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2010.12.23
千代田小学校:読書週間スペシャル給食 |
先日、千代田小学校の図書委員の皆さんに「絵本に出てくる料理が、
給食に出ている」と聞き、今回は給食時間にお邪魔をしてきました。
この日の献立は、胚芽ごはん、すまし汁、筑前煮、
とらねこふりかけ、くだもの、牛乳。
とらねこふりかけ…!?
児童に配布される「給食だより」の“栄養士からのひとこと”
によると「絵本『100万回生きたねこ』より、
ねこが好きなツナとたまごを使ったふりかけ風。」
栄養満点の手作りふりかけ!ネコにはちょっと贅沢?
このふりかけだけで、ごはんをおかわりしたくなるほどです。
▲「給食だより」裏面には、日ごとに絵本とその紹介文が。
これは、千代田小の給食を担当している栄養士の鈴木先生が
千代田小の図書館担当で、千代田図書館・学校支援の司書の
杉田先生に呼びかけて実現した、
給食×絵本のコラボレーション企画「読書週間スペシャル」
10月末から11月にかけての読書週間にちなみ、千代田小学校での
11月の給食にはなんと毎日!絵本にちなんだ料理が登場しました。
▲左が栄養士の鈴木先生、右が司書の杉田先生
いつも「今日は何の日」という記念日や学校の行事に合わせた献立を
たてている鈴木先生が、今年は「国民読書年」でもあることから、
秋の読書週間には本にまつわる献立を、と考えられたのがきっかけ。
杉田先生が料理の出てくる絵本を探し、鈴木先生が絵本を見ながら
献立をたてる、という共同作業の中で、苦戦したのは魚や豆などの「和食」。
洋食やデザートが登場する絵本や物語はたくさんあるのに、日本の食事や
食べるシーンが登場する絵本が少ないことに、改めて気がついたそうです。
和食の献立に活躍した絵本をいくつかご紹介します。
『よみがえれ、えりもの森』
本木洋子・文 高田三郎・絵 新日本出版社
⇒「キャベツの昆布味」「なめこととろろ昆布の味噌汁」
『はじめてのおるすばん』
しみずみちを・作 山本まつ子・絵 岩崎書店
⇒「栗ときのこの炊き込みごはん」
『一つの花』
今西祐行・作 鈴木義治・絵 ポプラ社
⇒「すいとん」
『一つの花』は4年生が国語の授業でまさに取り組んでいた本。
担任の先生曰く、すいとんは物語には出てこないが、食糧不足の
時代の食を知る、とても良い機会になったとのこと。
▲4年1組にて。給食の時間はみんな本当に楽しそう♪
児童は、給食をきっかけに本を借りたり、自分の好きな絵本の給食を
楽しみにしたり、また家庭では、親子の会話のきっかけになったり、と
児童にも保護者にも、そして先生方にも大変好評だったようです。
浅川校長先生に感想をお伺いしたところ、
学校教育では、読書は国語、食育は給食や家庭科、
などと区別して考えてしまうところがありますが
「食」も「読書」も、生活全般に関わること。
皆で同じものを食べるという、小学校ならではの学校給食を通じて
楽しく身近なこととして取り組めたのが、大変良かった。
とおっしゃっていました。
「食育」や「読書推進」というとなんだか堅苦しく感じますが、
こんなにも楽しく「本」や「食」に親しむこともできるんですね。
▲浅川校長先生は、『シンデレラ』⇒かぼちゃの入った
「シンデレラ根菜カレーライス」が特に印象に残ったそうです。
栄養士の鈴木先生は「給食は考え、工夫をする時間」とおっしゃいます。
牛乳瓶の紙の蓋を、どうすればうまく開けることができるか、
納豆のネバネバが手につかないようにするにはどうすればいいか、
そんなことから、児童は考え、工夫することを学んでいくのだそうです。
▲鈴木先生は、学校でのお母さん。
そして何より、鈴木先生の「工夫」もすごい!の一言です。
-豆をたくさん摂れるように、コロッケの中に豆を入れる。
-切干大根やかんぴょうといった乾物を様々な献立にこっそり使う。
といった栄養面における工夫もさることながら、
職員朝会で、風邪による欠席児童が多いと聞けば
-消化しやすい食材に変更をする。
-柔らかめに仕上げるよう調理師に指示を出す。
と、可能な限りの対応をはかり、
時間割を見て、午前中に体育のあるクラスには、
多めに作っている分を「おまけ」として少し追加するなどの徹底した心配り!
毎日、給食時間中は各クラスを回って児童に声をかけ、体調や心の状態を
確認している鈴木先生は、まさにみんなのお母さんですね。
今回の取材では、絵本と給食のコラボレーション企画という
取り組み内容のおもしろさはもちろんですが、なにより
鈴木先生と杉田先生というお二人の教育にかける熱意と
プロ意識に圧倒されました。先生方、ありがとうございました!
Posted at:09:00