日比谷図書文化館の特別研究室企画展示
「100年後も手に取れる本に」

 

千代田区立図書館の貴重なコレクションのひとつ、内田嘉吉文庫

逓信官僚として日本の海事関係に関する法律の整備などに尽力し、

台湾総督も務めた内田嘉吉氏(1866〜1933)の蔵書約16,000冊を

氏の没後、昭和9年に千代田図書館の前身である

東京市立駿河台図書館が受託し、所蔵してきました。

平成23年からは日比谷図書文化館に移管し、4階の特別研究室で

貴重な蔵書を手に取って閲覧することができるようになりました。

 

昨年度、日比谷図書文化館ではこの内田嘉吉文庫を中心に

29点の蔵書の修復を行いました。

現在、特別研究室で修復を終えた本とその作業記録を公開しています。

 

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 3~400年前の洋古書 や、明治~昭和初期に出版された本

構成される内田嘉吉文庫。

本を保存するうえで避けられない、紙や革の経年劣化に加え

貴重な資料ゆえに閲覧や使用の頻度が高く

ページが破れたり、背表紙が取れてバラバラになったりと

破損してしまった本も少なくありません。

 

今回は、単に破損した箇所を直す作業にとどまらず、この先も永く

手に取って読み継がれ活用できるよう、製本家が創意工夫を凝らしました。

修復した本を実際に手に取って見られるのはもちろん、

修復前の状態や、本のどの部分をどのように直したかを

展示パネルで1冊ごとに詳しく見ることができます。

 

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オランダ人宣教師・モンタヌスが著した『日本遣使紀行(英訳版)』(1670 年)

表紙の角に革を足して補修されているのがわかります。

中のページにもよく目を凝らすと…職人技の補修の跡が!(丸で囲んだ部分)

(大型本の閲覧は、特別研究室のスタッフにお声がけください)

 

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小村雪岱の装幀が目を引く『内田嘉吉文庫稀覯書集覧』(1937 年)

本文ページを綴じ直し、取れていた背表紙を貼り直したほか

箱の内側に、本文ページの紙の重さを支える台紙を付けました。(矢印の部分)

 

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『Handbook of the Netherlands Est-Indies』(1930年)

左の写真が修復前のもの。表紙の反りが目立っています。

右が修復後。本来の表紙の風合いに合わせた新しい表紙を作りました。

 

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修復や製本に使われる道具の展示もあります。

 

4月23日(木)には、修復を担当した製本家

藤井敬子さん近藤理恵さんを講師に迎えての

セミナーも開催されます♪

本好きさん必見のこの展示、4月18日(土)から

日比谷図書文化館1階=特別展示室で開催される

ルドゥーテ「美花選」展と併せて、ぜひご覧ください!

 

特別研究室企画展示

「100 年後も手に取れる本に~内田嘉吉文庫修復報告~」

 

【会 期】開催中~6月14日(日)

     ※期間中展示パネル、資料の入替があります。

【会 場】日比谷図書文化館4階=特別研究室

【時 間】平日 10:00~20:00

     土 10:00~18:00、日・祝 10:00~16:00

【入場料】無料

 

展示関連講座

古書で紐解く近現代史セミナー第 13

「内田嘉吉文庫蔵書に見る古書の形と歴史―修復と製本の現場から―」

【日 時】4月23日(木)19:00~20:30(受付 18:30~)

【講 師】藤井敬子さん(版画家、製本家)

     近藤理恵さん(製本・書籍修復家)

【会 場】日比谷図書文化館4 階=スタジオプラス(小ホール)

【参加費】一般/1,000円

     千代田区民/500円(住所が確認できるものをお持ちください)

【申 込】来館(1 階受付)、電話、E メールにて

     詳しくは→コチラ

 

千代田図書館コンシェルジュが作成している

コンシェルジュの見聞調録Vol.36でも「本の修理と修復」

について特集しています。展示の予習にどうぞ♪

Posted at:17:00