフィクションの絵本の創作も精力的に行っていました。

ノンフィクションの絵本に対して、知識を身につけるお勉強のための読み物というイメージを持ってしまうと、あまり手を伸ばそうという気持ちがおきにくいかもしれません。

事実に対して子どもの興味をいかに引っ張っていくかが重要になってきます。細部にまできっちり丁寧に描かれた作品は、本を開くたびにいろいろな発見があります。そうやって楽しみながら知識が身につく作品を、かこさんは数多く生み出していました。

 

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『太陽と光しょくばいものがたり』

藤島昭、かこさとし、村上武利、中田一弥、落合剛、野村知生/共著

かこさとし/絵 偕成社

 

そんな作り手の思いを受け止めて、子どもに本を手渡す大人としての使命感を持って本を世に出していることが、今村さんのお話しの端々から伝わってきました。

学校の授業で読書感想文を書くことについて、いま書店が直面する困難について、図書館に対する疑問(?)などなど、ときに熱く、ときにユーモアを交えてお話しくださいました。

 

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その中で印象に残ったのが

「人がよい方向へむかっていくと信じて本を出したい」

というフレーズ。

正しい知識、深い好奇心によって人は進歩していく。その知識や好奇心の源になるような本を子どもに手渡したい。本がどんな読み手に渡るのか、渡った先にどのように残るのか。1冊の本がたどるストーリーを常に頭に描いて本を創り続けているのだと感じました。

 

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今村さん、ありがとうございました!

 

イベント終了後は、今村さんに質問をする方や第15期の読書サロンで紹介された本を手に意見交換をする方々などの姿が見られました。

読書振興センターでは今後も本を通したコミュニケーションの場づくりのお手伝いを行っていきたいと思います。

読書サロンの開催は毎月第3火曜日の午後7時から。

参加者は近隣の方だけでなくお仕事帰りの方も多く、生活スタイルもさまざまなメンバーで本を通じた交流を楽しんでいます。

図書館は休日に行くところ、とは限りません。

千代田図書館は、平日22時まで開館しています。

気軽にちょっと立ち寄って、本との出会いを楽しんでみませんか?

 

本と出会う 読書サロン 詳細はこちら

Posted at:14:40

長編作品も気軽に楽しめる!
第10回ことばと音のフェスティバル♪「よみしばい『モモ』」

皆さん、こんにちは。

今回は4月28日(土曜日)開催の第10回ことばと音のフェスティバル♪「よみしばい『モモ』」の稽古風景や見どころをお伝えします。

 

稽古場に潜入すべく訪れたのはこちら。立川市にあるたちかわ創造舎です。

 

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たちかわ創造舎は廃校になった小学校の施設を利用した、さまざまな分野のプロフェッショナルが集う文化創造のための活動拠点。

地域との連携も深めつつ多岐にわたる活動を展開しています。

 

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今年3月には、立川駅北口の「ファーレ立川」街区でのイベントに、野外演劇らくがきワークショップ&展示で参加しました。

 

今年のことばと音のフェスティバル♪ 「よみしばい『モモ』」を上演するTheatre Ort(シアター・オルト)も、ここで活動している団体のひとつです。

Theatre Ortは名作文学などを上演する劇団で、劇場だけでなく図書館や小学校などさまざまな場所を演劇の空間にして、劇場になかなか行けない人たちにも演劇を届ける活動をしています。

 

ことばと音のフェスティバルで上演する作品は、世界中で愛されている児童文学の名作『モモ』。

 

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『モモ』

ミヒャエル・エンデ作 大島かおり訳

岩波書店

 

主人公は大きな都会のはずれにある円形劇場の廃墟に住みついたモモという女の子。

モモは道路掃除夫のベッポ観光ガイドのジジら友だちと楽しく暮らしていましたが、灰色の男たちが町にやって来てから、生活が変わってしまいます。

灰色の男たちはみんなから時間を奪う時間どろぼうだったのです。

みんなの時間をとりかえすために、モモは大きな冒険へ出かけます。

 

この300ページ以上に及ぶ壮大な物語を、どのようにしてちいさな子どもでも楽しめるお芝居にするのでしょう?

 

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よみしばいは、本を手に持ちながら演技をします。

しかし、普通の朗読や読み聞かせとは違って、俳優たちがダイナミックに動き回りながら物語を展開させていきます。

「よみきかせ」の気軽さと「おしばい」の迫力を味わえるスタイルの演劇がよみしばいなのです。

今回の『モモ』は、俳優4名とミュージシャン1名で構成されていて、俳優たちは登場人物をひとりで何役も演じ分けます。

 

作品づくりに対する想いを、演出家の倉迫康史さんが語ってくれました。

「文字に書かれている情報を伝えるのが俳優の仕事ではない。それならば、本を読んでもらえればいいんだ。

書かれていないこと、ことばになっていない部分をどれだけ豊かにするか。

この物語には、いろんな時間の流れで生きている人が出てくる。

彼らの独特の時間を感じ取ってもらえる作品にしたい。」

 

稽古を終え作品の世界観を話し合っているうちに、話題は同時開催のワークショップの内容へ。

打合せというより作戦会議というかんじで、楽しそうなアイデアが出されていました。

 

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生演奏にも注目です♪

俳優の動きや物語にあわせて、生演奏が入ります。

いろいろな楽器がならんでいますね。

これら全てを、ひとりのミュージシャンが演奏するんです!

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太鼓でリズムを刻みながら、同時にベルのような楽器を響かせて…

多彩な音色が、『モモ』の世界をより豊かにしてくれます。

 

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演劇は、静かにじっと座って観なくてはいけないようなイメージがあり、赤ちゃんが泣いてしまうのが心配で親子では観に行きづらいという声をよく聞きます。

そんな方にこそ、よみしばいがおすすめです!

気軽に楽しめるのが魅力のよみしばいに、心配せずどうぞお越しください。

楽しいときには一緒に笑って、泣いてしまったらちょっと離れてお休みして、お子さんの状態に合わせて演劇の場を体験してみてください。

そして、親子で一緒に想像の世界を広げてみてくださいね。

どうぞお楽しみに!

 

第10回 ことばと音のフェスティバル♪「よみしばい『モモ』」

 

ミヒャエル・エンデ原作 大島かおり訳 岩波書店刊『モモ』

Momo by Michael Ende

Performance rights licensed by AVA International GmbH, München

 

【日 時】2018年4月28日(土曜日)

     午前11時~12時(開場は開演の15分前)

【場 所】千代田区役所1階=区民ホール

【出 演】Theatre Ort(シアター・オルト)

【企画制作】たちかわ創造舎

【席 数】80席(事前申込不要・当日先着順)※立見可 

【参加費】無料

くわしくは→コチラ

Posted at:13:50

親子そろって楽しもう!絵本作家・塚本やすしさんのイベント

4月7日(土曜日)に四番町図書館で、絵本作家の塚本やすしさん

絵本の読み聞かせライブペインティングを行います!

 

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大きな画像を見る(PDF:485KB)

 

塚本さんといえば、『ありがとうございます』(冨山房インターナショナル)

『もうじゅうはらへりくま』『やきざかなののろい』(ポプラ社)

『おでんしゃ』(集英社)、そして、谷川俊太郎さんの詩から生まれた絵本

『しんでくれた』(谷川俊太郎/作、塚本やすし/絵、佼成出版社)などで知られています。

読んだことがある方も多いのではないでしょうか?

 

楽しい絵とゆかいなおはなしを通して、ときに「食」や「平和」など

私たちの生活に欠かせないテーマについて考えさせてくれる

絵本の数々は、幅広い年代に愛されています。

 

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当日は、自作絵本の読み聞かせと、迫力あるライブペインティングで

親子そろって絵本の世界をお楽しみいただけます!

 

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春の一日、お子さんと一緒に楽しい時間を過ごしませんか?

 

絵本作家 塚本やすしさんの

読み聞かせとライブペインティング

 

【日 時】 4月7日(土曜日)午後2時~3時30分

【場 所】 四番町図書館ラウンジ

【定 員】 3歳以上のお子さんとその保護者15組

【お申込】 先着順/電話(03-3239-6357)

      または四番町図書館カウンターへ

【参加費】 無料

 

2歳までのお子さんの参加についても、

気軽にご相談ください。

 

塚本やすしさんの絵本

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『ありがとうございます』

塚本やすし/作・絵

冨山房インターナショナル

 

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『もうじゅうはらへりくま』

塚本やすし/作・絵

ポプラ社

Posted at:16:10

学校支援担当司書がおすすめ!季節の絵本

2018年がスタートして10日あまりが過ぎました。

冬休みが終わり、日常の慌しさも戻ってきましたね

冬休みはどのように過ごしましたか?

おせち料理やおもちを食べたり、たこあげやすごろくなどで遊んだり

お正月ならではの楽しみがいろいろありましたね。

 

ところで、お正月っていつからいつまでなのでしょうか。

「小正月」ってお正月ではないの?

1月7日に食べる七草粥や鏡開きのお汁粉には

どんな意味があるのだろう・・・

 

そう思って千代田図書館の学校支援担当司書に質問してみたら、

こよみ 行事 について学べる絵本を紹介してくれました。

 

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『「和」の行事えほん② 秋と冬の巻』

髙野紀子/作

あすなろ書房

日本の伝統行事や季節の楽しみかたを、

かわいい動物の家族が紹介してくれます。

「お正月」だけでなく、鏡開きや小正月にまつわる行事やいわれ、

その月の気象や草花なども丁寧に描かれています。

家族みんなで楽しく知ることができますよ。

特にお料理の絵がおいしそうに見えるところがポイント。

 

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『つくってあそぼう4もちの絵本』

江川和徳/編、竹内通雅/絵

農文協

おもちといえば、お正月。

でも、なぜお正月にはみんなでお雑煮を食べるのでしょうか。

また、おもちができるまでのヒミツは知っていますか?

杵や臼がなくてもおもちをつく方法も載っています。

知っているようで、知らないおもちの世界をのぞいてみましょう。

読めばきっと、もち博士になれますよ。

おもち好きにはぜひ手に取ってほしい一冊です。

 

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『旧暦で行事をたのしむ お月さまのこよみ絵本』

千葉望/文、阿部伸二/絵

理論社

暦が新暦になるまでのお正月は、かならず新月と決まっていました。

一年のはじまりの基準となる最初の新月だから「正しい月」、

「お正月」と言うそうです。

この本では、お月さまを中心につくられた旧暦に沿って、

年中行事が紹介されています。

小正月やどんど焼きのことも載っていますよ。

お月さまの暦を知れば、季節のうつりかわりを

もっと感じとれるようになるかもしれませんね。

 

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『ふうことどんどやき』

いぬいとみこ/作、赤羽末吉/絵

偕成社

1月15日前後に各地で行われる「どんど焼き」では、

正月飾りや書き初めを燃やします。

ふうこは、「さむいよう」と泣いているこうさぎたちに、

あたたかそうな手袋とフード、それから靴下の絵を描いてやりました。

それをどんど焼きで焼いて、北風小僧に届けてもらおうと思ったのです。

さあ、夜になりました。

ふうこにとって、はじめてのどんど焼きが始まります。

赤羽末吉さんの躍動感あふれる絵が、おはなしを一層彩ります。

 

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今回ご紹介した本は、千代田図書館で借りることが出来ます。

(貸出中の場合はご了承ください)

季節を感じる絵本を、ぜひ手にとってみてください♪

Posted at:11:00

コンシェルジュ通信Vol.32:講座「むかしの千代田 震災と復興」に
参加してきました

先日、「東京文化財ウィーク」の関連講座、

「むかしの千代田 震災と復興」に参加してきました。

「東京文化財ウィーク」とは、文化の日を中心に行われる

東京都教育委員会の事業です。

都民に文化財を身近に感じてもらう目的で毎年行われており、

企画事業のうちの一つとして講座など様々な催しが行われています。

(今年は10月1日~11月30日で全て開催終了)

 

今回の講座は関東大震災被害震災からの復興がテーマ。

現在の東京の街づくりの原型となった関東大震災のことを

もっと知るために行ってきました。

 

 

会場は、日比谷図書文化館のスタジオプラス(小ホール)。

講師は文化財事務室の学芸員の方です。

満席の会場で、当時の絵葉書や写真など、

たくさんの資料をスライドに写しながらお話しくださいました。

 

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「震災前、明治や大正時代の東京はどんな風景だったのでしょう?」

まずは、当時の東京について知るところから始まりました。

千代田区ゆかりの文学者、

田山花袋の著書『東京の三十年』の冒頭文も引用しながら、

当時の東京の様子を解説します。

 

 その時分は、東京は泥濘(でいねい)の都会、

 土蔵造の家並の都会、参議の箱馬車の都会、

 橋の袂に露店の多く出る都会であった。

 (田山花袋著『東京の三十年』より)

 

泥濘(でいねい)とはぬかるみのこと。

一文ずつ語られる当時のスライド写真からは

その頃の東京の、土埃のにおいが感じられるようでした。

都市文化の成熟していた東京について

理解が深まったところで、いよいよ震災時の話へ。

 

関東大震災、当日。

震災が起きたのは土曜日の正午前でした。

ちょうどお昼時であったために

多くの家庭では食事の用意に火を使っていたこと。

木造の建造物が多かったこと。

これら以外にも様々な要因が重なり、

東京市の東半分が全焼したという大きな被害が

具体的な数字とともに、胸に迫ってきました。

 

印象的だったのは、メディアとしての絵葉書のこと。

新聞社や雑誌社、出版社のほとんどが壊滅してしまい、

震災直後の被災状況を伝える手段が無いなか、

被害を速やかに伝える手段として、

非常に大きな役割を果たしたのが、

被災写真が刷られた絵葉書だったそう。

その一方で、震災とは無関係な写真に炎や煙を描き加えるなど

加工されたニセモノ震災葉書も存在するのだそうです。

 

これは現代でも通じることだと思いました。

非常時などのSNSなどのインターネット情報は

私たちの助けになりますが、

情報源を確認することの大切さを、改めて感じました。

 

だんだんと復興が進んでいく様子も、

スライドの写真から実感できました。

 

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1930年代初頭の駿河台下(小川町交差点)と復興後のニコライ堂

 

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復興期の神田神保町周辺と文房堂の塔

 

千代田図書館からも近い、神保町の文房堂もその一つ。

震災前年の建造ですが、当時ではまだ珍しい鉄筋造りだったため、

幸い倒壊を免れたそう。

文房堂の塔は復興後、地域のランドマークのように

そびえ立っていたことが分かります。

 

会場がふっと和んだのは、

講師の方が「復興節」のフレーズを歌ったとき。

軽快なメロディー涙を笑いで吹き飛ばすような歌詞で、

復興時にはやった流行歌だそうです。

それまで震災の話に耳をかたむけ、静まりかえっていた会場も

ほっと緊張がほどけたようでした。

 

最後に、復興祭のパレードの動画で復興完了を見届けて講座は終了しました。

講演後にお話を伺うと、使用した画像資料は

200枚以上もあったそう!

90分の講座は、明治から昭和初期までの

歴史の重みを感じる充実した時間でした。

 

 

講座では何冊かの本が紹介されました。

千代田図書館所蔵の本を一部、ご紹介します。

 

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『東京の三十年』

田山花袋/著

講談社

 

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『「帝都復興史」を読む』

松葉一清/著

新潮社

 

この他に、地域資料の棚には関東大震災に関する資料があります。

ご興味のある方は、ぜひご覧ください。

Posted at:14:00

ノエビア銀座ギャラリーで「ディック・ブルーナ ポスター展」

早いもので、今年も冬の訪れを感じる季節になりました。

街角のショーウィンドウやイルミネーションに心も躍ります。

 

今回は、中央区のノエビア銀座ギャラリーで開催中の

「ディック・ブルーナ ポスター展 ブラック・ベアは本が大好き」

をご紹介します♪

 

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絵本「ミッフィー(うさこちゃん)」シリーズをはじめ、

現在でも世界中の子どもたち・大人たちに愛され続ける

多くの絵本を生み出したディック・ブルーナ(1927~2017)。

 

そのキャリアは、本の装丁を手がけるブックデザイナーから

始まっていたことをご存じですか?

 

ディック・ブルーナは1951年、父が経営する出版社の

専属デザイナーとして働き始めます。

今回の展示では、1955年から発売された大人向け推理小説を

中心としたペーパーバック「ブラック・ベア」シリーズ

宣伝ポスターの数々をご覧いただけます。

 

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ブルーナが1956年から1971年まで手がけた

「ブラック・ベア」シリーズのポスターに登場するのは

夜遅くまで読書をして、目が赤くなった黒い熊のキャラクター。

 

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雪の日も、雨の日も、野原でも、家の中でも…、

また列車の中でも、寝転がっても。

「いつでもどこでも『ブラック・ベア』のペーパーバックを読もう」という

メッセージのポスターは、鮮やかな色使いと単純明快なデザインで

その後、ブルーナが生涯手がけた絵本の数々を思い起こさせます。

 

展示されているポスターはどれも、当時オランダで刷られたもの。

その保存状態の美しさにも驚かされますが、

シンプルでユーモアにあふれたブルーナのデザイン

現在でも、まったく古びることない魅力にあふれています。

 

この機会に、ぜひご覧ください!

 

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ディック・ブルーナ ポスター展

ブラック・ベアは本が大好き

 

【期 間】 開催中~2018年1月5日(金曜日)

【時 間】 午前10時~午後6時

      (土・日・祝日は午後5時まで)

【会 場】 ノエビア銀座ギャラリー(ノエビア銀座本社ビル1階)

【所在地】 中央区銀座7-6-15

【入場料】 無料

【主 催】 株式会社ノエビア

 

詳しくは→コチラ

 

ディック・ブルーナの世界をさらに楽しもう

ブルーナの原点であるポスターや本の装丁の仕事をはじめ、

生涯で120作以上に及んだ絵本の刊行や

その人となりまでを知ることのできる、

千代田図書館所蔵の本をご紹介します。

(いずれも、貸出中の場合はご了承ください)

 

『ディック・ブルーナ 夢を描き続ける力』

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KADOKAWA/編

株式会社KADOKAWA

 

『ディック・ブルーナ ミッフィーの魅力、再発見』

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別冊太陽編集部/編

平凡社

Posted at:10:20

コンシェルジュ通信Vol.23:サクラサク。開運さんぽ

近年、開運祈願として話題の神社巡り

図書館にも多くの関連書籍を所蔵しており、調べると

都内だけでも2000社近くの神社があるようです。

 

その数ある神社の中から今回は、格式高い「東京五社」の1つ

飯田橋にある東京のお伊勢さま「東京大神宮」に参拝し

人気の御朱印をいただいてきました。

 

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ちなみに「御朱印」とは祀られている神様の分身であり

参拝した神様との絆の証とされています。

 

そこで、まずは絆を結ぶ神様を知るために

少しだけ東京大神宮について調べてみました。

 

東京大神宮は、明治13年(1880年)に東京から伊勢神宮

参拝するための「遥拝殿(ようはいでん)」として

日比谷の大隈重信邸跡に創建されました。

 

その後、関東大震災で社殿が焼失。昭和3年に現在地に移り

社名も「日比谷大神宮」から「飯田橋大神宮」と変更され

さらに、今の社名に改められたのは戦後のことだそうです。

 

飯田橋駅前の賑やかな大通りから路地に入るとビル群の中

緑の木々たちが広がる居と神門が見えてきます。

 

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日本で初めての神前結婚式が挙げられたことから

恋愛成就の神社としても名高い東京大神宮

 

神門の扉にある「猪目(いのめ)」という魔除けの装飾

携帯電話の待ち受け画面にすると良縁に恵まれるという

「隠れハート」として話題になっています。

 

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本殿は、都心にありながらゆったりとした空気に包まれた

伊勢神宮と同じ古代から伝わる高床式の神明造(しんめいづくり)

 

 屋根にある神社特有千木(ちぎ)には「内削ぎ」と「外削ぎ」があり

祀られている主祭神の性別で形が違います。

 

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東京大神宮は先が地面と平行な「内削ぎ」

女神「天照大神(アマテラスオオミカミ)」が祀られています。

 

 

そして、本殿右にあるご神木とせせらぎの池も開運スポット。

金運アップに良いという縁起物の金魚が泳ぐせせらぎの池では

自然保護の一環として夏には蛍を飼育しているそうです。

  

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本殿参拝後は神門東側にある「飯富稲荷神社」への参拝も忘れずに。

 

こちらは「飯富(いいとみ)」の名が示すように

衣食住の神、商売繁昌・家業繁栄の神として広く崇敬され

歌舞伎の九代目市川団十郎が信仰していたことから

芸能の神様としても有名です。

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初午祭(今年は3月8日)に歌舞伎俳優や役者の方々が奉納した

芸道精進の祈りが込められた絵馬が境内に飾られていました。

 

成り立ち歴史を知る神社巡りにも新しい発見が増えますね。

 

千代田区にはまだまだたくさんの神社が鎮座しています。

 

桜の開花を楽しみながら新しい季節のはじまりに

「開運さんぽ」に出かけてみてはいかがですか。

 

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千代田区の神社巡りにおすすめの1冊

仕事帰り・昼休みに行ける神社が満載。

目次で簡単検索。分かりやすく特徴を紹介。

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『すばらしい東京の神社ベスト151』

東京神社研究会/監修 自由国民社

 

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Posted at:13:55

東京古書会館で開催中!イラスト集『神保町』原画展

現在、東京古書会館2

イラストレーター 得地直美さんのイラスト集

『神保町』の原画展が開催されています!

 

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昨年10月に出版された『神保町』は

得地さんが2010年から2016年の間に描いた

神保町やその周辺の街並みを収めたイラスト集です。

 

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『神保町』

得地直美/著

夏葉社

※千代田図書館内では、9階「地域資料 6」の棚にあり

 貸出不可の資料ですが、館内でご覧いただけます。

 

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神保町古書店街を歩いたことがある方なら、

かならずピンとくる身近な街角やお店のイラストの数々。

上京後、絵の学校に通いながら印刷会社でアルバイトをし

日々届け物に歩き回ったり、友人の働くお店を訪ねるうちに、

神保町は得地さんにとって親しみ深い街になっていったとのこと。

『神保町』のまえがきでは

「歩いていてこんなに楽しい町はなかった」と語っています。

 

原画を見ると、お店の看板の文字や古書店の店先に並ぶ本、

お店をのぞき込む人の表情までがペンで細かく描きこまれていて

得地さんが愛着をもって街を観察し、

丁寧に描いていることがよくわかります。

 

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絵の中には、閉店してしまって今はもうないお店の姿も。

数年前のことでも、絵の中にそのお店の姿を見つけることで

懐かしい友人に、久しぶりに会ったような気持ちになりました。

 

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会場には、『神保町』の原画約20のほか、これまでに得地さんが

装画を手がけた書籍や、旅行記などのカラーイラストも展示されています。

 

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また、展示されている原画を、神保町の街角の

「どこから見て」描いたか、ひと目でわかる地図も

会場でご覧いただけます。

展示を見た後は、絵の中の風景を探しに

街歩きに出かけてみてはいかがでしょうか?

 

今回は、東京古書会館で開催されている

イラスト集『神保町』の原画展をご紹介しました!

普段は、商業組合に加盟している業者のみが立ち入りできる

古書籍の取引市場が開催されていることが多い東京古書会館ですが

2階の情報コーナーは、どなたでも入場することができます。

この機会に、足を運んでみてはいかがでしょうか?

 

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得地直美イラスト集『神保町』原画展

【会 期】 開催中~4月1日(土曜日)

【時 間】 午前10時~午後5時

【会 場】 東京古書会館 2階情報コーナー

      (千代田区神田小川町3-22)

【休館日】 日曜日、祝日

【入場料】 無料

詳しくは→コチラ

Posted at:17:40

コンシェルジュ通信Vol.22:春の東御苑で万葉集に詠まれた花を探す

風は冷たいものの、日差しに暖かさを感じられるようになりました。

千代田図書館から徒歩約15分の距離にある皇居東御苑にある梅林坂では

遅咲きの梅も咲きはじめたようです。

「万葉集」に詠まれている草花の中で、

萩の次に多いと聞き、「万葉集」に詠まれた草花を探しに

早春の東御苑へ出かけることにしました。

 

どんな春の草花が万葉集に登場するのか、

まず出かける前に調べたのは、こちらの一冊。

 

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『万葉の花100選 古歌でたどる花の履歴書』

大貫 茂 文/写真

淡交社

 

万葉集に登場する草花を春夏秋冬の季節ごとに掲載しており、

代表的な歌とともに写真付きで解説しています。

 

東御苑にある草花の場所と開花状況は

宮内庁ホームページ内の皇居東御苑花だよりで確認して

さぁ出発。

(皇居東御苑花だよりはコチラ

 

千代田図書館前の清水濠を進み、

北桔橋門(きたはねばしもん)から東御苑に入りました。

天守台跡を眺めつつ左側へ進むと梅林坂があります。

 

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梅林坂は、江戸城を築城した太田道灌(おおたどうかん)が

文明10年(1478年)に天神社をおまつりするために

数百株の梅を植えたことから梅林坂という名がついたとか。

現在では約50本の梅の木が植えられているそうですが、

訪れたこの日も、紅白の梅が暖かい日差しに照らされていました。

 

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万葉集にはの歌が119首も登場するそうです。

『万葉の花100選 古歌でたどる花の履歴書』では

梅の花を詠んだこちらの歌をとりあげていました。

 

 妹(いも)が家に 咲きたる花の 梅の花

 実にし成りなば かもかくもせむ 

                 藤原八束(やつか)

 

この歌は結婚について詠んでいる歌で、

「あなたの家に咲いた梅の花が実になったときに、

(結婚するかどうか)どのようにでも決めましょう」

という意味のようです。

梅の花が実になるのはいつごろかしら、

などと思いを馳せながら、

次の草花を探して梅林坂から本丸休憩所に向かいました。

 

本丸休憩所の近くにある緑の泉と呼ばれる場所で見つけたのはこちら。

 

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現代名でアセビという種類。

古くは「あしび」と呼ばれていた花で、白い花をつけるのだとか。

ここでは、園芸用として多く栽培されているという

赤い花のアケボノアセビを見つけました。

万葉集には10首が登場するそうです。

 

つづいて本丸休憩所から、大番所の前を通って大手休憩所を目指します。

 

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大手休憩所前ではミツマタが咲き始めたばかりでした。

枝が三つ叉(また)に分かれているのが名前の由来だそう。

まだ白っぽく見えますが、枝の先に黄色の花が開きます。

 

万葉集の中に登場する「さきくさ」という草花は、

このミツマタであるとする説が現在では有力とのこと。

登場するのがわずか2首のみというのも、

どの植物か特定するのが困難な理由のようです。

 

ここでは散策していた方々から

「あら、ミツマタが咲きはじめたわね」

という声も聞かれました。

黄色の花が満開になった頃、また訪れるのが楽しみです。

 

最後に、ミツマタのある大手休憩所からほど近い

三の丸尚蔵館前のを眺めながら、

大手門を抜けて早春の東御苑を後にしました。

 

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東御苑で見つけたアセビやミツマタが

万葉集でどんな風に詠まれているかは、

ぜひ、今回ご紹介した本でご覧ください。

万葉集にまつわる草花の本を多く刊行している著者が、

分かりやすく解説しています。

 

また、今回ご紹介した一冊の他にも、

万葉集にまつわる本は多く出版されています。

今も身近にある草花が、

昔の人にはどのように映ったのかを知ると

今見えている風景も趣が違って見えてくるかもしれません。

ぜひ、図書館の本をそのきっかけにしてみてください!

