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2015.05.25
コンシェルジュ通信Vol.1:コンシェルジュ亀山おすすめの1冊 |
今月から毎月「コンシェルジュ通信」として、
千代田図書館コンシェルジュの視点から本に関する話題を
お届けしてまいります。
今回はコンシェルジュ亀山から、
2015年4月に刊行されたばかりの1冊を紹介します。
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千代田区ゆかりの文学者、泉鏡花。
2013年には生誕140周年ということで、
その作品を美しい絵本にした『絵本化鳥』が発行され、
千代田図書館でも原画展やサイン会&親子イベントが
開催されたのを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
あれから2年、『絵本化鳥』の挿絵を手掛けた
イラストレーターの中川学さんによる、
泉鏡花作品の絵草子『朱日記』が刊行されました。
『絵本化鳥』は小学生以下のお子さまでも読めるように
鏡花の原文を易しく編集した「絵本」でしたが、
今回の『朱日記』は鏡花の原文そのまま、
中高生~大人向けの「絵草子」です。
主人公は、とある小学校の教頭補である雑所(ざっしょ)先生。
五月半ばにもなるのに肌寒い、
風の強い日の昼前から物語は始まります。
雑所先生はその前日、
山のなかで赤合羽を着た不気味な坊主に出会い、
その坊主から「城下を焼きに参るのじゃ。」
と告げられたことを気にしています。
物語が進むにつれて、不穏な予兆は少しずつ積み重なり、
ついに街は大火災に襲われてしまうのですが、
どうやらその原因はこの世ならぬモノたちの、
恋愛のもつれのようで…。
『朱日記』(泉鏡花/文 中川学/画 国書刊行会)
今回、中川さんの描く『朱日記』の世界は、
モノクロームが基調の画面に「朱色」が効果に使われていて、
すこしずつ高まる火災の予兆が見事に表現されています。
カバーの下には物語のキーワードになるぐみの実の
イラストが描かれている、という凝った装丁(写真右)。
本の見返しやヘドバン(中身の背の上下に貼りつける飾り布)も
目のさめるような朱色(写真左)。
扉は日記帳に赤い炎が重なるような凝った演出で(写真右)、
図書館で借りて読むだけではなく、
自分の手元にも置いておきたくなる1冊です。
図書館で借りた本を自分でも購入したいと思った時は、
千代田図書館コンシェルジュの「書籍購入サポートサービス」
をご利用ください。
千代田図書館近隣の書店へ在庫確認や取り置きの依頼を行います。
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『朱日記』発売記念オリジナルアニメーション公開中!
『絵本化鳥』の原画展の際に館内で放映していたもの
と同じスタッフによるオリジナルアニメーションが
コチラから公開されています。
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Posted at:15:30