学校と区立図書館をつなぐ 学校支援担当司書のお仕事紹介②


2回にわたってお送りしている学校支援担当司書へのインタビュー。

区内の小学校・中学校や幼稚園・保育園・こども園、児童館などの教育施設で、子どもたちや保護者、教員の皆さんへの読書支援活動を行う学校支援担当司書の仕事内容や、日々の支援の中で印象に残っていることなどを聞いています。

前半のインタビュー記事はこちらをご覧ください




小学校の学校図書館で子どもたちに人気の本や、おすすめの新着図書を教えて下さい。

今、子どもたちに大人気なのは「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」シリーズ(廣嶋 玲子/作、jyajya/絵、偕成社)。テレビアニメ化されて、4~6年生を中心に大人気の児童書です。

貸出数の多さでいうと、「かいけつゾロリ」シリーズ(原ゆたか/作、ポプラ社)や、さまざまな図鑑もやっぱり人気。低学年の子どもたちには、ページをめくるだけで楽しい図鑑や科学絵本などが根強い人気があります。

私の担当する小学校では、昨年、突然2年生に「宝石の本」ブームがやってきました。だれかが何かの本に夢中になると、周りの子どもたちもつられて読みたくなるのでしょうか?学校図書館でどんな本が人気になるのかというのは、司書にも予測不可能なことなんです!

おすすめしたい新着図書としては『ねこ学校のいたずらペーター』(アンネリース・ウムラウフ=ラマチュ/作、アダルベルト・ピルヒ/絵、杉山 香織/訳、徳間書店)や昨年秋に新装版が出た『くまの子ウーフ くまの子ウーフの童話集』(神沢 利子/作、井上 洋介/絵、ポプラ社)。

また、複数の科目をまたいでの学習につながるSDGs関連の資料や、東京の伝統工芸についての資料などは授業で使いたいと言われる頻度が高いので、毎年新刊をチェックして購入しています。

支援先で子どもたちと接する中でのおもしろいエピソードや、印象に残っているエピソードはありますか?

小学校の他に、保育園やこども園でも読書支援をしていますが、印象に残っているのは0歳児に向けて読み聞かせをした時のこと。私が『もこ もこもこ』(谷川 俊太郎/作、元永 定正/絵、文研出版)を読むと、0歳の赤ちゃんたちの目が絵に釘付けになり、指さして反応してくれる子も。大人に比べてまだまだ視覚が発達中の赤ちゃんも、こんなに絵本を見てくれるんだ!とびっくりしました。

保育園では、子どもたちに教えた「にぎりぱっちり」の手あそびをしている時のこと。両手の手のひらを合わせて、手の中から何が出てくる?と想像をふくらませて遊んでいました。「ひよこ!」「ぞう!」「おばけ!」...と出てきたところで、誰かがそれを「パクッ!」と食べるとそれが全員に伝わって、こんどは手のひらから出てきたいろいろなものを何でも食べる遊びに早変わり。子どもたちの想像力の広がりに触れた経験でした。

小学生の支援で嬉しいことは、やっぱり「あの本おもしろかったよ」と言ってもらうこと。紹介した本をきっかけに読書の楽しみに気づいてくれることです。

特に高学年になると忙しくなる児童が多く、図書館での貸出数も減りがちなのですが、そんな子どもたちに「こないだ教えてくれた本みたいにおもしろいの、もっとある?」と声をかけてもらえると嬉しいですね。

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学校支援担当司書は、夏休み期間には「調べもの戦隊レファレンジャー」として千代田図書館や四番町図書館に出動!調べもののお手伝いや読書相談にお答えしています(写真は昨年のようす)

子どもたちに読書や図書館の魅力を伝えるうえで、心がけていることや工夫していることはありますか?

子どもに本を勧めるときには、まずその子のことを知ることを大切にしています。「普段どんな本を読む?」「どんなものが好き?」と、話しながら子どもの興味を丁寧に聞き取ります。

小学校の学年が進むにしたがって心がけていることとしては、入学したてで、読書の入り口に立ったばかりの子どもたちには「図書館には、こんなにいろんな本があるよ!」ということを、まず伝えます。もう少し大きくなると、新しい世界に出会ったり、新しい知識を得ることができる、読書の楽しみがわかるような本を勧めたいと思います。高学年になると、好きな本が決まってくる子も多いので、その子の好みからつなげて、読書の幅をさらに広げるようなお手伝いができればと思っています。

どの子どもたちにも、授業やオリエンテーションでは、「図書館は物語や知りたいことと出会える場所だよ」「いろいろな本があって、いろいろなことを知ることができるよ」ということを伝えています。

子どもに読書を楽しんでもらうために一番大事なのは、学校図書館を子どもにとって魅力的な場所に整えておくことではないかなと思います。さまざまな本を揃えて、場所の雰囲気を整えて、本のことを何でもわかる大人がいること。

そうすれば、子どもたちにも自然に読書や図書館の楽しみが伝わるのではないかと思い、日々仕事をしています。



2回にわたるインタビュー、いかがでしたか?

普段、私たちがあまり知ることのない学校図書館での読書支援のようすや、教育施設でのお仕事について知っていただけたのではないでしょうか。

ちよぴたブログでは、学校や幼稚園・保育園・こども園や児童館と区立図書館をつなぐ学校支援担当司書の活動を、これからもお伝えしていきます♪

Posted at:10:00