Posted at:11:00

中央区「ちばぎんひまわりギャラリー」で、かこ さとしさん原画展

現在、中央区の「コレド室町34にある

ちばぎんひまわりギャラリーで、

絵本作家かこ さとしさんの絵本原画展が開催されています。

 

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今年で100周年を迎える、千葉県市原市を走るローカル線

小湊鐡道(こみなとてつどう)は、「東京から一番近い里山の旅」が

楽しめる路線として知られています。

この展示では、2015年より運行を開始した

観光列車「里山トロッコ列車」を題材に、かこさんが制作し

昨年出版した絵本『小湊鐡道沿線の旅 出発進行!里山トロッコ列車』

原画を、絵本に未収録のものも含めてご覧いただけます。

 

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『小湊鐡道沿線の旅 出発進行!里山トロッコ列車』

かこさとし/作・絵

偕成社

 

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昔から、線路の見回りや保線作業のために使われてきた

人力や小型のエンジンで動かす小さな貨車「トロッコ」

里山トロッコ列車は、窓を大きく取り、天井からも光が入る開放的な客車で

風や光を体いっぱいに感じられるトロッコの乗り心地を再現しました

この客車を、かつて小湊鐡道で働いていた、ドイツ製の蒸気機関車を復元した

クリーンディーゼル機関車で引いて、現在では上総牛久駅~養老渓谷駅間を

時速20kmでゆっくりと走ります。

 

展示されている原画には、小湊鐡道の沿線をたどりながら

里山の季節ごとの風景や、そこに住む小さな生き物、植物たち、

そして沿線の地域の歴史や由緒ある寺社などの紹介まで、

かこさんならではのあたたかい筆致で描きこまれています。

 

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また、会場には、『からすのパンやさん』(偕成社)、

『だるまちゃんとてんぐちゃん』『かわ』『宇宙』(福音館書店)

といった代表作品の複製画に加え、

かこさんが愛用する絵筆や鉛筆なども展示されています。

 

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ページをめくるごとに、やさしく細やかな絵が

小さな子どもから大人まで多くの読者の

好奇心をくすぐってやまない、かこさんの絵本。

『小湊鐡道沿線の旅 出発進行!里山トロッコ列車』は、

春のお出かけが待ち遠しくなる一冊です。

この機会に、ぜひご覧ください♪

 

かこさとし展-原画で綴る小湊鐡道沿線の風景-

 

【会 期】 開催中~3月20日(月曜日・祝日)

【休廊日】 2 月20 日(月曜日)、27 日(月曜日)

      3 月6 日(月曜日)、13 日(月曜日)

【時 間】 午前10時~午後6時(入場は午後5時30分まで)

      ※最終日は午後4 時まで(入場午後3 時30 分まで)

【場 所】 ちばぎんひまわりギャラリー

      (中央区日本橋室町1-5-5「コレド室町3」4階)

【入場料】 無料

【主 催】 千葉銀行

【協 力】 小湊鐡道株式会社、株式会社偕成社、

      株式会社福音館書店、加古総合研究所

Posted at:15:30

ブックハウス神保町で開催中!絵本『あかり』原画展

千代田図書館から神保町方向へ歩いておよそ10分のところにある、

絵本と児童書専門の新刊書店「ブックハウス神保町」

現在、絵本作家 岡田 千晶さんの原画展が行われています。

 

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『あかり』

木林/文  岡田 千晶/絵

光村教育図書

 

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一本のろうそくが、ある女の子の成長に寄りそう姿を

優しく繊細なタッチと、どこかノスタルジックな色彩で表現した

絵本『あかり』の原画全ページ分をたっぷり楽しめる展示です。

(お店より特別な許可を頂いて写真撮影をしています)

 

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絵本ができあがるまでをのぞき見できるような

ラフ画の数々も手に取って見ることができ、

鉛筆だけで描かれた絵の完成度に驚かされます。

完成した絵本の原画と比べるのも楽しいですね♪

 

はかないけれども優しい、ろうそくの光が

子どもの心も大人の心もそっと照らしてくれるような、

いまの季節にぴったりの絵本です。

この機会に、ぜひご覧ください!

 

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『あかり』の文章を担当した詩人の 木林さん(写真左)と

岡田 千晶さん(写真右)。

 

12月23日(金曜日・祝日)には、お二人と一緒に

「あかりカード」を作るワークショップも開催されます。

(要予約、無料)

スペシャルゲストによる、BGMつき絵本の朗読も楽しめるイベント。

残席わずかとのことですので、ぜひお早めにお申し込みください。

(詳細はブックハウス神保町ホームページをご覧ください)

 

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クリスマスの楽しい雰囲気いっぱいのブックハウス神保町。

家族やお友達、そして自分へのクリスマスプレゼント

ぴったりな一冊を探しにお立ち寄りください♪

 

岡田千晶原画展『あかり』

【会 期】 開催中~2017年1月16日(月)

【場 所】 ブックハウス神保町 ブックハウスギャラリー

      (千代田区神田神保町2-5 北沢ビル1階)

【時 間】 午前11時~午後6時30分

【入場料】 無料

【定休日】 水曜日(水曜日が祝日の場合は営業)

 ★12月28日(水曜日)~2017年1月4日(水)まで休業

 

林木林さん、岡田千晶さんとワークショップ

「あかりカードを作ろう」

【日 時】 12月23日(金曜日・祝日)

      午後2時~(約60分間)

【ゲスト】 朗読楽団(絵本の読み聞かせ)

【参加費】 無料(要予約)

ワークショップのご予約はブックハウス神保町へ

お電話またはメールでお願いいたします。

詳しくは→コチラ

Posted at:11:20

四番町図書館のラウンジセミナー「声を重ねて言葉の世界に遊ぶ『群読』」

11月5日(土曜日)、千代田区立四番町図書館で

平成28年度ラウンジセミナー⑤

「声を重ねて言葉の世界に遊ぶ『群読』」が開催されます。

 

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大きな画像を見る(PDF:261KB)

 

声優・ナレーターとして活躍中のさとう あいさんをお招きして、

日本語の美しさやリズム感を体感できる「群読」の実践講座です。

広く愛されている詩を題材に、声を出して詩を読む楽しみを

体験してみませんか?

 

今回の講座では、谷川俊太郎の「生きる」や

茨木のり子の「倚りかからず」に加え、

今年のノーベル文学賞に選ばれたことで話題の

ボブ・ディランの「風に吹かれて」(訳詩)なども取り上げます。

ひとりで詩集を読むのもいいけれど、

言葉を声に乗せ、ひとつの詩をみんなで読むことで

新たな魅力が発見できるのではないでしょうか。

講座へのお申し込みはまだまだ受付中!

この機会に、ぜひご参加ください♪

 

平成28年度ラウンジセミナー⑤

「声を重ねて言葉の世界に遊ぶ『群読』」

 

【日 時】 11月5日(土曜日)午後2時~4時

【場 所】 千代田区立四番町図書館ラウンジ

【講 師】 さとう あいさん(声優・ナレーター)

【定 員】 20名(事前申込制・先着順)

【参加費】 無料

【持ち物】 ペットボトルなど、フタのしまる飲みもの

【申 込】 電話、または四番町図書館カウンターにて

      詳しくは→コチラ

 

さとう あいさんプロフィール

賢プロダクション所属。アミューズメント総合学院の

「声優タレント学科」で講師を務める。

古くは「おばけのQ太郎」、最近では「妖怪ウォッチ」を

はじめ、数々の人気アニメキャラクターの声を担当。

映画の吹き替え、ドキュメンタリー番組のナレーションなど

「声」の世界で幅広く活躍。

 

上記でご紹介した、講座で取りあげる詩が収録された本

 

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『続・谷川俊太郎詩集』

谷川俊太郎/著

思潮社

(詩集『うつむく青年』より「生きる」を収録)

 

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『永遠の詩② 茨木のり子』

茨木のり子/著

高橋順子/選・鑑賞解説

小学館

(詩集『倚りかからず』より「倚りかからず」を収録)

 

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『ボブ・ディラン全詩302篇 [訳詩篇]

ボブ・ディラン/著

片桐ユズル、中山容/訳

晶文社

「風に吹かれて」を収録)

Posted at:15:00

コンシェルジュ通信Vol.18:小さな出版社について学ぶ2冊

最近は“出版不況”という言葉をよく目にします。

「本が売れない」「書店の数が減っている」など、

出版社にとって苦しい状況が報道される一方で、

1人~数人で本の企画、編集、営業までこなす、

小さな出版社が注目されているようです。

 

 

9月に発売されたばかりの『小さな出版社のつくり方』は、

11社の小さな出版社にライターの永江朗さんがお話をきいた、

インタビュー集。

 

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『小さな出版社のつくり方』

永江 朗/著

猿江商會

 

収録されている11社の出版社は、

テレビ局の記者さんが転身して起業した会社もあれば、

大きな出版社を退職した方が起業した会社もあり、

出版エージェントをしながら本も作っている会社や、

書店も経営しながら出版も行う会社など、

起業の経緯も営業の形態もさまざま。

 

前職を退職した理由や、創業資金の具体的な数字、

本の流通を握る取次会社に取引をお願いする際の苦心など、

かなり踏み込んだ内容まで赤裸々に書かれています。

経営者のみなさんの言葉がとてもユニークで、

特に羽鳥書店の羽鳥和芳さんの

「出版界ではみなさん出版不況だといいますが、

 私は不況だと思っていません。

 いまを出版不況だというなら、

 そもそも出版好況なんて時期はあったのだろうか」

という言葉にはガツンと心を揺さぶられました。

 

 

2冊目にご紹介する『あしたから出版社』は、

夏葉社という出版社を経営している島田潤一郎さんによる1冊。

 

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『あしたから出版社』

島田 潤一郎/著

晶文社

 

「就職しないで生きるには」というシリーズの中の1冊で、

従業員が自分1人だけの小さな出版社を起業した経緯を中心に、

島田さんのこれまでの半生が綴られています。

起業のきっかけは50社の就職試験に落ちたことと

仲の良い従兄が事故で突然亡くなったこと。

「叔父と叔母のために本を作りたい」と一念発起したのは

2008年、31歳の時の出来事でした。

 

島田さんは出版社での仕事の経験はありましたが、

編集の経験は無し。

プルーストの『失われた時を求めて』は読破したけれど、

仕事はどれも長続きしない20代を過ごしてきたそうです。

起業してから島田さんがどんな苦労と喜びを味わったのか、

正直すぎる文章に笑いと涙がこぼれました。

 

 

この2冊を読み進めていくうちに

図書館で本に囲まれて勤務していても、

本がどのように作られて手元に届いているのか、

出版社はどのように経営がされているのか、

知らないことばかりだったことに気付かされました。

 

『小さな出版社のつくり方』のあとがきを

インタビューアーの永江朗さんは

「取材した音声データを聞き返しながら、

 本の未来についてあれこれ考えました。

 けっこう明るい気持ちになって、

 この長いあとがきを書くことができました」

という言葉で結んでいますが、

この2冊を読むと、本当に明るい気持ちになります。

 

 

今回ご紹介した2冊は千代田図書館の「出版にまつわる本棚」

に所蔵されていますので、ぜひお手に取ってご覧ください。

「出版にまつわる本棚」の資料は館内閲覧のみとなります。

ご自宅でゆっくりと読みたいという方は、

近隣書店での在庫の確認や書店への取り置きも依頼する

「書籍購入サポートサービス」をご利用いただけますので、

図書館コンシェルジュまでお気軽にお声掛けください。

Posted at:10:30

図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー in 神田古本まつり

11月5日(土曜日)、千代田区読書振興センターでは

図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー in 神田古本まつり

「オビから始まる本の愉しみ」を開催します!

 

毎回ご好評いただいているコンシェルジュツアー。

今回は、神保町古書店街の秋の一大イベント

「神田古本まつり」とコラボレーションした特別版です!

 

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大きな画像を見る(PDF:258KB)

 

今回は2部制での開催。

第1は、『オビから読むブックガイド』を出版された

竹内勝巳(たけうち・かつみ)さんをお招きして、

昭和~現代の文学や読書の愉しみについてお話しいただくトークショー

第2は、日頃から神保町の街案内を行っている

千代田図書館コンシェルジュが「神田古本まつり」でにぎわう古書店街を

歩いてご案内します。

 

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第1部出演の竹内勝巳さんによる『オビから読むブックガイド』(勉誠出版)。

買った後すぐに捨てられてしまう“本のオビ”ですが

書店の店頭で、本と読者の出会いを演出してくれる大切なツールでもあります。

こちらの本では、“本のオビ”から読み解く150のレビューを掲載しています。

 

 竹内勝巳さんプロフィール

 1929年、長野県中野市生まれ。國學院大學文学部卒業。横浜ペンクラブ会員、

 本のオビ研究会主宰。元・横浜市公立中学校校長。主な著書に

 『ストリートファニチュア・らしきよこはまに』(1990年)、『ランドマークの旅・

 かながわ』(かなしん出版、1999年)。また、1991~2000年にかけて

 産経新聞に「ランドマークの旅」を連載。

 

“本のオビ”に着目すると、本の読み方も変わるかも!?

どんなお話が聞けるか、今から楽しみです。

 

読書の秋にトークを聴いて街を歩いて、本の愉しみをまるごと味わえるイベントです!

ぜひ、ご参加ください♪

 

図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー in 神田古本まつり

「オビから始まる本の愉しみ」

 

【日 時】 2016年11月5日(土曜日)

      午後1時~午後3時30分(12時30分受付開始)

【会 場】 東京古書会館 7階会議室

     (千代田区神田小川町3-22)

【参加費】 無料

【主 催】 千代田区読書振興センター

【共 催】 神田古書店連盟

 

【内 容】 ※第2部のみ事前のお申し込みが必要です。

第1部午後1時~2時

『オビから読むブックガイド』著者・竹内勝巳さんトークショー

【定 員】 70名(事前申込不要、先着順)

      当日会場へ直接お越しください。

 

第2部午後2時~3時30分

千代田図書館コンシェルジュと「神田古本まつり」を歩くツアー

【定 員】 15名(事前申込制、先着順)

【申 込】 電話または10階カウンターで直接申込

      (平日午前10時~午後6時)

10月3日(月曜日)午前10時~受付開始

こちらの注意事項をお読みの上、同意をお願いします。

(PDF:134KB)

※荒天時は中止となります。

 

詳しくは→コチラ

 

前回のコンシェルジュツアーの様子

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Posted at:18:00

コンシェルジュ通信Vol.13:神保町の商店街「神田すずらん通り」

千代田図書館から15分ほど歩いた所にある本の街・神田神保町。

古書店が並ぶ靖国通りを一本南側に入ると「神田すずらん通り」という

活気あふれる商店街があります。

 

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毎年5月には商店街が主催する「神田すずらんまつり」が開催され

例年たくさんの人で賑わいます。

開催30回目を迎える今年も、様々なジャンルのライブ演奏や

体験イベントなどたくさんの催し物が目白押し!

おいしい出店もあるそうですよ。

「第30回神田すずらんまつり」は5月28日土曜日、

午前11時から午後5時までの間、神田すずらん通りで開催です。

 

 

そんな「神田すずらん通り」が舞台になっている本を見つけました。

1冊目は、架空の新刊書店や古書店、カレー店が登場するミステリ小説。

 

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『すずらん通り ベルサイユ書房』

七尾与史/著

光文社文庫

 

主人公はミステリ作家をめざす青年。

アルバイトをしていた神保町の古書店が閉店してしまい、

すずらん通りの新刊書店「ベルサイユ書房」で

働き始めるところからこのお話は始まります。

副店長が本の宣伝のために書く「ポップ」は、

紙一枚で人を動かす力があるようで・・・。

書店で働く主人公ミステリ作家志望ならではの視点

ストーリーは展開していきます。

 

架空の書店が舞台と言っても

実際に神保町に店舗を構えるお店の名前もところどころ出てきて

臨場感があるのがこの本ならではの読みどころ。

すずらん通りに思いを馳せながら読み進むことができます。

 

 

同じすずらん通りの書店を題材にした本でも

こちらはノンフィクションの本。

かつてすずらん通りに実在した書店の歴史を綴った1冊です。

 

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『書肆アクセスという本屋があった 神保町すずらん通り1976-2007

岡崎武志・柴田信・阿部甲/編 

『書肆アクセスの本』をつくる会

 

「書肆アクセス」は、あまり流通にのらないような

地方や小規模な出版社の本・刊行物を専門に取次をしている

株式会社「地方・小出版流通センター」が運営していた書店でした。

この本は、2007年に閉店するまでの「書肆アクセス」31年の歴史

約80人以上の関係者が綴っています。

 

実店舗は無くなってしまいましたが、

現在でも「書肆アクセス」の心意気を引き継いでいる所があります。

三省堂神保町本店4階にある地方出版・小出版物コーナー

東京堂書店3階にある地方・小出版・リトルプレスのコーナー

どちらの書店もすずらん通りにあります。

 

また株式会社「地方・小出版流通センター」が発行する情報誌『アクセス』は

千代田図書館で閲覧することができます。

(※9階「出版にまつわる本棚」にあり、館内閲覧専用です。)

 

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今回ご紹介した2冊は、フィクション、ノンフィクションという違いはありますが

どちらも「神田すずらん通り」への思いがいっぱい詰まった本

すずらん通りを身近に感じることが出来る2冊です。

風の爽やかな季節、緑も色濃くなってきたすずらん通りを散策してみませんか?

 

 

今回ご紹介した本はすべて千代田区立図書館に所蔵があります。

※『書肆アクセスという本屋があった 神保町すずらん通り1976-2007』

 は千代田図書館では館内閲覧のみ、神田まちかど図書館では貸出可です。

Posted at:15:20

アーツ千代田3331にて「山王祭のいま・みらい」を体感できる企画展

江戸時代から、神田祭と隔年で開催されてきた

日枝神社山王祭は、天下祭と称される江戸の初夏の風物詩。

今年も、都心を300mの祭礼行列が練り歩く

6月10日(金曜日)の神幸祭を中心に、

山王祭の様々な奉祝行事が日枝神社で行われます。

 

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アーツ千代田3331では

5月26日(木曜日)より、山王祭の魅力に迫る企画展

「山王祭のいま・みらい~まちが支える江戸の粋~」が開催されます。

 

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展示では、実際のお祭りで使われる

銀座親和会寄贈日枝神社所蔵の黄金の獅子頭

番町・麹町地域、日本橋・京橋地域など、伝統あるお祭りを支えてきた

各氏子町会の手ぬぐい弓張り提灯が勢ぞろい!

(一部の展示物は祭に使われるため、6/10-6/12は展示されません)

半纏に帯、手ぬぐいを結んでお祭り気分を楽しめるコーナーもあり、

6月の山王祭が楽しみになる展示がたくさん!ぜひ、親子でお出かけください♪

 

特別企画展「山王祭のいま・みらい~まちが支える江戸の粋~」

 

【会 期】 5月26日(木曜日)~6月12日(日曜日)

      (会期中無休)

【時 間】 午前11時~午後6時

【会 場】 アーツ千代田3331 1階メインギャラリーB

      (千代田区外神田6丁目11-14)

【入場料】 無料

【主 催】 アーツ千代田 3331

【後 援】 一般社団法人千代田区観光協会、社会福祉法人

      千代田区社会福祉協議会、麹町出張所地区連合町会

【特別協力】日枝神社

【協 力】 糀町惣町睦会、日枝山王祭下町連合

【監 修】 滝口正哉(成城大学・立正大学非常勤講師)

 

また、会期中には、山王祭を体験して楽しむ

さまざまなトークイベントやワークショップ、

街歩きイベントなども開催されます。(すべて事前申込が必要)

 

「お囃子体験講座」

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【日 時】 5月29日(日曜日)午後2時~3時30分

【会 場】 アーツ千代田3331ラウンジ

【講 師】 麹町囃子(こうじまちばやし)の方々

【参加費】 1,500円

【定 員】 30名

 

「山王嘉祥祭にちなんで 和菓子四方山(よもやま)話」

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【日 時】 6月5日(日曜日)午後2時~3時30分

【会 場】 アーツ千代田3331ラウンジ

【講 師】 藪(やぶ)光生さん(全国和菓子協会専務理事)

【参加費】 1,500円(お茶とお菓子付き)

【定 員】 50名

 

その他のイベントや、参加のお申し込みについては

コチラをご覧ください。

 

千代田図書館の本で知る山王祭

山王祭の知識を深める、おすすめの本をご紹介します。

 

『江戸の祭礼屋台と山車絵巻―神田祭と山王祭―』

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福原敏男/著

渡辺出版

『江戸山王祭礼之図』など、江戸時代の祭礼の様子が描かれた

 色鮮やかな絵巻を、ていねいな解説で読み解きます。

※千代田図書館内では、9階「地域資料 6」の棚にあり貸出不可の

 資料ですが、館内でご覧いただけます。

 

『日本の祭り ②関東編』

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「日本の祭り」編集室/編

理論社

10階児童書フロアの本。大きな写真がたくさんのっていて、

 わかりやすく書かれた子ども向けの本は、大人の方の

 入門編としてもおすすめです。

Posted at:13:10

コンシェルジュ通信Vol.11:神保町にも猫ブーム到来!

最近は空前の「猫ブーム」と言われているようです。

千代田区でも2月20日と21日の2日間、区役所1階の区民ホールで

「ちよだ猫まつり2016が開催され、大盛況のうちに終了しました。

神保町にも猫の本をたくさん置いている「にゃんこ堂」という

本屋さんがあり、最近「本と街の案内所」でもよく場所を尋ねられます。

 

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 「にゃんこ堂」は「姉川書店」という本屋さんの一角にありますので、

それを知らない方は、地図で探しても見つからないことがしばしば。

神保町交差点のすぐ近く、地下鉄神保町駅のA4出口のすぐ隣、

手づくりの看板が目印です。

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お店の半分くらいのスペースには猫関連の本やグッズがズラリと並び、

「猫の本ってこんなにあるの!?」と驚かされます。

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なんと、そのセレクト手腕が認められ、

猫の本のブックガイドまで出版されています。

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『猫本専門神保町にゃんこ堂のニャンダフルな猫の本100選』

神保町にゃんこ堂 アネカワユウコ/著 

宝島社

 

「猫ブーム」に乗って猫に関する本がたくさん出版される中で、

ひと味違った視点の本を見つけました。

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『にゃんハウス。』

伴田良輔/著 

左右社

 

作家、写真家、版画家で“猫家建築家”の伴田良輔さんによる、

段ボールでできた猫の家と20匹の可愛らしい猫の写真集です。

収録されている写真は、

伴田さんが作成した「にゃんハウス」と

ご自身や友人の飼い猫を一緒に撮影したもので、

神保町のスタジオで撮影した写真もあるそうです。

表紙の写真は伴田さんの飼い猫、ミハイル君

最初はモデルにするつもりは無かったそうですが、

試しに撮ってみたらとっても良い顔をしたので、

スタッフみんなで協議の末、表紙に選ばれたのだそうです。

「にゃんハウス」を作るコツ

・他の部品をくっつけず、1つの段ボールだけで作ること。

・色はクレヨンでつけるのがベスト。壁はクレヨンを横にして塗る。

・下絵なしのフリーハンドで作る、などなど…。

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神保町のSPIN GALLERYでは伴田さんと一緒に

「にゃんハウス」を作るワークショップが開催されます。

My猫だけのオリジナル「にゃんハウス」を作ってみませんか?

 

猫の家を作ってみよう!

『にゃんハウス。』著者が教える”猫家建築”ワークショップ」

 

段ボール箱からあっというまに作れるかわいい猫の家。

猫を飼っていなくても、ぬいぐるみハウスやドールハウスになります。

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【日 時】 2016年3月9日(水曜日)午後6時30分~8時

【定 員】 6名様まで

【場 所】 神田神保町1-20 小川ビル2階 SPIN GALLERY

【持ち物】 クレヨンとカッターだけ

      ※段ボール箱(無地)は会場でご用意します

【費 用】 2,000円(段ボール代込み)

【申込み】 こちらの参加申込フォームからお申し込みください。 

【問合せ】 diadia3571★gmail.com (★を@に変えて送信ください)

 

どちらかというと犬派なんだけどな…という方には、

同じく伴田さんが訳したこちらの本がオススメ。

犬を飼ったことがある方なら

「わかる!」という表現がいっぱいの一冊です。

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『ダーシェンカ 愛蔵版』

カレル・チャペック/著 伴田良輔/訳 

青土社

 

今回ご紹介した本はすべて千代田図書館に所蔵があります。

※『猫本専門神保町にゃんこ堂のニャンダフルな猫の本100選』

 は館内閲覧のみとなります。

 

自宅でペットが飼えない方も、

可愛らしい猫や犬の本で癒されてみてはいかがでしょう?

Posted at:10:00

コンシェルジュ通信Vol.10:春のおさんぽが楽しみになる本

千代田区の絶好のおさんぽスポットのひとつ、皇居東御苑

苑内にはたくさんの植物が育ち、四季折々の美しい自然を感じられます。

このごろは、コンシェルジュブースにも利用者の方より

「早咲きのサクラが咲き始めたよ」

と、春の訪れが感じられる情報が寄せられます。

どんな花が咲いているのでしょうか?

