レポート:じぶんでカメラを作ろう

千代田図書館では、夏休みの小学4~6年生とその保護者を対象に

「千代田図書館で学ぼう!夏のわくわく課外授業2012」を開催しています。

前回のブログでは「図工」の授業をレポートしました。

今回は、8月18日(土)に開催した「理科」の授業風景をお届けします。

 

「理科」の先生は、神奈川県逗子市にある科学館『理科ハウス』の

館長 森裕美子先生(左)と、学芸員の山浦安曇先生(右)です。

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「カメラの中を見たことはありますか?」

授業の最初に見せてくれたのは、なんと100年前のカメラ。

手に持たせてもらうと、ずっしりとした重みがあります。

一体、中はどんな構造になっているのだろうか・・・。

 

「では、開けてみます!」

パカッ!

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中は何も入っていません。

元祖カメラの正式名称は「カメラ・オブスキュラ」。

(カメラ=部屋、オブスキュラ=暗いという意味)

 

中が暗い空洞の箱に、小さな穴が開いているだけで、

どうして写真が撮れるのだろう?

今回の授業は、そんな疑問からスタートしましたが、

カメラを作って、その仕組みや光について勉強します!

この授業の終わりには、きっとその謎が明らかになっていることでしょう☆ 

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眼でものを見る仕組みは、ものに日光や電気が発する光が当たり、

それを反射した光が瞳を通ることで認識することができます。

ものの形を映し出すには、光が重要な役割を果たしているのですね。

 

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ピンホールカメラの仕組みについて、みんなで一緒に考えてみます。

山浦先生が出す質問に答えて、次々と面白い意見が出てきました。

 

それでは、実際にカメラを作って検証してみましょう!

配布されたのは、片面が黒い厚紙。

黒い面を内側にしてふたつの箱を作り、

それらを合わせてピンホールカメラを作ります。

 

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▲切る線を間違えないように丁寧に~!

 

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▲隙間から光が入らないように、セロハンテープでしっかり留めます。

 

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▲画像を写すスクリーン(トレーシングペーパー)を貼ります。

 

 

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▲構造はこんな感じ。

 

完成したひとから、さっそくカメラを覗いてみます。

さて、どんな風に見えたかな? 

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▲カメラを覗いた子どもたちから歓声が上がります♪

 

カメラを覗くと、現実とは逆さまに、でもはっきりと写っています

その理由を、先生から詳しく説明してもらいました。

光は針穴(ピンホール)によってふるいにかけられ、

画像が写るのに適当な光の量がスクリーンに届きます。

光の量が多いと明るすぎて何も写らないので、

針穴がとても重要な役割を果たしていることがわかりますね。

また、光はまっすぐに進むので、

針穴を通過した光がスクリーンに当たる場所は、

現実とは上下が反転した位置となり、逆さまの画像となるのです。

 

さらに発展させて、レンズ式カメラに作り替えます。

針穴部分を取り除き、そこにレンズを嵌め込みました。

覗いてみると、ピンホールカメラよりも明るい画像になっています! 

 

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ただし、レンズ式カメラより、ピンホールカメラの方が優れている点もあるそうです。

レンズ式には焦点があるので、必ずピントを合わせなければなりません。

ピンホールは、まっすぐ進んだ光をそのまま写し出しているので、

どの位置でもピントは必ず合うのです。

皆さん、カメラと光の関係やその仕組みは理解できましたか?

 

この後、自分で作ったカメラでの撮影会が始まりました。

スクリーンの前に印画紙を貼り、

ピントを合わせた状態で30分ほど動かさずに置いておきます。

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待っている間に、印画紙の性質について実験しながら勉強しました。

 

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▲油性ペンで絵を描いたトレーシングペーパーと

印画紙を重ねて、光に当てます。

 

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▲光を当てた印画紙にラミネーターやアイロンで熱を加えます。

 

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▲感光塗料が変化して、描いた絵が現れます。

 

レンズ式カメラでも同じように、

スクリーンに写し出された風景が印画紙に焼き付けられました!

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撮影の際に一番大事なことは、光を当てる量です。

天候によって当てる時間を調整しなければなりません。

印画紙に光を当て過ぎると全体が真っ白になってしまうし、

光が足りないと何も変化しません。

この授業で作ったカメラは、印画紙さえあれば何度でも撮影できます。

今回、うまくいかなかったというひとも、

ぜひ自宅で再チャレンジしてみてくださいね!

 

この授業でもっと理科を学びたくなったひとは、本で調べてみましょう。

また、森先生と山浦先生がいる『理科ハウス』には、

身近な素材で作られた体験コーナーが随所にあり、

身の回りにある科学に触れることができますよ。

今回のワークショップで使用した印画紙も販売しているそうですよ!

詳しくは→コチラ(http://licahouse.com/

 

知らなかったことを体感しながら学ぶことができ、

驚きやわくわくでいっぱいの授業でした。

先生、参加者のみなさん、お疲れさまでした。

 

Posted at:09:00