【レポート】千代田図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー
「古書店街にみる時代の移り変わり」編


12月7日(土曜日)、千代田図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー「古書店街にみる時代の移り変わり」編を開催しました!

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毎回様々なテーマで街の魅力をご紹介している神保町ツアー。21回目となる今回は、フリーライターの岡崎武志さんを第1部のゲストにお迎えしました。

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神保町をはじめ全国の古書店についての著書も多く、"古書店通"として知られる岡崎さん。東京に住み始めたのは1990年ですが、10代の終わりごろから神保町古書店街には、関西から何度も「遠征」をしていたそうです。

現在、およそ160店の古書店が集まる"世界一の本の街"神保町。この古書店街のなりたちをお話しいただく中で岡崎さんが引用したのは、茨木のり子の詩集『鎮魂歌』(思潮社、1965年刊行)に収められた詩「本の街にて―伊達得夫氏に―」

多くの詩集や詩誌「ユリイカ」を発刊した、出版社書肆ユリイカの経営者で編集者の伊達氏に捧げられたこの詩の中に、書肆ユリイカが小さな事務所を構えていた神保町の様子が描かれています。

書肆ユリイカの他にも、1960~70年代には漫画雑誌「月刊漫画ガロ」の出版社青林堂や現在も続く美術の私塾美学校など、新しい文化が神保町から生まれていきました。

「こういう新しい文化が集まってきたのは、やはり神保町が"本の街"だったからじゃないでしょうか」と岡崎さん。

また、古書店になじみのない方でも楽しめるように、神保町の店名をいくつも挙げながら古書店巡りの楽しみ方も教えてくれました。

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古書店のなかでも、特に好きだというのが店頭に並ぶ均一棚。この日持ってきてくださった本の中の1冊『名言随筆 サラリーマン(六月社)の著者は、当時新聞記者をしていた司馬遼太郎。1955年に本名の「福田定一」で書いたこの本は、現在は数万~数十万円の値がつけられることもある貴重な1冊で、岡崎さんはなんと均一棚でこの本を見つけたそうです!

このような掘り出し物はもちろん、他にも安く売られている20~30年前の旅行ガイドブックを見てはタイムトラベル気分を味わったり、まれに古書市で売られている誰のものかわからない日記帳を買い、読んで楽しんだり...。

「自分で面白がる気持ちがあると、本はもっと面白いです。古書店の棚から自分の読みたい本を探すこともいいけれど、冒険心を持って本を探すとさらに楽しくなりますよ」

古書の楽しみを、存分に語っていただきました。

岡崎さん、ありがとうございました!


第2部は図書館を出発し、千代田図書館コンシェルジュの案内で神保町古書店街へ!

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神保町の歴史的なスポットをご案内しながら、今回は2店の古書店に立ち寄りました。

1店目はSF、映画、ミステリーなど20世紀のサブカルチャーにまつわる本を多くそろえ、2階には「ブックカフェ二十世紀」もある@ワンダー
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2店目は、神田古書センタービル2階にある昭和期の漫画専門店で、本だけでなくたくさんの漫画関連グッズが手に入る夢野書店です。
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上の写真でスタッフが掲げているモノクロの写真は、1964年にこの辺りで撮られたもの。まだ神保町に路面電車(都電)が走っていた頃です。この年には、前回の東京オリンピックの聖火ランナーが靖国通りを走りました。

第1部の岡崎さんのトークでも話された書肆ユリイカは、老舗喫茶店ラドリオ、ミロンガ・ヌォーバが立ち並ぶこちらの路地に面した小さなアパートの2階にありました。神保町の歴史の香りが感じられる一角です。

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古書店街を歩き、すずらん通りの「小学館ギャラリーBH 本と街の案内所」でツアーは終了。

10月に台風の影響を受け中止となったための振替開催でしたが、無事に開催することができました。

ご参加くださった皆さん、ありがとうございました!

今回の神保町ツアーで巡ったのはこちらのコースです。

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Posted at:17:00