夢二のコレクションと言えばこの店「ボヘミアンズ・ギルド」

千代田図書館9Fには、神保町のさまざまな古書店が

各店自慢の貴重資料を展示する

月替りの出張古書店コーナー「としょかんのこしょてん」があります。 

10月4日(月)までは、vol.40「竹久夢二のつくる本の世界」と題して

夢二が装丁を手がけた本や雑誌、楽譜など貴重な資料が展示されています。

 

  

▲「としょかんのこしょてん」展示のようす

 

今回の展示を担当している古書店にお邪魔してきました。

このおじさん↓が目印の古書店といえば・・・

 

 

そうです、今回の担当書店は「ボヘミアンズ・ギルド」さん。

池袋にある夏目書房の3代目・夏目滋さんが始めた古書店で、

ここ、すずらん通り沿いのビルに引っ越されたのは2年前のこと。

今年から、滋さんの息子である健太郎さんも、

(神保町の古書店関係者の中ではおそらく最年少の満22歳!)

4代目として店に入るようになったそうです。

今日は、そんな健太郎さんにお店を案内していただきました。

 

▲入口。右手に、目印のおじさんがいます。

 

▲入口外の棚や箱には、100円均一本や、セール本あり。

 掘り出しものがないか、要チェック!

 

▲店内の様子(1F)

 

1階には、作家の画集や研究書、展覧会カタログ、写真集

など美術関連の本があります。

ほぼ毎日、新しい本を入れているそうなので、棚はいつも“新鮮”。

その分の本が、店外のセール棚や均一箱へ移動します。

 

そして、レジ脇の階段を上ると・・・

 

階段に無造作に積み上げられた本の中に、

千代田図書館がコレクションを所蔵する「反町茂雄」の本を発見!

 

古書肆の思い出

反町茂雄

平凡社(1986)

全5巻揃・函

¥8,400-

 

 


そして2階へ・・・

2階の存在に気がつかなかったり、

「上がっていいんですか?」とよく聞かれたりもするそうですが

2階では、商品を静かにゆっくりと見ることができますよ。

「ぜひ気軽に上がってみてください。」と、健太郎さん。 

 

  

▲ソファでくつろぎながら、じっくり本選び。コーヒー(100円)も注文できます。(写真右)

 

 

▲部屋に飾りたくなるような版画や書画、ケース内にはハガキや原稿などの

 自筆物、棚には初版本・署名本・限定版がズラリ。

 

  

▲夢二のコレクションは、HP目録によると現在なんと約460点!

 価格帯は幅広く、千円くらい~百万円近くするものまであります。

 

健太郎さんは、店を継ぐことになるまで、神保町界隈に来ても

古書店は通過してスポーツ店街へと向かうワカモノのひとり

だったそうですが、今は古書店の仕事と勉強の日々が

とっても楽しいそうです。

 

「この店が若い人の窓口になって、

古書店のおもしろさを知ってもらうきっかけになったり

神保町という町自体に、もっと若い人が増えるといいですね。」

と話してくれました。

 

とにかく色んな人が来てくれる店にしたい、という言葉の通り、

取材時にも、お客さんがひっきりなしに出たり入ったりしていました。 

1階は照明がやわらかく、2階は明るく気軽に楽しめるギャラリーという感じで、

とても入りやすい雰囲気の楽しい古書店です。

 

図書館内での展示は残すところあと4日、

店舗にもぜひ足を運んでみてください!

 

★ボヘミアンズ・ギルド

住所:神田神保町1-1木下ビル1・2階 電話:03-3294-3300

営業:11~19時30分(日・祝11~18時) 休み:年末年始のみ

ホームページはこちら

 

*ホームページで見られる目録がとても便利!

 1,500円以上の商品は全て掲載、しかも表紙画像付きです。

「価格の高い順」「安い順」などに並べ替えて探すこともできます。

 

*「としょかんのこしょてん」担当書店が展示品の解説をする

 「古書店の出張セミナー」も開催しました。

 セミナーの様子は、こちらをご覧ください。

Posted at:17:05

残り1週間!「竹久夢二のつくる本の世界」

千代田図書館9階の出張古書店コーナーで開催中の

としょかんのこしょてん vol.40「竹久夢二のつくる本の世界」 

担当書店 ボヘミアンズ・ギルド

開催期間 開催中~10月4日(月)22:00閉館まで

★展示の詳細はこちら

 

色鮮やかで、楽しい雰囲気の展示になっていますが

(お値段も、この世界の素人にはびっくり!)

