国立公文書館の企画展示「グルメが彩るものがたり-美味しい古典文学-」

今回のちよぴたブログでは、"食欲の秋"そして"読書の秋"にピッタリな催し物をご紹介!

国立公文書館で、令和2年度 第2回企画展「グルメが彩るものがたり-美味しい古典文学-」が開催中です。

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千代田図書館から歩いて10分ほどの国立公文書館。

少しずつ秋色になり始めている北の丸公園を散歩がてらお出かけするのもおすすめです♪

展示のテーマは「食」。人々の生活に欠かせない"食べること"が描かれた古典文学にスポットライトを当て、日常の食生活から王朝の雅な食事、食の楽しみに欠かせない酒、食と信仰など多様な切り口で資料を展示しています。

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展示の目玉のひとつが、720年(養老4年)の完成から今年で1300年になる『日本書紀』

展示されている資料は江戸時代 慶長年間に書写された、全巻揃いの完本としては現存最古のものです。

「月夜見尊(ツクヨミノミコト)」が「保食神(ウケモチノカミ)」を斬り殺すと、その体から牛馬といった家畜、粟・稗・稲などの穀物が生まれたという神話の場面を紹介。月と農業の関係の深さを読み取ることができます。

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現存最古の歌集『万葉集』からは、大伴家持が詠んだ「痩せたる人を嗤笑ふ歌」などを紹介。

この歌には「夏痩せに良いという鰻を捕りなさい」と詠まれており、奈良時代から鰻は滋養のとれる食材として知られていたことに驚かされます。

そして平安時代には、詩情に満ちた食べ物の描写も見られるようになります。

百人一首でも知られる光孝天皇"君がため春の野に出て若なつむ我衣でに雪は降りつゝ"は、新春の野に出かけ春を告げる若菜を摘む様子を詠んだ、中高生の皆さんにもなじみ深い歌ではないでしょうか?

ここでぜひご注目いただきたいのが、一冊一冊の資料の美しさ。

この『古今和歌集』は、元は徳川将軍家の書庫であった紅葉山文庫に所蔵されていたもので、370年以上前に出版された本とは信じられないくらいの美しさを保っています。

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展示ではこの紅葉山文庫を始め、幕府直轄の教育機関であった昌平坂学問所や、徳川家康に仕えた儒学者の林羅山の旧蔵書など、国立公文書館ならではといえる貴重な資料の数々を間近に見ることができます。

また、挿絵の入った資料にも興味深いものがたくさん。

『七十一番歌合』の挿絵には、室町時代の商人の姿や口上が描かれています。

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こちらの挿絵は豆腐売り(右)とそうめん売り(左)。
室町時代には、現代にもなじみのある食材が登場していたのですね!売り歩きの口上を読むと、おいしそうでなんだかお腹がすいてきます。

ときには詩情たっぷりに、ときにはユーモアに。古来から文学に織り込まれてきた「食」の豊かさを、時代の移り変わりとともに感じられる展示です。

ぜひ、お立ち寄りください。

令和2年度 第2回企画展

「グルメが彩るものがたり-美味しい古典文学-」

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【会 期】 開催中~11月29日(日曜日)

      ※期間中無休

【時 間】 午前9時15分~午後5時

【会 場】 国立公文書館 本館

【所在地】 千代田区北の丸公園3-2

【入場料】 無料

詳しくはこちらをご覧ください

※新型コロナウイルスの感染予防・拡大防止のため、

会期を変更する場合があります。

※展示室内の密接を避けるため、入室制限を行うことがあります。

Posted at:16:10