【レポート】「本と出会う 読書サロン 第18期オープニングイベント」を開催しました

 

千代田図書館では、月ごとに決めたテーマに関する本を一人一冊持ち寄り紹介しあう、本を通じた交流の場「本と出会う 読書サロン」を年2期(6月~9月、12月~翌年3月)、「読書の会」主催で行っています。

今回は、6月から始まる第18期のメンバー募集とオープニングを兼ねて開催した講演会「ビジュアル本編集のポイント」の様子をご紹介します。

 

190503-1.jpg

 

ゲストは編集者島本脩二さん

現在はフリーの編集者として活躍されている島本さんですが、お話しは出版に関わり始めた小学館での経験から始まりました。

 

190503-2.jpg

 

小学館では『週刊ポスト』『GORO』『マミイ』『写楽』などの編集部員、さらに『P.and』『TOUCH』の編集長を務めた島本さん。これらの雑誌編集に関わりながら、当時多くの若者に影響を与えた書籍・矢沢永吉さんの『成りあがり』を生み出しました。

 

190503-3.jpg

講演には貴重な『成りあがり』の初版本や、YMOの希少な写真集などをお持ちくださいました!

 

1960年代から写真の製版技術が進歩し、出版にも広く使われるようになってきたことも重なり、学生時代から写真や絵に興味を持っていた島本さんは、写真集を作りたいという思いを持つようになります。

当時から出版界には“写真集は売れない”という傾向があったそうですが、島本さんは「大きくて、厚くて、高価で、著名な写真家の作品を手を洗って正座して見るような『墓石のような』写真集ではなく、もっとくつろいで気軽にビジュアルを楽しめる写真集を作りたかった」といいます。

そうして生まれたのが“レコードを聴きながら見る” 『PEACE』 『LOVE』をはじめとした数々の写真集、さらには1982年に企画編集してベストセラーとなった、憲法原典と写真を組み合わせた『日本国憲法』でした。

 

講演の中盤には、1986年に偕成社の創業50周年記念として出版した『世界の子どもたち』のお話しを聞くことができました。小学館の仕事のかたわら編集を担当した『世界の子どもたち』は、世界35か国に写真家を派遣し、そこで撮影した“ふつうの子どもたち”の衣食住や移動といった生活のようすを収めた写真絵本シリーズです。35冊の絵本は全国の公立図書館や学校図書館に置かれ、多くの子どもたちの手にとられてきました。

このシリーズは2014年に、今度は偕成社の創業80周年記念出版として36冊の『世界のともだち』シリーズとして新たに刊行、第64回産経児童出版文化賞大賞を受賞しました。

 

190503-4.jpg  190503-5.jpg

左の写真で島本さんが手に持っているのが千代田図書館にも所蔵の『世界のともだち』シリーズ。『世界の子どもたち』シリーズと比べながら、前回と変えなかったところ・新しくなったところをお聞きすることができました。

 

「編集者が本を作る時に考えることは “何を” “誰に” “どのように” 伝えるか、という3つのこと」と島本さん。短い時間でしたが、どの本にも「読者に届けたい」という熱意を持ち、楽しみながら本を作ってきたようすが確かに伝わる講演会でした。

島本さん、ありがとうございました!

 

第18期「本と出会う読書サロン」6月~9月の毎月第3火曜日、午後7時から開催します。第18期各月のテーマは「喜」 「怒」 「哀」 「楽」。これらのテーマで、読書サロンのメンバーがどんな本を紹介するのか、気になる方は見学だけでもしてみませんか?

まずはメンバー登録をどうぞ。→詳細はコチラから

Posted at:17:45