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2011.04.20
不安のにおい |
今日は、館長の読書日記をお届けします。
『精神科医がものを書くとき』
著者 中井久夫
出版社 筑摩書房(ちくま学芸文庫)2009年
定価 1,200円+税
ISBN 978-4-480-09204-5
買ってから気にしつつ、丸2年「つんどく」にしていたもの。
今度ちょうどいい機会を得て、読むことができた。
第Ⅰ章から第Ⅱ章は、精神医学概論と、
ご専門の統合失調症についてのもの。
第Ⅲ章に気になる文章があった。
『微視的群れ論』の中の「不安のにおい」というくだりである。
においは人や家などにもあり、
旅にでると街のにおいを感じることができる。
私がドキリとしたのは、
『においは触れることの予感でもあり、余韻でもあり、
人間関係において、距離を定める力があります』
と書いてあるところである。
あるにおいに引き寄せられ、あるにおいを嫌悪するという事を、
別の言葉で表現すると、こうなるのだ!!
時に漠然と感じていたことを、この様に文章でピシリと書かれると
「だから中井先生スキ!!」と言ってしまいたくなる。
中井先生が患者と面接していた時、
患者を不安にしてしまう事を言ってしまった。
そしたら、ふいに「そのにおい」が患者の口からにおってきた。
昔、精神病院全体に匂っていたにおい
(いわゆる不潔なにおいではない)であった。
これを中井先生は「不安のにおい」と書いている。
3月末、生まれてはじめて入院するハメになった。
入院日・手術日が決まった頃、
夫から「ヘンな匂がするネ」と言われ、かなり怒っていたのだが
もしかして、それは「不安のにおい」だったのか―と思っている。
そして『不安になった人間が放つにおいというのは、
ひょっとしたら、
他の個体を去らせるような作用をしているのかも知れない。
だから不安になった人が孤独になっていくということは、
大いに考えられるわけです。』
だから、隣の精神を病んでいる人が「不安」に陥ることがないように・・・
Posted at:10:00