 

千代田図書館から歩くこと約15分。

ウメの名所「梅林坂」では、

色やかたちがさまざまな種類のウメの花が満開です。

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苑内にあるサクラのうち半数以上が植えられている「桜の島」には、

早くも満開の木があります。

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こちらは(上写真)ツバキカンザクラ。

 

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こちらは(上写真)カワヅザクラ。

たくさんの入苑者が花をつけた木々の周りに集まり、

笑顔で見上げています。

 

同じ「桜の島」に植えられているカンヒザクラは、つぼみがふくらんできています。

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これからどんな花を咲かせてくれるのか、待ち遠しいですね。

 

今回は、千代田区立図書館所蔵の本の中から、

春のおさんぽが楽しみになる本を3冊ご紹介します。

 

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『皇居東御苑の草木帖』

木下栄三/著・画

技術評論社

(千代田図書館では館内閲覧専用。

 四番町図書館、日比谷図書文化館、昌平まちかど図書館では貸出可)

 

東御苑で見られる約860~870種類草木などが

繊細なイラストと細かなメモによって紹介されています。

著者は、建築家であり画家。江戸文化歴史検定1級も保持しています。

本書の「はじめに」で、「植物の専門家ではありません」と断っていますが、

ひとつひとつを発見して、調べて、詳細にスケッチしたという情熱に圧倒されます。

サクラだけでも52種類もあり、

花の姿かたちだけでなく、樹皮の色や凹凸の様子まで細かく描かれています。

現在まだつぼみの木が、これからどんな花を咲かせるのか?

ちがいを見比べて予想するのもおもしろいかもしれません。

 

 

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『皇居東御苑の草木図鑑』

近田文弘/解説・写真 菊葉文化協会/ 編

大日本図書

(千代田図書館、四番町図書館、日比谷図書文化館で貸出可)

 

東御苑で育つ草木の写真が400種類以上紹介されています。

東御苑は日本中の公園や緑地の植物を集めた「博物館のような大公園」なので、

全国のさまざまな地域で、同じ植物が見つかるはず。

東京の東御苑と、日本中の身近な自然を比べてみることができます。

 

 

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『散歩で楽しむ花の本 原寸大』

植木裕幸/写真 八木下知子、酒井巧/ 文

山と溪谷社

(千代田図書館、四番町図書館、日比谷図書文化館で貸出可)

 

庭や公園でよく見かける70種類の花の写真が原寸大で紹介されているので、

花びら、茎、葉のかたちや色などの特徴をつかみやすく、

植物について詳しくなくても、この本で見た花をさがしてみたくなるでしょう。

名前の由来や、植物が登場する文学作品などの雑学も豊富に掲載されています。

 

草木が次々に花開く季節を間近に控えたこの時期、

本を読んで植物を知り、春の訪れをさがしに出かけてみませんか?

Posted at:10:00

コンシェルジュ通信Vol.9:戦前の出版事情を知る2冊

かつて神田駿河台に「岡書院」という出版社がありました。

現在の千代田区神田駿河台一丁目、

明治大学の向かい、杏雲堂病院の付近です。

文化人類学関係の出版社で、『南方熊楠全集』や

柳田國男の『雪国の春』を出版したり、

『広辞苑』の前身『辞苑』を企画したりと、

非常に大きな功績を残しました。

その創業者、岡茂雄が書いた本が『本屋風情』です。

 

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『本屋風情』

岡茂雄/著

中央公論社

 

この本は第一回日本ノンフィクション賞を受賞していますが、

それもそのはず、明治から昭和にかけて活躍した著名な学者たちと、

その学者の本を作る出版社との生々しいエピソードが赤裸々に描かれています。

 

本のタイトル「本屋風情」の由来もユニークです。

ある時、岡茂雄が民俗学者の柳田國男の機嫌を損ねたことがあり、

日銀総裁や大蔵大臣をつとめた渋沢敬三がそれをとりなすために、

自宅で食事会を開催してくれたことがあったそうです。

それでも柳田の機嫌は直らず、

「なぜ本屋風情を同席させた」と言われたことから、

「本屋風情」という言葉に愛着をもつようになり、

タイトルにした…と「まえがき」で言っています。

 

それでは岡茂雄と柳田國男は仲が悪かったのかと思いきや、

「柳田邸、朴の木は残った」という一章では、

柳田國男の自宅に招かれたときに、

「朴の木は好きだがみんな枯れてしまい、枯れるのを見るのが嫌だ」

という話をきいた岡茂雄が、

枯れない丈夫な朴の木を選び抜いて、

サプライズでプレゼントしたときの、

柳田國男の戸惑いながらも喜ぶ様子が詳しく描かれています。

岡茂雄が描くエピソードからは、高名な学者たちの

決して象牙の塔の住民ではない、人間らしい部分が垣間見えます。

 

 

その岡茂雄自身もなかなかユニークな人物だったようです。

『本屋風情』の「落第本屋の手記」という章によると、

岡書院では店員も来客も昼食はあんぱんそばに限り、

相手が渋沢敬三でも金田一京助でも

それ以外はいっさい出さぬことにしていた、という徹底ぶり。

 

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『街道をゆく三十六 本所深川散歩神田界隈』

司馬遼太郎/著

朝日新聞社

 

司馬遼太郎の『街道をゆく三十六 本所深川散歩神田界隈』には、

「三人の茂雄」という一章があります。

こちらには岡茂雄の息子から聞いた話として、

「出す本ごとに本を床に叩きつけて、こわれないかテストをしていた」

というエピソードが紹介されています。

岡茂雄は「造本の要諦のひとつは、書物をこわれないようにすることだ」

と言っていたそうで、本の「装幀(そうてい)」の漢字を

装釘」と書くほどのこだわりを見せています。

ちなみに、三人の茂雄というのは岡茂雄と、

出版社の岩波書店創業者の岩波茂雄

古書肆弘文荘の店主の反町茂雄のことです。

 

 

岡書院は大正13年に創業、昭和10年ごろまで続いたようですが、

岡茂雄の残した数々のエピソードは微笑ましいばかりでなく、

当時の出版事情を知る上でも非常に興味深い資料です。

『本屋風情』は既に絶版となっていますが、

千代田図書館に所蔵がありますので、

ご興味がある方はぜひご覧になってみてください。

Posted at:12:00

千代田人セレクション:岩田副館長のおすすめ本

今回は、2015年10月に就任した千代田図書館の岩田副館長に

最近読んだ本からお気に入りの4冊について語っていただきました。

 

『且座喫茶』

いしいしんじ/著

淡交社

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高校時代に少しだけかじった茶道を、7年前より再開しました。

表千家に入門し、月3回のおけいこを行っています。

茶道の世界は着物姿の女性たちに占領されてしまいました。

「男もお茶を」と同年輩の男友だちに声をかけ、同志を引き込み、

アラ還コンビがトリオから四天王になり、いまでは五人男に増殖しています。

数ある社中でも、男性がこれだけ多いのは珍しいそうです。

 

こうした経験を経て出合ったのが、昨年10月刊行の『且座喫茶』です。

書き手は物語作家として定評のある、いしいしんじさん。

一昨年、著者のお顔は、銀座の「gggギャラリ-」で初めて目にしました。

いしいさんの文章に絵本作家の荒井良二さんが絵をつけていくというイベント。

姿かたちも物言いも、きわめてアバンギャルドに見えました。

 

書き出しは、そのイメージ通りです。

 

 先生宅の門をくぐったとき、僕はアロハシャツにジーンズ、

 腕にはかかえきれないくらいの茶花を、巨大な花束にして、

 おみやげに、ともっていった。

 

おけいこをくりかえすうちに、いしいさんは「真剣」になります。

 

 戦国武将たちにとって、茶碗にたたえられた濃茶は、

 あまりに強烈すぎて補色に裏返った、

 みどりの血に見えていたかもしれない。

 

 日々、赤い血にまみれていた戦国の武将たちは、

 みどりの血、光の血を欲し、「和」を求めていった。

 それは、ただ安寧を、長閑さを欲するのとはちがう、

 命がけの「和」だったのではないだろうか。

 

この本では、「真剣」の意味に思いをめぐらせた筆者が

僧侶、牧師、陶芸家、茶杓師、鋳物師、和菓子作家などの茶事や茶会に参加し、

亭主とのやり取りや茶室で感じたことを綴っています。

 

 「帛紗さばきと、聖杯をきよめるしぐさは、ほとんど同じですよ」

 薄茶の席、鐘の残響のような余韻のなか、高橋牧師はにこやかに話す。

 「汝の敵を愛せよ、って、お茶席のことでしょう。

  狭き門から入れっていうのは、つまりにじり口。

  利休の侘茶は、キリシタンの教えと大いに重なるんです」

 僕はこの席に、全身タータンチェックの服で座っている。

 

こんな調子で、いしいしんじの世界に誘っていきます。

「且座喫茶」は、「しゃざきっさ」と読みます。

禅語で、しばらく座ってお茶でも飲もうよ、という意味です。

 

 

『僕の場所』

隈研吾/著

大和書房

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新しい国立競技場の設計を担当することになった隈研吾さんのエッセイ。

建築家を志したのは、東京オリンピックのときに丹下健三設計の体育館に接し、

打ちのめされたのがきっかけというのですから、ふしぎな巡り合わせです。

 

「反建築」「反個人住宅」など刺激的な仕事の源泉は、

マックス・ウェーバー、エンゲルス、吉田健一、梅棹忠夫などの読書から。

森の中にいるような柔らかい光が射し込む空間が評判を呼び、

初年度の来館者数が100万人を超えることが予想されている、

昨夏に開館した富山市立図書館「TOYAMAキラリ」も手がけました。

 

 

『神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く―』

石井光太/著

新潮社

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アジアのイスラム教信者が多い国のフーゾク地帯に住みついて、

生きぬいている人々を「性」の視点から見つめた体験的ノンフィクション。

13歳の娼婦、中年になったニューハーフなどなど、

読み進むのがつらくなるほどの、想像を絶する現実に圧倒されます。

固定観念にとらわれがちな「イスラーム」が、まったく違って見えてきます。

 

 

『かないくん』

谷川俊太郎/文

松本大洋/絵

東京糸井重里事務所

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人は死んだらどうなるのか。

普遍的かつ根源的なテーマに製作者たちは大まじめに取り組み、

文と絵とデザインが協調し合ったすばらしい絵本を作り上げました。

今年度、第49回造本装幀コンクールの「読書推進運動協議会賞」受賞作品です。

 

日比谷図書文化館で1月23日(土曜日)から始まる

特別展「ブックデザイ」の主人公「祖父江慎+コズフィッシュ」が、

ブックデザインを担当しています。

装幀には、図書館をちょっとだけ困らせるような仕掛けも隠されています。

 

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◇◆岩田副館長のプロフィール◆◇

岩田 玄二(いわた・げんじ)

2011年、38年間の編集者生活をすごした講談社を退社。

在職中は、『週刊現代』『ホットドッグ・プレス』などの雑誌、

『日本美術全集』『ディズニーリゾート物語』などの書籍を担当。

2015年、公益社団法人読書推進運動協議会事務局長を退任。

同年10月より、千代田区立千代田図書館に勤務。

 

岩田副館長、ありがとうございました!

ご紹介の4冊はどれも千代田区立図書館に所蔵しています。

この機会にぜひ、ご一読ください。

Posted at:10:30

千代田図書館スタッフのインタビューが『ミステリーズ! vol.74』に掲載

ミステリ出版の老舗・東京創元社のミステリ専門誌

『ミステリーズ! vol.74巻末コラムに、

千代田図書館の企画チーフ・河合のインタビューが

掲載されています!

 

コチラの記事でご紹介した、今年の神田古本まつりでの

「SFビブリオバトル in 神田古本まつり」(協力:千代田区立図書館)を

きっかけに出会った編集部のみなさんと語り合い、

千代田図書館の取り組みをご紹介しています。

 

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『ミステリーズ! vol.74 DECEMBER 2015

東京創元社(A5判、256ページ、定価1,296円)

 

【特集】魅惑の〝館〟へようこそ 図書館ミステリの誘い

森谷明子×大崎梢×青崎有吾 鼎談「はまかぜ便り」

福井健太 図書館ミステリ案内

国内で唯一!ミステリー文学資料館へ行こう …ほか

詳しくは→コチラ

 

このほか、「秋葉図書館の四季シリーズ」で知られる

元図書館司書の作家・森谷明子さんの最新短編小説「事始」

「第12回ミステリーズ! 新人賞」佳作を受賞した榊林銘さんの「十五秒」なども収録。

ミステリファンはもちろん、図書館好きにもオススメです♪

 

冬休みの読書の1冊にいかがでしょうか?

書店で見かけた際には、ぜひお手に取ってご覧ください♪

(千代田区立図書館に所蔵はありません)

Posted at:17:50

「中高生に読んでほしい」SFビブリオバトル in 神田古本まつり

今年も、神田神保町古書店街が

一年で最も盛り上がる季節がやってきました!

神保町の秋といえば、東京名物 神田古本まつり

 

今年の神田古本まつりは

10月23日(金曜日)から11月1日(日曜日)まで。

靖国通り沿いや神保町の交差点に「本の回廊」が出現する

年に一度、100万冊の大バーゲン青空掘り出し市をはじめとして

東京古書会館での特選古書即売展古本チャリティー・オークションなど

今年もイベント盛りだくさんです。

 

その中でも中高生の皆さんにおすすめなのが

10月25日(日曜日)に開催される

「SFビブリオバトル in 神田古本まつり

 勇者集結!SFビブリオバトル&トーク」です!

 

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「中高校生に読んでもらえそうなSFはこれだ」をテーマに

各地のSFサークル、読書会から選ばれたSF文学ファンが

ビブリオバトルを行います。

SF文学通が選ぶおすすめの一冊を、どうぞお楽しみに!

 

このビブリオバトルで紹介された本は、

11月4日(水曜日)から千代田図書館9階の

出張古書店コーナー「としょかんのこしょてん」

展示されますので、こちらもぜひご覧ください♪

 

イベントの後半は、ビブリオバトルをテーマにした小説

「BISビブリオバトル部」シリーズの著者

山本弘さんをお招きしてのトークセッション。

今年6月に出版されたばかりの新作

『幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部』のエピソードも交えて、

ビブリオバトルからひろがる読書の楽しみについて語っていただきます。

 

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『幽霊なんて怖くない BISビブリオバトル部』

山本 弘/著

東京創元社

 

読書の秋は、中高生の皆さんもぜひ神田神保町へ!

「古書店っておもしろいの?」「神保町ってどんなところ?」という方にも

街中がさまざまな本であふれる神田古本まつりは神保町デビューのチャンス!

きっと、新たな本との出会いが待っています♪

 

SFビブリオバトル in 神田古本まつり

勇者集結!SFビブリオバトル&トーク

【日 時】 10月25日(日曜日)午後2時~4時

【会 場】 東京古書会館 7階(神田小川町3-22)

【参加費】 1,000円

【定 員】 100名(先着順)

【申 込】 コチラの応募フォームからお申し込みください。

【主 催】 神田古書店連盟

【共 催】 SF文学振興会

【協 力】 千代田区立千代田図書館

Posted at:13:20

ノエビア銀座ギャラリーで「滝平二郎 きりえの夏」展

 中央区のノエビア銀座ギャラリー

絵本『モチモチの木』『花さき山』の挿絵でもおなじみの

きりえ作家、滝平二郎さんの作品原画展が行われています。

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展示されているのは、1970年から朝日新聞の日曜版に

連載していたきりえの原画15点。

今回は、紙面を彩った数多くのきりえの中から

夏らしい季節の風物や暮らしが描かれた作品が展示されています。

 

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一点一点の原画には、作品にまつわる滝平二郎さんのエッセイ

題材になった童謡の詞が添えられています。

繊細なきりえの仕事はもちろん、真夏の強い日差しを感じさせる力強い色彩が

紙面や本の挿絵で見るのとはひと味違った印象を与えてくれます。

 

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こちらは一風変わった展示物のアロハシャツ!

よく見ると、絵本『はだかの王さま』の版画の挿絵が隠れています。

このシャツは息子の滝平加根さんによりデザインされたもの。

 

生き生きと描かれた、日本らしい風景から感じられる懐かしさと

今なお新鮮なデザインや色彩とが同居する

滝平二郎さんのきりえの世界。

7月26日(日曜日)からは、展示作品をすべて入れ替えた

後期展示が始まります。(展示替えのため7月25日は休館)

この機会に、ぜひお楽しみください!

 

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滝平二郎 きりえの夏

 

【期 間】 開催中~8月21日(金曜日)

【時 間】 午前10時~午後6時(土日祝日は午後5時まで)

【会 場】 ノエビア 銀座本社ビルギャラリー 1階

      (中央区銀座7-6-15)

【休館日】 7月25日(土曜日)

【入場料】 無料

【主 催】 株式会社ノエビア

詳しくは→コチラ

 

一緒に絵本も楽しもう!

『花さき山』

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斎藤隆介/作 滝平二郎/絵

岩崎書店

第1回講談社出版文化賞・ブックデザイン賞を受賞した絵本。

 

『ちえのあつまり くふうのちから』

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かこさとし/著 滝平二郎/絵

童心社

昔ばなし絵本とはひと味違った、キュートなきりえの挿絵を楽しめる絵本。

Posted at:14:20

コンシェルジュ通信Vol.1:コンシェルジュ亀山おすすめの1冊

 

今月から毎月「コンシェルジュ通信」として、

千代田図書館コンシェルジュの視点から本に関する話題を

お届けしてまいります。

今回はコンシェルジュ亀山から、

2015年4月に刊行されたばかりの1冊を紹介します。

 

 

千代田区ゆかりの文学者、泉鏡花。

2013年には生誕140周年ということで、

その作品を美しい絵本にした『絵本化鳥』が発行され、

千代田図書館でも原画展サイン会&親子イベント

開催されたのを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

 

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あれから2年、『絵本化鳥』の挿絵を手掛けた

イラストレーターの中川学さんによる、

泉鏡花作品の絵草子『朱日記』が刊行されました。

 

『絵本化鳥』は小学生以下のお子さまでも読めるように

鏡花の原文を易しく編集した「絵本」でしたが、

今回の『朱日記』は鏡花の原文そのまま、

中高生~大人向けの「絵草子」です。

 

主人公は、とある小学校の教頭補である雑所(ざっしょ)先生。

五月半ばにもなるのに肌寒い、

風の強い日の昼前から物語は始まります。

 

雑所先生はその前日、

山のなかで赤合羽を着た不気味な坊主に出会い、

その坊主から「城下を焼きに参るのじゃ。」

と告げられたことを気にしています。

 

物語が進むにつれて、不穏な予兆は少しずつ積み重なり、

ついに街は大火災に襲われてしまうのですが、

どうやらその原因はこの世ならぬモノたちの、

恋愛のもつれのようで…。

 

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 『朱日記』(泉鏡花/文 中川学/画 国書刊行会)

 

今回、中川さんの描く『朱日記』の世界は、

モノクロームが基調の画面に「朱色」が効果に使われていて、

すこしずつ高まる火災の予兆が見事に表現されています。

カバーの下には物語のキーワードになるぐみの実

イラストが描かれている、という凝った装丁(写真右)。

 

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本の見返しやヘドバン(中身の背の上下に貼りつける飾り布)も

目のさめるような朱色(写真左)。

扉は日記帳に赤い炎が重なるような凝った演出で(写真右)、

図書館で借りて読むだけではなく、

自分の手元にも置いておきたくなる1冊です。

 

図書館で借りた本を自分でも購入したいと思った時は、

千代田図書館コンシェルジュの「書籍購入サポートサービス」

をご利用ください。

千代田図書館近隣の書店へ在庫確認や取り置きの依頼を行います。

 

『朱日記』発売記念オリジナルアニメーション公開中!

『絵本化鳥』の原画展の際に館内で放映していたもの

と同じスタッフによるオリジナルアニメーションが

コチラから公開されています。

Posted at:15:30

「ことばと音のフェスティバル♪」出演者おすすめの絵本

 

いよいよ、5月9日(土)は

音楽と絵本を家族で楽しめるイベント

第7回ことばと音のフェスティバル♪「本がうたう、ありがとう!」

が開催されます。

 

今回の「ちよぴたブログ」では、出演者のひとり

ソプラノ歌手武仲千恵さんにお聞きした

「お気に入りの絵本」をご紹介します!

 

 

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武仲千恵さん プロフィール

国立音楽大学音楽学部声楽専攻卒業。荘智世恵に師事。

東京国際音楽療法専門学院卒業。音楽市場代表。

これまでに、数多くの演奏会に出演。音楽療法を複数の施設で

8年間担当。視覚障害者合唱団アミーチを3年指導、

その活動により2008年小杉賞受賞。

女性コーラスFiore(フィオーレ)指揮指導。音楽を通して、

生きることの喜びと尊さを伝えて行きたいと演奏活動を続け、

2015年、演奏活動20周年を迎えている。

 

武仲さんのお気に入りの絵本

『ぐりとぐら』

中川李枝子/文 大村百合子/絵

福音館書店

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「ぐりとぐら」シリーズは、

本がやぶけるほど読んでいました。

正確に言うと、読んでもらっていました。

夕食時に仕事で不在がちだった父が

帰宅後、ベッドの横で何度も読んでくれた作品です。

 

『虹色のさかな』

マーカス・フィスター/作 谷川俊太郎/訳

講談社

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友人が贈ってくれた絵本です。

絵がきれいというだけでなく、人と違う事も個性として

胸を張って生きていこうと思えるお話で、

優しさを感じた思い出の1冊です。

 

「ことばと音のフェスティバル♪」へのメッセージ

絵本を読んでいると心の中にいろんな世界が広がりますよね?

いつもは、それぞれにみんな違っていると思います。

でも、今回は、みんなで絵本の世界に一緒に入ってみましょう♪

音楽と共に、楽しい時間を過ごしましょう♪

 

 

5月9日(土)の「ことばと音のフェスティバル♪」は

歌とピアノ、パンデイロ(ブラジル音楽のタンバリン)

で奏でる楽しいコンサートです!

 

当日は『バスにのって』『おんがくかいのよる』などの絵本と

コラボレーションしたプログラムもあります。

ぜひ、ご家族みなさんでお出かけください♪

 

第7回ことばと音のフェスティバル♪

本がうたう、ありがとう!

【日 時】 5月9日(土)

      14:00~15:00(開場は開演の15分前)

【会 場】 千代田区役所1階=区民ホール

【席 数】 80席(当日先着順・申込不要、立ち見可)

【出 演】 歌/武仲千恵さん(ソプラノ)

        明石将岳さん(テノール)

      ピアノ/前田恵麻さん

      パンデイロ/長岡敬二郎さん

      朗読/千代田図書館 学校支援担当司書

【協 力】 ちよだ音楽連合会

詳しくは→コチラ

Posted at:16:00

千代田人セレクション:四番町図書館・宮崎館長のおすすめ本②

 

今回は四番町図書館・宮崎館長のおすすめ本紹介、後半をお届けします!

前半の記事は→コチラからどうぞ。

 

 

前回の記事でご紹介した、『ことばと国家』に書かれている

「最後の授業」のような間違いの例も、グローバル化した現代なら

すぐに修正情報が入ってくると思います。

ネットで抗議が殺到するかもしれません。

 

同じくご紹介した『だから日本はズレている』では、

ソーシャルメディアでの炎上についても、その様相を分析し

著者の古市憲寿氏は、自身の体験から炎上への対処法まで

独特のクールな書き方で示しています。

「独特の」と書きましたが、この姿勢こそ大事ではないかと

私は感じています。

誰もが「少し」わかっていることを、きちんと体系立て

根拠を示してまとめることで、その中に新しい常識が

生まれているのだと思います。

だからこそ、多くの人の心をとらえるのでしょう。

 

ずっと以前に私の心をとらえた大切な一冊があります。

私が「社会人」になり、自分の立場が、学生から「大人」となって

責任を感じ、しかも生きていくためには稼がねばならないという

価値観の変遷期に、何が正しいのか、どう生きるのかという

内面の問題と向き合った時、出会ったのがこの本です。

これはその後、現在まで私の傍にある本たちの中の一冊となっています。

 

『論語と算盤』

渋沢栄一/著

国書刊行会

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日本の資本主義の父とも言われる渋沢栄一の著作なので、

経営者のバイブルのようにとらえられているかもしれません。

題名から、「論語」などと見ると敷居が高いように感じますが、

読んでみるとたいへんわかりやすく、仁義道徳と富についての

考え方が述べられています。

たとえば、富を作るという一面には常に社会に恩義があり、

得義上の義務として社会に尽くすようにとし、

「岩崎さんや、三井さんにも是非ひと奮発してもらわねばならぬ」など、

当時の関係が分かる部分など、読んでいておもしろい側面もあります。

 

ただ著者は、岩崎弥太郎、三井高福とは違う生き方をしました。

多くの大企業や事業に関わりましたが、財閥にはなっていません。

この本は、私にとっては生き方の本です。多岐に渡る渋沢の野太い言葉が、

彼の学んできたものと実績の融合で生まれた言葉として心に残ります。

 

全体を見て個々の有り様を意識するバランス感覚が必要だと

私は常々思っています。そのために必要な知識やスキルを、

先人も若者も情報やデータや経験で培っています。

時代は変わっても、国や性別や立場や年齢や様々な違いはあっても

小さくて影響なんてしないと感じても

「個々の活動が世界を作っている」と思うと、

今をきちんと、ひっそりと頑張ることは無駄ではないように感じるのです。

 

皆様の活動の中で、それぞれの使い方で本を手に取ってほしい。

そういうわけで、今日も私は書架の中に立っています。

  

 

宮崎館長、ありがとうございました!

ご紹介の本は、どれも千代田区立図書館に所蔵しています。

ぜひお手に取ってご覧ください♪

 

 

 

Posted at:16:00

千代田人セレクション:四番町図書館・宮崎館長のおすすめ本①

 

区内の様々な分野で活躍している“千代田人”に

おすすめの本を紹介していただく「千代田人セレクション

今回の担当者は四番町図書館の宮崎館長です。

 

いつもにこやかに、おはなし会や絵本の読み聞かせセミナー講師を務める

宮崎館長がおすすめ本として挙げたのは、意外にも(?)骨太な本ばかり。

今回から、二回に分けてお送りします。

千代田区立図書館に所蔵の本ばかりですので、

この機会にぜひお手に取ってみてください!

