千代田人セレクション:四番町図書館・宮崎館長のおすすめ本①

 

区内の様々な分野で活躍している“千代田人”に

おすすめの本を紹介していただく「千代田人セレクション

今回の担当者は四番町図書館の宮崎館長です。

 

いつもにこやかに、おはなし会や絵本の読み聞かせセミナー講師を務める

宮崎館長がおすすめ本として挙げたのは、意外にも(?)骨太な本ばかり。

今回から、二回に分けてお送りします。

千代田区立図書館に所蔵の本ばかりですので、

この機会にぜひお手に取ってみてください!

 

 

『だから日本はズレている』

古市憲寿/著

新潮新書

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「ズレてる」なんて言われると、「社会人」としてはぎくりとしないでは

いられません。この本は、タイトルを見た瞬間に失笑しながら、

何を書いてあるのかページをめくらずにはいられませんでした。

 

若い社会学者である著者は冒頭で、

「日本の中の様々な『ズレ』を本書で明らかにしていきたい」と

言いながら「僕の方がズレている可能性もある」と始めています。

なぜなら、大企業で働いたこともなく、受験に苦しむ経験や、

就活の経験もなく、「既得権益」の半部外者として暮らしてきたからと

自分の立ち位置を明確にしています。

なるほど、自ら客観的な位置に自分を置いている著者が見る

「大人」の日本社会への表現はつい笑ってしまいます。

 

電車の中では読めない。

 しかし、決して面白いばかりの本ではありません。

「強いリーダー」を求める背景を分析して見せ、個々のあり方の

矛盾を示し、むしろリーダーが不在でも大丈夫な

「豊かで安定した社会を築いた」ことを誇ればいいと言います。

「憲法改正草案」をポエムのようだといい、一般的に使われる

「社会人」という言い方が日本独特な事と、その奥にあるものを

分析して見せます。失笑しては、そうだそうだと納得です。

 

戦後の事や自分の若いころの事には、読みながらそんな時代だったと

昔を思い出し、あれ!?著者は20代だったよね!?と、

その資料収集と分析には驚かされます。

 以前に新聞のコラムで、著者が小学生の時のことを書いた記事を

読んだことがあります。夏休みの自由研究ではなく、

普段興味を持ったことを調べて一冊のノートにまとめるということを

遊びのように楽しんでいた様子が書かれていました。

著者のアカデミックスキルは小学生のころから

積み重ねられたもののようです。

司書としての私の立場からは大いに気になるところです。

 

最後の章(このままでは「2040年」の日本はこうなる)は、抱腹絶倒です。

そして本書を閉じると、「では、今どうしたらいいのか」と

考えずにはいられません。

 

『ことばと国家』

田中克彦/著

岩波新書

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最近、日本人としての自分を意識しないではいられないことが

色々とありました。2020年の東京オリンピック、憲法改正問題、

イスラム国の事件…。

そこで、言葉から国家や民族を考えるこの本をご紹介します。

 

人が生まれて母に育てられるとき一番初めに出会うのが

母の言葉であることから「母語」と呼び、

それが第一言語とする考え方を示し、言語に優劣はないが、

言語によって生まれる差別、権力や政治の介入などを

言語学の立場で著したものです。

 

当時、言語学を少し退屈なものと感じていた私は、著者の独特の視点に

驚きながら読みました。またその中で、子どもの頃読んだ

『最後の授業』(ドーテ作)についての記述は印象的でした。

フランスのアルザス地方の小学校で戦時下、フランス語を

禁止されたため、フランス語の先生が母国語に対する意味を感動的に話し

「フランスばんざい」と黒板に書いて最後の授業を終えるという内容で

当時の子どもだった私は、母国語の大切さや言葉で自由になるという

考え方を学び、教科書にも載った作品でした。

 

しかし、実はアルザス地方の人々の母語はフランス語ではなく

その地に独特のアルザス語が母語で、言語的解放運動の問題を

はらんだ作品だったということを本書で知りました。

 社会言語学という立場からの興味深い1冊で、

今こそまた読んで欲しい本です。

 

 

宮崎館長のおすすめ本紹介は次回に続きます!

Posted at:18:00

「よりみちパン!セ」著者による講演会を行います

 

創刊以来、「学校でも家庭でも学べない、リアルな知恵」を

読者に提供し続けている、中高生から大人まで人気の

シリーズ「よりみちパン!セ」著者のおふたりを迎え

講演会を行います。

 

「よりみちパン!セ」シリーズの最新刊で

人工知能研究の最前線をわかりやすく、楽しく著した

『ロボットは東大に入れるか』の他、

『生き抜くための数学入門』『ハッピーになれる算数』などで

算数・数学の魅力を伝えている新井紀子さん

『どんとこい、貧困!』で私たちが向き合うべき「貧困」の問題を説き

その後も様々な場所で社会問題への提言を続ける湯浅誠さんが、

それぞれの視点から、これからの時代の仕事や生き方についてお話しします。

 

『ロボットは東大に入れるか』

新井 紀子/著

イースト・プレス

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『どんとこい、貧困!』

湯浅 誠/著

イースト・プレス

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私たちの「あした」をどうやって歩いていく?

