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2015.03.02
千代田人セレクション:四番町図書館・宮崎館長のおすすめ本② |
今回は四番町図書館・宮崎館長のおすすめ本紹介、後半をお届けします!
前半の記事は→コチラからどうぞ。
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前回の記事でご紹介した、『ことばと国家』に書かれている
「最後の授業」のような間違いの例も、グローバル化した現代なら
すぐに修正情報が入ってくると思います。
ネットで抗議が殺到するかもしれません。
同じくご紹介した『だから日本はズレている』では、
ソーシャルメディアでの炎上についても、その様相を分析し
著者の古市憲寿氏は、自身の体験から炎上への対処法まで
独特のクールな書き方で示しています。
「独特の」と書きましたが、この姿勢こそ大事ではないかと
私は感じています。
誰もが「少し」わかっていることを、きちんと体系立て
根拠を示してまとめることで、その中に新しい常識が
生まれているのだと思います。
だからこそ、多くの人の心をとらえるのでしょう。
ずっと以前に私の心をとらえた大切な一冊があります。
私が「社会人」になり、自分の立場が、学生から「大人」となって
責任を感じ、しかも生きていくためには稼がねばならないという
価値観の変遷期に、何が正しいのか、どう生きるのかという
内面の問題と向き合った時、出会ったのがこの本です。
これはその後、現在まで私の傍にある本たちの中の一冊となっています。
『論語と算盤』
渋沢栄一/著
国書刊行会
日本の資本主義の父とも言われる渋沢栄一の著作なので、
経営者のバイブルのようにとらえられているかもしれません。
題名から、「論語」などと見ると敷居が高いように感じますが、
読んでみるとたいへんわかりやすく、仁義道徳と富についての
考え方が述べられています。
たとえば、富を作るという一面には常に社会に恩義があり、
得義上の義務として社会に尽くすようにとし、
「岩崎さんや、三井さんにも是非ひと奮発してもらわねばならぬ」など、
当時の関係が分かる部分など、読んでいておもしろい側面もあります。
ただ著者は、岩崎弥太郎、三井高福とは違う生き方をしました。
多くの大企業や事業に関わりましたが、財閥にはなっていません。
この本は、私にとっては生き方の本です。多岐に渡る渋沢の野太い言葉が、
彼の学んできたものと実績の融合で生まれた言葉として心に残ります。
全体を見て個々の有り様を意識するバランス感覚が必要だと
私は常々思っています。そのために必要な知識やスキルを、
先人も若者も情報やデータや経験で培っています。
時代は変わっても、国や性別や立場や年齢や様々な違いはあっても
小さくて影響なんてしないと感じても
「個々の活動が世界を作っている」と思うと、
今をきちんと、ひっそりと頑張ることは無駄ではないように感じるのです。
皆様の活動の中で、それぞれの使い方で本を手に取ってほしい。
そういうわけで、今日も私は書架の中に立っています。
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宮崎館長、ありがとうございました!
ご紹介の本は、どれも千代田区立図書館に所蔵しています。
ぜひお手に取ってご覧ください♪
Posted at:16:00