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2010.07.23
「飯島書店」で数千年前にタイムスリップ! |
千代田図書館9Fには、神保町の様々な古書店が
各店自慢の貴重資料を展示する、月替りの出張古書店
コーナー「としょかんのこしょてん」があります。
7月29日(木)まではvol.38「日中印譜の世界」と題して、
一級品の印譜(※)の数々を展示・販売(仲介)しています。
※印譜(インプ)とは
印章(印、判子)を紙に押して、本の体裁にしたもの。
▲黒枠の中に、さまざまな印章が押されています。
今回の展示を担当された「飯島書店」は、千代田図書館から
歩いて約10分、靖国通り沿いのビル2階にあります。
1階に「ブンケン・ロック・サイド」が入っている煉瓦の建物です。
▲[右]階段を1歩上ると「いらっしゃいませ」の放送が流れ、
ちょっとびっくりします。
今日は、四代目店主・飯島徳光さん、ご子息で五代目の崇光さん、
そして書道や篆刻の創作活動をされている、店員の小長谷さんに
話を伺いました。
▲[右]時計がかかっている壁の向こうに、掛け軸類と作業場があります。
創業当時は、すずらん通り側で洋書を扱っていたのが、戦後、
洋書が入手困難となり、書道や東洋美術関連書を取り扱うように
なったそうです。立看板に「和漢」とあるように、日本・中国、
両方の書道関連書があります。
中国やアメリカからのお客さんも大変多いようで、
仕入れの市のみならず、店内での取引額も、聞いてびっくり!!
ここは“書”の世界では名高い専門店。
博物館に収蔵されたこともあるそうです。
とはいえ書の世界は、特別な人のための高尚な趣味、
ということではありません。
時代や作家によって異なる、文字の形、配置や構成、
墨や朱の色、風合いなどをじっくり鑑賞して味わうもよし、
実際に模写・模刻に挑戦してみるもよし。
テキスト類も、たくさん手頃な価格でありますよ。
≪お手本として定番の商品≫
書跡名品叢刊(ショセキメイヒンソウカン)1~208
二玄社刊 各¥1,200-(絶版)
「宋(時代) 黄山谷(作者)
李白憶舊遊詩卷(書名)」
というタイトルになっています。
▲[上]まずはその書の全体像を見る[下左]原寸で文字を見る[下右]解説付き
≪5代目・崇光さんのおすすめ≫
原色法帖選 1~45
二玄社刊(一部絶版)
原寸・原色で、装丁も大変美しいです。
じゃばら折りの経本式になっています。
(=「折手本」)
解説と読み下し文も付録。
▲文字が欠けた部分に、たくさん押印されています。これは歴代の所有者の印。
≪初心者・独習者に≫
書道技法講座
二玄社刊
筆の運び方などが写真で解説されて
いて、初心者でも見やすく、
わかりやすいです。
数千年の時を重ねてきた書がかもし出す悠久の世界。
店内で感じたのは、心の静けさと潤いでした。
慌しい生活から、ふと流れの異なる空間に居合わせた、
という感じがして、外の暑さもすっかり忘れていました。
▲掛け軸「楊大眼造像記」¥60,000- 書が彫られたのは千年前。
最後に徳光さんが語ってくださったのは、
よそにはないものを扱っているという専門店としての面白さ。
仕入れたものをそのまま出すのではなく、糸綴じや糊付けなど、
必要な場合は、自ら修理をして店頭に出すこと。それを買って
下さる方がいること、そういうところに面白みがあるそうです。
文化的背景や歴史など、持てる知識を総動員して
仕入れ、値をつける。
例えば10円で仕入れたものが100万円で出たり、
逆に1000万円で仕入れたものが、実はそんなに価値がなかったり。
そうした生の経験をつみながら、舞い上がらずに、
シビアにものを見る目を養っていくのだそうです。
改めて古書店という商売の特殊さ、おもしろさ、奥深さを感じました。
…なんとこの日、店員の小長谷さんが「篆刻」を披露してくださいました!
この様子は次回お届けします。
★飯島書店
住所:神田神保町2-3 電話:03-3261-1578
営業:10時~18時(日・祝11時~17時) 休み:火曜
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Posted at:13:30