仕事や生き方はどうなる?

今からできることは何だろう。

知り、考えるきっかけにしてみませんか?

どなたでもお聞きいただける講演会ですので、ぜひお越しください!

 

よりみちパン!セ in ちよだ

-あしたの歩きかた-

 

【日 時】2015年3月19日(木)

     18:30~20:00(18:00開場)

【会 場】千代田区役所 1階=区民ホール

【定 員】100席(申込不要先着順、立ち見可)

【参加費】無料

 

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大きい画像を見る(PDF:961KB)

 

出演者

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新井 紀子さん

東京都生まれ。一橋大学法学部卒業。イリノイ大学数学科博士課程修了。

理学博士。現在、国立情報学研究所教授。2011年から人工知能分野の

グランドチャレンジ「ロボットは東大に入れるか」のプロジェクト

ディレクターを務める。著書に『数学にときめく』(講談社ブルーバックス)、

『ほんとうにいいの?デジタル教科書』(岩波書店)、『コンピュータが仕事

を奪う』(日本経済新聞社)、『数学は言葉』『計算とは何か』(東京図書)、

『ハッピーになれる数学』『生き抜くための数学入門』(イースト・プレス

「よりみちパン!セ」)ほか。

 

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湯浅 誠さん

社会活動家。法政大学教授。1969年東京都生まれ。東京大学法学部卒。

2008年末の年越し派遣村村長を経て、2009年から足掛け3年間内閣府

参与に就任。内閣官房社会的包摂推進室長、震災ボランティア連携室長

など。現在、朝日新聞紙面審議委員、日本弁護士連合会市民会議委員。

文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」レギュラーコメンテーター。

著書に『ヒーローを待っていても世界は変わらない』(朝日新聞出版)、

『反貧困』(岩波新書)、『貧困についてとことん考えてみた』(茂木

健一郎氏と共著、NHK出版)ほか多数。

 

詳しくは→コチラ

Posted at:14:40

神田一橋中学校生の職場訪問

 

千代田区立神田一橋中学校1年生の生徒4名が

千代田図書館へ職場訪問に来てくれました!

 

まずは図書館コンシェルジュがガイドツアーを行い

千代田図書館の特徴や取り組み、設備をご紹介。

 

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本を貸出・返却したり、資料の整理をする司書と違い

館内の利用案内千代田区の街案内をする

コンシェルジュの役割について知ってもらいました。

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次に千代田図書館の司書が皆さんの質問にお答えします。

 

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司書の仕事や、千代田図書館について知りたいことを

事前に用意して来てくれた皆さん。

「司書の方々が仕事をするときに心がけていることは?」

「学生に人気の本はどのような本?」などにお答えしていきます。

その中に、「図書館のバリアフリー」についての質問がありました。

 

「バリアフリーと聞いてみんなが思いうかべるのは?」と司書。

「床の点字ブロック」「階段の手すり」…と声があがりました。

 

「そうですね。そういう施設のハード面ももちろんですが、

 図書館ならではのバリアフリーをお見せしますね」

と机に広げたのは、様々な手触りの布で絵が描かれた絵本。

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視力に障がいがある方でも、色々な手触りで絵を楽しむことができます。

 

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これは印刷された字(墨字)と点字が一緒のページに書かれた本。

「この本なら、目の不自由なお母さんが

 子どもに読み聞かせてあげることもできるんですよ」と司書。

 

他にも、大きな字で印刷された大活字本

本を音声化したDAISY(デイジー)図書

文章を読んで理解することが困難な方のために

写真や記号を使って簡単に書かれたLLブックなど

図書館には様々なバリアフリー資料が所蔵されています。

どんな利用者にも図書館を快適に使っていただくことも

図書館が持つ大きな役割のひとつです。

 

「今日はみんなに、図書館の司書の仕事について知ってもらいました。

 “困ったら図書館へ”という言葉があります。

 本を借りて読むだけではなく、知りたいことがあるときに

 どうやって調べるか、どんな本を読んだらいいか、

 ぜひ司書にたくさん相談して、図書館をどんどん使ってくださいね」

との話を聞いて、この日の職場訪問は終了しました。

 

神田一橋中学校の皆さん、おつかれさまでした!

