開催レポート:江戸の紋きり遊びでうちわを作ろう

前回のブログに引き続き、

「千代田図書館で学ぼう!夏のわくわく課外授業2011」

開催レポートです。今回は「図工」の授業風景をお届けします。

 

授業内容は、昭和初期までは小学校の図工の教科書に

載っていたという「紋きり」です。

先生は、造形作家で東京造形大学講師の下中菜穂さん(写真右)

と、西村美紀さん(写真左)のお二人。

 

授業はさっそく「紋きり」とはなにか?という話から始まりました。

先生が見せてくれるいろんな「紋」のカタチに、みんな興味津々!

 

紋あてクイズ!何の形をみたてた「紋」でしょうか?

≪1問目≫

≪2問目≫

≪3問目≫

 

★正解は・・・

≪1問目≫和箪笥の取っ手(=カン

        先生が実物を手にしているのですが、見えにくいですね・・

≪2問目≫琴の弦をはる琴柱(ことじ)

≪3問目≫4つともすべて、桔梗の花

 

皆さん、予想は当たりましたか? 

そのほかにも、糸巻き、貝、炭の切り口、蓮の切り口など

様々なものの形を見立てた紋をたくさん見せてもらいました。

 

3問目の桔梗の紋は、桔梗の花を内側から見たり、輪の中に

描いたり、カニに化けたり、蝶になったり、と元は同じものから

バリエーションが増えていった例です。

 

「紋きり型」という型紙を使えば、紙を折り畳んで、型紙の通りに

切りぬくだけで、このような美しいかたちができます。

元々は家紋を描くために職人たちが考えた技術だそうですが、

江戸時代の中期~後期にかけて、庶民に「あそび」として

楽しまれたのが「紋きりあそび」なんだそうです。

 

☆みんなで「はつゆき」の紋きりに挑戦しました。

 

▲まずは紙を三つ折に

 

 

▲これが三つ折

 

▲型紙通りに切るのに、みんな真剣です。

 

 

▲これが「はつゆき」

折り畳んでいた紙をそっとひらくと、できあがり!

 

江戸の人々は、暑い夏にこその紋を楽しんだそうです。

見るだけで涼しい気分になれますからね!

また「雪は六角形である」ということが発見されたのも江戸時代。

ある研究好きな殿様が、オランダから顕微鏡を取り寄せて、

冷やした黒漆器に雪をうけて結晶を観察し、発見したのだとか。

その研究成果(結晶図)をまとめた書物『雪華図説』は大流行!

それから雪の紋がたくさん生まれたのだそうです。

 

▲いろいろな雪の紋

 

「はつゆき」を何個もつくっていると、みんな次第に

手が慣れてきたようす。

 

今度は、好きな色、好きな型、その組み合わせを考えて、

自分のうちわを作ります。

 

 

どの型がいいかな~?今回は「丸に向ひ燕「丸に三ツ裏葵」など、

夏らしいかたちを先生がいくつか用意してきてくれました。 

 

 

▲うちわにのせて配置を検討。

 

 

▲これは、お花畑のイメージだそうです。 

 

 

▲スプレー糊で貼り、完成♪ 「中陰桔梗」「光琳蝙蝠」がすてきですね。

西洋では不吉とされる「こうもり」は、中国語では「フ」といい、

幸福の「福=フ」と同じ音であることから、

日本では、おめでたいかたちとされているそうです。

 

    できたうちわを一列に並べて鑑賞。たくさん並ぶと、とてもきれい!

 

紋がわざとはみ出るように貼ったり、失敗した部分を隠すために

もう1つ紋を重ねたり、とみんなそれぞれ工夫をしていました。

その人らしさが出て、どれもとても素敵に仕上がっていましたよ。

 

「これからもたくさん遊んで、型破りをして、紋きりあそびの楽しさを

みんなに伝えていってくださいね」というのが先生からのメッセージ。

ケーキに粉砂糖でデコレーションをする、箸袋やぽち袋に貼るなど

ふだんの生活の中で楽しむヒントももらったので、家に帰ってからも

楽しみですね。ご参加いただいた皆さん、先生、ありがとうございました!

 

Posted at:09:00