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2013.06.10
千代田図書館長の読書日記 |
今回は、「千代田図書館長の読書日記」をお届けします。
2012年12月に就任した望月館長に
お気に入りの本について語っていただきました。
千代田区立図書館に所蔵の本ばかりですので
ぜひ、ご一読ください。
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私の数少ない趣味の一つに「仏像めぐり」があります。
中でも「観世音菩薩さま」―聖観音さま、十一面観音さま、千手観音さま、
如意輪観音さま、不空羂索観音さまなどなど…大の観音さま好きです。
観音さまは衆生済度のため修行中の身で、まだ仏の境地に達していない
いわば人間と仏さまの中間にいる存在です。
そして、女体でありながら精神はあくまでも男であって、
その両面を兼ねている…だから力強いのに美しくて色っぽいのです。
と、私は勝手に決めているのですが
このあたりが私が観音さま好きになったポイントでしょうか。
ところが、私には仏教心など全くありませんし、芽生えてもこない…
これは冒瀆ではないかなどと、もやもやしていたときに出会ったのが、
千代田区ゆかりの作家のひとり、白洲正子さんの
『私の古寺巡礼』『十一面観音巡礼』でした。
『私の古寺巡礼』
白洲 正子/著
法蔵館
『十一面観音巡礼』
白洲 正子/著
新潮社
“私は初めから「お寺を訪ねる心」なんて上等なものは
持ち合わせていなかったように思います”
というはしがきを読んで、心がすっと軽くなったのです。それに
“やはりほんとうに美しい仏さまは、ただ美しいというだけで、
しぜんに拝みたくなりました”
そう、そうなんです、私も全く同じでした。このままでいいんですね。
それからは、とにかく手さぐりでも、なるべく多くの観音さまにお会いしよう、
そう心に決めて、今も月に一度は各地をめぐっています。
とはいっても、白洲さんの日本文化への精通、造詣という点では
群を抜くものがあるわけで、その知識の豊富さは驚嘆に値しますが
でもその文章は清新で、インテリぶりをひけらかすようなところは全くなく、
だから心の奥にすっと入ってくる…。
白洲さんの背中を追う、私の「観音めぐり」はまだまだつづきそうです。
〈付録〉もう1冊、最近お世話になったガイドブックです。秘仏の開扉は
圧倒的に18日が多いんです。理由をご存じの方、教えてください。
『日本の秘仏』
コロナ・ブックス編集部/編
平凡社
◇◆望月館長のプロフィール◆◇
望月 千恵子(もちづき・ちえこ)
50年生まれ。
九段中学・日比谷高校を経て武蔵大学社会学部卒業後
出版社に勤務。編集長・役員を務めたのち
2010年より千代田図書館副館長に就任。
2012年12月より千代田図書館館長を務める。
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文中で紹介された、白洲正子さんの著書は
千代田図書館9階、コンシェルジュブース横の
「千代田区ゆかりの文学者コーナー」に多数あります。
Posted at:09:00