【四番町図書館】「ヨムキクちよだ2023」イベントレポート①

5月14日(日曜日)まで千代田区立図書館各館で開催のヨムキクちよだ2023

四番町図書館が行ったイベントの様子を、2回の記事に分けてお届けします!

4月22日(土曜日)に行ったのは「大人も注目!外国語絵本の翻訳家に聞く絵本の魅力」。場所はおなじみ、神田神保町の児童書専門店ブックハウスカフェ1階のガリバー。

壁際に並んだソファに座り、希望者は飲み物をオーダーして、ゆったりとしたサロン風の雰囲気の中で開催されました。

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四番町図書館では、昨年度から「知識の入り口は児童書から」をコンセプトに、子どもだけでなく大人にも読んだもらいたい絵本を積極的に紹介したり、大人のための絵本講座を開催したりしてきました。

今回はその流れの中で、中学生以上を対象に募集し、定員15名をオーバーする応募がありました。

今回は外国の児童書の翻訳家に登場いただき、国が違えば表現も違う、でも、そこに流れる共通の思いをくみ取って日本語で表現する難しさや魅力について語っていただきました。

おひとり目は、主に英語圏の本を翻訳している長友恵子さん

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近訳著3冊についてエピソードを語っていただきました。

『ONE WORLD たったひとつの地球』(ニコラ・デイヴィス/作、ジェニ・デズモンド/絵、徳間書房)では環境問題について。『ブックキャット』(ポリー・フェイバー/作、クララ・ヴリアミー/絵、徳間書房)では戦時中図書館に住み着き本を守った猫の話、『せんそうがおわるまで、あと2分』(ジャック・ゴールドスティン/作、合同出版)では風刺のきいた絵柄で第一次世界大戦に出兵した幼馴染の話など、どれも時世を映し出す内容です。

長友さんは2年前、戦争で難民になった女の子のおはなしが描かれた絵本『せんそうがやってきた日』(ニコラ・デイヴィス/著、レベッカ・コッブ/絵、鈴木出版)を出版したことで、世界情勢により目がいくようになり、今後も社会性のあるテーマに取り組んでいきたいと語っていました。

翻訳家の仕事は、そのほとんどが調べること。そして、もちろん語学力は必要だが、一番大切なことは、それを伝える正しい、美しい日本語だと言います。


おふたり目は、当初フランス語の絵本を翻訳されている橋爪千代子さんの予定でしたが、事情により急遽、国内外の問題提起型絵本を出版している株式会社イマジネイション・プラスの代表取締役社長 乙部雅志さんにお願いしました。

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乙部さんは、「絵本は時代を映す鏡、それに合った言葉、思いを伝える情熱が伝わってくる言葉で翻訳してほしい」との思いから、あえてプロの翻訳家に依頼しないで、この作品はこの人に訳してほしいと直感的に頭に浮かんだ人にお願いすることも多いと言います。

紹介していただいた『みんなにやさしく』(パット・ズィトゥロウ・ミラー/著、ジェン・ヒル/イラスト)は作家のドリアン助川さんに、『じじつはじじつ、ほんとうのことだよ』(ジョナ・ウィンター/文、ピート・オズワルド/絵)は元TBSニュースキャスターの金平茂紀さんに依頼し、訳者の発信力を加味して、その世界観を伝えています。

今回のイベントでは、参加者から多くのコメントをいただきました。

作品に向き合う翻訳家の思いや葛藤を伺うことで、絵本の奥深さを実感された方、また、編集者の作品を最大限に生かす翻訳へのこだわりを知り「読者に思いが届く日本語の大切さ、そして、絵本の奥深さを感じた」という声が上がっていました。

講演会「大人も注目!外国語絵本の翻訳家に聞く絵本の魅力」の様子をお届けしました!

次回の記事では4月29日(土曜日)と5月5日(金)に行った、2回のスペシャルおはなし会のレポートをお届けします!

Posted at:18:10