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2010.09.02
松雲堂書店を追う!(2) 図書館で出張セミナーがありました |
昨日まで、千代田図書館9Fの出張古書店コーナー
「としょかんのこしょてん vol.39 日本の漢詩を楽しもう」
をご担当いただいた、松雲堂書店の宮元さんを追う
レポート第2弾をお届けします。
先月30日(月)の夜、千代田図書館で宮元さんによる
展示品解説セミナーが開催されました。
▲左側に立って司会をしているのは、
神保町古書店街の若手ホープ☆小林書房の小林さん
▲講師は、松雲堂書店の宮元さん
今回の展示「日本の漢詩を楽しもう」は、
もっと多くの方に漢詩に慣れ親しんでもらおうと、
日本人作家による、何が詠まれているのかが分かりやすい
挿絵入りのものなど、見て楽しむこともできる商品を
展示されていました。
展示解説セミナーでは、それらの(一部、非常に高額な)
商品を実際に手にとってみることのできる、稀少な機会!
漢詩に関心のある方や、古書店のセミナーということで
興味をもってくださった方など、10名の参加がありました。
以下、セミナーの内容を抜粋してお届けします。
【まず、漢詩とは?】
漢詩は、二千年もの年月をかけて磨き抜かれてきた、
中国の伝統的な詩。
※「春眠不覚暁(しゅんみん あかつきをおぼえず)・・・」
は耳にしたことのある人も多いでしょう?あれも漢詩です。※
8世紀の唐の時代、詩人の李白や杜甫が登場した頃
漢詩の形式が出来上がり、
ちょうどその頃、日本は遣唐使を中国に派遣。
そこで中国文化に触れたことが土台となって、
江戸時代には日本でも漢詩文が隆盛を極めます。
20世紀以降は急速に衰退しますが、夏目漱石や森鴎外ら
漢学教育を受けた文化人たちは漢詩をたしなんだそうです。
【「山陽詩鈔」頼山陽・著について】
著者の頼山陽[ライサンヨウ]は、江戸後期から明治にかけて
活躍した漢詩人で、儒学者としても有名な人。
頼山陽の詩は、今日でもひろく詩吟として愛吟されています。
タイトルは、山陽の詩の「鈔(抄)」=解説ということ。
頼山陽が天保3年に亡くなった後、お弟子さんたちが、
編集者となって解説付きの詩集を作ったんですね。
大ベストセラーとなり、たくさん出回ったようです。
セミナーでは、上杉謙信と武田信玄の川中島の戦いを
詠んだ箇所について、宮元さんより解説がありました。
漢詩は、身近な題材を詠んでいるので、草花や風景だけでなく、
当時は日常茶飯事であった戦を詠んだものも多いです。
「鈔(抄)」なので、原稿の枠外に“ここは傑作だ!”
というような批評が書かれていたり、
漢字の横に<○マル>や<、テン>をつけて
“ここを読むべし”というような強調がされていたりします。
【「唐詩選画本」北斎等画について】
今回の展示品で唯一の中国作品。
唐詩(唐の時代の詩)の選集に、葛飾北斎らが挿絵を添えた
もので、全7巻。7色の表紙がとてもきれい。
「唐詩選」は江戸時代に日本に伝わり、漢詩入門書として
大流行したそうです。
画家の葛飾北斎は「号」(ペンネーム)をよく変える人で、
この「唐詩選画本」には“北斎為一”、“画狂老人卍”の
号で記されています。
特に初心者には、挿絵入りが親しみやすくていいですね。
当時の情景を思い浮かべることができるし、
ここで何を詠んでいるのかがわかりやすいです。
名所図会(今で言うところのガイドブック)の中にも、
その土地で詠まれた漢詩などが紹介されていたりするので、
初心者にもおすすめとのことでした。
今回の展示や展示品解説セミナーを見逃した方も、
お店のほうにぜひ足を運んでみてくださいね。
これらの商品以外にも、漢詩の作詩、鑑賞用の書籍や
和本が多数揃っています。
実は、千代田図書館に一番近い古書店さんです!
松雲堂書店
(和本・漢詩・漢文参考書など)
住所 神田神保町3-1
TEL 03-3261-6498
▲和本がびっしり! ▲木版の風景画を多数取扱。 ▲中国関連書籍(新刊)
Posted at:17:00