 

 

『だから日本はズレている』

古市憲寿/著

新潮新書

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「ズレてる」なんて言われると、「社会人」としてはぎくりとしないでは

いられません。この本は、タイトルを見た瞬間に失笑しながら、

何を書いてあるのかページをめくらずにはいられませんでした。

 

若い社会学者である著者は冒頭で、

「日本の中の様々な『ズレ』を本書で明らかにしていきたい」と

言いながら「僕の方がズレている可能性もある」と始めています。

なぜなら、大企業で働いたこともなく、受験に苦しむ経験や、

就活の経験もなく、「既得権益」の半部外者として暮らしてきたからと

自分の立ち位置を明確にしています。

なるほど、自ら客観的な位置に自分を置いている著者が見る

「大人」の日本社会への表現はつい笑ってしまいます。

 

電車の中では読めない。

 しかし、決して面白いばかりの本ではありません。

「強いリーダー」を求める背景を分析して見せ、個々のあり方の

矛盾を示し、むしろリーダーが不在でも大丈夫な

「豊かで安定した社会を築いた」ことを誇ればいいと言います。

「憲法改正草案」をポエムのようだといい、一般的に使われる

「社会人」という言い方が日本独特な事と、その奥にあるものを

分析して見せます。失笑しては、そうだそうだと納得です。

 

戦後の事や自分の若いころの事には、読みながらそんな時代だったと

昔を思い出し、あれ!?著者は20代だったよね!?と、

その資料収集と分析には驚かされます。

 以前に新聞のコラムで、著者が小学生の時のことを書いた記事を

読んだことがあります。夏休みの自由研究ではなく、

普段興味を持ったことを調べて一冊のノートにまとめるということを

遊びのように楽しんでいた様子が書かれていました。

著者のアカデミックスキルは小学生のころから

積み重ねられたもののようです。

司書としての私の立場からは大いに気になるところです。

 

最後の章(このままでは「2040年」の日本はこうなる)は、抱腹絶倒です。

そして本書を閉じると、「では、今どうしたらいいのか」と

考えずにはいられません。

 

『ことばと国家』

田中克彦/著

岩波新書

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最近、日本人としての自分を意識しないではいられないことが

色々とありました。2020年の東京オリンピック、憲法改正問題、

イスラム国の事件…。

そこで、言葉から国家や民族を考えるこの本をご紹介します。

 

人が生まれて母に育てられるとき一番初めに出会うのが

母の言葉であることから「母語」と呼び、

それが第一言語とする考え方を示し、言語に優劣はないが、

言語によって生まれる差別、権力や政治の介入などを

言語学の立場で著したものです。

 

当時、言語学を少し退屈なものと感じていた私は、著者の独特の視点に

驚きながら読みました。またその中で、子どもの頃読んだ

『最後の授業』(ドーテ作)についての記述は印象的でした。

フランスのアルザス地方の小学校で戦時下、フランス語を

禁止されたため、フランス語の先生が母国語に対する意味を感動的に話し

「フランスばんざい」と黒板に書いて最後の授業を終えるという内容で

当時の子どもだった私は、母国語の大切さや言葉で自由になるという

考え方を学び、教科書にも載った作品でした。

 

しかし、実はアルザス地方の人々の母語はフランス語ではなく

その地に独特のアルザス語が母語で、言語的解放運動の問題を

はらんだ作品だったということを本書で知りました。

 社会言語学という立場からの興味深い1冊で、

今こそまた読んで欲しい本です。

 

 

宮崎館長のおすすめ本紹介は次回に続きます!

Posted at:18:00

「よりみちパン!セ」著者による講演会を行います

 

創刊以来、「学校でも家庭でも学べない、リアルな知恵」を

読者に提供し続けている、中高生から大人まで人気の

シリーズ「よりみちパン!セ」著者のおふたりを迎え

講演会を行います。

 

「よりみちパン!セ」シリーズの最新刊で

人工知能研究の最前線をわかりやすく、楽しく著した

『ロボットは東大に入れるか』の他、

『生き抜くための数学入門』『ハッピーになれる算数』などで

算数・数学の魅力を伝えている新井紀子さん

『どんとこい、貧困!』で私たちが向き合うべき「貧困」の問題を説き

その後も様々な場所で社会問題への提言を続ける湯浅誠さんが、

それぞれの視点から、これからの時代の仕事や生き方についてお話しします。

 

『ロボットは東大に入れるか』

新井 紀子/著

イースト・プレス

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『どんとこい、貧困!』

湯浅 誠/著

イースト・プレス

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私たちの「あした」をどうやって歩いていく?

仕事や生き方はどうなる?

今からできることは何だろう。

知り、考えるきっかけにしてみませんか?

どなたでもお聞きいただける講演会ですので、ぜひお越しください!

 

よりみちパン!セ in ちよだ

-あしたの歩きかた-

 

【日 時】2015年3月19日(木)

     18:30~20:00(18:00開場)

【会 場】千代田区役所 1階=区民ホール

【定 員】100席(申込不要先着順、立ち見可)

【参加費】無料

 

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大きい画像を見る(PDF:961KB)

 

出演者

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新井 紀子さん

東京都生まれ。一橋大学法学部卒業。イリノイ大学数学科博士課程修了。

理学博士。現在、国立情報学研究所教授。2011年から人工知能分野の

グランドチャレンジ「ロボットは東大に入れるか」のプロジェクト

ディレクターを務める。著書に『数学にときめく』(講談社ブルーバックス)、

『ほんとうにいいの?デジタル教科書』(岩波書店)、『コンピュータが仕事

を奪う』(日本経済新聞社)、『数学は言葉』『計算とは何か』(東京図書)、

『ハッピーになれる数学』『生き抜くための数学入門』(イースト・プレス

「よりみちパン!セ」)ほか。

 

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湯浅 誠さん

社会活動家。法政大学教授。1969年東京都生まれ。東京大学法学部卒。

2008年末の年越し派遣村村長を経て、2009年から足掛け3年間内閣府

参与に就任。内閣官房社会的包摂推進室長、震災ボランティア連携室長

など。現在、朝日新聞紙面審議委員、日本弁護士連合会市民会議委員。

文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」レギュラーコメンテーター。

著書に『ヒーローを待っていても世界は変わらない』(朝日新聞出版)、

『反貧困』(岩波新書)、『貧困についてとことん考えてみた』(茂木

健一郎氏と共著、NHK出版)ほか多数。

 

詳しくは→コチラ

Posted at:14:40

明治大学博物館で東日本大震災記録写真展

 

2月23日から、明治大学博物館

写真展「あの日から4年…失われた街が語りかけるもの

~リアス・アーク美術館 東日本大震災と津波の記録~」が開催されます。

 

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大きい画像を見る(PDF:915KB)

 

宮城県気仙沼市にあるリアス・アーク美術館では、

2011年3月11日に発生した東日本大震災とその津波による被害を

地域の重要な歴史・文化的記憶として後世に伝えるため、

学芸員が中心となって災害被害の実態記録・調査を開始しました。

震災からの約2年間で、約30,000点の写真を撮影し、

約250点の被災物を収集しています。

 

この展覧会では、リアス・アーク美術館の常設展

「東日本大震災の記録と津波の災害史」から写真39が展示されます。

また、展覧会の開始に先立ち、2月21日(土)には記念講演会も開催されます。

 

東日本大震災から4年目を迎えるこの春、震災の記憶を風化させないため

写真を通して地域の取り組みを知り、思いを巡らせてみませんか?

ぜひ、足をお運びください。

 

あの日から4年…失われた街が語りかけるもの

~リアス・アーク美術館 東日本大震災と津波の記録~

【会 期】 2月23日(月)~3月26日(木)

【時 間】 10:00~17:00

【休室日】 日曜日・祝日

【会 場】 明治大学博物館 特別展示室

      明治大学駿河台キャンパス(神田駿河台1-1)

      アカデミーコモン地下1階

【観覧料】 無料

【主 催】 リアス・アーク美術館写真展学生実行委員会

      明治大学震災復興支援センター/明治大学博物館

【後 援】 気仙沼市

【協 力】 リアス・アーク美術館

詳しくは→コチラ

 

記念講演会

「まちの記憶・震災の記憶/記録と表現について

~リアス・アーク美術館の試み~」

【講 師】 山内 宏泰氏(リアス・アーク美術館学芸員)

【日 時】 2月21日(土)13:00~15:30

【会 場】 明治大学駿河台キャンパス 

      リバティタワー7階 1073教室

【参加費】 無料(事前申込不要)

※講演に先立ち、学生による震災復興支援活動の報告を行います

※当日はプレオープンとして、展示室をご覧いただけます

(10:00~12:30、講演会終了後~17:00)

 

展覧会の予習・復習にいかがですか?

千代田区立図書館所蔵の本

(貸出中の場合はご了承ください)

 

『リアス・アーク美術館』

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石山 修武/作

隈 研吾/文

藤塚 光政/責任編集・写真

TOTO出版

 

『被災地の博物館に聞く』

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国立歴史民俗博物館/編

吉川弘文館

Posted at:15:30

小さな春見つけた♪ コンシェルジュの地域特集

 

現在、千代田図書館9階コンシェルジュブースでは

「千代田さんぽ 小さな春さがし特集」として

千代田区内で見られる早咲きのウメやスイセン、ツバキなど

春の訪れを教えてくれる草花の開花状況を                             

マップやファイルでご紹介しています。

 

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【展示期間】 開催中~3月8日(日)

【展示場所】 千代田図書館9階 コンシェルジュブース

 

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利用者の方々から寄せられた開花情報もマップに反映しています。

「ここに咲いていたよ」という情報、ぜひお寄せください!

 

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「小さな春さがしアルバム」に載っているお花見スポット周辺の

食事処と和洋菓子店6店舗の情報もどうぞ♪

 

 

今回は、千代田図書館所蔵の本から

「小さな春さがし」にぴったりの本3もご紹介します。

(すべて貸出可、貸出中の場合はご了承ください)

 

『皇居の四季 花物語』

平馬 正/写真・解説

講談社

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千代田図書館周辺の四季のお出かけ情報を伝える

図書館コンシェルジュ達にも欠かせない一冊。

皇居外苑、皇居東御苑、北の丸公園で見られる数多くの草花を

季節ごとに、丁寧な解説とともに紹介しています。

 

『春の妖精たち‐スプリング・エフェメラル‐』

奥山 多恵子/文・絵

福音館書店

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冬、土の中でじっと寒さに耐え、雪解けとともに花を咲かせる

スプリング・エフェメラル(春のはかない命という意味)。

大人も楽しめる美しい絵本です。この季節にそっと根や花を育てている

植物たちに思いをはせてみませんか?

 

『いきもの歳時記<春>』

古舘 綾子/文 小林 絵里子/絵

舘 あきら他/写真

童心社

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俳句の季語を集めた、子ども向け歳時記のシリーズです。

写真、イラストの他に、大人も「なるほど!」とうなる

豆知識のコラムがたくさん。

小さな春は日常生活の中にも見つけられることを教えてくれます。

 

まだまだ寒い日が続きますが、図書館の行き帰りに

小さな春を見つけに出かけてみませんか?

ぜひ、コンシェルジュブースにお立ち寄りください♪

Posted at:11:00

本と出会う読書サロン 第9期オープニングイベントを開催しました!

 

11月12日(水)、「本と出会う読書サロン」第9期の

スタートとして、新規メンバー募集をかねた

講演会「物語の世界に心ゆくまでひたる 選りすぐりの本たち」

を開催しました。                                          

 

講師は、児童文学評論家赤木かん子さんです。

 

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1984年に、子どもの頃に読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を

探し出す「本の探偵」としてデビュー以来、豊富な知識で

たくさんの児童文学を紹介してきた赤木さん。

今回は、5月に刊行した著書『今こそ読みたい児童文学100から

大人が読んでも面白い、知る人ぞ知る児童文学の本についてお話しいただきました。

 

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ちくまプリマー新書 214

『今こそ読みたい児童文学100』

赤木かん子/著 筑摩書房

 

「何か面白い本ない?」と聞かれて、

物語好きな大人が喜ぶ、どんどん読めて読後感がいい児童文学を

おすすめしたい!という気持ちがこの本を書くきっかけになったと赤木さん。

 

「本の名前だけ知っていたり、小さい頃読んだことがあるかも…という

 児童文学の名作もぜひまた読んでみてください。

“こんな話だったんだ!”と子どもの頃気付かなかった発見があるはず」

 

児童文学の成り立ちや時代ごとの移り変わりを

わかりやすく説明しながら、100冊を選んだ経緯をお話しくださいました。

 ユーモアあふれる語り口調で紹介される本の数々に

今すぐ「読んでみたい!」という気持ちが湧き起こります。

 

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「今は忘れられている本の中に、私たちを

ワクワクさせてくれるものがいっぱい眠っています」

 

熱心にメモを取りながらお話しを聞く参加者も多く、

講演会終了後、紹介された本を手に取り、

熱心に眺める皆さんの姿が印象的でした。

 

「赤木さんのお話しが面白く、本を選ぶ参考になった」

「今すぐ小説を読みたくなった」

「大人向けの児童文学という視点が面白かった」などの声を

いただくことができました。

 

赤木さん、ありがとうございました!

 

「本と出会う読書サロン」では、第9期メンバーの募集を行っています。

詳しくはコチラをご覧ください。

Posted at:15:00

古書を楽しむ!図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー

 

12月6日(金)、読書振興センターでは

『古本屋ツアー・イン・神保町』編と題し、

神保町古書店街をテーマにコンシェルジュツアーを行います!

 

毎回ご好評いただいているコンシェルジュツアー。

12回目の今回は古本屋ツーリスト・小山力也さん

トークゲストとしてお招きします。

 

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大きな画像を見る(PDF:613KB)

 

小山さんは、日本全国の古本屋さんの調査踏破を目指すブログ

「古本屋ツアー・イン・ジャパン」管理人で、日々古書店を巡り、

その記録を発信しています。

この秋、前人未到の神保町古書店訪問の全記録

『古本屋ツアー・イン・神保町』(本の雑誌社)を出版したばかり。

古本屋めぐりの魅力や、新刊の裏側をたっぷりお話しいただきます。

 

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『古本屋ツアー・イン・神保町』

小山力也/著、本の雑誌社

 

その後は、いよいよツアーに出発です!

千代田図書館を出て、コンシェルジュと神保町界隈の古書店を歩いて巡ります。

ご紹介するのはどれも神保町を代表する個性豊かなお店ばかり。

人々を惹きつけてやまない古書の世界へみなさんをご案内します♪

 

現在、お申し込み受付中です。ぜひご参加ください!

 

 

図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー

『古本屋ツアー・イン・神保町』編

※定員に達しましたので、受付を終了しました。

 

【日にち】 2014年12月6日(土)

     (悪天候の場合は12月13日(土)に延期)

【時 間】 13:00~15:30(12:30開場)

【集合場所】千代田図書館10階 特設イベントスペース

【定 員】 20名(高校生以上)※事前申込制・先着順

【申 込】 お電話または千代田図書館10階カウンターにて直接

【参加費】 無料

 

コチラ(PDF:129KB)をお読みの上、ご同意いただいたうえで

 お申し込みください。

※当日は歩きやすく、あたたかい服装でご参加ください。

 

前回のコンシェルジュツアーの様子

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Posted at:16:00

読書コンシェルジュおすすめ!パパの読み聞かせにぴったりの絵本

  

小さなお子様をお持ちのパパ、最近絵本の読み聞かせをしていますか?

ママの優しい声で読む読み聞かせももちろんいいけれど、

パパの声で読んでこそ良さが引き立つ絵本もたくさんあります。

 

今回は、千代田図書館の読書コンシェルジュが選んだ

パパの読み聞かせにおすすめの絵本をご紹介します!

 

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『おっとっと』

(とよたかずひこ/作 岩崎書店)

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1~2歳のお子様へ

 

お父さんのようにはやくおおきくなりたいな

しろくまの子がそう思っていると、

おとうさんが肩車をしてくれました!

しかも、おとうさんは肩車をしたまま

「おっとっと」と前に後ろにふらふらふら…。

しろくまの子の、お父さんのように大きくなれた嬉しさと、

ドキドキを楽しむ様子が伝わってきます。

音の響きが楽しく、小さい子でも読みやすい一冊です。

膝の上にのせたり肩車をしたりしながら、

一緒に「おっとっと」と楽しんでくださいね。

 

『ピッツァぼうや』

(ウイリアム・スタイグ/作木坂涼/訳セーラー出版)

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3~4歳のお子様へ

 

せっかく友だちと外で遊ぼうと思っていたのに、

雨が降ってきてしまいピートはご機嫌ななめ。

お父さんはそれを見て「そうだピートでピッツァをつくったら

たのしくなるかもしれないぞ」とピートをキッチンテーブルに運び、

生地に見立ててこねはじめ…。

機嫌の悪くなった子どもを叱るでも甘やかすでもなく、

楽しい笑いに変えてしまうお父さんがお見事!

こんな風にユーモアを持って子どもと接したいなぁと思います。

読み聞かせの後はぜひ「ピッツァぼうや」ごっこをしてお楽しみください!

 

『三びきのやぎのがらがらどん』

(マーシャ・ブラウン/作 せたていじ/訳 福音館書店)

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4~5歳のお子様へ

 

むかし、三びきのやぎがいました。

えさをさがして山をのぼって行きますが、

途中に渡らなくてはいけない橋があります。

その橋の下には、大きくて気味の悪いトロルが住んでいました…。

ちょっとドキドキするおはなしです。

トロルの恐ろしいセリフはお父さんの声にぴったり!

そして最後に登場する大きくて強い“がらがらどん”は、

まさにお父さんの姿そのものです。

お母さんには出せない、お父さんならではの迫力に

お子さんも大喜びするでしょう。

 

絵本がうまく読めないかも…、

声を出して読むのがちょっと恥ずかしい…というパパも

この機会にチャレンジしてみませんか?

千代田図書館は平日夜10時まで開館しています。

お仕事帰りに図書館で絵本を借りて帰るのもいいですね♪

 

自身も子育てに励む3人の起業家が、育児支援の仕事や子育てについて

経験談を交えてお話しするトークライブ

「パパ、会社をやめる~育児支援サービスをはじめた3人のパパたち~」

11月1日(土)13:30から開催です。

千代田図書館で、子育てやこれからのパパの働き方のヒントを見つけませんか?

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詳しくは→コチラ

Posted at:15:00

生誕450年 親子で楽しむシェイクスピア

 

イギリスの劇作家シェイクスピアの生誕から今年で450年。

「ロミオとジュリエット」「ハムレットなど、数々の戯曲は

今なお世界中の劇場で上演されています。

 

「シェイクスピアの名前は知っているけど、作品は読んだことがない…」

「そんな昔に書かれた作品、今読んでも面白いの?」

という方、この機会にまずは絵本でシェイクスピアの世界に触れてみませんか?

 

絵本や児童書は、子どもが読んで面白いだけではなく

大人にも、さまざまな世界への扉を開くきっかけを与えてくれます。

いきなり専門的な本はハードルが高いかな…と思っている方へ、

今回は千代田区立図書館所蔵の本から2冊をオススメします♪

 

『こどものためのロミオとジュリエット』

ロイス・バーデット/著 鈴木扶佐子/訳

アートデイズ

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カナダの小学校で、シェイクスピア作品を子どもたちと読み解く授業を行い

国際的な評価を得ている著者が、子どもにもわかりやすく読めるよう

シェイクスピアの名作をまとめたシリーズ。

表紙や文中の挿絵は小学校の子どもたちが描いた力作です。

原文をふんだんに取り入れた英文も同時に読めて

英語の勉強にもなります。

 

 

『繪本 シェイクスピア劇場』

松岡和子/著 安野光雅/画

講談社

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シェイクスピアが遺したすべての戯曲、37作品を

一冊で楽しめる大人向けの絵本。

見開きの左側に作品のあらすじが分かりやすく書かれ

登場人物やよく知られた名セリフも紹介されています。

もう片方のページには安野氏によって劇中の一場面が描かれており

絵本をめくっているだけで劇場にいるかのような気分になれます。

 

また、この夏には親子で楽しめる「ハムレット」の上演や

シェイクスピアの世界に触れられるさまざまなイベントも

行われます。ぜひ、こちらもあわせてお楽しみください♪

 

【親子のためのシリーズ】

「子供のためのシェイクスピア ハムレット」

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【日 時】 2014年8月23日(土)14:00開演(13:30開場)

【会 場】 小金井市民交流センター大ホール

      (東京都小金井市本町6-14-45)

【作】 W.シェイクスピア 小田島雄志翻訳による

【脚本・演出】 山崎清介

【出 演】 伊沢磨紀、福井貴一、山口雅義、戸谷昌弘、佐藤あかり、

      若松力、宮下今日子、斉藤悠、長谷川祐之、山崎清介

【料 金】 大人3,500円 学生(高校生以上)2,000円

      子ども(小・中学生)1,000円【全席指定】

      ※未就学のお子様の入場はご遠慮ください。

詳しくは→コチラ

 

【関連イベント】

見て!聞いて!!体験する!!!

子どもも大人も楽しむシェイクスピア・ウィーク

【期 間】 2014年7月23日(水)~7月27日(日)

【時 間】 10:00~21:00

【会 場】 小金井市民交流センター スペース「N」

シェイクスピア作品の読み聞かせやクラフトアートのワークショップ、

演劇の専門家が語るトークショーの開催もあります。

詳しくは→コチラ7月のイベントなび」をご覧ください。

 

 

Posted at:12:00

竹尾見本帖本店にて「第10回竹尾賞」展

 2002年に、株式会社竹尾創立100周年記念事業として創設され

ヴィジュアル・コミュニケーションのあり方を深く洞察する活動、

またはその発展に努力している人を推奨・賞賛し、表彰する

竹尾賞の記念展示会が、6月25日より

紙の専門商社竹尾の見本帖本店2Fで行われます。

 

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竹尾賞は、書籍を対象とした「デザイン書籍部門」

評論活動を対象とした「デザイン評論部門」からなり、隔年で実施されます。

第10回の今回は、2012年1月から2013年12月までの

2年間に日本で初版刊行・発表された書籍と評論を対象に

選考が行なわれ、受賞者が決定しました。

 

「デザイン書籍部門」優秀賞に輝いたのは、

『インフォメーション 情報技術の人類史』

(ジェイムズグリック/著 楡井浩一/訳

水戸部功/デザイン 新潮社)です。

 

そして、6月28日開催のコンシェルジュツアー

「紙のまち神保町」編にトークゲストとしてご出演いただく

烏有書林の上田さんが作った本(下写真)が

審査員特別賞に選ばれました!

上田さん、おめでとうございます。

イベント当日はこの本のこともたっぷりお話しいただく予定です♪

(参加のお申込もまだまだ受付中!)

 

『高岡重蔵 活版習作集

My Study of Letterpress Typography』

(高岡重蔵/著 烏有書林)

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上記の他にも、各受賞作が紹介され

竹尾が選りすぐりの美しい本が一堂に会する展示です。

ぜひご覧ください。

 

「第10回竹尾賞」展

 

【会 場】 株式会社竹尾 見本帖本店2F

      (千代田区神田錦町3-18-3)

【時 間】 10:00~19:00

【期 間】 2014年6月25日(水)~7月18日(金)

      ※土日祝/休

【入場料】 無料

詳しくは→コチラ

 

Posted at:12:00

本を読んでオリンピックを楽しもう!

いよいよ今週開幕する、ソチオリンピック

今回は、千代田図書館10階の児童書コーナーから

オリンピックがますます楽しくなる情報をお届けします!

 

10階の貸出カウンター近くに、

季節やその時期のテーマに沿って、児童図書担当司書が選んだ

おすすめ本の書棚があります。

 

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今回のテーマは「みんなでおうえんしよう!オリンピック」

オリンピックの競技や歴史について知ることのできる本はもちろん、

開催国のロシアに伝わる様々なおはなしの絵本や読み物から

ロシアはどんな国?ロシア語ってどんな言葉?という疑問に

答えてくれる本まで、幅広くそろえています!

(貸出可/貸出中の場合はご了承ください。2月24日(月)まで展示予定)

 

ここでは、特におすすめの3をご紹介します♪

 

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『おだんごぱん』

ロシア民話 せたていじ/訳 わきたかず/絵

福音館書店

日本でも長く愛されている、ロシアを代表する民話のひとつです。

おじいさんとおばあさんのところから、ころころ転がってにげ出した

おだんごぱんが、いろんな動物と出会って…。

くり返しのリズムが楽しく、読み聞かせで小さなお子様も楽しめます♪

 

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『しらべよう!知っているようで知らない冬季オリンピック①

冬季オリンピックの記録と記憶』

稲葉茂勝/文 大熊廣明/監修

ベースボール・マガジン社

冬季オリンピックに登場する競技について、

資料と写真で分かりやすく知識を身に付けられるシリーズの本です。

お父さんやお母さんからは「懐かしい!」と声があがりそうな

冬季オリンピックの名場面がたくさん。

シリーズの2巻では「雪の競技」を、3巻では「氷の競技」を

とり上げています。

 

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『ナショナルジオグラフィック 世界の国

ロシア』

ヘンリー・ラッセル/著

ローリー・バーンスタイン イリヤ・ウテヒン/監修

ほるぷ出版

オリンピックの開催地・ソチのあるロシアは

どんな国なのでしょうか?

この本は、世界最大の面積を持つ国・ロシアの

自然、歴史、政治や経済などを紹介しています。

高学年以上のお子様の調べものにぴったりの本ですが

見ごたえのある写真は、眺めているだけでも楽しめます。

 

お子様だけでなく、大人も楽しみながら知識を深められる本を

ご紹介しました!

本を読んで、親子で観戦・応援を楽しみましょう♪

10階児童書コーナーの展示を、ぜひご覧ください。

 

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貸出カウンターも冬季オリンピックバージョンに変身中♪

Posted at:09:00

中川学さんのサイン会&親子イベントを行いました!

千代田図書館で開催中の企画展示「泉鏡花―その生涯と作品」

もうご覧になりましたか?

その中でもひときわ目を引くのが、館内4か所で展開する

『絵本化鳥(けちょう)』の原画展です。

 

先日、この原画を描いたイラストレーターの中川学(なかがわ・がく)さん

サイン会『絵本化鳥』の世界を親子で楽しむイベントが行われました!

 

イラストレーターとして活躍中の中川さんは、京都のお寺の僧侶でもあります。

作務衣姿で、来場者と気さくにお話ししながら

直筆イラスト入りのサインを書いてくださいました!

