コンシェルジュ通信Vol.39:絵本や児童文学の魅力にふれる3冊をご紹介

明日は、大人も楽しめる絵本や児童文学をテーマに「千代田図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー『本の街でひらく 絵本のとびら』」を開催します。

ツアーの準備のためさまざまな本を読みながら、誰もが子供の頃に読んでいたような長く愛されている絵本や児童書は、年代を超えて共有できるものの一つだと改めて感じました。

今回のコンシェルジュ通信では、そんな世代を超えて親しまれている絵本児童文学魅力にふれる本を3冊ご紹介します。

※書名をクリックすると、それぞれの本の詳しい情報をご覧いただけます。

 

 

まず1冊目は、こちら。

 

181202-1.jpg

本へのとびら ―岩波少年文庫を語る

 宮崎駿/岩波書店

 

著者は、アニメーション映画監督の宮崎駿さんです。

内容は2部構成になっており、第1部では自身が長年親しんできた「岩波少年文庫」の中からおすすめする50冊を紹介。第2部では、自らの読書体験や児童文学の挿絵の魅力について、インタビューをもとにまとめています。アニメーターならではの視点で、本の表紙絵や挿絵の大切さを語っています。

 

この本のユニークな点は、第2部は一般的な白いページであるのに対し第1部の紙がわざと日に焼けたような色に加工されていること。

 

181202-2.jpg

薄茶色のページに、推薦コメントと「岩波少年文庫」の表紙絵が1冊ずつ掲載されています。

長い年月を経たようなページをめくっていると、学校の図書室で本を読んでいた頃にタイムスリップしたような、懐かしい気持ちで読み進めることができました。

 

「岩波少年文庫」シリーズは、千代田図書館では児童書のある10階フロアの「児童文庫コーナー」に並んでいます。

 

181202-3.jpg

「児童文庫コーナー」の青い表示が目印

 

○○○○○○○○○○○○○○

 

2冊目は、小学3、4年生の「こくご」の教科書に取り上げられた作品を大人へ向けて紹介している本です。

著者は「童話の世界に起こる奇想天外な出来事は、笑いながらもなぜかホロリとさせられる」感動があると語り、そんな「感動」を心に効くビタミン剤のように補給してほしい、という思いがつまった1冊。

 

 181202-4.jpg

おとなを休もう』 

石川文子編/フロネーシス桜蔭社

 

この本では、昭和40年から平成16年度までの40年間にわたり出版された、小学3、4年生の「こくご」の教科書の中で、採用頻度の高かった作品を掲載しています。

 

そのうち、最も多く採用されているのは、新美南吉による『ごんぎつね』だそう。

著者が300冊もの教科書を読み進めるうち、すぐにベスト1位が何になるのか予想が付くぐらい『ごんぎつね』の存在は“圧倒的”だったそうです。

 

あとがきの中で著者は「世代を超えて、読み継がれる名作は、きっと親とこどもの会話の橋渡しになってくれるにちがいありません」と語っています。

子どものころに好きだった本を、親子でゆっくり本を読むのも良いですね。

 

小学1、2年生や5、6年生の「こくご」の教科書に取り上げられた作品は、同じ著者がくじらぐもからチックタックまでにまとめています。 

また、千代田区で採用している教科書は、千代田図書館の千代田区行政コーナーの棚にあります。

(館内での閲覧のみ)

 

 

3冊目は、クリスマスを控えたこの時期に読みたい1冊。

 

181202-5.jpg

 

ほんもののプレゼント

オー=ヘンリー/岸田今日子訳

東 逸子 絵

偕成社

 

これは、アメリカの小説家オー・ヘンリーの短編『賢者の贈り物』の新訳版絵本です。

女優であり童話作家でもある岸田今日子さんの優しく語りかけるような翻訳と、画家の東逸子さんの表紙絵や挿絵が印象的な1冊です。小学生のときに気に入って何度も借りて読んだ記憶があります。

『賢者の贈り物』は多くの方によって翻訳されているので、さまざまな翻訳や挿絵の中から自分の好きな1冊を探してみるのもいいですね。

この本は30年前に出版されたもので、すでに新刊書店には並んでいない本ですが、千代田区立図書館では四番町図書館で所蔵しています。

 

 

年末年始は、普段なかなか会えない遠くの親せきと顔を合わせる機会も増えると思います。

好きな絵本や児童文学について、世代を超えて語りあってみてはいかがでしょうか。

 

 

Posted at:12:55