レポート:ストーンアートどうぶつ園

千代田図書館では、夏休みの小学4~6年生とその保護者を対象に

「千代田図書館で学ぼう!夏のわくわく課外授業2012」を開催しています。

前回のブログでは「社会」の授業をレポートしました。

今回は、8月9日(木)に開催した「図工」の授業風景をお届けします。

 

「図工」の先生は、今、注目を集めている彫刻家で

武蔵野美術大学客員教授の三沢厚彦さんです。

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三沢先生は、主にクスの木を素材とした動物の彫刻を制作していますが、

今回の授業は拾い集めた「石」に絵を描いて、カラフルな動物をつくり出します。

削ったり割ったりせずに、そのままの石の持ち味を生かします!

 

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▲三沢先生がつくった熊。

粘土・紙・木 素材によって違った表情が生まれます。

 

授業はまず、アート鑑賞から始まりました。

 

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スライドで紹介してくれた先生の彫刻作品に、みんな興味津々!

作品制作についていろいろなお話をしてくれました。

 

例えば、こちらの作品。

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「なんの生きものかわかりますか?」

「ユニコーン!」

 

架空の(もしくは、見たことのない)生きものでも、

その人の中で“リアリティ”を持っているから

それが何の生きものなのかがわかります。

ある時、三沢先生がつくったペガサスを美術館で観た人が

「ペガサスはこんなに大きくないですよ」と言ってきたそうです。

でも、先生は大きいと思うと…。

その人によって、ペガサスのリアルは違うのですね。

先生は実在する動物を作るときにも、図鑑を参考にするのではなく、

自分が持っているイメージを表現しているそうです。

ひとりひとりが持ってる“リアリティ”を大事にして

作品づくりをしましょうというメッセージがありました。 

 

鑑賞のあとは、作品の下絵に取り掛かります。

「石を拾ってきたところから、

すでに作品づくりは始まっているんですよ」

石を様々な角度からよ~く観察して、

どんな動物にするか考えます。

 

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▲何に見える? 

 

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▲くじら?ひつじ?石の形からイメージを膨らませます。

 

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▲下絵ができたら、ガッシュ(不透明水彩絵の具)で色塗り開始!

 

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▲きれいなライトグリーンのゾウさん。

 

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▲ねずみかな?

 

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▲石の模様をそのまま生かして、ゴマフアザラシ。

 

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▲絵筆を使って、丁寧に仕上げていきます。

 

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▲完成した作品は、どうぶつ園の柵の中に放します。

 

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▲カラフルで表情豊かな石のどうぶつたち。

 

zukou14.jpg ←先生も一緒につくりました。

 

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最後はお互いの作品をじっくり鑑賞。

形のとらえ方や色の塗り方が

それぞれ違っていることを先生が教えてくれました。

 

石をキャンバスのように考えて、中に動物の絵を描く方法

石の形をそのまま動物の体の形にする方法

石全体を絵具で塗る方法

石の模様や色を残して表現する方法・・・

 

「ひとりで制作していると、自分の世界だけになってしまうけど、

完成した作品をみんなで一緒に観ると、

他の人の分も経験したことになるのですよ。」

 

この授業をきっかけに、道に落ちている石の見え方も

変わってくるかもしれませんね。

「まだ作りたかったけど、時間が足りなかった!」

という声も上がっていました。

ぜひ今度は他の人がやっていた方法で、自宅でも作ってみてくださいね。

 

※千代田図書館では、三沢先生が紹介されている中学校美術の教科書や、

先生が手掛けた作品集・絵本を読むことができます。

貸出可能な図書もありますので、お手に取ってみてください。

 

 

Posted at:09:00