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展示期間中、10階の「ぬり絵コーナー」では

『絵本化鳥』に出てくる“鮟鱇博士(あんこうはかせ)”のぬり絵ができます。

たくさんの子どもたちが、思い思いに色を付けたぬり絵は

10階児童書コーナーの各所に展示されています。

 

次はこの「ぬり絵コーナー」に移動し、子どもたちとおしゃべりしながら

中川さんも一緒に鮟鱇博士のぬり絵を楽しみました。

 

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「子どものぬり絵の発想はすごいですね。大人が頑張ってもかないません」

子どもたちの力作を気に入ってくれた様子の中川さんでした♪

 

そして、この鮟鱇博士が出てくる場面を中心に

コンシェルジュによる『絵本化鳥』の朗読が始まりました。

幻想的なおはなしと美しい挿絵が織りなす絵本の世界に、

子どもも大人も引き込まれます。

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最後には、中川さんを囲んで、絵を描くようになったきっかけや

これまでに作ってきた本の制作秘話など、広くお話しいただきました。

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中学生の時に泉鏡花原作の映画「夜叉が池」を見て以来

大の“鏡花ファン”になったという中川さん。

イラストレーターとして絵を描いていくなかで

「自分の本当に描きたいものを描こう」と制作を始めたのが

自費出版で、初めて手掛けた泉鏡花作品の本

『繪草子龍潭譚(えぞうしりゅうたんだん)』でした。

 

それが金沢の泉鏡花記念館の方の目にとまり

「金沢の子どもたちに、金沢にゆかりの作家・泉鏡花を

知ってもらうために、“新しい鏡花本”を作りましょう」

と、『絵本化鳥』の制作が始まったそうです。

構想や下絵のスケッチなど、貴重な資料も見せていただきながら

たっぷりお話を聞くことができました。

 

中川さん、ありがとうございました!

 

千代田図書館の企画展示「泉鏡花―その生涯と作品」は

今月20日までです!

まだご覧になっていない方はぜひ足をお運びください。

中川さんのお話に出てきた『繪草子龍潭譚』の実物やイラストも

コンシェルジュブース周辺で展示中です♪

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また、『絵本化鳥』は千代田区立図書館でもご利用いただけます。

子どもから大人まで楽しめる美しい絵本です。

こちらもぜひお手に取ってご覧ください。

 

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『絵本化鳥』

泉鏡花/ぶん

中川学/ゑ

国書刊行会/刊

 

 

Posted at:09:00

千代田人セレクション:コンシェルジュ稲川いちおしの"怪談本"

今回は、区内の様々な分野で活躍している“千代田人”

おすすめの本を紹介していただく「千代田人セレクション」をお届けします。

 

今回の担当は、千代田図書館きっての「怪談通」コンシェルジュ・稲川

暑さがまだまだ衰える気配のないこの季節にぴったりの

“怪談本”をおすすめしてもらいました。

 

私は怪談が大好きで、毎日怪談ばかり読んでいます。

もともと母が怪談好きだったこともあり、幼い頃に布団の中で

聴かされるのは小泉八雲『耳なし芳一』『鳥取のふとんのはなし』でした。

やがて自分で本を読む年齢になったときに夢中になったのが、

母の書棚にあった中島河太郎紀田順一郎によるアンソロジー『現代怪談集成』でした。

(※アンソロジー=複数の作家の作品を、ある基準で選び集めた本)

 

『現代怪談集成』

中島 河太郎/編

立風書房

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この本は1982年に上下巻で発売され、

なぜか我が家には下巻しか無かったのですが、

1993年に合本が発売されたのを購入、今でも年に1回は読み直しています。

 

八雲、鏡花、綺堂に百閒などの明治の文豪の作品から、

映画「ゴジラ」の原作者として知られる香山滋など

昭和の作家の作品までが収録されていて、

個別の作品は今ではなかなか手に入らないものも多く、

珠玉の怪談セレクションと言わざるを得ない1冊だと思います。

特に新羽精之の「進化論の問題」小松左京の「骨」はSF風味の作品ですが、

その結末がうっすらと分かりかけてきたときに背筋が寒くなること請け合いです。

 

 

怪談作品と言えば怪談実話を思い描く方も多いと思います。

毎年、夏になると書店やコンビニエンスストアで手軽に読める

怪談実話の文庫本や雑誌が多く発売されますが、

数多ある怪談実話本の中でも、『文藝怪談実話』はちょっと趣が異なります。

 

『文藝怪談実話』

遠藤 周作 ほか/著 

筑摩書房

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泉鏡花や喜多村緑郎らが実際に開催した怪談会が舞台の「田中河内介」の怪談、

佐藤春夫や稲垣足穂が住んだ道玄坂の化け物屋敷の話、

三浦朱門と遠藤周作が一緒に泊まった熱海の旅館で遭遇した幽霊の話など、

文豪が実際に体験したという実話が集められているのです。

本気で幽霊を怖がる思いがけない文豪の一面を垣間見ることもできる1冊です。

 

 

怪談実話のなかでも歴史があるのは、

江戸時代に旗本の根岸鎮衛によって書かれた『耳袋』です。

この本は根岸が同僚や知人から聞き取った

珍談・奇談が集められた随筆集なのですが、

それを小説家の京極夏彦が現代の怪談実話風の語り口にアレンジしたのが

『旧怪談(ふるいかいだん)―耳袋より』です。

 

『旧怪談―耳袋より』

京極 夏彦/著 

メディアファクトリー

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現代の文章なのでとても読みやすく、各話ごとに原文もついていますので、

語り口の変化による怖さの違いも楽しめます。

 

根岸鎮衛は南町奉行を務めるなど、江戸幕府の役人でしたから、

聞き集めた話の中には江戸城の周辺である千代田区が舞台のものもあります。

聞き覚えのある場所や自分が通い慣れた道が怪談に登場すると、

いくら江戸時代の話とはいえ、ぞっとしますね。

猛暑が続くこの夏はぜひ、怪談で涼をとってみてはいかがでしょうか?

 

 

残暑の折、怪談を読んで背筋がヒヤリとするような体験もいいのでは?

紹介した本は、どれも千代田区立図書館に所蔵の本ばかりですので

ぜひ手に取ってみてください。

 

 

Posted at:09:00

夏休みのとしょかん②「本をもって宇宙へ行こう!」

前回の「調べもの戦隊 レファレンジャー」と

「BOOK TRAIN」「おはなしトレイン」のご紹介に続き、

今回も、千代田図書館10階の児童書コーナーから

夏休みの読書にぴったりな情報をお届けします!

 

10階の貸出カウンター近くに、

季節やその時期のテーマに沿って、児童図書担当司書が選んだ

おすすめ本の書棚があります。

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今回のテーマは「本をもって宇宙へ行こう!」

物語のなかで宇宙旅行気分を味わったり、

自由研究の題材で、星座のなりたち宇宙の謎をじっくりと調べてみたり。

さまざまな楽しみ方ができる、宇宙についての本がたくさんそろっています。

(貸出可・8月末まで展示予定)

 

その中でも特におすすめの本を

幼児から小学校の学年別に、ここでもご紹介します!

どれも、夏の夜空を見上げたくなる本ばかりです。

ぜひお手に取ってご覧ください♪

 

★幼児向け★

『パパ、お月さまとって!』

エリック・カール/作 もりひさし/訳 偕成社

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「お月さまとって!」とモニカにせがまれたパパ。

長いはしごでお月さままで登ったけれど、

お月さまは大きくて家に持ち帰れない…。

ところがあれれ?お月さまが小さくなっていきます。

 

★小学校1・2年生向け★

『星空のどうぶつえん』

ジャックリン・ミットン/文 クリスティーナ・バリット/絵 メディアファクトリー

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赤い目をしたりゅう、天の川をわたるはくちょう、くまの親子…

古代の人々は、光かがやく星たちを結び合わせて、

たくさんの星座を創りました。

たくさんの動物たちを見つけに星空の散歩に出かけてみませんか?

 

★小学校3・4年生向け★

『宇宙からきたかんづめ』

佐藤さとる/作 岡本順/絵  ゴブリン書房

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ぼくはスーパーマーケットでふしぎなかんづめと出会いました。

かんづめは話すことができ、遠い宇宙から

地球を調べるためにやってきたといいます。

謎のかんづめがぼくに聞かせてくれるふしぎな話とは…!?

 

★小学校5・6年生向け★

『ギリシア神話』

石井桃子/編・訳 富山妙子/画 のら書店

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ギリシア神話は、古代ギリシアに住んでいたひとびとから

語り継がれたおはなしです。

登場する王さまや勇者たちは星座の名前で聞いたことがあるかもしれません。

また、このお話を読んでから星をみつけるのもすてきですね。

 

これらの物語の本以外にも、図鑑調べものの本

親子で楽しめる写真いっぱいの本など幅広く展示されています。

今回ご紹介した本も掲載したブックリスト

近日中に配布予定ですので、あわせてご覧ください♪

 

 

 

Posted at:09:00

レポート「ビブリオバトル入門~開催のコツ教えます~」

6月30日、講演会「ビブリオバトル入門~開催のコツ教えます~」

開催しました!

 

今回は、ビブリオバトルの考案者

立命館大学准教授の谷口忠大さんをお招きし

自分たちでもビブリオバトルをやってみたい!という方のために

開催のコツを知り、ゲームを体験するための講演会を行いました。

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まずは、何よりもゲームを知っていただこうということで

谷口さんが代表を務める、ビブリオバトル普及委員会のメンバーによる

エキシビジョンバトルからスタートです。

学生、書店員、そして千代田図書館コンシェルジュという顔ぶれの3名からは

それぞれの好みや個性があらわれた3冊が紹介されました。

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↑参加者の皆さまによる投票の結果、チャンプ本は

『ブックストア ニューヨークで最も愛された書店』

(リン・ティルマン/著 晶文社)に決定!

 

続いての講演では、「なぜ発表時間が5分なのか」

「なぜ発表の時に原稿を用意してはいけないのか」など

このゲームに参加・開催するにあたって浮かんでくる疑問を具体的に挙げ

公式ルールが生まれた経緯とともに、お話しいただきました。

これからビブリオバトルを始めようという方、また何回か開催している

という方にとっても、考案者からその経緯を聞くことで

より一層ゲームへの理解を深められる機会となったのではないでしょうか。

 

休憩をはさみ、いよいよ参加者全員による体験の時間です。

3~4人一組のチームに分かれ、会場で一斉にビブリオバトルがスタート!

事前に用意してきた本を各々が紹介し、チーム内で投票を行いました。

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「“まず自分たちでやってみよう”というのが一番大事」

という谷口さんの言葉通り、

体験することでゲームが身近になった、自分の仲間ともやってみようと思えた

という参加者の声を聞くことができました。

 

もともとは谷口さんの研究室の仲間たちで

楽しんでいたのが始まりというビブリオバトル。

徐々に口コミで広まり、現在では全国の図書館や書店・学校などで

開催されるまでに広がりをみせています。

   「友達の家に遊びに行くと、つい本棚を見てしまいますよね。

   友達の本棚をのぞきこむような気持ちでゲームを楽しんでいただきたい」

とお話しされていた谷口さん。

 

参加者の皆さまには、ビブリオバトルを通じて

今まで読まなかった分野や作家の本と出会い

新たな読書の楽しみを発見するきっかけとなればと思います。

 

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谷口さんの講演の中で使用された、ビブリオバトル公式ガイドブック

『ビブリオバトル入門~本を通して人を知る・人を通して本を知る~』

(吉野英知須藤秀紹大谷裕谷口忠大/監修 ビブリオバトル普及委員会/編著

一般社団法人情報科学技術協会)

は、千代田図書館でもご利用いただけます。

開催の実例や各地の取り組みが紹介されていますので

ビブリオバトルを知りたい・やってみたいという方は、ぜひお手に取ってみてください。

 

ご参加いただいた皆さま、

谷口さん、普及委員会の皆さま、ありがとうございました!

 

 

Posted at:09:00

神田祭をもっと知りたい!~おすすめの本

前回にひきつづき、5月に行われる神田祭をさらに楽しむための

情報をお届けします♪

今回は、千代田図書館に所蔵されている本の中から

神田祭の知識をさらに深めたり、日本全国の伝統ある祭りについて

知ることのできる本をご紹介します。

 

 

≪神田祭をさらにくわしく知るための本≫

 

『鬼がゆく 江戸の華神田祭』

木下 直之・福原 敏男/編        

平凡社

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豊富な図版と詳しい解説で、神田祭の変遷を知ることができます。

 

『江戸天下祭絵巻の世界―うたい おどり ばける―』

都市と祭礼研究会/編

岩田書院

※こちらの本は貸出不可の資料ですが、館内でご覧いただけます。

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天下祭りの様子がいきいきと描かれた貴重な資料を、

細やかな解説とともに隅々まで見ることができます。

 

 

≪日本全国の伝統的な祭りについて知るための本≫

 

『知れば知るほどおもしろい! 日本の祭り大図鑑

  由来・歴史・見どころがわかる』

芳賀 日向/監修

PHP研究所

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小さなお子さんでも楽しめる写真いっぱいの図鑑。

 もちろん神田祭の項もあります。

 

『岡本太郎と日本の祭り』

川崎市岡本太郎美術館/編

二玄社

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日本の祭りに大きな関心を寄せていた岡本太郎が全国を巡り、

自ら撮影した写真の数々が掲載されています。

 

迫力ある大きな図版で、祭りが待ち遠しくなること間違いなし!の本ばかりです。

ぜひ、お手にとってみてください。

 

◇◆◇◆神田明神をさらに楽しむ②◆◇◆◇

神田明神に訪れたらぜひ味わいたいのが甘酒。

参道でいただける老舗の甘酒は、昔ながらの手法で作られており、

やさしい甘さで栄養価も高く、ほんのりと体が温まります♪

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Posted at:09:00

林忠彦作品展「小説のふるさと」

千代田区一番町にあるJCIIフォトサロンで、

林忠彦作品展「小説のふるさと」が開催されています。

 

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開催日:2012年9月4日(火)~9月30日(日)

              月曜休館、ただし祝日は開館

時 間:10時~17時

会 場:JCIIフォトサロン(千代田区一番町25番地 JCIIビル)

詳細は→コチラ

※JCII=一般財団法人 日本カメラ財団

 

昭和の時代を代表する写真家・林忠彦氏。

名前は知らなくても、作品を見ればピンとくる人も多いのではないでしょうか。

銀座の酒場「ルパン」でスツールにあぐらをかいている太宰治や、

床一面に紙屑が散らばった部屋で執筆をする坂口安吾の写真は

あまりにも有名です。

 

この作品展では、林氏の初めての写真集『小説のふるさと』(1957年発行)に

掲載されている作品群を観ることができます。

『小説のふるさと』は、林氏の代表作として知られる

『小説新潮』誌上での「文士シリーズ」から10年後に撮影されたもので、

当時、『婦人公論』に連載されていました。

 

展覧会場では、川端康成の『伊豆の踊り子』、

志賀直哉の『暗夜行路』、三島由紀夫の『潮騒』などの

小説の舞台を林氏が撮影した作品とともに、

文豪たちのポートレイトとインタビューが展示されています。

 

林氏のドラマチックな写真を見ていると、

小説の世界のイメージがより鮮やかに広がり

名作をもう一度読み直してみたくなるはずです。

作品展を満喫した後は、

ぜひ千代田区立図書館にもお立ち寄りくださいね。

 

 

『伊豆の踊子』

著:川端康成

出版社:新潮社

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『暗夜行路』

著:志賀直哉

出版社:新潮社

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『潮騒』

著:三島由紀夫 

出版社:新潮社

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『月と狂言師』

著:谷崎潤一郎

出版社:中央公論新社

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『二十四の瞳』

著:壺井栄

出版社:新潮社

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Posted at:09:00

千代田図書館 学校支援担当発行☆夏の図書だより

夏休みにどんな本を読んだらよいか迷っていませんか?

 

千代田図書館では、区内の小中学校、幼稚園、保育園、児童館で

読書活動を支援している司書が、

幼児~中学生までの年齢に合わせたおすすめの本を紹介しています。

館内で配布している夏の図書だより

 「おはなしトレイン(幼児・小学生向け)」

 「BOOK TRAIN(中学生向け)」

夏休みの本選びの参考にしてみませんか。

 

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また、このリストに掲載している図書は

千代田図書館9階の新刊書コーナーと10階で

8月末まで展示しています(貸出可)。

TRAIN2.jpg ←幼児~小学生向け図書展示

 

TRAIN3.jpg ←中学生向け図書展示

 

おすすめしている本の一部をご紹介します。

 

 

<0~2歳向け>

 

『あっぷっぷ』

文/中川ひろたか 絵/村上康成(ひかりのくに)

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<3~4歳向け>

『ひみつだから!』

文・絵/ジョン・バーニンガム 訳/福本友美子(岩崎書店) 

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<小学1・2年生向け>

『黒ねこジェニーのおはなし1 ジェニーとキャット・クラブ』

作・絵/エスター・アベリル

共訳/松岡享子 張替惠子(福音館書店)

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<小学5・6年生向け>

『ぼくがバイオリンを弾く理由』

作/西村すぐり 絵/スカイエマ(ポプラ社)

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<中学生向け>

『神去なあなあ日常』

著/三浦しをん(徳間書店)

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『のぼうの城』

著/和田竜(小学館)

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この他にも夏休みの読書にぴったりな図書を

たくさん紹介しています。

暑くて長い夏休み、

図書館へじっくり本を読みに来てくださいね。

 

Posted at:09:00

千代田区指定有形文化財「神田の家」

神田明神に隣接する宮本公園に

千代田区指定有形文化財があることを皆さまご存じでしょうか?

 

公園内に足を踏み入れると

黒漆喰がとても美しい木造家屋に目を奪われるはず。

そこが有形文化財「神田の家」です。

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8月中はメンテナンス休館に入るため、

その前に夏のしつらえの様子を見学に行ってきました。

 

この建物は江戸時代より神田鎌倉町で材木商を営んできた遠藤家が、

昭和二年に建てた店舗併用住宅です。

伝統技術を受け継いだ当時の職人たちが腕によりをかけた建築…。

古き良き木造住宅好きの皆さま、必見です!

 

通常は撮影禁止なのですが、今回は取材の為

特別に館内の写真撮影をご承諾くださいました。

スタッフの方から丁寧な解説をいただきながら、

まずは、表門から見学です。

笠木のついた塀はたくさんのホオズキで彩られていました。

塀の黒にホオズキの朱色が良く映え、とても素敵です。

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↓向かって左が「店」の入口、右が家族の「玄関」

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↓店の小上がり。

 四季に合わせた飾り付けがほどこされており、

 この日は、行燈の下に陶器のクワガタを並べて夏を演出。

 商売繁盛祈願の神棚が祀られています。

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↓店の隣の和室に続く入口。

頭を下げてお客様を出迎えるよう、高さが低く造られています。

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↓茶室「叢竹弇(そうちくえん)」

 窓で松の“葉”、舟板の古材を嵌め込み“枝”を表現し、

 茶室の硬い形式をあえて省略した愛らしい茶室です。

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ここから2階に上がります。 

 

↓「次の間」網代(あじろ)天井が見事です。

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↓「広間」銘木を贅沢に使用した客間。

 端正な造りの床の間は、美しい飴色に磨かれた柱も見もの。

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建物自体の装いの素晴らしさはもちろんのこと、

随所にちりばめられた細部にも江戸の「粋」のセンスを感じます。

kanda10.jpg ←先代の着物の裂地を貼り、扇子形の引き手の袋棚

 

kanda11.jpg ←江戸更紗の美しい布が施された襖

 

kanda12.jpg  kanda13.jpg ←遠藤家の家紋の撫子の欄間

 

外観の剛健な造りと、内観の繊細で柔らかなしつらえが

日本らしい情緒ある建築物に仕立て上げています。

 

メンテナンスを終えた9月には、

手入れがさらに行き届いた「神田の家」に出会えます。

館内のしつらえも、夏から秋の風情となっていることでしょう。

花や小物、建具を変えて、

四季折々の変化を楽しむことができる神田の家は

きっと何度も訪れてみたくなるはずです。

日本の良さを伝える由緒ある木造建築に、

ぜひ一度足を運んでみてくださいね。

 

神田の家では、様々なイベントや内覧会も行われています。

詳しくは神田の家ホームページをご覧ください。

詳細は→コチラ

 

あわせて、千代田図書館には神田の家のカタログもありますので、

家の造りや歴史についてもっと詳しく知りたい方は

お手に取ってみてください。

 

『神田の家 千代田区指定有形文化財』

著:平野徳子 出版:NPO法人神田の家

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また、その他の千代田区内の文化財情報については

こちらからご覧いただけます。

詳細は→コチラ

 

【おまけ】神田の家限定の「平将門キューピー」

願い事の御札を入れて首をつなぐと叶うという、

神田の家でしか手に入らないキューピーちゃん。

管理棟で販売されています。

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Posted at:09:00

四番町図書館に行ってみよう!

今春、リニューアルオープンした四番町図書館

皆さま、もうご利用になりましたか?

 

今回は、新しくなった 四番町図書館と

現在開催中の「モーリス・センダックの絵本展示」をご紹介します。

 

まずは、エントランスに入ってすぐのところに

飲食可能なラウンジが広がっています。

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 ←無線LAN利用可

 

近隣で軽食や飲み物を買って、ここで一息つきながら

ゆっくり本を読むのもいいかもしれません。

 

ラウンジ横を抜けると、メインカウンターが見えてきます。

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 ←ゆったりとした

   ソファ

 

 

カウンター正面のブックトラックでは、

いろいろなテーマで本を集め、展示しているので要チェック!

大きなキノコのような可愛らしいソファに座って

展示されている本を読むことができます。

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 ←メイン

    カウンター前

 

 

カウンター前を通って奥に行くと、こども図書館があります。

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 ←靴を脱いで

   自由に閲覧可能

  

 

約1万冊の絵本や児童書がそろうこの部屋は、

親子連れや学校帰りの小学生で賑わいます。

取材に行った日にも、

かわいい利用者の皆さまが本を楽しんでおりました☆

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ここ、こども図書館で現在

モーリス・センダックの絵本展示を開催しています。

 

「モーリス・センダックの絵本展示」

会期:7月1日(日)~7月31日(火)

会場:四番町図書館 こども図書館

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モーリス・センダックは、100冊以上の名作絵本を世に送り出した

アメリカを代表する絵本作家です。

映画にもなった世界的ベストセラー『かいじゅうたちのいるところ』

ご存じの方も多いのではないでしょうか。

残念ながら、今年の5月にお亡くなりになられましたが、

その作品は変わらず今なお多くの人々に親しまれています。

 

この展示は、世界中の絵本を閲覧することができる

「いたばしボローニャ子ども絵本館」(詳細はコチラ)と、

センダックの原画や素描を所蔵している「イルフ童画館」(詳細はコチラ)

『かいじゅうたちのいるところ』を出版した「冨山房」(詳細はコチラ)

そして「四番町図書館」が協力した連携企画展示です。

 

いたばしボローニャ子ども絵本館から借りた原書を

手に取って読むことができる他、

センダックへのメッセージを贈る企画も実施しています。

メッセージは、追悼展を開催しているイルフ童画館の館内に展示されますよ。

 

面白くて、可愛くて、美しい。

さまざまなタッチで描かれたモーリス・センダックの絵本を

ごゆっくりお楽しみください。

 

 

『かいじゅうたちのいるところ』

著:モーリス・センダック 訳:じんぐう てるお

出版社:冨山房

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さて、こども図書館を出て、一般閲覧スペースに向かいます。

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一人一人が落ち着いて使用できるデスク席は16席設けてあり、

読書だけでなく、集中して仕事や勉強もできそうです。

その他、椅子席、子ども閲覧席とラウンジには机席も28席あります。

区民の方には専用席もありますよ。

 

本棚は利用者が目的の本を探しやすいように配置されており、

特色としては「伝統芸能」に関する本を集めたコーナーがあります。

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資料で調べて、実際に観に行きたくなった方は、

都内の伝統芸能劇場の情報を集めたファイルもありますので、

ぜひご覧になってみてくださいね。

また、書籍以外にもDVDなどの視聴覚資料も収集しています。

 

 

新装オープンして3か月が経ち、館内の表示や展示なども

より良いものへと工夫が進められています。

リニューアル直後に訪れたという方も、

日々、進化する四番町図書館に行ってみると

新たな発見があるかもしれません。

ぜひ、ご利用くださいね♪

 

 

Posted at:09:00

レポート:童話作家・立原えりかさんの講演

去る6月4日(月)に千代田図書館9階のオープンスペースで、

「本と出会う 読書サロン」第4期新規メンバーの募集をかねて

オープニングイベントを開催しました。

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講師は童話作家の立原えりかさん

アンデルセンに憧れて童話作家になったという立原さんの講演は、

物語についてだけでなく、アンデルセンの生涯や

同時期の作家に関するお話など

幅広い内容で大変興味深いものでした。

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アンデルセンといえば誰もが知ってる童話作家ですが、

彼がどのような人生を歩んできたのかは

知らない人がほとんどなのではないでしょうか。

講演はアンデルセンの幼少期のお話から始まりました。

 

父親は靴の修繕屋、母親は洗濯婦をしており、

生活は貧しくその日暮らしをしていたそうです。

しかし、アンデルセンには夢がありました。

童話作家…ではなく、なんと役者になりたかったのだそうです。

夢を叶えるべく、14~15歳のアンデルセンは

ひとりでコペンハーゲンに向かいますが、

声変わりが始まり役者を諦めます。

収入が少なく、苦しい暮らしを続けていたのですが、

人徳か熱意によるものか、彼を支援してくれる人々に恵まれ、

教養を身につけることができたそうです。

その後、徐々に文才をあらわし、作家として認められていきました。

 

数多くの名作童話を残しているのは、彼の才能によることと同時に、

貧しさや様々な困難にもめげずに挑戦を続けた努力の結果だということが

立原さんのお話から知ることができました。

アンデルセンの生涯に興味を持った方は、

立原えりかさん監修による本を読んでみてはいかがでしょうか。

 

『ハンス・クリスチャン・アンデルセン 哀しき道化』

[出版社 愛育社]

著:アリソン・プリンス 訳:黒田俊也 監修:立原えりか

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また、童話の楽しみ方や選び方についてもお話しいただきました。

「同じ物語でも、挿絵によって随分と印象が変わるのですよ。」と、

本を手に取って比べて見せてくださいました。

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なるほど、挿絵によって雰囲気や心に残る場面が変わります。

アンデルセンの童話集も様々なものが出版されています。

ご紹介いただいたこちらの本は、

カバーデザインも美しく、童話の世界により深く浸ることができそうです。

立原さんの解説付きなので、物語の背景も知ることができます。

 

『豪華愛蔵版アンデルセン 童話名作集』

[出版社 静山社]

挿画:V.ペーダセン 訳:矢崎源九郎 編・解説:立原えりか

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立原さんのお話からアンデルセンの人物像を知り、

その上で、童話を久しぶりに読み返してみると

子どもの頃とはまた違った感動を得ることができました。

アンデルセンの童話には、

人生経験を積んだ大人だからこそ味わえる世界があります。

立原先生、素晴らしい講演をありがとうございました。

Posted at:09:00

5/12 『あらしのよるに』朗読パフォーマンスライブを開催します!

みなさま、楽しいゴールデンウィークを過ごされましたか?

