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2010.02.24
キリシタン大名/町人出身のキリシタン武将 |
今日は千代田図書館長から読書日記が届きましたので
ご紹介します。
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NHKラジオ第一で毎週土曜の朝に放送されている
「ラジオあさいちばん」で、今話題の本の著者に話を聞く
コーナー「著者に聞きたい本のツボ」から1冊。
ゲストで呼ばれていた加賀乙彦さんに興味がわき、
まず手に取った著書がこれ。
『高山右近』
著者:加賀乙彦
出版社:講談社(1999年)
参考価格:¥1,900+税
ISBN:4-06-209831-8
歴史上の人物、高山右近については、以下の程度の人物事典的な
知識は私にはあった。
「キリシタン大名」と呼ばれている。
天正15年(1585)秀吉の伴天連追放令で、忠勤か信仰かの
選択を迫られ、断固として信仰を選び除封された。
加賀前田家家臣となる。
その後、家康の禁教令によりマニラに追放される。
難儀の末到着したが、その地で64歳の生涯を終えた。
キリシタン信仰を持っていることが、
迫害を受ける理由になった歴史上の人物で
「南海の美少年」天草四郎、
「歴史に翻弄された悲劇の女性」細川ガラシャなどに比べ、
この人の伝記は少ないと言われている。
作家加賀乙彦は、史実に添いながら縦横無尽に高山右近を動かし、
「伝記小説」を創り出した。
自身もキリスト教信者であり、精神科医でもある作家のペンで
創出された高山右近は、読む者の身に迫って、私は圧倒された。
①今でいえば、職場で意見の合わない同僚との
「大人の付き合い」の喜怒哀楽
②仏教における極楽浄土と、キリスト教における天国の
意味の微妙な違い
③信者でない者がキリスト教の教義について抱く素朴な
疑問について、登場人物をして適切に語らせている
など、この小説から示唆されるものは多くあった。
図書館に勤務しているものとして心に止まった事が一つ。
追放されマニラに向かう船が時化にあい、積み込んでいた書物が
汚水にまみれた。
しかし、高山右近はぜひともまた読める状態にしようと決意し、
その再生作業を始めた。
作業を手伝う彼の幼い孫たちに、書物を中にして、
昔の思い出などをかたる・・・。
年上の者から年下の者へ経験・知識を伝えていく場面である。
キリシタンつながりで、もう1冊。
同時代のキリシタン武将・小西行長の場合、
結局、高山右近になれなかった人・・・と言われる事がある。
そこに逆に親近性があるともいわれる。
町人(堺)出身のキリシタン武将の生涯は
また別の信仰生活があるのだろう。
『鉄の首枷 小西行長伝』
著者:遠藤周作
出版社:中公文庫(1979年)
≪絶版≫
※中公文庫ワイド版で2005年に出版されています。
※文庫本カバーより・・・
戦国の過酷な権力者太閤秀吉の下で、世俗的栄達の野望と
信仰に引き裂かれ、無謀な朝鮮への侵略戦争では密かな
和平工作を重ねたキリシタン武将小西行長の面従腹背の人生を
克明に描く著者会心の傑作。
Posted at:18:55