レポート:ランチタイムおはなし会(全9回)

千代田図書館では、今年も秋の読書週間(毎年10/27~11/9)に合わせて

大人のためのおはなし会「ランチタイムおはなし会」を開催しました。

ビジネスパーソンにも気楽にお立ち寄りいただけるよう、

平日の昼に約15分間で、絵本の読み聞かせや朗読、ストーリーテリング、

ブックトーク(テーマに沿った本の紹介)などを行うものです。

今年も老若男女を問わず、たくさんの方にお越しいただきました。

 

 

以下、おはなし会で語り手たちが紹介した本をまとめてご紹介します。

おはなし会で読まれた本が気になっていたという方も、

次に何を読もうかな?と本を探している方も、

ぜひ本選びの参考にしてみてください。

 

①詩

『倚りかからず』茨木のり子 筑摩書房

当館の館長はダジャレ好き。そして、茨木のり子さんの詩集も

大のお気に入りで、書店で見かけるとつい手がのびるのだとか。

3.11の震災時に図書館で夜を明かしつつ思い浮かべたのが

この詩集の中の「水の星」だったそうです。

 

②絵本

『綱渡りの男』モーディカイ・ガースティン 川本三郎/訳 小峰書店

映画化もされた実話。折込みページがあり、

綱渡りのスリルが伝わってきます。大人も楽しめる絵本です。

 

③絵本

『かぼちゃスープ』ヘレン・クーパー せなあいこ/訳 アスラン書房

今の季節にぴったりの心温まるおはなし。

絵がとても素敵なのでぜひ手にとってご覧ください。

 

④小説

「蜘蛛の糸」芥川龍之介 『蜘蛛の糸・地獄変』角川文庫より

担当した語り手は、この作品を小学校5年生のときに初めて

出会い、非常におどろおどろしい地獄の描写とおそろしい結末が

とても印象深かったそうです。

 

⑤小説

『4時のオヤツ』杉浦日向子 新潮社

 

おはなし会では、千代田図書館からも近い洋菓子屋のおやつが

登場する「ゴンドラのサバラン」という短編を朗読しました。

 

⑥ストーリーテリング 

「びんぼうがみ」東北に伝わる昔話の再話

貧乏神が福の神になるという、心温まるおはなしでした。

 

⑦ブックトーク テーマ「ニュートリノの夢」

『ニュートリノの夢』小柴昌俊 岩波ジュニア新書

「2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴先生が、研究のみちのりと

ニュートリノ物理学を語る」(背表紙の解説より抜粋)

中高生向けの本なので、とてもわかりやすく、読みやすい一冊です。 

 

『超ひも理論を疑う』ローレンス・M・クラウス 斉藤隆央/訳 早川書房

内容はとても専門的で難しいはずなのですが、テレビシリーズ

「トワイライト・ゾーン」(邦題「未知の世界/ミステリーゾーン」)

の引用に始まり、ぐいぐいと引き込まれる作品です。

 

『理系思考 分からないから面白い』元村有希子 毎日新聞社

文系出身者が圧倒的に多い図書館員にとって「理系」とは

まるで別世界のようにも感じられます。

でも実は両者とも、向かっている先は同じなのかも?

わからないからもっと知りたいという好奇心や探究心、

そんな、共通点が見つかります。

 

『ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く』 

リサ・ランドール 向山信治/監訳 塩原通緒/訳 NHK出版

英米の大学でテキストとして使われているベストセラー本の邦訳。

3次元+時間+見えない次元、5次元について書かれています。

これも専門性の高い内容ですが、非常にわかりやすく、おすすめの一冊。

 

『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン 佑学社

著者のレイチェル・カーソンは、前著『沈黙の春』で環境の汚染と

破壊の実態を世に先がけて告発し、大きな反響を呼びました。

『センス・オブ・ワンダー』は著者の最後の作品です。

 

⑧ブックトーク テーマ「アンネの日記」

『アンネの日記 完全版』アンネ・フランク 深町眞理子/訳 文藝春秋

『アンネの日記』はアンネの父親のオットー・フランク氏が編集したもので

おもに性に関する記述や、母親を批判する部分などが削除されていたのを、

完全な形で編集し直したのが『アンネの日記 完全版』です。

 

『アンネ・フランク その15年の生涯』黒川万千代 合同出版

アンネ・フランク生誕80年となる2009年に出版された本。

著者は、アンネと同じ年で、広島で被爆し、戦後その体験を世界に伝え歩く

とともに、アンネ・フランクやホロコーストの研究をしている方です。

 

『博士の本棚』小川洋子 新潮社

作家の小川洋子さんは『アンネの日記』に触発され、アンネと同じ

13歳のときに日記を書き始めました。作家を志した小川さん

にとって『アンネの日記』はその道しるべとなったそうです。

 

『アンネ・フランクの記憶』小川洋子 角川文庫

小川さんが「特別に大事な古い友人」を訪ねるかのように、

アンネの足跡をたどった、その旅路を記録している本です。

 

⑨ブックトーク テーマ「害虫」

『害虫の誕生 ―虫からみた日本史』瀬戸口明久 ちくま新書

ゴキブリがまだ害虫とはみなされていなかった時代から、

害虫の最たる存在として忌み嫌われるようになった現代までの

歴史を社会的背景などを通して分かりやすく説明しています。

 

『寄生虫病の話 身近な虫たちの脅威』小島荘明 中公新書

誰のお腹の中にも回虫がいたような時代がありました。

そして現代の日本人の回虫の保有率は、わずかに0.2%。

しかしながら「エキノコックス」など、新たな寄生虫病も出現

しています。寄生虫病にまつわる学者たちの苦闘の日々と

その歴史を説いている本です。

 

『悪者にされた虫たち』奥井一満 朝日選書

虫が「害虫」とみなされるようになったのは、人間側の利害関係を

中心にした自然観が原因ではないか。

「害虫」を呼び込んでいるのは人間の方ではないか?

と、虫側の視点から描かれている本です。

Posted at:12:00