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2015.04.16
日比谷図書文化館の特別研究室企画展示 「100年後も手に取れる本に」 |
千代田区立図書館の貴重なコレクションのひとつ、内田嘉吉文庫。
逓信官僚として日本の海事関係に関する法律の整備などに尽力し、
台湾総督も務めた内田嘉吉氏(1866〜1933)の蔵書約16,000冊を
氏の没後、昭和9年に千代田図書館の前身である
東京市立駿河台図書館が受託し、所蔵してきました。
平成23年からは日比谷図書文化館に移管し、4階の特別研究室で
貴重な蔵書を手に取って閲覧することができるようになりました。
昨年度、日比谷図書文化館ではこの内田嘉吉文庫を中心に
29点の蔵書の修復を行いました。
現在、特別研究室で修復を終えた本とその作業記録を公開しています。
3~400年前の洋古書 や、明治~昭和初期に出版された本で
構成される内田嘉吉文庫。
本を保存するうえで避けられない、紙や革の経年劣化に加え
貴重な資料ゆえに閲覧や使用の頻度が高く
ページが破れたり、背表紙が取れてバラバラになったりと
破損してしまった本も少なくありません。
今回は、単に破損した箇所を直す作業にとどまらず、この先も永く
手に取って読み継がれ活用できるよう、製本家が創意工夫を凝らしました。
修復した本を実際に手に取って見られるのはもちろん、
修復前の状態や、本のどの部分をどのように直したかを
展示パネルで1冊ごとに詳しく見ることができます。
オランダ人宣教師・モンタヌスが著した『日本遣使紀行(英訳版)』(1670 年)。
表紙の角に革を足して補修されているのがわかります。
中のページにもよく目を凝らすと…職人技の補修の跡が!(丸で囲んだ部分)
(大型本の閲覧は、特別研究室のスタッフにお声がけください)
小村雪岱の装幀が目を引く『内田嘉吉文庫稀覯書集覧』(1937 年)。
本文ページを綴じ直し、取れていた背表紙を貼り直したほか
箱の内側に、本文ページの紙の重さを支える台紙を付けました。(矢印の部分)
『Handbook of the Netherlands Est-Indies』(1930年)
左の写真が修復前のもの。表紙の反りが目立っています。
右が修復後。本来の表紙の風合いに合わせた新しい表紙を作りました。
修復や製本に使われる道具の展示もあります。
4月23日(木)には、修復を担当した製本家
藤井敬子さんと近藤理恵さんを講師に迎えての
セミナーも開催されます♪
本好きさん必見のこの展示、4月18日(土)から
日比谷図書文化館1階=特別展示室で開催される
ルドゥーテ「美花選」展と併せて、ぜひご覧ください!
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特別研究室企画展示
「100 年後も手に取れる本に~内田嘉吉文庫修復報告~」
【会 期】開催中~6月14日(日)
※期間中展示パネル、資料の入替があります。
【会 場】日比谷図書文化館4階=特別研究室
【時 間】平日 10:00~20:00
土 10:00~18:00、日・祝 10:00~16:00
【入場料】無料
展示関連講座
古書で紐解く近現代史セミナー第 13 回
「内田嘉吉文庫蔵書に見る古書の形と歴史―修復と製本の現場から―」
【日 時】4月23日(木)19:00~20:30(受付 18:30~)
【講 師】藤井敬子さん(版画家、製本家)
近藤理恵さん(製本・書籍修復家)
【会 場】日比谷図書文化館4 階=スタジオプラス(小ホール)
【参加費】一般/1,000円
千代田区民/500円(住所が確認できるものをお持ちください)
【申 込】来館(1 階受付)、電話、E メールにて
詳しくは→コチラ
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千代田図書館コンシェルジュが作成している
コンシェルジュの見聞調録Vol.36でも「本の修理と修復」
について特集しています。展示の予習にどうぞ♪
Posted at:17:00