【レポート】夏のわくわく課外授業2023
関東大震災から学ぶ みんなの防災


毎年夏休み期間、小学3年生から6年生までを対象に、学校とはひと味違う学びの時間を体験するイベント「図書館で学ぼう!夏のわくわく課外授業2023」を、今年も行いました!

7月29日(土曜日)千代田区役所1階区民ホールで開催した講座は「関東大震災から学ぶ みんなの防災」

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千代田区内にある防災専門図書館の司書・学芸員の堀田弥生さん矢野陽子さんをお迎えし、今年で発生から100年を迎える関東大震災について、その時何が起こったか、子どもたちにもわかりやすく教えていただきました。

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講座は「みんなは"関東大震災"を知っていますか?」と、堀田さんの問いかけから始まりました。

「知ってる」「聞いたことある」と、ほとんどの参加者の子どもが手を挙げます。でも、言葉として知っていても、具体的にどんなことが起きたか知っている子は少ないのでは?

まずは写真や動画で、100年前の東京がどんな街だったか、人々はどんな暮らしをしていたかを見てみます。国立映画アーカイブが所蔵する「関東大震災映像デジタルアーカイブ」では、震災後に文部省が監修して制作された記録映画などの資料を見ることができます。

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関東大震災で亡くなった人はおよそ10万5,000人。これは日本で起きた自然災害で最大の死者数で、その9割が火災で亡くなったといわれています。

みんなの手元に配られたのは、千代田区役所周辺の地図が印刷された透明のフィルム。ここに、会場である千代田区役所や自分の家、自分の小学校、今日使った地下鉄・電車の駅など知っている場所にマジックペンで印をつけていきます。

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間に挟んであった紙を抜くと、下にはもう1枚の地図が。これは防災専門図書館が所蔵する『東京市火災動態地図』といって、関東大震災後に発生した火災が広がった範囲や時間を調べ、記録したものです。いま印をつけた身近な場所が、100年前の火災でどのような状況だったか、当時の地図で見てみます。

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地震が起きたのがお昼時で火災が発生しやすかったことは知られていますが、他にも台風の影響で風が強かったこと、当時は家財道具を持ち出して逃げるのが一般的だったことなど火災が広がった複数の原因を、関東大震災を記録した様々な資料から知ることができました。

講座の後半は、関東大震災のことを知ったうえで、これから起こるかもしれない地震に対してどんなことができるかを考えました。

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大きな地震が、家にいるときに起こったら?小学校の校庭で起こったら?千代田図書館で起こったら?それぞれの場所で気をつけなければいけないこと、また日頃からできる備えについても、資料や映像を見ながらみんなで考えました。

また、家の中では高いところにものを置いていないか、固定していない家具はないかなど、危険なところを日頃から見つけて改善すること、もしもの時のために水や食料を備えておくこと、避難場所を決めておくことなど、家族皆さんで考えてほしいことについても、矢野さんから参加者へ伝えました。

そして講座の最後には、千代田図書館の司書から3冊の本の紹介をしました。どれも今日の講座に関連する本で、防災のことや地域のことを知るのに役立つ本ばかりです。講座で学んだことをもっと知りたい、調べたい!と思ったら、ぜひ図書館に来てくださいね。

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「100年前の災害」と聞くと、想像できないとても遠い昔に思えますが、映像や写真、そして地図や本などの資料から当時の状況を知ることは、この先の災害への備えにつながることを子どもたちに知ってもらえる講座となりました。

堀田さん・矢野さん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!

Posted at:10:00