【MOFCAの庭からごきげんよう】0歳からはじまるオランダの性教育

千代田区障害者よろず相談MOFCAと連携し、おすすめの本をご紹介いただいている連載【MOFCAの庭からごきげんよう】。第5回目をお届けします。

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みなさま、こんにちは。MOFCAスタッフのHです。

12月3日から9日まで「障害者週間」が始まります。

一人ひとりが障害や、障害のある方々について、身近に考える期間にしていきたいと思っています。

今年10月、MOFCAでは、障害児や障害者支援に携わる支援者を対象に「支援者のための性教育」講座を開催しました。

障害をもつ当事者の方やご家族から、性に関する相談を受ける機会が増えてきたことを機に企画された講座でしたが、振り返れば支援者自身も十分な性教育を受けた経験がなく、性の基礎知識から改めて学び直す場となりました。

性教育自体がタブーとされてきた時代背景があったため、積極的な教育を受けられず、LGBTQなどの性の多様性についても、公に議論されることがないまま大人になったという方も多いのではないでしょうか。

今回は、講義の中で紹介された書籍についてご案内したいと思います。

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『0歳からはじまるオランダの性教育』

リヒテルズ直子/著

日本評論社


本書では、オランダで実践されている性教育を知り、私たちが日本の性意識の現状の中でオランダから何が学べるか、これからのグローバル時代を生きていく日本の子どもたちが、危険から身を守り、お互いを尊重した恋愛関係を通して性生活を送れるようになるために何ができるか、というテーマで書かれています。

「他国の教育方法を日本で実践するのは難しいのではないか?」と構えてしまいがちですが、オランダも1960年代までは、避妊も同性愛者の権利もオープンに口にすることのできない保守的な社会であったのです。オランダ国内でも宗教や文化の違いはあり、全国民が同じ意識なのではなく、一人ひとりが問題意識を持つことが大切なのだと考えさせられます。

まずタイトルを見て、「0歳から性教育?」という驚きから始まりましたが、性の問題が、人との関係の持ち方や信頼感、愛情に関わるものであるからこそ、生まれたときから始まる親子のスキンシップが重要視されているのだと実感しました。

親子で性に関する話題を率直に話し合える関係づくりなど、家庭でも取り組める対応について考える機会になります。

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第5章では、「性教育は障害児にこそ必要なものだ」とうたわれており、「障害があっても、自尊感情を持って自分らしく生きていけるために周囲の者に何ができるか」という視点に立つこと、自立を助けるためには障害の種類別にニーズを理解することが必要なのだと痛感する内容でした。

「性教育」とは大きな意味で、「人権の尊重」に繋がっていることを実感する一冊です。

性教育に携わる方だけでなく、今後の性教育の在り方について学びたい方は、是非ご覧ください。

そして、困ったときに相談できる窓口を知っておくことも、とても重要です。

「千代田区障害者よろず相談MOFCA」では、お悩みに合わせた専門機関をご案内できます。

身近な人に話せない悩みがある、どこに相談したらいいかわからない...。そんなときは、是非お気軽にご相談ください。



MOFCAの連載【MOFCAの庭からごきげんよう】は、隔月の第2週目に更新します。

次回は2月です。どうぞお楽しみに!

Posted at:12:30