皆さんご覧いただけましたでしょうか?

 

去る21日(火)には、

担当書店による展示解説が行われました。

▲参加者は16名。夢二好きの方が多いようです。

▲左は、司会の小林書房・小林光寿さん。

 右が、ボヘミアンズ・ギルドの夏目健太郎さん。

 

まずは、竹久夢二がどういう人物なのか、

3人の女たち=たまき・彦乃・お葉(よう)との関係を

交えてお話しいただきました。そして、展示品の解説です。

 

夢二直筆の葉書

達筆なくずし字で、私には読めないのですが・・・

塩原の旅館に宛てたもので、

俳句や恋文がしたためられているそうです。

5枚 372,500円 

 

 

祇園全集 絵日傘 5巻揃

夢二の装丁本の中で、もっとも美しい

とされているものだそうです。 378,000円

 

 

 

 

 

西鶴情話

夢二自身の作品ではない本の装丁も

手がけています。

これは長田幹彦・作、新潮社・刊。

36,750円

 

 

 

婦人グラフ

大正当時の高級雑誌。元はこの雑誌の「婦人絵暦十二ヶ月」というページを担当していたのが好評で、表紙を飾ることになったのだとか。木版表紙のもの(168,000円~)と、オフセット3色版のもの(26,250円)と両方を展示中です。木版の際、夢二は、絵を描いた後も、彫り師と刷り師に付きっきりで細かく指示を出すなどしていたそうです。ちなみに夢二の木版は7~12版が基本だったとか。(版が多いほど色数が多い)当時の印刷物としては本当にこだわり抜かれた高級品だったのでしょうね。 

 

婦人グラフ(夢二以外)

本セミナーでは、夢二以外の婦人グラフも、

見せていただきました。

 

 

 

 

セノオ楽譜 No.106 宵待草

楽譜の装丁も多く手がけた夢二。その数は12年間で280曲以上にもなるそうです。夢二自身が作詩もし、装丁も手がけたものもあります。この「宵待草」はとても有名で人気だそうです。そういえば「宵待草」という名を冠した喫茶店があったような・・ 42,000円

 

 

他にも魅力的な展示品が10月4日まで千代田図書館9Fで

ご覧いただけます。ぜひ足をお運びくださいね。

店舗には、もっともっと素敵なものがありそうな予感!!

近日中に店舗訪問レポートもアップする予定なのでお楽しみに♪

 

「としょかんのこしょてん」の展示解説をする

「古書店の出張セミナー」には、担当書店以外の古書店の方も

参加者としていらしてたりするので、セミナー前後の立ち話で

思いがけない知識や情報を得ることもできますよ。

私たち図書館のスタッフも、古書に関しては、みな“素人”です。

もっとざっくばらんに質問や話ができる会として

盛り上げていこうと思っていますので

皆さんどうぞ気軽に、ご参加くださいね!

 

次回の「古書店の出張セミナー」は、古本まつり開催中につき、

少し趣きを変えて、9階の特設イベントスペースで講演会形式で

行う予定です。詳細はHPでお知らせしますので、乞うご期待! 

Posted at:10:40

9/18~23は高遠ブックフェスティバル!

 

高遠(長野県)という桜で有名な城下町が「本の町」になる

<第2回 高遠ブックフェスティバル> が開催されます。

本好きも旅好きも見逃せませんよ!まずは下記HPをチェック!

 

  ★公式ホームページはこちら

 

 

 期間 9月18日(土)~23日(木・祝)

 住所 長野県伊那市高遠町 

 ※アクセス方法はこちら

   新宿から直通の格安高速バスもあるようです!(要予約

 

 展示~世界の本の町写真展、本のための小さな家具展など多数!

