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2012.08.29
レポート:おもしろ妖怪研究 |
千代田図書館では、夏休みの小学4~6年生とその保護者を対象に
「千代田図書館で学ぼう!夏のわくわく課外授業2012」を開催しています。
前回のブログでは「理科」の授業をレポートしました。
今回は、8月22日(水)に開催した「国語」の授業風景をお届けします。
「国語」の先生は、神田神保町にある老舗古書店『大屋書房』の四代目
纐纈久里(こうけつ・くり)先生です。
“本の町”として知られる神保町には、160件以上の古書店があります。
授業は、神保町が世界一の古書店街となった歴史から始まりました。
江戸幕府直轄の学校「昌平坂学問所」が神保町に移転したことで、
勉学に励む学生が集まるようになったそうです。
学生が集まると、当然教科書や参考書が必要になります。
さらに、明治時代になると多くの大学ができ、
古書店街がどんどん発達していったということです。
神保町の古書店街には長い歴史があるのですね!
先生のお店は江戸時代の貴重な古書をたくさん取り扱っています。
その一部を手に取って見せてくれました。
昔の本は和紙でできているので、今の本よりずっと強度があるそうです。
▲江戸時代に書かれた『南総里見八犬伝』を鑑賞。希少な本に触れてドキドキです。
神保町について学んだ後は、みなさんお待ちかねの妖怪のお話です。
「この中で、妖怪を見たことがある人はいる?」
先生の問いかけに、笑い声があがります。
そして、長~い絵巻物を広げて見せてくれました。
▲みんな興味津々!身を乗り出して見ています。
▲『百鬼夜行絵巻(ひゃっきやこうえまき)』一部分。なんの妖怪かわかるかな?
みんなで巻物の絵をよく見ると、
琵琶(びわ)にお琴、蚊帳(かや)や破れた傘(かさ)などが妖怪になっています!
「付喪(つくも)神という言葉があります。
これは九十九(つくも)という数字に由来しています。
昔は、どんなものでも99年経つと魂が宿ると言われていたのですよ」
魂が宿らないように、99年使った物は捨てていた。
それを不服とする彼らが、妖怪となってデモ行進をしている様子が
この『百鬼夜行絵巻』なのだそうです。
使い捨てが当たり前となってしまった今の時代、
99年も物を使い続けること自体が無くなっています。
昔の人のように物を大切にすると、
家の中でも妖怪が姿をみせてくれるのかもしれませんね。
次に見せてくれたのは『百怪図巻(ひゃっかいずかん)』。
たくさんの妖怪が描かれ、そこに名前が書かれているもので、
言わば、妖怪図鑑です。
▲ちょっと怖いけど見てみたい!
この『百怪図巻』に載っている妖怪の特徴や生息地を、
先生がくわしく教えてくれました。
ここで、いくつかご紹介します。
【おとろし】
生息地:神社
神様を守っている妖怪。
神社で落書きやイタズラしている人間を見つけると、
大きな音を立てて驚かしたり、鳥居の上から落ちてきてこらしめる。
【ひょうすべ】
生息地:九州の田畑・川
お酒に酔っぱらったような歩き方をする。
昼間に田んぼに出て稲を食べる。河童の仲間ともいわれている。
【ぬらりひょん】
生息地:不明
妖怪の親玉といわれている。
みんなが忙しい時にどこからともなく現れて、勝手に家に上がってお茶を飲む。
【河童(かっぱ)】
生息地:川や沼
今ではキャラクターとして愛されている河童だが、
実は、子どもを川に引きずり込み、尻子玉(しりこだま)を抜く怖い妖怪。
尻子玉を抜かれた人間は腑抜け(ふぬけ)になってしまう。
▲配布資料に熱心に書き込みをしています。
この他にも、たくさんの妖怪を紹介してくれました。
怖い妖怪、ユニークな妖怪、可愛い妖怪・・・
参加者の皆さんから驚きや笑い声があがります。
先生の授業は、古き良きものや自然を大切にする気持ちを
思い起こさせてくれました。
また、なかなかお目にかかれない貴重な資料を間近に見て、
作品の扱い方や、その制作工程も学ぶことができました。
参加者のみなさんには、妖怪についてくわしくなっただけでなく、
多くのことを感じ取っていただけたのではないでしょうか。
そして、授業の最後は“こわ~いおはなし会”で締めくくり!
千代田図書館のスタッフがおはなしします。
▲会場の照明を落とし、おはなし会が始まりました。
蒸し暑い夏の夜でしたが、ヒヤッとするこわいお話で涼しくなりましたか?
纐纈先生、参加者のみなさん、お疲れさまでした!
Posted at:09:00