【レポート】本と出会う 読書サロン 第21期イベント
講演会「ノルウェー語を仕事にすること 語学から翻訳まで」


千代田図書館で月に1回行っている、本を通じた交流の場「本と出会う 読書サロン」。毎回決められたテーマに沿った本を各メンバーが選んで持ち寄り、紹介し合っています。

現在開催中の第21期を記念し、講演会「ノルウェー語を仕事にすること 語学から翻訳まで」を行いました!

※本イベントは、2021年6月に開催を予定していましたが、緊急事態宣言発出をうけて開催中止となったイベントの振替開催です。

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ゲストは、ノルウェー語講師・翻訳・通訳・講演会講師青木順子さん

毎日「ノルウェー度100%」な生活を送る青木さんを惹きつけてやまない、ノルウェーとの出会いやその魅力についてお話しいただきました!

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ノルウェーとの出会いは、1992年に参加した「オーロラツアー」でのこと。

悪天候でオーロラを見ることは叶わなかったものの、犬ゾリに乗ったり先住民族のサーミ人のテントを訪ねたりという楽しい体験や人々との交流から「ノルウェーは物質的にも精神的にも豊かな国なんだという印象を抱き、この国をもっと知りたくなりました」と青木さん。

その後、ノルウェー語を学ぶために現地の大学へ複数回の留学に踏み出します。

当時は簡単に情報も手に入らず、現地にアジアからの留学生は一人だけという中、何度もあきらめそうになりながら勉学に励んだエピソードをお話しいただきました。

帰国後、2000年に日本国内でのノルウェーの情報発信を目的としてウェブサイト「ノルウェー夢ネット」を立ち上げます。

このサイトでの情報発信や語学講座を行いながら、ノルウェー語の語学書や絵本の翻訳などにも携わるようになります。

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「言語を習得するだけでなく、ノルウェーの社会や生活、人の価値観などを知ってほしいんです」と青木さん。

青木さんが「ノルウェー語というマイナーな言語翻訳の特権」と話していたのが、著者との深い関係を築けるという点。

これまでに翻訳した絵本を例に挙げながらお話しいただきました。

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絵本『パパと怒り鬼-話してごらん、だれかに-』(ひさかたチャイルド、大島かおりさんとの共訳)の作者グロー・ダーレさんとの出会いは、東京国際ブックフェアの翻訳者セミナー。講演を聞いて、家庭内暴力という社会的な題材を絵本にしていることに大きな衝撃を受け、翻訳したいという想いを抱きます。

デリケートな問題を題材にし、また文章の多い絵本は敬遠されるなか、様々な人の協力を得て日本での出版にこぎつけたこの絵本は、新聞の社会面でも取り上げられるなど日本でも大きな反響を得ました。

その後に手がけた『うちってやっぱりなんかへん?』(偕成社)『わたしの糸』(西村書店)も書店で出会い、「この本が好き」という気持ちから翻訳が始まったそうです。

作者のトーリル・コーヴェさんは短編アニメーションを絵本にする手法で知られており、『わたしの糸』のアニメの一部を見せていただく一幕もありました。


どちらも、翻訳する作品を愛しながら、作者と丁寧なやり取りを重ねて翻訳を進める青木さんのお仕事への姿勢を感じられるお話でした!

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最後は質問コーナー。

参加者の皆さんから集めた「質問シート」に目を通しながら一問一問に回答いただきました。

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ノルウェーの風景や魅力的な図書館・書店などの写真の数々も見せていただきながらの講演で、参加者の皆さんのみならず図書館スタッフも「いつかノルウェーに行ってみたい!」という想いを抱いた1時間でした。

青木さん、ありがとうございました!

現在第21期「本と出会う読書サロン」を、12月~2022年3月の毎月第3火曜日、午後7時から千代田図書館で開催しています。

「色」をテーマに本を紹介している第21期、各月のテーマは12月「紫」1月「銀」2月「黒」3月「緑」
興味のあるテーマの回だけの参加も可能です。気になる方は見学だけでもしてみませんか?

まずはメンバー登録をどうぞ。→詳細はコチラから

Posted at:16:00