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2025.02.28
【千代田図書館イベントレポート】おはなし美術鑑賞ワークショップを開催しました |
2月9日(日曜日)千代田図書館では、会話しながら美術作品を鑑賞する「おはなし美術鑑賞ワークショップ」を開催しました。美術館スタッフによるナビゲートのもと、千代田区立図書館が所蔵する江戸時代に描かれた図版や浮世絵などを見ながら、発見したことや感じたことを自由に語り合う対話型の美術鑑賞です。
会場は、千代田区役所1階区民ホール。ワークショップはスライド投影された古地図からスタートしました。
ナビゲーターから「この地図で東京駅の場所は?」「今いる場所は?」といった質問が投げかけられ、古地図と現代の東京の位置関係を確認。「地図中に水戸徳川家上屋敷とあるのは、今の東京ドームの場所です」といった情報に、なるほどと頷く参加者の姿も。
古地図を通して当時の様子を想像することで、頭の中が江戸時代の視点に切り替わっていき、日本美術を鑑賞する準備が整ったところで、いよいよ鑑賞タイムに入りました。
この日は会場で2か所に分かれ、計3作品を鑑賞しました。
テーブルに用意されていたのは、多くの方にもなじみ深い絵巻『鳥獣人物戯画』の復刻版。
「美術館では、作品を長く広げて展示していますが、本来は、巻物を人の肩幅くらいに広げて見るんです」と、ナビゲーターが巻物の見方を紹介しながら広げてくれました。
ユーモラスな姿で描かれた動物に、子ども達も興味津々!
まずは一人で、じっくり作品を観察。
その後に気づいたことを伝え合いながら鑑賞しました。
どんな動物がいるかな?何をしているところだろう?
泣いている様子の動物に「悲しんでいると思う」「私はウソ泣きだと思った」などなど、活発に意見が出ていました。
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こちらは、スライドに投影された日比谷図書文化館所蔵の作品。
人々が橋の上を行きかう浮世絵です。
「空が赤いのは、夕焼けなのでは?」
「手前には桜の木があるので、花見客で人が多いのかなと思った」
「花見にしては木が少ない。遠くの桜の名所に向かう人なのでは?」
などなど、1枚の浮世絵から気づいたことは人それぞれ。
この浮世絵はかつて区内にあった橋というナビゲーターの解説に、花見客が一気に身近に感じられました。
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スライドでは、もう1作品の絵画も鑑賞しました。
いつの時代のどの場所を描いたのか、一見しただけでは分からず、また日本画とも少し違うオリエントな雰囲気を持った、不思議な絵です。
話題になったのは、どの季節を描いているのか、という点。
冬だという意見から、夏なのではという思う真逆の意見、なかには秋だと感じた方もいたようで、同じ作品を見ているのに、こんなに感じ方が違うとは!
ナビゲーターより、この作品は明治時代の日本で、外国人の画家が描いたという解説が伝えられると、参加者からは「だからこの服装なのか」といった声も聞かれ、不思議と感じた理由が分かり一同納得。
▲浮世絵と西洋美術の描き方の違いも解説
当日は同じプログラムで2回開催しましたが、小学生から大人まで幅広い年齢層の方の参加がありました。参加者からは、
「同じものをみて意見を出す、という体験がとても新鮮だった」
「隣の人が全然違うことを考えているのが面白かった」
「人の感想を聞くことが、こんなに面白いなんて知らなかった」
と言った感想が聞かれ、和気あいあいとした雰囲気の中、1時間ほどのワークショップはお開きとなりました。
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美術作品について語り合いながら鑑賞した今回のワークショップ。
他の人の感性にふれ、自分では気が付かつかなかった感想を共有し合うことで、新鮮な体験ができたのではないでしょうか。
美術館では、声の大きさを気にせず展覧会を鑑賞できるトークフリーデーを設けている所もあります。
ブログをお読みの皆さんも、ぜひトークで広がる美術鑑賞を体験してみてください。
これからも千代田図書館では、子どもから大人まで楽しめるイベントを引き続き開催してまいりますので、どうぞお楽しみに♪
Posted at:17:40