コンシェルジュ通信Vol.15:国立公文書館で
「ようこそ地獄 たのしい地獄」開催中!

夏休みシーズンを迎えて千代田区内のミュージアムでは

子どもから大人まで楽しめる企画展示が開催されています。

その中でも千代田図書館から徒歩10分の場所にある、

国立公文書館の企画展示「ようこそ地獄 たのしい地獄」

ちょっとユニークな視点で古典籍資料に親しめる展示です。

7月27日(水曜日)に開催された

ギャラリー・トークにコンシェルジュも参加して、

企画者の方から展示の見どころを教えていただきました!

 

 

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国立公文書館の門を入ると、駐車場に不思議な模様(写真左)がありました。

この模様は印がつけられている場所から写真を撮ると、

地獄の鬼が立体的に見える「トリックアート」のコーナー。

入り口では閻魔王(えんまおう)の顔出しパネルがお出迎えです。(写真右)

 

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国立公文書館の企画展の入場は無料

入口を入ると貴重な資料がズラリと並んでいます。

今回のギャラリー・トークには約100名の参加者が集まり、

急遽、2回に分けて開催するほどの大盛況でした!

 

企画者の方イチ押しの展示資料は、

『源氏供養表白(げんじくようひょうびゃく)』です。

 

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これは『源氏物語』を書いて人々を惑わせた罪により、

地獄に堕ちたとされる紫式部を供養するための、

「源氏供養」の時に読みあげられた文書です。

「紫式部は嘘やデタラメを書いた罪で地獄に堕ちた」

という考え方は、

平安時代の末から人々の間で認識されていたようで、

鎌倉時代に入ると『源氏物語』のファンによって、

紫式部とそのファンである自分たちの供養もするための

「源氏供養」が何度も行われました。

「桐壷」などそれぞれの巻の名前を読み上げながら、

『源氏物語』の写本を火にくべていったのだそうです。

 

このように鎌倉時代までの人々は、

地獄に堕ちることを本気で恐れていたようですが、

室町時代、戦国時代を経て江戸時代の頃には、

地獄はそれほど恐ろしいものではなくなったようです。

閻魔大王や地獄の鬼たちは

落語などお笑いのネタになったりもしました。

幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師の

河鍋暁斎(かわなべきょうさい)は、

明治20年に出版された『暁斎画談(きょうさいがだん)』

人間たちが賢くなって地獄に堕ちる者が少なくなったせいで、

仕事が無くなった閻魔王が、極楽の仏に再就職を頼むという、

洒落の効いた絵も書いています。

 

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ギャラリー・トークは8月にも開催されます。

解説文には書かれていない時代背景や細かい情報まで、

30分ほどの時間でとても詳しく解説していただけますので

見た目は難しそうな古典籍資料でも、

わかりやすく楽しく観覧できて、オススメです!

 

ギャラリー・トーク

【日にち】 8月24日(水曜日)

【時 間】 午後2時~2時30分

【場 所】 国立公文書館1階展示ホール

 

親子で展示を楽しみたい方は

「地獄のお絵かきコーナー」もおすすめです。

自分が考えた地獄の絵を描いて“地獄BOX”に入れると、

大型タッチパネルでその絵が紹介されるかも?

可愛らしい閻魔王のぬり絵もありますので、

小さなお子様も楽しめます!

 

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8月8日(月曜日)から8月15日(月曜日)まで

「終戦の詔書(しゅうせんのしょうしょ)」の原本も展示されるなど、

この夏の見どころがたくさんの国立公文書館。

自由研究のテーマを探しに出かけてみてはいかがでしょう?

 

国立公文書館 平成28年度第2回企画展

「ようこそ地獄 たのしい地獄」

【所在地】 千代田区北の丸公園3-2

【会 期】 開催中~8月27日(土曜日)

【時 間】 午前9時15分~午後5時

【入館料】 無料

【休館日】 日曜日、祝日 

      (8月11日(木曜日・祝日)、14日(日曜日)は開催)

Posted at:12:40