国立公文書館の企画展「妖怪退治伝」

 

千代田図書館からほど近くにある、国立公文書館

国の様々な記録を保存している機関だと知ってはいても

“公文書”とはどんなものか、難しそうだし、あまりなじみがない…という方も

多いのではないでしょうか。

 

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そんな方にぜひおすすめしたいのが、国立公文書館の展示会です。

春と秋の特別展をはじめとして、様々なテーマで行われる展示では

貴重な所蔵資料と出会うことができます♪

 

今回は国立公文書館で現在行われている

連続企画展の第5回「妖怪退治伝」をご紹介します!

 

日本の古典文学にみられる、数々の“妖怪退治”の物語。

展示では、江戸時代の挿絵入り本を中心に、当時の人々から

人気を集めた、妖怪退治の英雄たちにスポットライトをあてています。

 

まず「日本で最初のヒーロー」として紹介されているのが

ヤマタノオロチ退治で知られるスサノオです。

 

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右の写真の『古事記』には、そのスサノオが登場しますが

これは慶長19年(1614年)に徳川家康の命で、京都五山の僧侶により

書写されたことがわかっているという大変貴重なものです。

このような、教科書などの写真でしか見られなかった

貴重な資料の実物を見られるのは国立公文書館の展示ならでは!

 

また、平将門を討った俵藤太の大ムカデ退治や

源頼光に仕えた勇敢な家臣「頼光四天王」たちが活躍する

妖怪退治の物語は、現代ではあまり知られていませんが

江戸時代には数々の挿絵入り本が出版され、誰もが知るヒーロー物語として

多くの人々に愛されました。

 

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頼光四天王の土蜘蛛退治が描かれている『源氏一統志』

葛飾北斎の挿絵は、今見ても迫力満点です!

 

 

下は弓の名手であった源頼政

帝を悩ませていた妖怪「鵺(ぬえ)」を退治する物語。

(鵺/ぬえとは…サルの顔・タヌキの胴体・トラの手足・ヘビの尾をもつという妖怪)

 

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江戸時代前期に出版された『平家物語』には

よく見ると、ちょっとかわいらしい(?)鵺の姿が。

 

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写真奥が、江戸時代後期の『鎌倉年代図会』

挿絵の版画がより精巧になり、印刷技術の進歩を感じます。

一方、写真手前が明治に入ってから出版された『前賢故実』

画家菊池容斎の挿絵は、ぐっと洗練された印象のものになっています。

 

こうして、同じ物語の同じシーンがどのように描かれたか、

時代を追って見ることができるのも楽しいですね♪

 

展示ではほかにも、武蔵坊弁慶

楠木正成の怨霊にとり付かれた大森彦七の物語などが

貴重な資料とともに紹介されています。

 

歴史の中で多くの読者に愛されてきたヒーローたちの姿を通して

古典文学と新鮮な出会いができる展示です!

この機会に訪ねてみてはいかがでしょうか?

 

「妖怪退治伝」

【会 場】 国立公文書館 本館

      (千代田区北の丸公園3-2)

【時 間】 9:15~17:00

【期 間】 開催中~2月1日(土)

【休館日】 日曜・祝日

【入場料】 無料

詳しくは→コチラ

 

 

Posted at:09:00