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2011.10.31
レポート:第6回 図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー |
第6回 図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアーを先日22日(土)に
開催しました。千代田図書館のコンシェルジュが神保町の古書店街
をめぐりながら、街の歴史や見どころをご案内するというツアーです。
今日はその報告レポートをお届けします。
今回のテーマは「本の街の歴史的建造物」
東京の街並みは、大正12年の関東大震災で大きく変化し、帝都復興院の
都市計画に基づく整備がなされ、今日につながると言われています。
神保町にも、その復興計画によって整備された街並みが残っており、
その頃に建てられた建築物などを見るのが、今回の主な内容です。
まずは図書館内で、古地図と現代の地図を見比べたりしながら
本日のルートと見どころをご説明。
日本橋川沿いを歩いて、靖国通りへ。
昭和45年頃まで、この辺りにも路面電車が走っていました。
写真の「九段下ビル」は、関東大震災後の新しい商業建築の
モデルケースとして建てられました。一部解体工事が始まっていたので、
ツアーでご紹介できるのも、今回が最後になるかもしれません。
関東大震災後に商店などに用いられた建築様式「看板建築」の建物。
映画、演劇、シナリオなどを専門とする古書店「矢口書店」の建物も
昭和3年に建てられた看板建築です。店内にお邪魔して、
3代目店主の矢口さんより、店の始まりについて、また、裏手にあった
映画館「東洋キネマ」について、などのお話しを伺いました。
矢口書店は、外にも棚があります。その前を通って「東洋キネマ」跡地へ。
(※東洋キネマの建物は現存しません)
続いて、東洋キネマ跡地のはす向かいにある「旧・相互無尽会社」へ。
現在は日本タイ協会が入っているビルです。
タイル表面に溝の入った「スクラッチタイル」は、手作業でしか出せない風合い。
山形屋紙店の裏には、大正元年に建てられたレンガ造りの蔵が!
全国各地から集められた和紙が置かれているそうです。
靖国通りに戻って、老舗古書店「一誠堂書店」にお邪魔しました。
昭和6年に建てられたアール・デコ調の建物で、
入口のステンドグラスは当時のままのものだそうです。
外壁の角が丸みをおびているのも、今の技術では不可能なのだとか。
店員のまきたさんに、お店の歴史や取扱分野などについてお聞きしました。
一誠堂書店の入口は、歩道から階段2段分を上がるのですが、
これは地盤沈下が原因だそうで、地下鉄の都営新宿線が開通するまでは
この段差はなかったのだそうです。びっくりですね!
店を出て「本と街の案内所」へ。ここから小宮山書店までは
かつては「十一軒長屋」といって、11軒がつながっていました。
小宮山書店を曲がって、喫茶店の立ち並ぶ裏通りへ。
裏通りを抜けて、再開発エリアを通り、最終目的地の学士会館へ。
学士会館も、昭和3年、震災復興期に建てられました。
皆さんお疲れさまでした!ここでちょっと一息。
お茶をのみながら、今回のツアーに関連する本をご紹介しました。
その後、学士会館の方に会館の内外をじっくりとご案内いただきました。
ちょうどこの日はウェディングフェアが開催されており、
格調高い雰囲気に華やかさも加わって、さらに贅沢なツアーとなりました。
建物内には、天井の漆喰彫刻、アール・デコ調の装飾、
外には「野球発祥の地」の碑、「東京大学発祥の地」の碑など、見どころが満載!
ボリュームたっぷりの2時間半コースとなりましたが、
参加者の皆さんにご満足いただけたなら幸いです。
なお現在、千代田図書館9階で今回のツアー報告と
「図書館コンシェルジュがおすすめする神保町のツアーコース」
の展示を行っています。
神保町が1年でもっとも賑わう季節。神田古本まつりと合わせて、
千代田図書館にもぜひ足をお運びくださいね。
Posted at:12:20