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2011.11.15
レポート:ランチタイムおはなし会(全9回) |
千代田図書館では、今年も秋の読書週間(毎年10/27~11/9)に合わせて
大人のためのおはなし会「ランチタイムおはなし会」を開催しました。
ビジネスパーソンにも気楽にお立ち寄りいただけるよう、
平日の昼に約15分間で、絵本の読み聞かせや朗読、ストーリーテリング、
ブックトーク(テーマに沿った本の紹介)などを行うものです。
今年も老若男女を問わず、たくさんの方にお越しいただきました。
以下、おはなし会で語り手たちが紹介した本をまとめてご紹介します。
おはなし会で読まれた本が気になっていたという方も、
次に何を読もうかな?と本を探している方も、
ぜひ本選びの参考にしてみてください。
①詩
『倚りかからず』茨木のり子 筑摩書房
当館の館長はダジャレ好き。そして、茨木のり子さんの詩集も
大のお気に入りで、書店で見かけるとつい手がのびるのだとか。
3.11の震災時に図書館で夜を明かしつつ思い浮かべたのが
この詩集の中の「水の星」だったそうです。
②絵本
『綱渡りの男』モーディカイ・ガースティン 川本三郎/訳 小峰書店
映画化もされた実話。折込みページがあり、
綱渡りのスリルが伝わってきます。大人も楽しめる絵本です。
③絵本
『かぼちゃスープ』ヘレン・クーパー せなあいこ/訳 アスラン書房
今の季節にぴったりの心温まるおはなし。
絵がとても素敵なのでぜひ手にとってご覧ください。
④小説
「蜘蛛の糸」芥川龍之介 『蜘蛛の糸・地獄変』角川文庫より
担当した語り手は、この作品を小学校5年生のときに初めて
出会い、非常におどろおどろしい地獄の描写とおそろしい結末が
とても印象深かったそうです。
⑤小説
『4時のオヤツ』杉浦日向子 新潮社
おはなし会では、千代田図書館からも近い洋菓子屋のおやつが
登場する「ゴンドラのサバラン」という短編を朗読しました。
⑥ストーリーテリング
「びんぼうがみ」東北に伝わる昔話の再話
貧乏神が福の神になるという、心温まるおはなしでした。
⑦ブックトーク テーマ「ニュートリノの夢」
『ニュートリノの夢』小柴昌俊 岩波ジュニア新書
「2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴先生が、研究のみちのりと
ニュートリノ物理学を語る」(背表紙の解説より抜粋)
中高生向けの本なので、とてもわかりやすく、読みやすい一冊です。
『超ひも理論を疑う』ローレンス・M・クラウス 斉藤隆央/訳 早川書房
内容はとても専門的で難しいはずなのですが、テレビシリーズ
「トワイライト・ゾーン」(邦題「未知の世界/ミステリーゾーン」)
の引用に始まり、ぐいぐいと引き込まれる作品です。
『理系思考 分からないから面白い』元村有希子 毎日新聞社
文系出身者が圧倒的に多い図書館員にとって「理系」とは
まるで別世界のようにも感じられます。
でも実は両者とも、向かっている先は同じなのかも?
わからないからもっと知りたいという好奇心や探究心、
そんな、共通点が見つかります。
『ワープする宇宙 5次元時空の謎を解く』
リサ・ランドール 向山信治/監訳 塩原通緒/訳 NHK出版
英米の大学でテキストとして使われているベストセラー本の邦訳。
3次元+時間+見えない次元、5次元について書かれています。
これも専門性の高い内容ですが、非常にわかりやすく、おすすめの一冊。
『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン 佑学社
著者のレイチェル・カーソンは、前著『沈黙の春』で環境の汚染と
破壊の実態を世に先がけて告発し、大きな反響を呼びました。
『センス・オブ・ワンダー』は著者の最後の作品です。
⑧ブックトーク テーマ「アンネの日記」
『アンネの日記 完全版』アンネ・フランク 深町眞理子/訳 文藝春秋
『アンネの日記』はアンネの父親のオットー・フランク氏が編集したもので
おもに性に関する記述や、母親を批判する部分などが削除されていたのを、
完全な形で編集し直したのが『アンネの日記 完全版』です。
『アンネ・フランク その15年の生涯』黒川万千代 合同出版
アンネ・フランク生誕80年となる2009年に出版された本。
著者は、アンネと同じ年で、広島で被爆し、戦後その体験を世界に伝え歩く
とともに、アンネ・フランクやホロコーストの研究をしている方です。
『博士の本棚』小川洋子 新潮社
作家の小川洋子さんは『アンネの日記』に触発され、アンネと同じ
13歳のときに日記を書き始めました。作家を志した小川さん
にとって『アンネの日記』はその道しるべとなったそうです。
『アンネ・フランクの記憶』小川洋子 角川文庫
小川さんが「特別に大事な古い友人」を訪ねるかのように、
アンネの足跡をたどった、その旅路を記録している本です。
⑨ブックトーク テーマ「害虫」
『害虫の誕生 ―虫からみた日本史』瀬戸口明久 ちくま新書
ゴキブリがまだ害虫とはみなされていなかった時代から、
害虫の最たる存在として忌み嫌われるようになった現代までの
歴史を社会的背景などを通して分かりやすく説明しています。
『寄生虫病の話 身近な虫たちの脅威』小島荘明 中公新書
誰のお腹の中にも回虫がいたような時代がありました。
そして現代の日本人の回虫の保有率は、わずかに0.2%。
しかしながら「エキノコックス」など、新たな寄生虫病も出現
しています。寄生虫病にまつわる学者たちの苦闘の日々と
その歴史を説いている本です。
『悪者にされた虫たち』奥井一満 朝日選書
虫が「害虫」とみなされるようになったのは、人間側の利害関係を
中心にした自然観が原因ではないか。
「害虫」を呼び込んでいるのは人間の方ではないか?
と、虫側の視点から描かれている本です。
Posted at:12:00