【MOFCAの庭からごきげんよう】置かれた場所で咲きなさい

千代田区障害者よろず相談MOFCAと連携し、おすすめの本をご紹介いただいている連載【MOFCAの庭からごきげんよう】。第10回目をお届けします。

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みなさま こんにちは。今月担当のYです。

今月ご紹介する本は『置かれた場所で咲きなさい』です。

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『置かれた場所で咲きなさい』

渡辺 和子/著

幻冬舎

修道女であり、ノートルダム清心女子大学の理事長・学長を長く務めた故・渡辺和子氏が2012年に記したこの本は、累積売上部数が300万部を超える国民的ベストセラーです。


この本のタイトルである「Bloom where God has planted you(神が植えたところで咲きなさい)」は、アメリカの神学者ラインホルド・ニーバー(Reinhold Niebuhr)の詩の冒頭の一節だそうです。

著者は29歳で修道女となり36歳の若さで大学の学長に抜擢されましたが、年若く地元に縁も所縁もなかった彼女に周囲の目は冷たかったといいます。周囲から孤立し、鬱病を患い、自殺を考えるほどだったという著者を救い続けたのが、ある神父から贈られたこの言葉でした。


「置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです。時間の使い方は、そのままいのちの使い方です。自らが咲く努力を忘れてはなりません」と著者は語りかけます。

刈り取るために種を撒かねばならないというのは自然の摂理で、咲くために努力は必要なこと。では、咲くための努力とはどんなことなのでしょうか?それは"我慢すること"だという人もいるでしょう。

「耐えることは美徳」という考え方は未だ根強くあります。しかし、耐えることだけが、咲くための努力なのでしょうか?

決してそうではなく、「どんな環境に置かれても、そこで環境の主となって花を咲かせることが大事」と著者は言います。

自身を取り巻く「環境」を単に憂うのではなく、その場所でどうすれば自分らしく「咲く」ことができるのかを考えることの大切さが、この本には書かれています。


努力をしても咲くことが出来ないこともある。その時はどうするのか。

著者は、「そんな時には無理に咲かなくてもいい。その代わりに、根を下へ下へと降ろして、根を張るのです。次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために」と言います。苦しい時には物事の見方を変え、そして、自ら行動を起こすことが大切だと、渡辺さんは身を持って示したのでした。


すべての物に時があり、その時を迎えるための努力が必要だということ。それは耐えることばかりではなく、現実が変わらないなら、悩みに対する心の持ちようを変えてみる。

いい出会いにするためには、自分が苦労をして出会いを育てなければならないというのが、著者が生涯にわたり伝え続けたことでした。

「心にポッカリ開いた穴からこれまで見えなかったものが見えてくる。希望には叶わないものもあるが、大切なのは希望を持ち続けること。『丁寧に生きる』とは、自分に与えられた試練を感謝すること」

このことが、置かれた場所で咲くための秘訣なのかもしれません。


相談窓口として、千代田区障害者よろず相談MOFCAをどうぞご利用ください。どんなささいな事でも結構です。

みはらしの良い居場所スペースもありますので、ただ休んでご自分のリラックスの場としてのご利用も大歓迎です。スタッフ一同お待ちしています。



MOFCAの連載【MOFCAの庭からごきげんよう】は、隔月の第2週目に更新します。

次回は12月です。どうぞお楽しみに!

Posted at:10:30