連休明けは日常生活になかなか戻れない・・・

と、いう方も多いのではないでしょうか。

 

千代田図書館では今週末、

絵本の朗読パフォーマンスにパーカッションを組み合わせたライブを開催します。

 

第4回ことばと音のフェスティバル♪

『あらしのよるに』朗読パフォーマンスライブ

[日時] 5月12日(土)14:00~ 約1時間 (開場13:30)

[会場] 区民ホール(千代田区役所1階)

[定員] 100名(当日先着順)

[対象] 5歳以上~大人向け

[入場料] 無料

 

朗読する絵本『あらしのよるに』は、アニメ化もされた人気の物語。

『あらしのよるに』 [出版社 講談社]

著:木村 佑一 絵:あべ弘士

 

朗読パフォーマンスをするのは、

日本を代表する劇団「文学座」女優の中川 雅子さん金沢 映子さん

 

パーカッションは、フリーの奏者として

オーケストラ、室内楽等で幅広く活動している横田大司さん

 

お子さまはもちろん、大人も楽しめる内容です。

長いお休み明けのからだは、

楽しい音楽とパフォーマンスで活性化させましょう!

ご家族でもぜひお越しください♪

詳しくは→コチラ

Posted at:09:00

レポート:第3回 読み聞かせスキルアップ講座④ ~受講生によるおはなし会~

2月から開始した今年度の「読み聞かせスキルアップ講座(全4回)」も、

3/24(土)にとうとう最後の回を迎えました。

 

最終回は、これまでの講座内容を振り返り、

各自が成果を試す発表会です。

3/24(土)14:00から、千代田図書館10Fこども室で開催しました。

 

 

 

 

受講生が4つのグループに分かれ、

“幼児向け”“小学校低学年向け”“小学校高学年向け”
のおはなし会を作り上げます。

各グループともに直前まで、手遊びを入れたり、
お天気や季節感、テーマ等を考えて、再度全体の流れや構成を見直します。

 

 

 (※開始前の練習風景)

 

 

会場には、受講生以外にも、受講生のご家族や知人・友人の方、

休日で図書館を訪れていた親子連れなど、多くの方がお越しくださいました。

 

受講生のみなさんも、

講師の宮崎さんからの開始前のメッセージ

“今日は、あなたの声で、あなたらしく楽しく表現してください”

を胸に、楽しく、でもかつ真剣に本番に臨んでいました。

 

 

★発表会の様子★

 

オープニング♪

 

 

 

手遊び♪

 

 

読み聞かせ♪

 

紙芝居♪

 

 

発表会も順調に進み、4グループが終えるころには2時間が経過。

最後は、手遊びで楽しく締めくくりました。

見に来られた方からは、
“次回の講座にはぜひ参加してみたいです” 

“○○の作品がとてもよかったです”
“みなさん、お上手ですね” 等の感想もいただきました。

 

そして、発表会終了後は反省会です。

11人に対し、受講生同士からコメントと講師から講評が寄せられました。

宮崎さんの的確で、ユーモアのあるフィードバックはわかりやすく、

受講生の皆さんもしっかりと受け止めます。


 

 

いろいろな事例を講評つきで振り返ることにより、

参加されたみなさんがさらに理解を深め、
ご自身の今後の読み聞かせの
ヒントにしていただけたら、と思っています。

 

受講生のアンケートでは、

早くも次の講座開催を希望する声をたくさんいただきました。

読書振興センターでは、引き続きこのような講座を企画していきますので

どうぞご期待ください。

 

>宮崎先生、第2回目~発表会までの講義をありがとうござました♪

 

 

 

★ 発表会で使用した本(一部)★

    

 『おだんごぱん』 [出版社 福音館書店]

作:ロシア民話  絵:脇田 和  訳:瀬田 貞二

 

 

 

 

『こんとあき』 [出版社  福音館書店]

作・絵:林 明子

   

 

 

 

 

『わらしべちょうじゃ』 [出版社 ポプラ社]

作:西郷 竹彦  絵:佐藤 忠良

 

 

 

 

『はなのみち』 [出版社 岩崎書店]

作:岡 信子  絵:土田 義晴

 

 

 

 

『11ぴきのねことあほうどり』 [出版社 こぐま社]

作・絵:馬場 のぼる

 

 

 

 

『ハガネの歯』 [出版社 セーラー出版]

作:クロード・ブージョン  絵:末松 永海子

 

 

 

 

『ゆらゆらばしのうえで』 [出版社  福音館書店]

作:きむら ゆういち  絵:はた こうしろう

Posted at:09:00

レポート:第3回 読み聞かせスキルアップ講座―③

連続講座「第3回読み聞かせスキルアップ講座」の3日目

を3月10日(土)に開催しました。

子育て中の方やボランティアの方、保育士の方など、

子どもと関わる方にはぜひ知ってほしい内容が満載!

このブログで、講座の内容を少しだけ紹介したいと思います。

 

 *講座初日のレポートはコチラ

 *講座2日目のレポートはコチラ

 

講座3日目の講師は、引き続き、千代田図書館の

学校支援担当司書の宮崎亜古さんです。

 

 

今回は、実際に「読み聞かせ」や「おはなし会」をするために、

本の選び方やおはなし会の内容の構成、会場設定についてなど、

実践的な内容を学びました。

 

★本の選び方★

特に公共の場での「おはなし会」などで、複数の子どもを相手に

読み聞かせをする場合は、本選びは、とても大切!

一口に「絵本」といっても、さまざまな種類の絵本があるので、

季節や行事に合わせて選んだり、内容、長さ、対象年齢などを

しっかり考慮して選ぶことがポイントです。

対象年齢の目安を知るのに、小学校の国語の教科書に

どんな作品が採用されているかが参考になる、という点は、

参加者の皆さんにとって思いがけない情報だったようです。

 

>定番のおすすめ絵本

 

 『かぼちゃスープ』 

 ヘレン・クーパー/作 せなあいこ/訳 アスラン書房

 

 読みやすく、リズムのある文章は読み聞かせにぴったり!

 

 

★おはなし会の構成★

おはなし会の全体をひとつの流れとしてとらえ、

導入と仕舞いをきちんとすること、中心となるメインのおはなしを決めること、

つなぎ方を工夫して途切れないようにすること。

“メイン”ばかりにならないように、自然や写真絵本、

赤ちゃん絵本などの小さなおはなしを間に入れると、

ちょっとした気分転換や、つなぎになるというアドバイスもありました。

 

>ときには“文のない”絵本もいいですね。

 

 『かようびのよる』 

 デヴィッド・ウィズナー/作 当麻ゆか/訳 徳間書店 

 

 

 

★おはなし会の会場・時間★

聞き手にちゃんと絵本が見えるための工夫、

おはなしに集中できる環境作り、時間設定などについて学びました。

 

★読み聞かせの実践(手法・技法)★

本の持ち方、開き方、めくり方、声色など…

参加者の皆さんにとって、とても参考になったようです。

 

 

⇒最終日の発表会(一般公開のおはなし会)の準備に入りました。

4つのグループに分かれて、各自で読む本を選び、プログラムを立てます。

参加者の皆さんは、これまでに学んだことを思い出しながら、

真剣に本を選び、教わったばかりの手遊びを練習し、つなぎを考え・・・

宮崎さんにアドバイスをもらいながら、組み立てていきます。

時間の調整や、読む本のバランス、テーマなど、

いざおはなし会のプログラムを組むとなると、

考えなければいけないことがたくさんありますね!

 

 

 

⇒どんな「おはなし会」になるのでしょうか?

講座最終日の発表会(一般公開のおはなし会)

ぜひ聞きにきてくださいね!

 

第3回 読み聞かせスキルアップ講座受講生による おはなし会

日時 3月24日(土)14:00~約1時間

場所 千代田図書館10階 子ども室

対象 どなたでも(出入り自由)

Posted at:15:00

レポート:第3回 読み聞かせスキルアップ講座―①

2/4(土)に千代田区読書振興センターが主催する

「第3回 読み聞かせスキルアップ講座(全4回)」

千代田図書館でスタートしました。

 

 

連続4回講座の初回にあたる今回のみ、

講師に片岡輝(かたおか・ひかる)先生を迎え、

「愛の贈り物としての読み聞かせ

   ―幼児期の発達と読み聞かせ」

と題し、公開の講演会を開催しました。

 

 

冒頭で片岡先生から

「子ども達に何を手渡したいですか?」

「それはどのような方法で?」

と受講者へ問いかけがありました。

受講されたみなさんもそれぞれ、

心にいろいろなものを思い浮かべたと思います。

 

…愛、財産、教育、生活の知恵、文化、先祖伝来のもの etc

…日々の触れ合い、自然とのふれあい、言葉かけ、躾、

 季節の行事によって etc

 

片岡先生は、絵本にはさまざまな作者の愛(価値観やメッセージ)

が秘められていて、周囲の大人による、

それらを理解し共感した読み聞かせは、

未来を生きる子どもへの贈り物(愛のメッセージ)になる、

とお話がありました。

 

講演会は、先生が絵本を1冊1冊、実際に読みながら、

その本に込められているメッセージやテーマを

解説して進んでいきました。

 

 

時に幼児期の成長過程の特徴や、

時に心理学者の説などを交えてのお話は、

とてもわかりやすかったです。 

 

 

・・・・・・今回紹介のあった本(一部)・・・・・・・ 

 

●ラッセル/リリアン・ホーバン「フランシスシリーズ」

 

『フランシスのいえで』 

『おやすみなさい フランシス』

 ともに まつおかきょうこ/訳 好学社/刊

 

   

 

 親子の向かい合い方、の参考になる本。

 “お父さん、お母さんの参考書”だそうです。

 フランシスのお父さんとお母さんの会話にも注目! 

決してダメとは言わない。

一旦ゆったりと受け止める≪受容≫姿勢に、

親側の包容力と子どもへの愛情が伝わってきます。

 

 

●モーリス・センダック『かいじゅうたちのいるところ』

 じんぐうてるお/訳 冨山房/刊 

  

 

 ≪ファンタジー≫が子どもにとってなぜ大切か。

読んで“帰ってくる” ことにより、

子どもは自分を違う世界で開放して、

現実を生き直す力につなげることができる、とも。

        

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  

  

絵本の解説の後には、絵本の選び方や、

絵本との出会わせ方(出会いのドラマの演出)も重要、

というお話があり、

受講生のみなさんも熱心に聞き入ってました。

本選びには、身近な新聞等の書評もとても役立つそうです。

 

先生が書評で見つけた、最近のお気に入りの本↓  

●『蝶の目と草はらの秘密』 

 ジョイス・シドマン/文、べス・クロムス/絵 冨山房/刊

 

   

 

 

片岡先生の優しく穏やかな語り口と、惹きつけられるお話に、

改めて、読み聞かせの原点(=子どもへの愛の贈り物)を

感じてくださった方も多かったようです。

知っていた絵本にも、色々な気づきや新たな発見があり、

講義終了後は、紹介された本を借りていく方の姿も見られました。

 

片岡先生、第1回目の講義をありがとうございました。 

 

さて、読み聞かせスキルアップ講座は、 

次回3/3(土)から、最終回3/24(土)の“おはなし会(発表会)”に向けて

いよいよ実践編に移っていきます。

この続きは、またブログでレポートしますので、どうぞお楽しみに。 

Posted at:15:00

レポート:ランチタイムおはなし会(全9回)

千代田図書館では、今年も秋の読書週間(毎年10/27~11/9)に合わせて

大人のためのおはなし会「ランチタイムおはなし会」を開催しました。

ビジネスパーソンにも気楽にお立ち寄りいただけるよう、

平日の昼に約15分間で、絵本の読み聞かせや朗読、ストーリーテリング、

ブックトーク(テーマに沿った本の紹介)などを行うものです。

今年も老若男女を問わず、たくさんの方にお越しいただきました。

 

 

以下、おはなし会で語り手たちが紹介した本をまとめてご紹介します。

おはなし会で読まれた本が気になっていたという方も、

次に何を読もうかな?と本を探している方も、

ぜひ本選びの参考にしてみてください。

 

①詩

『倚りかからず』茨木のり子 筑摩書房

当館の館長はダジャレ好き。そして、茨木のり子さんの詩集も

大のお気に入りで、書店で見かけるとつい手がのびるのだとか。

3.11の震災時に図書館で夜を明かしつつ思い浮かべたのが

この詩集の中の「水の星」だったそうです。

 

②絵本

『綱渡りの男』モーディカイ・ガースティン 川本三郎/訳 小峰書店

映画化もされた実話。折込みページがあり、

綱渡りのスリルが伝わってきます。大人も楽しめる絵本です。

 

③絵本

『かぼちゃスープ』ヘレン・クーパー せなあいこ/訳 アスラン書房

今の季節にぴったりの心温まるおはなし。

絵がとても素敵なのでぜひ手にとってご覧ください。

 

④小説

「蜘蛛の糸」芥川龍之介 『蜘蛛の糸・地獄変』角川文庫より

担当した語り手は、この作品を小学校5年生のときに初めて

出会い、非常におどろおどろしい地獄の描写とおそろしい結末が

とても印象深かったそうです。

 

⑤小説

『4時のオヤツ』杉浦日向子 新潮社

 

おはなし会では、千代田図書館からも近い洋菓子屋のおやつが

登場する「ゴンドラのサバラン」という短編を朗読しました。

 

⑥ストーリーテリング 

「びんぼうがみ」東北に伝わる昔話の再話

貧乏神が福の神になるという、心温まるおはなしでした。

 

⑦ブックトーク テーマ「ニュートリノの夢」

『ニュートリノの夢』小柴昌俊 岩波ジュニア新書

「2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴先生が、研究のみちのりと

ニュートリノ物理学を語る」(背表紙の解説より抜粋)

中高生向けの本なので、とてもわかりやすく、読みやすい一冊です。 

 

『超ひも理論を疑う』ローレンス・M・クラウス 斉藤隆央/訳 早川書房

内容はとても専門的で難しいはずなのですが、テレビシリーズ

「トワイライト・ゾーン」(邦題「未知の世界/ミステリーゾーン」)

の引用に始まり、ぐいぐいと引き込まれる作品です。

 

『理系思考 分からないから面白い』元村有希子 毎日新聞社

文系出身者が圧倒的に多い図書館員にとって「理系」とは

まるで別世界のようにも感じられます。

でも実は両者とも、向かっている先は同じなのかも?

わからないからもっと知りたいという好奇心や探究心、

そんな、共通点が見つかります。

 

『ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く』 

リサ・ランドール 向山信治/監訳 塩原通緒/訳 NHK出版

英米の大学でテキストとして使われているベストセラー本の邦訳。

3次元+時間+見えない次元、5次元について書かれています。

これも専門性の高い内容ですが、非常にわかりやすく、おすすめの一冊。

 

『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン 佑学社

著者のレイチェル・カーソンは、前著『沈黙の春』で環境の汚染と

破壊の実態を世に先がけて告発し、大きな反響を呼びました。

『センス・オブ・ワンダー』は著者の最後の作品です。

 

⑧ブックトーク テーマ「アンネの日記」

『アンネの日記 完全版』アンネ・フランク 深町眞理子/訳 文藝春秋

『アンネの日記』はアンネの父親のオットー・フランク氏が編集したもので

おもに性に関する記述や、母親を批判する部分などが削除されていたのを、

完全な形で編集し直したのが『アンネの日記 完全版』です。

 

『アンネ・フランク その15年の生涯』黒川万千代 合同出版

アンネ・フランク生誕80年となる2009年に出版された本。

著者は、アンネと同じ年で、広島で被爆し、戦後その体験を世界に伝え歩く

とともに、アンネ・フランクやホロコーストの研究をしている方です。

 

『博士の本棚』小川洋子 新潮社

作家の小川洋子さんは『アンネの日記』に触発され、アンネと同じ

13歳のときに日記を書き始めました。作家を志した小川さん

にとって『アンネの日記』はその道しるべとなったそうです。

 

『アンネ・フランクの記憶』小川洋子 角川文庫

小川さんが「特別に大事な古い友人」を訪ねるかのように、

アンネの足跡をたどった、その旅路を記録している本です。

 

⑨ブックトーク テーマ「害虫」

『害虫の誕生 ―虫からみた日本史』瀬戸口明久 ちくま新書

ゴキブリがまだ害虫とはみなされていなかった時代から、

害虫の最たる存在として忌み嫌われるようになった現代までの

歴史を社会的背景などを通して分かりやすく説明しています。

 

『寄生虫病の話 身近な虫たちの脅威』小島荘明 中公新書

誰のお腹の中にも回虫がいたような時代がありました。

そして現代の日本人の回虫の保有率は、わずかに0.2%。

しかしながら「エキノコックス」など、新たな寄生虫病も出現

しています。寄生虫病にまつわる学者たちの苦闘の日々と

その歴史を説いている本です。

 

『悪者にされた虫たち』奥井一満 朝日選書

虫が「害虫」とみなされるようになったのは、人間側の利害関係を

中心にした自然観が原因ではないか。

「害虫」を呼び込んでいるのは人間の方ではないか?

と、虫側の視点から描かれている本です。

Posted at:12:00

レポート:翻訳家・金原瑞人さんの講演

「本と出会う 読書サロン」第3期オープニングイベントとして、

29日(土)に翻訳家・金原瑞人さんの講演会を開催しました。

 

「本と出会う 読書サロン」とは、毎月異なるテーマに沿って

メンバー各自がおすすめの本や気になる本を持ち寄り、紹介し合う、

本を通じた交流の場です。11月に第3期目がスタートします。

(⇒「本と出会う 読書サロン」についての詳細はコチラ)

 

 

金原瑞人さんは、YA(ヤングアダルト)分野を中心に精力的に

翻訳活動を行い、訳書は300点を超えるという翻訳家であり、

法政大学社会学部の教授であり、児童文学研究家でもあります。

 

講演では、翻訳家として活躍されるに至る経緯、好きな海外作家

についてなど、金原さんご自身についてのお話だけでなく

YA分野の魅力、児童書やYA分野のもつ可能性、

子どもの読書についてのお話など、多岐にわたり、

会場の楽しげな笑い声につられて途中から参加された方もいました。 

 

 

まずはサンフランシスコのチャイナタウンの話から始まりました。

―市場で、バタバタ動いている烏骨鶏を喜んで買っていく中国人の姿に驚いた。

でも日本人も、ピチピチしている魚はイキが良いといって、喜んで買っていく。

―別のある国では、羊の目玉を食べると聞いて驚いた。

でも日本人も、鯛の目玉は贅沢なコラーゲン質だと好んで食べる。

・・・などなど、現地でのびっくり仰天エピソードも

日本の風習と並べて話していただくことで

「なるほど、それと同じ感覚か~」と身近に感じることができました。

そうした異なる文化を同じ感動にして伝えるのが翻訳家の仕事

だと思っている、ということでした。

 

翻訳家として活躍されるにいたる経緯は、

翻訳家になりたい!と一筋に目指してこられたのではなく

幼稚園の受験から就職活動まで、すべてに“落ちまくった”結果

という意外なエピソードもお話いただきました。

先日お亡くなりになった北杜夫さんの『どくとるマンボウ』シリーズ

を読んで医者もいいなと思ったそうです。(医学部にも不合格)

⇒詳しくは金原さんのエッセイをぜひご一読ください。

『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』 牧野出版 又は ポプラ文庫

 

 

金原さんが精力的に翻訳されている「YA(ヤングアダルト)」分野とは、

児童書と一般書の中間に位置づけられる分野の呼称です。

金原さんは、翻訳・書評活動を通して日本にYAを根付かせた

第一人者ともいわれています。

 

大学院の研究室で、金原さんがそれらの原書に出会った頃は

中高生向けの本を出そうという出版社も、出せる出版社もなかったそうです。

それから、YAというジャンルの確立のきっかけとなる

1970年代のアメリカ図書館協会の調査の話、

福武書店(現ベネッセ)が児童部門を立ち上げ、

YA作品も出版する運びとなった話、

そして、中高生だけでなく、大人になって読むからこそ面白い

YA分野の魅力、懐の深さなどをとても分かりやすくお話しいただきました。

 

もしかするとYA(ヤングアダルト)という言葉が“しばり”となって、

中高生以外の方には馴染みがないかもしれませんが、

ぜひ一度手にとってみてください。

どの本を読んでいいかわからないときには下記の本をご参考に!

金原さんがおすすめするご自身の訳書もご紹介しておきます。

 

講演後には、紹介された本を立読みする姿が多数見られ、

また、アンケートでも「読んでみたい本がたくさん出てきた!」

という声をいただきました。

 

 

ここには書ききれませんが、その他にもおもしろエピソードが満載で

あっという間の1時間半でした。

金原さんの訳書は、来春以降にも続々と刊行予定とのことです。

ぜひご注目ください。洋書の訳本ではなく『忠臣蔵』『雨月物語』も

出るようですよ。楽しみです。

 

+++++++++++++++++++++++++

『金原瑞人YAセレクション みじかい眠りにつく前に 

Ⅰ真夜中に読みたい10の話』 金原瑞人/編 ジャイブ

 

『金原瑞人[監修]による12歳からの読書案内』

『同 海外作品』

『同 とれたて!ベストセレクション』 すべて、金原瑞人/監 すばる舎

  

 

『ブラッカムの爆撃機』 

ロバート・ウェストール/作 宮崎駿/編 金原瑞人/訳 岩波書店

 

『水深五尋』

ロバート・ウェストール/作 金原瑞人・野沢佳織/訳 宮崎駿/画 岩波書店

 

『かかし』 ロバート・ウェストール/著 金原瑞人/訳 福武書店、徳間書店

⇒金原さんの初めての訳書。

分からないところは著者と手紙でやりとりをしていたそうです。

 

*上記の本(一部除く)は、千代田図書館9階の「中高生コーナー」

にあります。ぜひ一度ご覧になってみてください。  

Posted at:10:00

10/1 フォーラム「絵本・物語とことばの世界」

回は、財団法人 文字・活字文化推進機構主催イベントのご案内です。

 

フォーラム「絵本・物語とことばの世界」 ※要申込

「子どもの読書活動推進法」が施行されて今年で10年。

日本児童文学研究者の宮川健郎さんと絵本作家の浜田桂子さんを

講師に迎え、子どもの想像力やことばの力ををはぐくむ読書への

熱い思いを語り合っていただきます。


*主催 文字・活字文化推進機構

*共催 読売新聞社、活字文化推進会議

 

日時

 10月1日(土)13:30~15:30(13:00 開場予定)

会場

 日本プレスセンタービル10階ホール(東京都千代田区内幸町)
 ※アクセスはこちら

定員

 300名 (参加費無料)

 

★お申込み方法、詳細についてはこちらから。

 
プログラム
 ●基調講演「命のまぶしさを伝える」
   浜田 桂子(絵本作家)


 対談「絵本・物語とことばの世界」
  出演
   宮川 健郎(武蔵野大学教授)
   浜田 桂子(絵本作家)

  

 

************************

☆浜田桂子さんの絵本(千代田図書館所蔵)一部紹介

 

『あめふりあっくん』 

 浜田桂子・著 佼成出版社 

 

『あやちゃんのうまれたひ』≪こどものとも≫傑作集

 浜田桂子さく・え 福音館書店

 

 

『てとてとてとて』 

 浜田桂子さく 福音館書店

Posted at:09:00

もじもじカフェ「当て字・充て字・宛て字の世界」

今回は「もじもじカフェ」というイベントの紹介です。

 

★「もじもじカフェ」とは?(ホームページより引用)

文字と印刷について市民と専門家・業界人がお茶を飲みながら

気楽に話し合うというイベントです。毎回小さなテーマを設定し,

それについて専門知識のある方をゲストとして招きます。

最初に20~30分くらい基調となるお話をしていただき,

それを受けてみんなで話をします。テーマに関心のある方なら,

どなたでもご参加いただけます。

 

これまでに開催されたテーマを見てみると・・・

 

第1回「書体を作るという仕事」ゲスト:鳥海修さん(書体デザイナー)

第9回「本の顔を作る」ゲスト:川畑博昭さん(装丁家)

第17回「チベットの文字とその書体」 

     ゲスト:ケルサン・タウワさん(カワチェン代表)

第18回「江戸の粋を書く」ゲスト:橘 右橘さん(江戸文字書家)

第23回「脳から見た人間の文字」ゲスト:酒井邦嘉さん(脳科学者)

第25回「プライベート・プレスの楽しみ」 

     ゲスト:大石薫さん(私活字版印刷家)

 

・・・など、興味深いタイトルとゲストの名前が並んでいます。

上記はそのほんの一部。

終了報告として、その様子が掲載されているものもありますので、

これまでのテーマ一覧⇒コチラを一度ご覧になってみてください。

 

★もじもじカフェ 第30回「当て字・充て字・宛て字」

日時 8月20日(土)15:00~17:30(開場14:30)

会場 バルト(東京・阿佐ヶ谷)(地図

ゲスト 笹原宏之さん(日本語学者)

参加費 1200円(ワンドリンク付き)

定員 30名(先着順・要申込)

*参加申込の受付は、8月1日(月)~

*内容や申込方法などの詳細はコチラ

 

☆今回のゲスト・笹原宏之さんの著書(一部)

『日本の漢字』

笹原宏之 著 

岩波書店 2006年

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『図解 日本の文字』

沖森卓也・笹原宏之・常盤智子・山本真吾 著

三省堂 2011年 

Posted at:10:00

8/3(水)親子イベント「からだで感じる「能」と漱石」参加者募集中!

千代田区読書振興センターでは、毎年夏休みの季節に、

小学4・5・6年生とその保護者を対象にしたイベント

「千代田図書館で学ぼう!夏のわくわく課外授業」を開催しています。

豪華な講師陣と、子供も大人も楽しめる、充実した内容が好評で、

今夏も開催を決定しています。(一部の科目は既に受付を終了しました)

 

*イベントの詳細はコチラ

 

今年のトップバッターを飾るのは「国語」の授業です。

能楽師安田登さんと槻宅聡さんを先生にお迎えして、

古典芸能の「」の世界を体感します。

 

能というと「なんだか難しそう」「よくわからない」

という声が聞こえてきそうですが、

古典芸能や能に触れたことがない方にこそ、

ぜひご参加いただきたい内容です。

 

能の世界を身近なものに感じられるだけでなく、

本物の能楽師による迫力ある声や笛の音を間近に感じられる

とても貴重な機会ですよ!