 出店販売~長野、東京、名古屋、金沢の古書店ほか多数!

 イベント~美篶堂製本ワークショップ、しりあがり寿と灯籠を作ろうほか多数!

 

≪昨年/第1回目のようす≫

 

▲町じゅうに本と本にまつわる何かが。 ▲夕暮れ時からキャンドルが灯されます。

     

   

▲百人一首大会の様子。高遠には古き良き町並みが残っています。

 

 

 

Posted at:16:30

映画を先に見るか、原作を先に読むか。

9/11公開の映画「悪人」の主演女優・深津絵里さんが

第34回モントリオール世界映画祭で最優秀主演女優賞を受賞

のニュース、皆さんご覧になりましたか?

 

日本人女優の受賞は、「天城越え」の田中裕子さん以来

27年ぶりの快挙とのこと。

この映画は、芥川賞作家・吉田修一さんのベストセラー小説『悪人』を、

「フラガール」の監督李相日(リ・サンイル)さんが映画化したものです。

 ★映画「悪人」公式サイトはこちら

 

『悪人』以外にも吉田さんの作品は映像化されていますが、

本作では脚本も吉田さん自らが手がけているそうです。

 ★映像化された吉田修一さんの作品

 

『7月24日通り』

新潮社 

「7月24日通りのクリスマス」として

中谷美紀&大沢たかお主演で映画化。

 
 
 
 
 
 
 

『春、バーニーズで』

文藝春秋

同名、寺島しのぶ&西島秀俊主演で

WOWOWドラマWで映像化。

 

 

 

 

 

 

 

『女たちは二度遊ぶ』

角川書店

同名でBeeTVで映像化。

相武紗希、水川あさみ、小雪、優香、長谷川京子

ほか出演。 

 

 

 

 

 

『パレード』

幻冬舎 

同名、藤原竜也主演で映画化。

 

 

 

 

 

 

 

さて皆さんは、映画を先に見ますか?原作を先に読みますか?

いずれにしても、どちらか片方だけではもったいない!

秋は、映像と活字の世界を存分に楽しみたいですね。

 

小説やマンガが原作の映画は、「悪人」の他にも

☆「告白」(原作:湊かなえ『告白』)

☆「借り暮らしのアリエッティ」

 (原作:メアリー・ノートン『床下の小人たち』)

☆「東京島」(原作:桐野夏生『東京島』)

☆「オカンの嫁入り」

 (原作:咲乃月音『さくら色 オカンの嫁入り』)

☆「BECK」(原作:ハロルド作石『BECK』/全34巻)

☆「食べて、祈って、恋をして」⇒9/17公開

 (原作:エリザベス・ギルバート『食べて、祈って、恋をして』)

☆「メッセージ そして愛が残る」⇒9/25公開

 (原作:ギヨーム・ミュッソ『メッセージ そして愛が残る』)

・・・など、続々と公開されています。

 

そして来月には、神保町で撮影された映画も公開されます!

★映画「森崎書店の日々」公式サイトはこちら

 

原作は、第3回「ちよだ文学賞」大賞受賞作品『森崎書店の日々』で

“森崎書店”という、架空の(でも実在しそう!)古書店と神保町を

舞台に、失意と孤独の中にいた女の子が大人へと成長していくストーリー。

 

 

左:「第3回千代田文学賞作品集」 右:待望の文庫化!(小学館文庫)

 

★原作者の八木沢里志さんには、

「千代田図書館情報誌vol.6」にご登場いただいています。

現在、館内で配布中なので、ぜひ手にとってご覧ください!

 

 

左:「千代田図書館情報誌vol.6」表紙 右:八木沢里志さんご登場ページ

 

映画「森崎書店の日々」は10月23日より、神保町シアター他で公開です!