中学校の校舎からも近い千代田図書館を

これからもぜひ利用してくださいね♪:

Posted at:15:20

明治大学博物館で東日本大震災記録写真展

 

2月23日から、明治大学博物館

写真展「あの日から4年…失われた街が語りかけるもの

~リアス・アーク美術館 東日本大震災と津波の記録~」が開催されます。

 

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大きい画像を見る(PDF:915KB)

 

宮城県気仙沼市にあるリアス・アーク美術館では、

2011年3月11日に発生した東日本大震災とその津波による被害を

地域の重要な歴史・文化的記憶として後世に伝えるため、

学芸員が中心となって災害被害の実態記録・調査を開始しました。

震災からの約2年間で、約30,000点の写真を撮影し、

約250点の被災物を収集しています。

 

この展覧会では、リアス・アーク美術館の常設展

「東日本大震災の記録と津波の災害史」から写真39が展示されます。

また、展覧会の開始に先立ち、2月21日(土)には記念講演会も開催されます。

 

東日本大震災から4年目を迎えるこの春、震災の記憶を風化させないため

写真を通して地域の取り組みを知り、思いを巡らせてみませんか?

ぜひ、足をお運びください。

 

あの日から4年…失われた街が語りかけるもの

~リアス・アーク美術館 東日本大震災と津波の記録~

【会 期】 2月23日(月)~3月26日(木)

【時 間】 10:00~17:00

【休室日】 日曜日・祝日

【会 場】 明治大学博物館 特別展示室

      明治大学駿河台キャンパス(神田駿河台1-1)

      アカデミーコモン地下1階

【観覧料】 無料

【主 催】 リアス・アーク美術館写真展学生実行委員会

      明治大学震災復興支援センター/明治大学博物館

【後 援】 気仙沼市

【協 力】 リアス・アーク美術館

詳しくは→コチラ

 

記念講演会

「まちの記憶・震災の記憶/記録と表現について

~リアス・アーク美術館の試み~」

【講 師】 山内 宏泰氏(リアス・アーク美術館学芸員)

【日 時】 2月21日(土)13:00~15:30

【会 場】 明治大学駿河台キャンパス 

      リバティタワー7階 1073教室

【参加費】 無料(事前申込不要)

※講演に先立ち、学生による震災復興支援活動の報告を行います

※当日はプレオープンとして、展示室をご覧いただけます

(10:00~12:30、講演会終了後~17:00)

 

展覧会の予習・復習にいかがですか?

千代田区立図書館所蔵の本

(貸出中の場合はご了承ください)

 

『リアス・アーク美術館』

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石山 修武/作

隈 研吾/文

藤塚 光政/責任編集・写真

TOTO出版

 

『被災地の博物館に聞く』

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国立歴史民俗博物館/編

吉川弘文館

Posted at:15:30

日比谷図書文化館の文化財特別展
「千代田の坂と橋-江戸・東京の地形-」

 

江戸の由緒ある坂や橋が数多く残る千代田区。

現在日比谷図書文化館で行われている特別展では、

千代田区内に残る坂と橋にスポットをあて

「江戸・東京」の歴史を紐解いています。

 

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大きな画像を見る(PDF:1.34MB)

 

絵図や古地図、資料などを展示で見た後は

現在の千代田の街並みを歩き、江戸の面影の残る場所を

巡ってみてはいかがでしょうか?

 

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三代広重「古今東京名所 九段坂みはらし高灯籠」

明治16年版元:辻岡文助(個人蔵)

 

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田安門歩道橋から望む、現在の九段坂

 関東大震災後の改良工事までは勾配のきつい坂として有名でした。

 

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絵図にも描かれている常燈明台(じょうとうみょうだい)。

 現在では靖国通りを挟んだ向かい側に移転されています。

  参考:『江戸・東京の歴史を訪ねて 千代田まち事典』

     千代田区/発行

 

私たちが、普段なにげなく歩く千代田の街並みには

近世以降の文化遺産が数多く残り、歴史の積み重ねの上に

形作られていることがわかる展示です。

ぜひ、ご覧ください♪

 

平成26年度 文化財特別展

「千代田の坂と橋-江戸・東京の地形-」

【会 期】 開催中~3月22日(日)

      ※2月16日(月)、3月16日(月)は休館日

【時 間】 月~土 10:00~18:00

      日・祝 10:00~17:00

【会 場】 日比谷図書文化館 1階特別展示室

【観覧料】 無料

 

詳しくは→コチラ

 

展示解説

以下の日程で、担当学芸員が展示解説を行います。

(所要時間40分程度・予約不要)

時間になりましたら、特別展示室入口付近にお集まりください。

2月12日(木)17:00~

2月19日(木)17:00~

3月 5日(木)17:00~

3月17日(火)14:00~

Posted at:17:00

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