 

★「国語」からだで感じる「能」と漱石

日時 8月3日(水)14:00~16:00

会場 千代田図書館10階 子ども室

対象 小学4~6年生の児童とその保護者 ※保護者同伴必須

定員 20組40名(申込先着順) 

*申込方法などの詳細はコチラ

 

【授業内容】

日本の古典芸能である「能」ならではのすり足、呼吸、発声、

笛などを学び、「能」や夏目漱石の世界を体感します。

 

 *夏目漱石は、謡(能の歌)を習っていました。

  謡を習い始めてからの漱石作品には、その影響がよく表れているそうです。

 

安田先生の話によると、夏目漱石も、能も“あの世”とつながる

お話が少なくなく、能の体験を通じて“異界”をのぞくという、

暑い夏にぴったりの授業になりそうです。

 

【講師紹介】

講師の安田登さんは、下掛宝生流ワキ方能楽師として

国内外を問わず多くの舞台をつとめながら、

学校での能の特別授業やワークショップの開催、寺子屋の主宰、

物語や詩の朗読ライブ、音楽やダンスとコラボレートした舞台を

展開するなど、精力的に活動をされています。著書も多数。 

 

『疲れない体をつくる「和」の身体作法 能に学ぶ 深層筋エクササイズ』

安田登/著 祥伝社 黄金文庫 2011年

「600年前に完成された日本の伝統芸能「能」と、アメリカで開発された最新のボディワーク「ロルフィング」に共通性があることを見出した著者。能楽師が高齢になっても現役でいられる秘密を「体のバランス」と「深層筋の働き」にあると言及、誰にでもできるエクササイズを提案する!」(背表紙より引用)  

 

 

 

 

『異界を旅する能 ワキという存在』

安田登/著 ちくま文庫 2011年

「能の物語は、生きている「ワキ」と、幽霊や精霊である「シテ」の出会いから始まる。旅を続けるワキが迷い込んだ異界でシテから物語が語られる。本書では、漂泊することで異界と出会いリセットする能世界、そして日本文化を、能作品の数々を具体的に紹介しながら解き明かす。 巻末に、本書に登場する46の能作品のあらすじを収録。解説 松岡正剛」 (背表紙より引用)

 

 

 

 

 

そして、森田流笛方能楽師の槻宅聡さんも、

東京をはじめとする国内外での公演をはじめ、

2004年より島根県松江市でワークショップ「能を知る集い」を

開催するなど、多角的に能を紹介する試みを続けている方です。

 

参加申込は、先着順での受付となりますので

小学4~6年生のお子さんをおもちの方は、ぜひスケジュールをご調整の上

お子さんと一緒にご参加ください。ご応募、お待ちしています!

 

*******関連情報*******

現在、千代田図書館9階=第2展示ウォール(千代田区役所9階)にて

「夏のわくわく課外授業2011」の授業内容や講師の専門分野について

紹介するミニ展示を行っています。講師の著書や関連本のほか、

お持ち帰りいただけるチラシ類もあります。ぜひお立ち寄りください。

 

Posted at:09:30

レポート:第2回読み聞かせスキルアップ講座③

少し間をあけてしまいましたが、3月5日(土)に開催した

「第2回読み聞かせスキルアップ講座③」のレポートです。

今回は、参加者の皆さんが、お気に入りの絵本を

各自1冊ずつ持ち寄り、紹介をしました。

 

知らないことばがたくさんある子どもが、

大人向けの一般書を読むことは難しいかもしれませんが、

絵本は、子どもから大人まで誰でも読むことができるものです。

子どもに読み聞かせをするための絵本を探している方だけでなく、

次はどんな本を読もうかな、と思っている方も、

以下でご紹介する絵本をぜひ参考にしてみてください。

 

*なお、3月12日(土)に予定していた講座の最終回は、

このたびの震災の影響により、開催を中止いたしました。

本講座レポートは、これをもって終了といたします。

 

~+☆+~ 講座参加者により紹介された絵本 (順不同)~+☆+~

 

 

『おかあさん、あのね』

こどもがかいたおかあさんの詩1

吉野弘、新川和江/監修 

大和書房 

 

*毎年母の日を記念してハナマルキ株式会社に 

 寄せられた全国の小学生の詩を編集したものです。

 

 

 

 

 

 

『おおきなかぶ』

A.トルストイ/再話 内田莉莎子/訳

佐藤忠良/絵 

福音館書店 

 

 *紹介者コメント「絵がきれいで気に入っています」

 

 

『わたしとあそんで』

マリー・ホール・エッツ/作・絵 

与田準一/訳 

福音館書店 

 

*紹介者コメント「娘をひざの上にのせて、 

  よく読んでいました」

 

 

 

 

 

 

『トンちゃんてそういうネコ』

MAYA MAXX/作・絵

角川書店 

 

*紹介者コメント「絵のインパクトが大!」

 

『くまのコールテンくん』

ドン・フリーマン/作・絵 松岡享子/訳  

偕成社

 

*紹介者コメント

 「最初に読んだとき、涙が出てきました。かわいくて、抱きしめたくなるような絵本です」

 

『マナティーはやさしいともだち』

親と子の写真絵本6  福田幸広/写真  ポプラ社 

 

*紹介者コメント

 「マナティーの生態を写真でつづった本。動物が好きなので気に入っています」

 

『くさをはむ』

おくはらゆめ/作  講談社   

 

*紹介者コメント

 「幼児におすすめ。ことばの繰り返しがあるので、声をそろえて楽しんでくれます」 

 

 

『きょうはみんなでクマがりだ』

マイケル・ローゼン/再話 山口文生/訳 

ヘレン・オクセンバソー/絵 

評論社 

 

 

  

 

 

『とてもすてきなわたしの学校』

ドクター・スース&J・プレラッキー/文 神宮輝夫/訳 

レイン・スミス&ドクター・スース/絵  童話館出版  

 

*紹介者コメント

 「娘と一緒に絵本探しをしていたら、娘自身が選びました。

  小学生の頃、ずっと読み聞かせをしていました。

 「考えること」を教えている学校のおはなしです」 

 

 

『歯いしゃのチュー先生』

ウィリアム・スタイグ/作

うつみまお/訳 

評論社 

 

*紹介者コメント「息子が自分で選んだ絵本です。

 小学校低学年に人気があります」 

 

 

 

 

 

 

『きつねとねずみ』

ビアンキ/作 内田莉莎子/訳 山田三郎/絵

福音館書店 

 

*紹介者コメント「学童クラブでの子どもたちとの

 関係で悩んだりしていたときに、ヒントをくれた

 絵本です」 

 

 

 

 

 

 

 

 

『7日だけのローリー』

片山健/作・絵

学習研究社 

 

*紹介者コメント「犬の情けない表情など、表情が 

 豊かで、本当にすてきな絵本です」 

 

 

 

 

 

『ぼく おかあさんのこと…』

酒井駒子/作・絵 文渓社 

 

*紹介者コメント

 「甘えたいのに甘えられない・・など、男の子の気持ちをよく表している絵本が好きです」  

 

 

『ちいさいおうち』

バージニア・リー・バートン/作 石井桃子/訳

岩波書店 

 

*紹介者コメント「子どもが好きな本と、自分が好きで 

 読み聞かせていた本は異なりましたが、これは、

 親子ともに好きな絵本です」  

 

 

 

 

 

 

『あのとき すきになったよ』

薫くみ子/作 飯野和好/絵

教育画劇 

 

*紹介者コメント「友だちになるきっかけを描いた絵本です」 

 

 

 

 

 

『ぴっつんつん』

武鹿悦子/文 後路好章/構成 もろかおり/絵 くもん出版

 

*紹介者コメント

 「クレパスで描かれ、すべて擬音語で書かれています。展開にインパクトがあります」

 

 

『はなをくんくん』

ルース・クラウス/文 きじまはじめ/訳

マーク・シーモント/絵 

福音館書店

 

*紹介者コメント「小さな花に、森のみんながわーっ!と 

 喜ぶ幸せ、その感覚が気に入っています」 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ちいさなあなたへ』

アリスン・マギー/文 なかがわちひろ/訳 

ピーター・レイノルズ/絵  主婦の友社

 

*紹介者コメント

 「出産して嬉しかった母の思い。最近読んで感動した絵本です。

 今の娘にも読んであげたい」 

 

『いっぽんみちをあるいていたら』

市居みか/作・絵 ひかりのくに 

 

*紹介者コメント

 「人と出会うって、こんなにも素晴らしいことはない!と思いました」  

Posted at:12:25

読み聞かせスキルアップ講座で使用した絵本②

第2回読み聞かせスキルアップ講座②で

講師の尾松純子先生より紹介のあった絵本です。

 

 

『のせて のせて』

松谷みよこ 文

東光寺啓 絵

童心社

先生コメント:暗闇を通り抜ける場面があります。先生のお子さんは暗いところに行くとその場面での「トンネルトンネル・・まっくらまっくら・・」ということばをつぶやいて、暗闇もこわがらなくなったそうです。子どもは、読んでくれた大人の声を体中に響かせながら、成長の階段を1段1段のぼっていく…というようなことを感じさせてくれた絵本です。

 


 

 

『ラチとらいおん』

マレーク・ベロニカ 文・絵

とくながやすとも 訳

福音館書店

先生コメント:子どもはたっぷりとした依存をへて、自立をするもの。子どもたちの共感を呼ぶ絵本です。

 


 

 

『もりのなか』

マリー・ホール・エッツ 文・絵

まさきるりこ 訳

福音館書店

先生コメント:白黒の絵本ですが、おはなし会などで使っても、遠目がききます。絵本の世界の中に入って遊ぶ感覚を教えてくれたのは、この絵本でした。続編『またもりへ』という絵本もあります。

 


 

 

 

『ラモーナとおとうさん』『ラモーナとおかあさん』

ベバリイ・クリアリー 作

アラン・ティーグリーン 絵

松岡享子 訳

学習研究社

(※写真は『ラモーナとおとうさん』) 先生コメント:子どもたちがやりたくてもやれないこと、言いたくても言えないことを、この本の主人公ラモーナが全部やってくれます。あなたたち子どもは、大人にとって本当に大切な存在なんだよ、ということが伝わる本です。


 

 

『パパのカノジョは』

ジャニス・レヴィ 作

クリス・モンロー 絵

もん 訳

岩崎書店

先生コメント:子どもの心が何を求めているのか、が描かれている絵本。大人におすすめ。


 

その他にも、赤ちゃん向け絵本、ナンセンス絵本、詩の絵本、

かわいらしい♪だけではない子ども像が描かれた絵本、など

約30冊の絵本が紹介されました。

 

書店や図書館にはたくさん絵本がありすぎて、

どれを選べばよいかわからない!

という方もいらっしゃると思いますが、

「自分の心が動いた本」を子どもにも手渡してあげてください。

と先生はアドバイスされていましたよ。

 

次回の講座③では、参加者が各自1冊の絵本を持参して紹介し合います。

どんな絵本が紹介されるのか楽しみです。またこのブログでご報告します。

 

Posted at:10:00

読み聞かせスキルアップ講座で使用した絵本①

2、3月の土曜日に全4回の連続講座として開催している

「第2回読み聞かせスキルアップ講座」では、

たくさんの絵本が紹介され、読み聞かせが披露されます。

 

*2/12(土)に開催した講座①の様子はコチラからご覧いただけます。

 

ちよぴたブログでは、講座の様子とともに、講座で使用した

絵本も紹介していきますので、絵本選びに迷ったときには

ぜひチェックしてみてください。

 

まずは、音の繰り返しやリズムが楽しい絵本。

子どもの体がはずんでいれば、それは、心もはずんでいる証拠♪

 

『ぽんちんぱん』 

 柿木原政広・作 福音館書店 こどものとも0.1.2 定価410円

 

 

『もりのおふろ』

さく 西村敏雄

出版社 福音館書店 

 幼児絵本シリーズ 2才~4才むき

定価 800円+税

 


 

 

『くまさん くまさん なに みてるの?』

え エリック・カール

ぶん ビル・マーチン

出版社 偕成社

定価 1,000円+税

 

 

Posted at:17:00

世田谷文学館で「旅する絵描き いせひでこ展」開催中

自らを“旅する絵描き”と称する絵本作家・いせひでこさんの

展覧会が世田谷文学館で開催されています。

詳しくはホームページをチェックしてみてください。

 

 

 

旅する絵描き いせ ひでこ展

会 期 開催中~3月31日(木)

開館時間 午前10時~午後6時(入館は5時30分まで) 

休館日 月曜(ただし3月21日は開館、翌22日休館)

観覧料 一般600円、高校・大学生450円、65歳以上・障害者300円

     ※中学生以下無料 ☆3月31日(木)は開館記念日として無料

会 場 世田谷文学館(地図

主 催 財団法人せたがや文化財団、世田谷文学館

★展示内容や関連イベントなど、詳細はコチラ

 

*・・・・*・・・・*・・・・*・・・・*・・・・*・・・・*・・・・*・・・・*

☆いせひでこさんの作品(千代田図書館所蔵より抜粋)

『ルリュールおじさん』 いせひでこ・作 理論社

 

『グレイのしっぽ』 いせひでこ 理論社

 

『空のひきだし』 いせひでこ 理論社

 

 

 

 

Posted at:14:45

千代田図書館が雑誌に掲載されました。

今日は、千代田図書館のサービス等が掲載された雑誌を

ご紹介します。読書や本の特集が組まれているので、

読書や本好きの方は、ぜひ手にとってみてください。

 

週刊 アスキー』2011 2/1(角川グループパブリッシング発売)

 

 

 

 

 特集「無料で楽しむ電子ブック18」の中で、

 千代田Web図書館をご紹介いただきました。

 ※千代田Web図書館は、千代田区内在住・在学・在勤者へのサービスです。

 

 

週刊 東洋経済』2011 1/22(東洋経済新報社)

 

 

 

  特集「読書領域を広げる楽しみ方」の「図書館を使い倒せ」の中で、

 豊島区立中央図書館、葛飾区立中央図書館、東京都立多摩図書館と

 ともに千代田区立千代田図書館をご紹介いただきました。

  

 

男の隠れ家』12月号 (朝日新聞出版発売)

 

 

 

 第2章「図書館を遊ぶ」の中で、切手の博物館図書室、

 野球体育博物館図書室、日本の酒情報館ライブラりー、

 日本近代文学館、江戸東京博物館図書室などとともに

 千代田図書館をご紹介いただきました。

 ※12月号はバックナンバーとしての取り扱いになります。

  詳しくは書店にお問合せください。

 

Posted at:10:40

「大人のためのおはなし会」で読んだ本・絵本

10/23~11/9の読書週間も終了しましたが

まだまだ気持ちの良い読書日和が続きますね。

 

読書週間中の平日昼休みに開催した

「大人のためのランチタイムおはなし会」は、

おかげさまで好評のうちに終了しました。

 

 ▲毎回15~30名の方が立ち寄ってくださいました。

 

 

今回、図書館職員が読んだ本や絵本をご紹介します。 

 

『ラブ・ユー・フォーエバー』

ロバート・マンチ・作 乃木りか・訳 

梅田俊作・絵 岩崎書店 

 

《感想》

感動して泣いてしまいました。(20代女性) 

 

 

 

『ふるさとお話の旅 愛知』

野村純一・監修 杉浦邦子・編 星の環会

※おはなし会で読んだのは「天狗と花祭り」

(愛知県の民話)

 

《感想》 

ふるさとのお話、とても良かったです。(60代女性) 

 

 

 

 

 

 

 

『春琴抄』

谷崎潤一郎 新潮文庫

※おはなし会で読んだのは「序文」のみ

 

《感想》

関西弁のイントネーションもよく出来ていてよかった。(50代女性) 

 

 

 

 

 

『わすれられないおくりもの』

スーザン・バーレイ・作、絵 小川仁央・訳 

評論社

 

《感想》

死について、改めて考えるきっかけになりました。(20代女性) 

 

 

 

 

 

 

『ルリユールおじさん』

いせひでこ・作 理論社

 

《感想》

本そのものも、本との出会いも大切にしたくなりました。(30代男性) 

 

 

 

その他にも、以下の読み聞かせや語りを行いました。

『魔法のホウキ』 (絵本)

C・V・オールズバーグ・作 村上春樹・訳 河出書房新社

 

『茨木のり子集 言の葉2』 (詩)

茨木のり子 筑摩書房

 

「小十郎とねこ」 (日本の昔話)

参考図書『日本昔話集成 第二部 本格昔話1』 関圭吾 角川書店

より「猫女房」

 

最終日は、館長によるブックトーク「テーマ:野口英世」でしたが

これについてはまた、次回お届けいたします。お楽しみに!

  

 

Posted at:10:30

レポート:古書店の出張セミナー「和本入門」

「としょかんのこしょてんvol.41:和本入門」の

展示解説が10/31(日)に開催されました。

 

※図書館での展示は終了しましたが、展示品は今週11/12、13

東京古書会館で開催される「古典籍展観大入札会」

ご覧になれます(入場無料)。詳細はコチラ

お宝級の和本を間近に見られる、年に1度の希少な機会です!

 

 ★古書店の出張セミナー「和本入門」

  講師:橋口侯之介さん(誠心堂書店代表取締役)

  連携・協力:神田古書店連盟

 

▲右が橋口侯之介さん、左は司会の小林光寿さん(小林書房)

 

有史以来、明治期に洋装本が登場するまでの千数百年の間に

出された本は、すべて「和本」ということですから、和本について

知ることは、日本の出版の歴史を知ることにもなります。

大変興味深い内容のセミナーでしたので、台風の影響により

参加者が少なかったことが本当に残念!

セミナーでのお話しをいくつかご紹介したいと思います。

 

―なぜ、千年以上も前の本が、今でも市場に出てくるのでしょうか。

◆千年以上もつ紙

 今でいう「和紙」は平安時代に開発されたもの。

 まさに悠久の時を経て・・・ロマンを感じますね。

 

◆日本人の書物感

 日本は世界的に見ても、古い書物がよく残る国だそうです。

 「後世に伝えるために」本を大事にする意識が強かったのですね。

 平安時代から中世まで、その役割を担ったのは寺院。

 また、冷泉家など一部の公家達が頑張って残してくれたので

 室町や鎌倉時代の本などを、現代でも見ることができるのです。

 

 

▲『和漢朗詠集』烏丸光広筆 宗達模様料紙

 

昔はコピー機などもちろんなく、寺院のお坊さんなどが「書写」して残します。

ただ読めれば良いということではなく、本のつくり、書き方、紙の選び方などに

工夫をして、平安時代の《雅》を書物全体の雰囲気として残そうとしています。

 

―和本(日本の出版)の歴史

橋口さんの著書『和本入門』『続 和本入門』を読むのが

一番!ですが、お話しいただいた内容を元に端的にご紹介を。

 

◆~中世

 仏教書、漢籍など、お硬い内容の本がほとんど。木版。

 

 ▲『後七日記』寿永2年(1183)於金剛峰寺書写

  綴じ方や紙もじっくり見てみましょう。

 

~朝鮮は印刷先進国!李朝より活字印刷技術が入ってくる~

 

◆近世(江戸初期)~ 

 李朝では活字だったが日本では活字で、ひらがな本

 の印刷も始まる。当時のひらがな文は、例えば「なり」の「な」

 と「り」を続けて書くなどしていたので、かな50音+何百種類

 という大量の活字が必要!とても大変だったでしょうね・・

 

 

 ▲『剣の巻』 古活字版 江戸前期刊

 

~やはり木活字では生産性が低く、木版に戻る~

 木版に用いられたのは非常に丈夫な山桜の木。

 生産性が上がり、読者層が広がるとともに、古典などの硬い本だけでは

 なく、気軽に楽しめる本が読みたい!という要望が出てくる。

 書き下ろしの仮名文学「仮名草子」が商業ベースに乗るようになる。

 

 

 ▲『尤之双紙[もっとものそうし]』 斎藤徳元著 慶安二年(1649)刊

 

「枕草子」の一種のパロディ。<枕>の木偏をとり「ごもっとも」

とかけた。パロディと滑稽は近世文学の特徴です。 

 

 ◆17世紀末~18世紀前半

 井原西鶴の登場で、仮名草子が一段と進化。

 テーマや人物描写も当代風になっていく。⇒浮世草子

 

  

 ▲『鎌倉比事』 月尋堂・著 宝永5年(1708)刊行

 

鎌倉時代をテーマに扱いながら、当代を批判したりしている内容。

これには尾張藩の蔵書印が押されていて、由緒正しい本だということが

わかる。蔵書印は、古書店が仕入れ等で重要視するポイントの一つ。

 

◆18世紀半頃(江戸時代中期)~

 江戸の庶民向け出版が盛んに。子供向けの題材、絵を中心にして

 人物のせりふを文字にしてみせる、現代のコミックの走りような

 本が出始める。

  ・「赤本」小学生相当向け。

   正月頃に出版してお年玉代わりに贈られていた。

  ・1740年代 「黒本」小学校高学年~中学生相当向け。

  ・1770年代 「黄表紙」中卒相当~若い大人向け。

 

▲『花重窟内裏』 黒本 琴鶴・作 奥村政房・画 延享頃(1744~48)刊行

 

「黒本」は、子供がお年玉で買えるよう、とにかく安くするために、

すき返しの紙(リサイクル紙)=浅草紙(※)を使用。

表紙にも厚紙ではなく、同じ紙が使用されています。

 ※浅草紙…浅草~足立区に製紙場が集まっていました。

印字された紙を何度もすいてリサイクルするので、紙が少し黒っぽい。

 

江戸の書物文化は、階層の上下、男女を問わずよく普及しました。

そのため、実用的な本も多く、実にいろんな本が作られたようです。

 

▲『蘭学楷梯三種』 大槻玄沢 天明8年(1788)刊

初版・二版・三版と残っていて、人気の高さがわかります。

 

和本の世界は広く、深く、身近でとても面白い!

そんな橋口さんのお気持ちが伝わってくるようなセミナーでした。

もっと和本について知りたい・見てみたい!という方は、

ぜひ橋口さんの著書DVD『和本』をご覧ください。

そして今週12(金)13(土)に全国各地から集まる超・貴重な和本の

数々を間近に見ることができる「古典籍展観大入札会」お見逃しなく!

 

  

『千年生きる書物の世界 和本入門』 橋口侯之介・著 平凡社

『続 和本入門 江戸の本屋と本づくり』 橋口侯之介・著 平凡社

 

★誠心堂書店HP

[住所]神保町2-24 [営業時間]10:00~18:30/日祝休

※映画「珈琲時光」のロケ地にも選ばれた、

 千代田区の「景観まちづくり重要物件」でもあります。

Posted at:15:00

書評家・豊崎由美さんがおすすめの本

去る10/19(火)に千代田図書館9階のオープンスペースで

「本と出会う 読書サロン 公開サロン」を開催しました。

 

 

「本と出会う 読書サロン」は、昨年秋にメンバーを募集し、

JPIC読書アドバイザークラブの運営で月1回のペースで活動してきました。

毎月異なるテーマに沿って、参加者各自がおすすめの本や気になる本を

持ち寄り、ざっくばらんに紹介しあう、本を通じた交流の場です。

 

今月より新たに第2期をスタートさせることとなり、

新規メンバー募集をかねて、

この公開サロン講演会を開催する運びとなりました。

講師は、書評家の豊崎由美さん。

本の選び方や楽しみ方などについて、とても楽しく、タメになる話を

していただきました。メモをする手が止まりませんでした!

 

▲講師の豊崎由美さん。次から次へと話題は尽きません。

 

幼い頃は体が弱く、4、5歳位から本を読んでいるという豊崎さん。

長靴下のピッピと一緒に冒険したり、名探偵になったり、と

自分が檻の中から少しだけ出られるような気がして、とにかく

本ばかり読んでいたそうです。

 

本を選ぶというよりは、本に選ばれる自分でありたい

とおっしゃっていたのが印象的でした。

面白くない本、理解できない本に出会っても、それは本が悪い

のではなく、自分が悪いんだと思うようにしているそうです。

そうした本も捨てたり売ったりせずに、本棚に残しておいて、

たびたび、恐る恐る手にとりながら、数年後、おもしろい!と

思えたときの快感、喜びはひとしおだとか。なるほど。

  

豊崎さんは、本を読むのはとても遅い、とおっしゃっていましたが、

読んでいる数は相当な量のはず。

書評を書く上で「忘れない」ようにするための読み方、についても

付箋を使った具体的な方法などを教えてくださいました。

 

また、「おもしろそうだな」と思ったら何でも読む<雑読>が

おすすめとのことですよ。

本の「星座」をつくる、という読書の広げ方も紹介されました。

起点となる本を1つ選んで、そこから、作家や訳者つながり、

その本の作家が好きな作家・本、関連作家・本、同じ賞をとった本、、、

などと関連する本を星座をつくるように結んでいきます。

読書遍歴が俯瞰できるし、色んなつながりが見えてきて楽しそうです!

眠れない夜にもおすすめだそうですよ。

 

いろんなジャンルの本や作家に出会える本として、以下の本を

ご紹介いただきました。登場する本が読みたくなる!そうです。

 

『やんごとなき読者』

著者 アラン・ベネット

訳者 市川恵里

出版社 白水社(2009年)

 

もしエリザベス女王が読書に夢中になったら・・・という仮定に基づく架空の話。読書を通じて、エリザベス女王が君主としても成長していくという話。


 

 

 

 

 

 

 
 

 

 

 

 

 

 

『読んでいない本について堂々と語る方法』

著者 ピエール・バイヤール

訳者 大浦康介

出版社 筑摩書房(2008年)

 

豊崎さん曰く、この本に出てくる本は読みたくなってしまう!そうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本を読むことで、色んな立場に出会い、

色んな角度からものを見て考えるクセがつく。

人の立場になって想像する力がつく。

読書の「効能」を改めて聞くことができ、

やっぱり本を読むっていいなぁ。もっと読みたいなと思いました。

みなさんも、<読書の秋>をお楽しみくださいね♪ 

 

 

Posted at:14:55

ストーリーテラー櫻井美紀さんご逝去

昨年、千代田区読書振興センターで開催した

「読み聞かせスキルアップ講座」の講師を務めていただいた

NPO法人語り手たちの会理事長・櫻井美紀さんが

ご逝去され、先月20日にお別れの会が催されました。

 

 

  

▲お別れ会のようす

 

 

▲スキルアップ講座での櫻井先生

 

定員20名のスキルアップ講座を経て、

もっともっと多くの方に櫻井先生の「語り」に触れられる

機会がもてないかと考えていた矢先の訃報でした。

謹んで御冥福をお祈りいたします。

 

≪櫻井先生の主な著書≫

すべて千代田区立図書館に所蔵しています。

読み聞かせや朗読などの活動を行っている方だけでなく、

子育てをされている方、「伝える」ことを生業としている方

などにも知っていただきたい内容です。

 

 

語り 豊饒の世界へ』

著者 片岡輝、櫻井美紀

出版社 萌文社(1998)

 

 

 


 

 

『昔話と語りの現在』

著者 櫻井美紀

出版社 久山社(1998)

日本児童文化史叢書20

 

 


 

 

『子どもに昔話を!』

編者 石井正己

出版社 三弥井書店(2007)

櫻井先生は「子どもに語りを」というタイトルで

執筆されています。 

 


★櫻井先生のホームページは、こちら

「語り」=ストーリーテリングのあらまし、

世界各国を飛び回って活躍されていた櫻井先生のコラムなど

現在もそのまま閲覧可能になっています。

 

 

Posted at:14:30

映画を先に見るか、原作を先に読むか。

9/11公開の映画「悪人」の主演女優・深津絵里さんが

第34回モントリオール世界映画祭で最優秀主演女優賞を受賞

のニュース、皆さんご覧になりましたか?