ぜひ劇場でご覧ください。

Posted at:17:35

松雲堂書店を追う!(2) 図書館で出張セミナーがありました

昨日まで、千代田図書館9Fの出張古書店コーナー

「としょかんのこしょてん vol.39 日本の漢詩を楽しもう」

をご担当いただいた、松雲堂書店の宮元さんを追う

レポート第2弾をお届けします。

 

先月30日(月)の夜、千代田図書館で宮元さんによる

展示品解説セミナーが開催されました。

▲左側に立って司会をしているのは、

 神保町古書店街の若手ホープ☆小林書房の小林さん

 

▲講師は、松雲堂書店の宮元さん

 

今回の展示「日本の漢詩を楽しもう」は、

もっと多くの方に漢詩に慣れ親しんでもらおうと、

日本人作家による、何が詠まれているのかが分かりやすい

挿絵入りのものなど、見て楽しむこともできる商品を

展示されていました。

 

展示解説セミナーでは、それらの(一部、非常に高額な)

商品を実際に手にとってみることのできる、稀少な機会!

漢詩に関心のある方や、古書店のセミナーということで

興味をもってくださった方など、10名の参加がありました。

以下、セミナーの内容を抜粋してお届けします。

 

【まず、漢詩とは?】

漢詩は、二千年もの年月をかけて磨き抜かれてきた、

中国の伝統的な詩。

 

※「春眠不覚暁(しゅんみん あかつきをおぼえず)・・・」

 は耳にしたことのある人も多いでしょう?あれも漢詩です。※

 

8世紀の唐の時代、詩人の李白や杜甫が登場した頃

漢詩の形式が出来上がり、

ちょうどその頃、日本は遣唐使を中国に派遣。

そこで中国文化に触れたことが土台となって、

江戸時代には日本でも漢詩文が隆盛を極めます。

 

20世紀以降は急速に衰退しますが、夏目漱石や森鴎外ら

漢学教育を受けた文化人たちは漢詩をたしなんだそうです。

 

【「山陽詩鈔」頼山陽・著について】

著者の頼山陽[ライサンヨウ]は、江戸後期から明治にかけて

活躍した漢詩人で、儒学者としても有名な人。

頼山陽の詩は、今日でもひろく詩吟として愛吟されています。

タイトルは、山陽の詩の「鈔(抄)」=解説ということ。

頼山陽が天保3年に亡くなった後、お弟子さんたちが、

編集者となって解説付きの詩集を作ったんですね。

大ベストセラーとなり、たくさん出回ったようです。

 

セミナーでは、上杉謙信と武田信玄の川中島の戦いを

詠んだ箇所について、宮元さんより解説がありました。

漢詩は、身近な題材を詠んでいるので、草花や風景だけでなく、

当時は日常茶飯事であった戦を詠んだものも多いです。

「鈔(抄)」なので、原稿の枠外に“ここは傑作だ!”

というような批評が書かれていたり、

漢字の横に<○マル>や<、テン>をつけて

“ここを読むべし”というような強調がされていたりします。 

 

【「唐詩選画本」北斎等画について】 

今回の展示品で唯一の中国作品。

唐詩(唐の時代の詩)の選集に、葛飾北斎らが挿絵を添えた

もので、全7巻。7色の表紙がとてもきれい。

 

 

「唐詩選」は江戸時代に日本に伝わり、漢詩入門書として

大流行したそうです。

画家の葛飾北斎は「号」(ペンネーム)をよく変える人で、

この「唐詩選画本」には“北斎為一”、“画狂老人卍”の

号で記されています。 

 

特に初心者には、挿絵入りが親しみやすくていいですね。

当時の情景を思い浮かべることができるし、

ここで何を詠んでいるのかがわかりやすいです。

 

名所図会(今で言うところのガイドブック)の中にも、

その土地で詠まれた漢詩などが紹介されていたりするので、

初心者にもおすすめとのことでした。

 

今回の展示や展示品解説セミナーを見逃した方も、

お店のほうにぜひ足を運んでみてくださいね。

これらの商品以外にも、漢詩の作詩、鑑賞用の書籍や

和本が多数揃っています。

実は、千代田図書館に一番近い古書店さんです!

 

松雲堂書店

(和本・漢詩・漢文参考書など)

住所 神田神保町3-1

TEL 03-3261-6498

 

 

 

 

 

 

  

▲和本がびっしり!   ▲木版の風景画を多数取扱。 ▲中国関連書籍(新刊)

 

Posted at:17:00

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