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2011.12.31
生物と無生物のあいだ |
今日は「千代田図書館長の読書日記」をお届けします。
なにかと慌しい季節ですが、ときには暖かい部屋で
ゆったりと静かに読書の時間を過ごしてみてはいかがですか。
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しばらくご無沙汰しておりました。
最近の私は、福岡伸一ハカセに夢中です。
続けて何冊か読みました。
そのコ―フンを、皆様にも是非お分けしたく思います。
『生物と無生物のあいだ』
福岡伸一/著(講談社現代新書)
『生物と無生物のあいだ』は、出版されてから2011年8月までに
29刷りを重ねていて、大ベストセラーとなり、
さまざまな出版関連の賞を受けている。
著者の福岡ハカセはマスコミにもさかんに露出され
最近その事がハカセの研究活動に支障を来たさないか、
と心配する声も聞かれる。
有為の研究者を大事にしたいという、読者の声である。
この本はハカセの研究分野である、生物と無生物は
「なに」で、「どこ」で線が引かれるのだろう、
と様々な問題提起をしている。
この部分は正直言って、私の高校卒程度の「生物」教科書の
知識では、理解できないものがありました。
しかし、その文章が美しいので、多少理解できない部分が
あっても、つい読めてしまったのです。
DNA解析に関わった歴代の著名な研究者の悪戦苦闘の記述の
部分なんかは涙がでました。
少年時代は昆虫少年であり、毎日昆虫と昆虫図鑑に熱中していた
ことを彷彿とさせる文章は圧巻です。
実は、ハカセの読書は昆虫図鑑だけではなかったようなのです。
阿川佐和子さんとの対談書では、
ご自分の「センス オブ ワンダー」を次々話されていますが、
その中で、幼少時親しまれた児童書がたくさん挙げられています。
『センス・オブ・ワンダーを探して~生命のささやきに耳を澄ます~』
福岡伸一、阿川佐和子/著(大和書房)
『センス・オブ・ワンダー』
レイチェル・カーソン/著 上遠恵子/訳
森本二太郎/写真(新潮社)
昨年出版された『ルリボシカミキリの青』では
「私は虫を集めて何がしたかったのだろう?
フェルメールでさえ作りえなかった青の由来を、
つまりこの世界のありようを、ただ記述したかったのだ」
(同書 オビより)
『ルリボシカミキリの青』
福岡伸一/著(文藝春秋)
フェルメールの絵については『フェルメール 光の王国』
(翼の王国books/木楽舎)が出版されています。
機会がありましたら、皆さまも福岡ハカセの世界を
ぜひ一度ご覧になってみてください。
Posted at:09:00