 

日本人女優の受賞は、「天城越え」の田中裕子さん以来

27年ぶりの快挙とのこと。

この映画は、芥川賞作家・吉田修一さんのベストセラー小説『悪人』を、

「フラガール」の監督李相日(リ・サンイル)さんが映画化したものです。

 ★映画「悪人」公式サイトはこちら

 

『悪人』以外にも吉田さんの作品は映像化されていますが、

本作では脚本も吉田さん自らが手がけているそうです。

 ★映像化された吉田修一さんの作品

 

『7月24日通り』

新潮社 

「7月24日通りのクリスマス」として

中谷美紀&大沢たかお主演で映画化。

 
 
 
 
 
 
 

『春、バーニーズで』

文藝春秋

同名、寺島しのぶ&西島秀俊主演で

WOWOWドラマWで映像化。

 

 

 

 

 

 

 

『女たちは二度遊ぶ』

角川書店

同名でBeeTVで映像化。

相武紗希、水川あさみ、小雪、優香、長谷川京子

ほか出演。 

 

 

 

 

 

『パレード』

幻冬舎 

同名、藤原竜也主演で映画化。

 

 

 

 

 

 

 

さて皆さんは、映画を先に見ますか?原作を先に読みますか?

いずれにしても、どちらか片方だけではもったいない!

秋は、映像と活字の世界を存分に楽しみたいですね。

 

小説やマンガが原作の映画は、「悪人」の他にも

☆「告白」(原作:湊かなえ『告白』)

☆「借り暮らしのアリエッティ」

 (原作:メアリー・ノートン『床下の小人たち』)

☆「東京島」(原作:桐野夏生『東京島』)

☆「オカンの嫁入り」

 (原作:咲乃月音『さくら色 オカンの嫁入り』)

☆「BECK」(原作:ハロルド作石『BECK』/全34巻)

☆「食べて、祈って、恋をして」⇒9/17公開

 (原作:エリザベス・ギルバート『食べて、祈って、恋をして』)

☆「メッセージ そして愛が残る」⇒9/25公開

 (原作:ギヨーム・ミュッソ『メッセージ そして愛が残る』)

・・・など、続々と公開されています。

 

そして来月には、神保町で撮影された映画も公開されます!

★映画「森崎書店の日々」公式サイトはこちら

 

原作は、第3回「ちよだ文学賞」大賞受賞作品『森崎書店の日々』で

“森崎書店”という、架空の(でも実在しそう!)古書店と神保町を

舞台に、失意と孤独の中にいた女の子が大人へと成長していくストーリー。

 

 

左:「第3回千代田文学賞作品集」 右:待望の文庫化!(小学館文庫)

 

★原作者の八木沢里志さんには、

「千代田図書館情報誌vol.6」にご登場いただいています。

現在、館内で配布中なので、ぜひ手にとってご覧ください!

 

 

左:「千代田図書館情報誌vol.6」表紙 右:八木沢里志さんご登場ページ

 

映画「森崎書店の日々」は10月23日より、神保町シアター他で公開です!

ぜひ劇場でご覧ください。

Posted at:17:35

8月9日は「ムーミンの日」

今日8月9日は「ムーミン」の作家トーベ・ヤンソンの誕生日です。

ムーミンの最初の本が出版されてから60年を迎えた2005年より、

この日は「ムーミンの日」として祝われるようになりました。

(参照サイト:ムーミン谷へようこそ

 

本日16時まで、東京ドームシティラクーアの屋外ステージで

「ムーミンの日の集い」が行われているようなので、

興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょう?

千代田図書館からも、歩いて20~30分程度です。

★「ムーミンの日の集い」の詳細については、こちら

 

千代田図書館の所蔵本も、いくつかご紹介しておきますね。

 

『ムーミン谷の夏まつり』

ムーミン童話全集④

トーベ・ヤンソン作/絵 下村隆一・訳

講談社(1990)

  

 

 

 

 

 

『彫刻家の娘』

トーベ・ヤンソン作 冨原眞弓・訳

講談社(2005) 

 

  

 

 

 

 

 

 

『フィンランド 森と街に出会う旅』

鈴木緑・文/写真

東京書籍(2006) 

 

 

 

 

 

 

 

『北欧トラベルダイアリー』

フィンランド・スウェーデン+エストニア

あこがれの街とかわいい田舎町あるき

すげさわかよ・著

河出書房出版(2008)

 

 

 

 

 

『北欧デザインを知る』

ムーミンとモダニズム

渡部千春・著

NHK出版 生活人新書(2006)

 

 

 

 

 

 

 

『フィンランドを世界一に導いた100の社会改革』

イルッカ・タイパレ編/著 山田眞知子・訳 

公人の友社(2008)

 

 

 

 

 

 

 

 

☆トーベ・ヤンソン(フィンランド/1914-2001)

フィンランド人で彫刻家の父と、スウェーデン人で画家の母の

長女としてヘルシンキに生まれる。

15歳にして挿絵画家としてデビュー。

童話「ムーミン」シリーズ以外にも、大人向けの小説も多数

書いており、挿絵画家、風刺漫画家など多彩な顔を持つ。

 

 

Posted at:13:55

レポート:ことばと音のフェスティバル♪

少し時間がたってしまいましたが、

去る5月8日(土)、区民ホール(区役所1F)にて

「こどもの読書週間」に合わせたイベント

<ことばと音のフェスティバル♪ちよだ音楽おはなし隊>

を開催しました。

 

 

第2回目となる今年は、千代田区内にある大妻中学高等学校

マンドリン部の演奏と“おはなし”の豪華コラボレーション!

(※昨年は区立和泉小学校のビッグバンドIZUMINOTES

 (イズミノーツ)が演奏を担当。)

 

立ち見も出るほどの盛況でした!

 

大妻中学高等学校マンドリン部は、今年で創部50周年の

歴史あるクラブで、部員数はなんと総勢100名以上。

今回は、中学3年生と高校1年生の部員のみなさんが

演奏してくれました。

 

女子生徒たちが真剣な表情でマンドリンをかき鳴らす姿、

オーケストラならではの迫力ある音、

ギター、コントラバス、フルートとのハーモニー・・・

鳥肌が立つほど、とてもかっこよかったです!!

 

おはなしは、千代田図書館の学校支援担当司書が

マンドリンの音色に合うイメージで選び、再話して語りました。

 

◆シベリア・イギリスの昔話「はたらきものの赤いめんどり」

  ~♪「仮面舞踏会」よりワルツ(A.ハチャトゥリアン)♪~

◆ジプシーの昔話「バラの花とマンドリン弾き」

  ~♪祝典の為の序曲(久保田孝)♪~

◆フランス・ドイツの昔話「仙女の贈り物」

  ~♪ARSNOVA組曲(末廣健児・丸本大吾)♪~

◆絵本「おだんごスープ」角野栄子・文 市川里美・絵 偕成社

  ~♪国境なし(G.マネンテ)♪~

絵本「おだんごスープ」に出てくる歌に、担当司書が

自分で音程をつけて歌っていたのを、

部員さんの一人が耳で聞いただけで音符におこし、

曲をつくってくれました。すごい音感です!

ご来場くださったみなさんも、すぐに覚えられるような

たのしい歌になっていたのではないでしょうか。

ブログでは曲を紹介できないのが残念です!

 

来年も「こどもの読書週間」に合わせたイベントを

開催する予定です。ぜひまたお越しくださいね♪

 

★大妻中学高等学校マンドリン部 定期演奏会などの

 情報はこちらから 大妻中学高等学校ブログ「ごもくめし」

 

★マンドリンについて、参考サイトはこちら

 マンドリンの音の博物館

 

Posted at:13:10

「トム・ソーヤーの冒険」の著者 没後100年

今日4月21日は、アメリカの作家マーク・トウェインの命日です。

(本名サミュエル・ラングホーン・クレメンズ(1835-1910))

「トム・ソーヤーの冒険」「ハックルベリー・フィンの冒険」など

大人になったいま、改めて読み直してみると

子どもの頃とは違う印象を受けるかもしれませんし

英語の勉強もかねて、原書を読んでみるのもいいかもしれません。

 

彼は晩年、人生に幻滅している老人と青年の対話形式で書いた

「人間とは何か」をはじめ、

上記作品の作者と同一人物とは思えないような

人間の貪欲さや残酷さなどに焦点を当てた作品を残しています。

 

★作家の生い立ちなどについては、こちらのページが詳しいです。

 The Mark Twin House and Museum (日本語版あり)

 

★マーク・トウェインの著書

「トム・ソーヤーの冒険 上・下」 石井桃子訳 岩波少年文庫(2001)

「The Adventure of Tom Sawyer」 PENGUIN CLASSICS(1986)

   

 

「ハックルベリー=フィンの冒険 上・下」 

 斉藤健一訳 講談社 青い鳥文庫(1996)

「The Adventures of Huckleberry Finn」 PENGUIN CLASSICS(2003)

    

 

「不思議な少年」 中野好夫訳 岩波文庫 (1969)

「人間とは何か」 中野好夫訳 ワイド版岩波文庫 (2004)

「マーク・トウェインのジャンヌ・ダルク」 大久保博訳 (1996)

     

Posted at:17:20

東京堂書店ふくろう店で講演会

東京堂書店ふくろう店のリニューアル記念講演会

「八十歳をこえても 本といっしょ」のお知らせです。

 

1.芸人・小沢昭一さん

日時 本日15:00~16:00

会場 東京堂書店 神田本店6階

参加費 500円

申込み 電話 03-3291-5181

 

≪小沢昭一さんの著書≫ ほんの一部をご紹介

    

  

「話にさく花」 文藝春秋

「もうひと花」 文春文庫 

「むかし噺うきよ噺」 新潮文庫 

「せまい路地裏も淡き夢の町」 晶文社

 

 

2.児童作家・神沢利子さん

日時 4月16日(金)14:00~15:30

会場 東京堂書店 神田本店6階

参加費 500円

申込み メール (tokyodosyoten@nifty.com

    電話 03-3291-5181

※4/15(木)以降は電話で要・問合せ。

 

≪神沢利子さんの本≫ ほんの一部をご紹介

  

  

「ウーフとツネタとミミちゃんと」 絵・井上洋介 ポプラ社

「おべんとうをたべたのはだあれ」 絵・柿本幸造 ひさかたチャイルド

「おばあさんのスプーン」 絵・富山妙子 ≪こどものとも≫傑作集

「流れのほとり」 画・瀬川康男 福音館文庫

 

★講演会の詳細、場所についてはこちら

 

4月30日まで、店内で同タイトルのブックフェアが開催されています。

お2人の、今ではなかなか手に入らない稀少本もあります。

ぜひ足を運んでみてください。

 

Posted at:13:15

今日は「国際こどもの本の日」

今日4月2日は、アンデルセンの誕生日で、

国際児童図書評議会(IBBY)(※リンク先は日本支部です)により

「国際子どもの本の日」に定められています。

1967年からは、世界72の国と地域が参加するIBBYの各支部が順番に

ポスター(写真)とメッセージを作成し、各国に発信しています。
今年はスペイン支部が担当で、

メッセージは「さがそう、本はきみを待っている!」

 

 『アンデルセン童話集』

     

  大畑末吉・訳 岩波少年文庫(2006年・新版第7刷発行)

 

「おやゆび姫」「みにくいアヒルの子」「人魚姫」

「マッチ売りの少女」など、知っているはずの物語でも

大人になった今、改めて読み直してみると、

新たな発見があるかもしれません。

  

ハンス・クリスチャン・アンデルセン(1805~1875)

デンマークの作家。デンマークで3番めに大きな島フューン島の

オーデンセという町で、貧しい靴職人の子として生まれた。

文学好きの父と、迷信深い母との間で育ったが、

11歳のとき、父を失った。

15歳のとき、俳優を志してコペンハーゲンに出たが、

貧窮をきわめ挫折した。

その後、大学で学ぶ幸運に恵まれ、

30歳のとき、『即興詩人』によって文名を確立した。

同じ年、最初の童話集を出版し、以後、30年以上にわたって

150編あまりの童話を書きつづけた。

(岩波少年文庫より引用)

 

Posted at:12:30

レポート:読み聞かせスキルアップ講座④

読み聞かせスキルアップ講座もついに最終回。

参加者で発表会を行いました。

 

 

櫻井先生の講義では、テクニックやルールといった類の

具体的、技術的なお話はほとんどありませんでした。

でも、初回とこの最終回とでは、参加者の読み聞かせには

大きな変化がありました。

先生が言い続けてこられた読み聞かせや語りの本質

― その絵本を通して、何を伝えたいのか?

― 愛情表現。本を介して、心と心を通わせること。

などが参加者の皆さんの心に残り、

とても良い発表会になったのだと思います。

オーバーアクションや演劇風な読み方でなくても、

物語の良さや楽しさ、伝えたいことが自然と聞き手の心に

入ってきました。

以下、発表会で披露された本を紹介します。 

 
『よだかの星』
 

宮澤賢治・著

この物語は「おまえの●●が気にくわない」と、否定される

“よだか”が主人公です。

人の気持ちを想像し、そこに自分の心を重ねることができなくなっている

現代の子どもや大人たちに、人がどんな気持ちでいるのかを考えること

を教えてくれます。

 

4名の参加者が分担して読み聞かせを行ったのですが、

声や読み方が落ち着いていて、心を込めて読んでいるというのが

伝わり、また物語のもつ良さが際立っていました。

 

ときにはこのような本を読んで、子どもに問題を投げかけることも必要です。

子どもは本を通して自分の気持ちを消化し、生きる力や勇気をもらうのです。

 

グリム童話より 『赤ずきん』

グリム・作 バーナディット・ワッツ・絵 生野幸吉・訳

出版社 岩波書店(1976年)

価格 700円

ISBN 4-00-115127-8

 


これも、4名の参加者が分担して読み聞かせを行いました。

こちらのメンバーはジェスチャーや声色の変化があり、

オオカミが赤ずきんに語りかける場面などでは、いかにも悪そうな声で

聞き手の笑いを誘っていました。

 

「赤ずきん」はたくさん出版されていますが、

生野幸吉の訳本は、原文に忠実に訳されていて、

心理描写までが聞き手に伝わってきます。

昔話を丁寧に伝えている本です。

 

『三枚のお札』

「古事記」にも入っているという、古くから伝わる昔話。

最初に小僧さんが歌いながら栗拾いをする場面があるのですが、

読み手の歌声が美しく、笑いも誘いました。 

 

『アンナの赤いオーバー』

ハリエット・ジィーフェルト文 アニタ・ローベル絵 松川真弓訳

出版社 評論社(1990年)

価格 1300円+税

ISBN 4-566-00288-8

児童図書館・絵本の部屋

 


アンナのための赤いオーバーができるまでに、何が必要で、

どんな人(職人)たちの手がかかるのか、というストーリー。

着るものや食べるものなど、何でも人の手がかかっている

ということを知るのにいい本です。

絵本は、与えるだけではなく、実生活の中で見せることが大事です。

(たとえば、ハンバーグの作り方が出てくる絵本だったら、

 実際にそのハンバーグを作ってみるとか・・・)

そうすることで、「暮らし」とはどういうものなのか、子どもは学びます。

 

『世界の民話 28 オーストリア』より「牛飼い聖者」

小澤俊夫・訳 ぎょうせい・出版

とっても愉快な笑い話で、絵本ではないので語りを披露されました。

 

『トンちゃんってそういうネコ』

MAYA MAXX さく・え

出版社 角川書店(1999年)

価格 1995円

ISBN 4048531115

参加者に大好評だった1冊。

とても元気なオス猫・トンちゃんは実は片足がないというストーリー。

絵も大胆で、元気と勇気づけられる物語でした。

 

その他、櫻井先生による語りが披露されました。

張りのある、聞き手を魅了する声でした。

 

 

今回の連続講座は、

一言も聞き漏らしたくないくらい、学びと気づきの連続で、

スタッフとして参加した私にとっても、本当に貴重な機会となりました。

参加者の皆さんの、今後ますますのご活躍を期待しています。

皆さんおつかれさまでした&ありがとうございました! 

 

Posted at:18:30

レポート2:読み聞かせスキルアップ講座③

前回に続き、昔話と童話について、講義の内容をお伝えしたいと思います。

 

皆さんご存知のおはなし『あかずきん』は、

フランスの宮廷人ペローが、民話を文字にしたものです。

前回のグリム童話のところでも出てきましたが、

民衆の間で口語りにされてきた話を文字にした「口承文学」です。

 

日本国内では、たとえば『桃太郎』『浦島太郎』『ものぐさ太郎』などは

奈良時代の『風土記』に既に書かれています。

ということは、その話自体はもっと前から語られてきたということです。

文字が生まれるのはずっと後ですからね。

 

また、外国のあの話と、日本のこの話はなんだか似ているな、

ということがありませんか?

人類の歴史と共に、1つの物語は何百年もかけて世界をまわり、

世界中の昔語はつながっているのだそうです!

 

 

『こども世界の民話 上・下』

著者 内田莉莎子・君島久子・山内清子

出版社 実業之日本社

価格 1845円+税

ISBN 4-408-36161-5

1964年刊行「子どもに聞かせる世界の民話」

に収められた81編の中から42編を選び、

子どもが自分でも読めるように

新たに編集されたもの。※写真は上巻です。


 

そして「口承文学」は語る人が自己流にアレンジするので、

「類話」がたくさん生まれます。

いくつかの昔話も、元は1つのお話だったということがあるわけです。

 

「出版」が始まり、昔話も今でこそ本になっていますが、

元々は文字に頼らず、音声で伝えられてきたもの。

昔話の本は、それを元に「おはなし」をするためのものなので、

読み手は自分の言葉を付け加えてもよいのだそうです。

読むためではなく、おはなしをする・してもらう、ためにあるのですね。

 

昔話は、子どもに生きる力を与えます。

働きものや正直者の主人公は、たとえ困難にでくわしても、

必ず誰か、または、超自然のもの(人間ではない存在)が

見ていてくれたり、助けてくれるからです。

昔話の裏に共通するこのメッセージから、

子どもたちは現実で困難にぶつかっても

めげない強さをたくわえることができるのだそうです。

 

昔話の決まりごとは、

“むかし”“とんとんむかし”“むかしむかし” 

英語では、

“Once upon a time”“long long time ago” などで始まること。

※最近再編された絵本では、昔話の印である

 これらの言葉が省略されてしまっている本もあるそうです※

 

 

以下、参加者の皆さんが選んだ昔話を書き記しておきます。

 

はなさかじい/もものこたろう/やまんばのにしき/おだんごころころ

ねずみのすもう/さんまいのおふだ/くわずにょうぼう/さんびきのくま

パンのかけらとちいさなあくま/あかずきん/したきりすずめ/かにのかけっこ

 

なお「出版」が始まって以降、小川未明や宮澤賢治などが創作した

「児童文学」に関しては、作者が生みだした言葉で綴られているのですから、

子どもにおはなしするときに、昔話を語るときのように言葉を変えて読んだり、

自己流にアレンジしたりはしないようにしましょう。

 

昔話でも童話でも、本を選ぶときに大切なことは、

その1冊を通して何を伝えたいのか?ということです。

  

『子どもに昔話を!』

編者 石井正己

出版社 三弥井書店(2007)

価格 1700円+税

ISBN 978-4-8382-3153-9

 


 

 

『昔話と語りの現在』

著者 櫻井美紀

出版社 久山社

価格 1553円+税

ISBN 4-906563-80-5

日本児童文化史叢書20


 

Posted at:11:05

言葉の音楽性を楽しむ

櫻井美紀先生の「読み聞かせスキルアップ講座②」

レポートの続きです。テーマは「言葉の音楽性」でした。

“声”の表現は、“字”の表現よりも音楽的です。

言葉の繰り返し、韻をふむこと、メロディーなどは

子どもに心地よく伝わります。

今回は、いろいろな音声表現を体感できる絵本を紹介します。

 

 

『ころころころ』

さく 元永定正

出版社 福音館書店

参考価格 800円+税

ISBN 978-4-8340-0111-2

幼児絵本シリーズ 2~4才向き


赤や青や緑のいろだまがころがります。

文字では同じ「ころころころ」でも

あかいみち

 

でこぼこみち

 

などの背景や状況によって

音声表現の仕方は変わってくるのではないでしょうか。

 

 

『もこもこもこ』

さく たにかわしゅんたろう

え  もとながさだまさ

出版社 文研出版

参考価格 1243円+税

ISBN 4-580-81140-2


 

参加者の皆さんが1ページずつ順番に回して読んだところ、

いろんな「もこ」がでてきました。

文字を読むのではなく、何かが「もこ」っと出てくる感じを

イメージしながら音声で伝えること、

そして、それがとっても楽しいことを学びました。

もこ!

Posted at:10:13

小学校3~5年生の子どもと楽しむ本

「読み聞かせスキルアップ講座①」の最後のレポートです。

今回ご紹介するのは、小学校3~5年生くらいの子ども向けの本です。

 

ジプシーのむかしばなし『太陽の木の枝』

 J・フィツォフスキ 再話 

 内田莉莎子 訳

 堀内誠一 画

 福音館書店(2002)

 ISBN: 4-8340-1883-0

 

小学校3~5年生くらいの子は、わくわく・旅立ち・冒険が大好き。

育ち盛りで、だんだんと、悩みもでてくる頃。

講師の櫻井先生は、「そんなときは昔話の力を借りればよい。」

とおっしゃっていました。

子どもたちは、昔話の中に、悩みを解決する道筋を見つけたり、

勇気をもらったりするのだそうです。

 

講座では、櫻井先生が、このおはなしのさわりの部分を、

「語り」で聞かせてくださったのですが、

途中で終わったのが残念、続きを聞きたい!と

私も夢中になってしまいました。

 

絵本や児童書には、「対象年齢」がよく書かれていますが、

それはあくまでも参考であって、

対象年齢に達していない子どもでも、

読みたがれば読ませてあげればよいし、

対象年齢をとうの昔に過ぎた私たちでも、存分に楽しむことができますよね。

絵本や児童書の魅力を再確認できた1日でした。

 

次回の読み聞かせスキルアップ講座は、明日6日。(受付は終了しています)

このブログで、皆さんに少しでもその内容をお届けできればと思います!

 

 

 

Posted at:12:35

3、4歳の子どもと一緒に読む本

「読み聞かせスキルアップ講座①」のレポート第3弾は

前回に引き続き、講座で紹介された本についてです。

 

日本の絵本『わたしのワンピース』

えとぶん=にしまきかやこ

こぐま社(1969年)

ISBN: 4-7721-0018-0

 

この絵本も、櫻井先生の娘さんの大のお気に入りだったそうです。

空から降ってきた一枚の白い布きれを、

うさぎさんがワンピースにするところから始まって

お花畑を散歩すると、ワンピースが花模様に、

雨が降ってくると、水玉模様に・・・と

展開にリズムがあり、ページをめくる楽しさがあります。

 

 

先生はページをめくるたびに、皆さんのほうに

しっかり目配りをして、笑顔を見せていらっしゃいました。

読み聞かせのとき、目と目を見合わせることやうなずき

などは、とても大事なのだそうです。

 

また、先生いわく、子どもは4歳くらいになると、

先を見通して楽しむ力がついてくるのだそうで、

この絵本のような展開を楽しむことができるのでしょう。

 

この絵本は、3ヶ月の赤ちゃんも反応したというから、

子どもの力、絵本の力のすごさを改めて感じました。

 

ちなみに、以前このブログでもご紹介した雑誌『月刊MOE』

最新号では、この『わたしのワンピース』が生まれるまでの

紆余曲折を作家・西巻茅子さんが語っています。

 

★『月刊MOE』最新号についてはこちら

 

レポートはまだ続きます。次回をお楽しみに! 

Posted at:18:30

2歳くらいの子どもと一緒に読む本

「読み聞かせスキルアップ講座①」レポート第2弾は、

講座で紹介された本を取り上げたいと思います。

 

まず1冊目はこちら。

アメリカの絵本『わたしとあそんで』

マリー・ホール・エッツ ぶん・え

よだ・じゅんいち やく

出版社:福音館書店(1968年)

ISBN: 4-8340-0153-9

 

世界傑作絵本シリーズ・アメリカの絵本

読んであげるなら 3才から

じぶんで読むなら 小学校初級むき


 

講師の櫻井先生は、娘さんが2歳の頃、

この絵本を100回は読んであげたとのこと。

読み終わって本を閉じると、

「もいっかい」

と何度も繰り返しねだったそうです。

 

なぜ、そんなに気に入ってくれたのでしょうか?

参加者の皆さんで意見を出し合う中で、

「“わたし”以外の、動物たちはしゃべらない。」

という発見をされた方がいました。

 

櫻井先生いわく、まだ2歳くらいの子どもにとっては

自然のままのおはなしが受け入れやすいのだそうです。

 

ちなみに、もっと小さい子どもには、歌や、

音楽的リズム・メロディが心地よく感じられるそうです。

 

続きはまた!

Posted at:17:30

『OZ plus』最新号より「30女子を育てるBOOK案内」

 

昨日発売の『OZ plus[オズプラス]』最新号をご紹介します。

 

      

 

巻頭特集は「わたしを育てるひとり時間」。

その中の「30女子を育てるBOOK案内」という特集で、

千代田図書館の図書館コンシェルジュ(30女子)が

案内人の1人として、本をセレクトしました!

 

図書館コンシェルジュを含む5人の本の専門家が

本の探し方などについてアドバイスをしているほか、

「恋愛」「結婚」「働き方」など

女子にとっては永遠のテーマとも言える切り口で

約20ページにわたって本が紹介されています。

 

「30女子」に限らず、

次はどんな本を読もうかな、と迷っている方にとっても

良いヒントになるかもしれませんね!

 

★『OZ plus』についてはこちら

http://www.ozmall.co.jp/books/ozplus/

Posted at:17:20