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2024.01.11
千代田図書館 図書サービスプロデューサーの読書日記 「年のはじめに読みたい本」 |
辰年最初の「ちよぴたブログ」では、「年のはじめに読みたい本」を、千代田区立図書館の職員が紹介します。
全3回でお届けする初回は、千代田図書館 図書サービス部門の坪内プロデューサーが「年のはじめに読みたい本」をご紹介します。昨年出版されたばかりの話題の本3冊のセレクトは、多彩な趣味を反映したものになりました。
紹介している本は、いずれも千代田区立図書館に所蔵しています。資料の詳しい情報は書名をクリックしてご覧いただけます(貸出中の場合はご了承ください)。
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下山静香/著
アルテスパブリッシング
ついに出た、決定版! 650ページの中に代表的な作曲家・演奏家・作品の紹介はもちろん、歴史、文学、映画、景観など、スペインの魅力のすべてが詰まっています。
独特のエキゾチシズムを醸し出すスペイン音楽の魅力は、歌と踊り、光と陰のコントラストの妙。それを「ミの旋法」と、「アンダルシア終止形」と呼ばれる下降する和声進行とが彩ります。
演奏と研究・執筆などの両面で活躍する著者による、入門書でもあり音楽通も満足できる一冊。ソフトカバーながら王宮の風格を感じさせる装丁も、素敵です!
『神保町 本の雑誌』(別冊本の雑誌㉒)
本の雑誌編集部/編
本の雑誌社
神保町の紹介本はあまたあれど、これを読まなきゃ始まらない!と言えるほど、神保町への愛と敬意と憧憬に満ちた、珠玉の一冊。
神保町の裏の裏まで知り尽くした著者たちが、これでもかと繰り出す、街語り・本語り・食べ物語り。対談に始まり、ルポ、インタビュー、エッセイ、店舗案内など、バラエティに富んだ内容は、どこから読み始めても飽きずに楽しめます。一部の記事を除き、すべて書下ろし・語り下ろしなのも嬉しい。
写真や図版も豊富で、初めて神保町を訪れる人にも、神保町フリークを自認する人にも、役に立つ本です。
立川志らく/著
集英社
年のはじめはやっぱり寄席で、落語を聴いて大笑いしたいもの、ということで、いま話題の1冊をご紹介・・・というつもりで選んだのが甘かった! ゴジラ-1.0の破壊力にも匹敵する「笑撃」と、屈折した著者の思いが胸に迫る、「談志本」のニューウェーブ。『小説すばる』連載時から読んでおけばよかった、と後悔させるほどの面白いエッセイが本になりました。
著者同様、これを書いている私も、実は立川談志は大嫌い。でも掛け値なしの大天才で、その魅力には抗えません。
伝説の「芝浜」は、聴く者の五感に訴える珠玉の名演でした。そうか、談志を深く知ることこそが「業の肯定」なのだと、ひとつ腑に落ちた読書体験でした。
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坪内プロデューサーの読書日記をお届けしました。
次回の「年のはじめに読みたい本」紹介もお楽しみに!
2024年も「ちよぴたブログ」を、どうぞよろしくお願いいたします。
Posted at:13:30