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2017.11.10
コンシェルジュ通信Vol.31:三菱一号館美術館で愉しむ「二つの」芸術の秋 |
丸の内界隈で一際目を引く赤レンガ色の建物、
三菱一号館美術館では現在
「パリ♥グラフィック―
ロートレックとアートになった版画・ポスター展」
を開催しています。
現在展示されているこちらのポスターは
三菱一号館美術館の所蔵する
トゥールーズ=ロートレック作
「ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ」。
ロートレックのポスター第一作目にして、
彼が世に出るきっかけとなった作品です。
左側に3行にわたって
“MOULIN ROUGE(ムーラン・ルージュ)”とありますが、
ご存じの通りこちらはかの有名なパリの遊興施設、
ムーラン・ルージュのことです。
中ほどに黒い文字で書かれた
“LA GOULUE(ラ・グーリュ)”とは、
その下に描かれている当時売れっ子だった
女性ダンサーの名前です。
こちらのポスターは現在では美術品となっていますが、
当時はムーラン・ルージュにラ・グーリュが出演するという、
立派な商業ポスターでした。
ロートレックがポスターを芸術の域にまで高めたというのが、
このポスターからも分かります。
ロートレックは遠近感を強調するなど、
浮世絵からその手法を投影しました。
また当時は通行人を引き付けやすいよう、
色鮮やかなポスターだったそうです。
こちらの作品以外にも、会期中は通常公開されていない
大変貴重な作品の数々に出会うことができます。
ロートレック以外にも同時代のナビ派の作品なども多数あり、
非常に見ごたえのある展覧会です。
ロートレックといえば、三菱一号館美術館では
2011年に「トゥールーズ=ロートレック展」を開催しています。
千代田図書館では、千代田区ミュージアム連絡会加盟館の
図録コーナーを設けており、下記の図録も
三菱一号館美術館のコーナーでご覧いただくことができます。
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「トゥールーズ=ロートレック展」
三菱一号館美術館コレクション2
著編者/「高橋明也/監修」
出版社/「三菱一号館美術館」
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さらにこちらの美術館では、「展覧会」に加え
「建築」という二つ目の芸術を愉しむことができます。
三菱一号館美術館の設計者は
鹿鳴館やニコライ堂などの建築も数多く手がけた
イギリス人の建築家、ジョサイア・コンドルです。
初代の三菱一号館は老朽化のため1968年に解体されましたが、
コンドルの原設計に則って復元、
2010年に三菱一号館美術館が開館しました。
余談ですが、ロートレックのポスターに
しばしば登場する赤毛の男性は
イギリス人の画家であるチャールズ・コンドルで、
なんとジョサイア・コンドルの親戚だそうです。
三菱一号館美術館の館長が発見されたそうですが、
偶然にしてはとても不思議なつながりです。
それでは館内をご紹介します。
石の中央階段の手すりの石材の一部には
初代の部材が再利用されているそうです。
手すりの色の異なる部分が初代のもので、
触ってみるとそこだけザラっとした感触です。
こちらは鉄骨階段です。
明治時代、館内ではガス灯の照明が使用されていましたが、
ガスの供給がない昼間は外光を取り入れるために
このようなデザインが有効だったと言われています。
赤レンガは積み方も、明治時代の図面通りとのことです。
まるで美術館自体が芸術作品のようです。
ここでは紹介しきれませんが、通路のアーチや床のタイル、
ガス灯を模した電灯や一号館広場など
他にも見どころがたくさんあります。
三菱一号館美術館の館内はバリアフリー構造となっており、
車椅子のまま入館することができます。
また東京駅とも直結しているため、
雨の日でも楽にアクセスできるようになっています。
この秋は二つの芸術を一度に愉しむことができる、
三菱一号館美術館にぜひお出かけになってみてはいかがでしょうか?
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パリ♥グラフィック―
ロートレックとアートになった版画・ポスター展
【会 期】開催中~~2018年1月8日(月・祝)
【休館日】月曜休館(但し、1月8日と、
「トークフリーデー」の11月27日(月)、
12月25日(月)は開館)
年末年始休館:
2017年12月29日~2018年1月1日
【時 間】10:00~18:00
(祝日を除く金曜、11月8日、12月13日、
1月4日、1月5日は21:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
【住 所】千代田区丸の内2-6-2
【入場料】当日券
一般:1,700円 高校・大学生:1,000円
小・中学生500円
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Posted at:15:55