松雲堂書店を追う!(2) 図書館で出張セミナーがありました

昨日まで、千代田図書館9Fの出張古書店コーナー

「としょかんのこしょてん vol.39 日本の漢詩を楽しもう」

をご担当いただいた、松雲堂書店の宮元さんを追う

レポート第2弾をお届けします。

 

先月30日(月)の夜、千代田図書館で宮元さんによる

展示品解説セミナーが開催されました。

▲左側に立って司会をしているのは、

 神保町古書店街の若手ホープ☆小林書房の小林さん

 

▲講師は、松雲堂書店の宮元さん

 

今回の展示「日本の漢詩を楽しもう」は、

もっと多くの方に漢詩に慣れ親しんでもらおうと、

日本人作家による、何が詠まれているのかが分かりやすい

挿絵入りのものなど、見て楽しむこともできる商品を

展示されていました。

 

展示解説セミナーでは、それらの(一部、非常に高額な)

商品を実際に手にとってみることのできる、稀少な機会!

漢詩に関心のある方や、古書店のセミナーということで

興味をもってくださった方など、10名の参加がありました。

以下、セミナーの内容を抜粋してお届けします。

 

【まず、漢詩とは?】

漢詩は、二千年もの年月をかけて磨き抜かれてきた、

中国の伝統的な詩。

 

※「春眠不覚暁(しゅんみん あかつきをおぼえず)・・・」

 は耳にしたことのある人も多いでしょう?あれも漢詩です。※

 

8世紀の唐の時代、詩人の李白や杜甫が登場した頃

漢詩の形式が出来上がり、

ちょうどその頃、日本は遣唐使を中国に派遣。

そこで中国文化に触れたことが土台となって、

江戸時代には日本でも漢詩文が隆盛を極めます。

 

20世紀以降は急速に衰退しますが、夏目漱石や森鴎外ら

漢学教育を受けた文化人たちは漢詩をたしなんだそうです。

 

【「山陽詩鈔」頼山陽・著について】

著者の頼山陽[ライサンヨウ]は、江戸後期から明治にかけて

活躍した漢詩人で、儒学者としても有名な人。

頼山陽の詩は、今日でもひろく詩吟として愛吟されています。

タイトルは、山陽の詩の「鈔(抄)」=解説ということ。

頼山陽が天保3年に亡くなった後、お弟子さんたちが、

編集者となって解説付きの詩集を作ったんですね。

大ベストセラーとなり、たくさん出回ったようです。

 

セミナーでは、上杉謙信と武田信玄の川中島の戦いを

詠んだ箇所について、宮元さんより解説がありました。

漢詩は、身近な題材を詠んでいるので、草花や風景だけでなく、

当時は日常茶飯事であった戦を詠んだものも多いです。

「鈔(抄)」なので、原稿の枠外に“ここは傑作だ!”

というような批評が書かれていたり、

漢字の横に<○マル>や<、テン>をつけて

“ここを読むべし”というような強調がされていたりします。 

 

【「唐詩選画本」北斎等画について】 

今回の展示品で唯一の中国作品。

唐詩(唐の時代の詩)の選集に、葛飾北斎らが挿絵を添えた

もので、全7巻。7色の表紙がとてもきれい。

 

 

「唐詩選」は江戸時代に日本に伝わり、漢詩入門書として

大流行したそうです。

画家の葛飾北斎は「号」(ペンネーム)をよく変える人で、

この「唐詩選画本」には“北斎為一”、“画狂老人卍”の

号で記されています。 

 

特に初心者には、挿絵入りが親しみやすくていいですね。

当時の情景を思い浮かべることができるし、

ここで何を詠んでいるのかがわかりやすいです。

 

名所図会(今で言うところのガイドブック)の中にも、

その土地で詠まれた漢詩などが紹介されていたりするので、

初心者にもおすすめとのことでした。

 

今回の展示や展示品解説セミナーを見逃した方も、

お店のほうにぜひ足を運んでみてくださいね。

これらの商品以外にも、漢詩の作詩、鑑賞用の書籍や

和本が多数揃っています。

実は、千代田図書館に一番近い古書店さんです!

 

松雲堂書店

(和本・漢詩・漢文参考書など)

住所 神田神保町3-1

TEL 03-3261-6498

 

 

 

 

 

 

  

▲和本がびっしり!   ▲木版の風景画を多数取扱。 ▲中国関連書籍(新刊)

 

Posted at:17:00