千代田図書館スタッフが選ぶ、今年最初に読みたい本 2022

1月も2週間あまりが過ぎました。今年に入ってから、もう読書はしましたか?

普段から本に囲まれた場所で働いている図書館員は、年の初めにどんな本を選ぶのか、「今年最初に読みたい本」を聞いてみました。



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『ミライを生きる君たちへの特別授業』

ジュニスタ編集部/編

岩波書店


新型コロナは私たちの生活を一変させました。それでなくとも複雑な現代社会の中で生きづらさを抱えている人は多いはず。これからの時代、私たちはどう生きるか。新しい年の初めだからこそ、改めて考えてみたいものです。難しい理屈でなく、リアルな生き方のヒントを与えてくれるような、そんな本はないでしょうか・・・?

これは、東京都内のある公立中学校で実際に行われた授業を本にしたものです。先生になったのは、元アイドルの作家、新聞記者、声優、タレントなど。いじめや進路問題、人間関係の悩みなど、さまざまな不安を抱える中学生たちに向けて、自分の経験や考え方を、生の言葉で真剣に語った記録です。

たとえば、図書館のこと。かつて「学校に行くのがつらかったら図書館へおいで」というツイートが大きな話題になったことがあります。しかし、この言葉がいかに無責任で、偽善的なものかを指摘する人は、当時は極めて少なかったと思います。そう、図書館は人生に役立つ何かを得られる場所ではあっても、悩める人間を救えるほどの力は持っていないのです。この本は、そうした真実もきちんと伝え、うわべの美辞麗句に惑わされないための心構えを教えてくれています。

今年最初に、中学生はもちろん、すべての大人にも、ぜひ読んでいただきたい本です。(サービス・坪内)




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『こすずめのぼうけん』

ルース・エインズワース/作 石井桃子/訳 堀内誠一/画

福音館書店


私の今年最初に読みたい本は、『こすずめのぼうけん』1976年に発行された絵本です。

羽の生えそろったこすずめが、ある日おかあさんに飛び方を教わります。言われたとおりにやってみると、楽々と飛べたこすずめは、これならどこまでも飛んで行けると、どんどん進んで行きます。ところが羽が痛くなり、頭も痛くなり、休む場所を探すのですが、よい場所は見つかりません。途中で出会う、からすやふくろうには、「なかまじゃないから」と助けてもらえず、途方に暮れるこすずめを、心配したおかあさんが迎えに来ます。

子どもたちは「ぼうけん」という言葉が大好きです。学校図書館や幼稚園、保育園の本棚からも「ぼうけん」という書名の本はよく貸し出しされます。不安な毎日が2年以上続いていますが、大人も子どもも、今年は「ぼうけん」して、新しい事や、やりたくても出来なかった事をスタート出来たらいいなと思います。

途中には困難もあるでしょう。でも少しずつ前に進んで行きたいですね。

何より、こすずめのように戻る場所がある安心感は、何物にも代え難いですから、子どもたちにはぜひ用意して、「ぼうけん」に送り出したいものです。(学校支援・黒田)



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今回ご紹介した本は、千代田区立図書館で借りることができます。本の詳しい情報は書名をクリックしてご覧ください。


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Posted at:10:50